あっと!ヴィーナス!!プロローグ・前編
2019.09.24


プロローグ・前編

ナレーション
天上界に優雅にそびえ立つヴィーナスの神殿。豪華に飾られたその神殿内の執務室。
神子達が忙しく動き回る大広間の奥の高座の金銀財宝の散りばめられたソファーに
横たわりながら酒を飲んでいるこの人物こそ、この世のありとあらゆる美しさをた
たえた女神。そう、この人こそこの物語において重要な役処を務める……

ヴィーナス
ヒロイン役のヴィーナスです。

ナレーション
と本人は申しておりますが実は……

ヴィーナス
だからヒロインのヴィーナスです。タイトルを見ていないのですか?

ナレーション
えっと……ヒロインのヴィーナスだそうです。

ヴィーナス
ちょっと投げやりなんじゃありませんこと?

神子 A
ヴィーナス様。この書類に目を通して頂けますか?

ナレーション
唐突にも、物語は始まる。

ヴィーナス
こら! 逃げるな!

神子 A
ヴィーナス様。どなたとお話になっておられるのですか?

ヴィーナス
え? ああ、なんでもありません。(書類に目を通して、渡す)

従者A、一礼して退く。

ヴィーナス
うん? (床に落ちているDVDディスクを拾い上げて、神子を呼 び止める) デ
ィスクが落ちていたわ。運命管理局に渡しておいて。

神子 B
かしこまりました。(ディスクを受け取って運命管理局へ)

ナレーション
再び酒を飲みはじめるヴィーナス。この世のすべての美を持っている天上界の神の
一人なのだが、酒が大好きで暇さえあれば飲んだくれているというどうしようもな
い女神だ。

ヴィーナス
聞いていれば、好き勝手いいやがって。

ナレーション
わたしはナレーションだ。ここでは神より偉い!

ヴィーナス
あのなあ……

ナレーション
ほれほれ、物語は進んでいるよ。

神子 C
ヴィーナス様。ファイルーZを受け取りに参りました。

ヴィーナス
ファイルーZ? なんだそれ……。

神子 C
とぼけないでくださいよ。ゼウス様からお預かりになられたDVDディスクに収め
られたファイルですよ。

ヴィーナス
ああ……、忘れていた。それならここに……。(と酒の瓶が並べられたガラステー
ブルの上を見る)
な、ない!(急に、青ざめる)

神子 C
ないって……。どういうことですか?

ヴィーナス
確か、テーブルの上に置いていたんだ。(思い出す)
ああ! そうだ。さっきの神子に渡した。

神子 C
神子に渡したってどういうことですか? ファイルーZは特別扱いで、担当である
私だけが処理できるものなんですよ。

ヴィーナス
そんなことより、ファイルーZだ。(ちょうど通りかかった神子Bを呼び止めて)

神子 B
え? それでしたらとっくに運命管理局のほうに回しましたが?

ヴィーナス
そ、それで、どっちの方に回したの? 男? 女?

神子 B
(きょとんとしている)どっちって……? 私は男性担当ですからそちらに……。

ヴィーナス
遅かったか!


11
冗談ドラゴンクエスト 冒険の書 64(最終回)
2019.09.23


冗談ドラゴンクエスト


冒険の書 64


ナタリー「成功したのでしょうか?」
コンラッド「すぐに分かりますよ」
最高導師「終わりましたよ。そこの二人は診てやってくれたまえ」
リリア「分かりました(心配そうに傍に寄る)」
コンラッド「生きていますが、魂は無事でしょうか?」
ナレ1「やがて勇者だった女性の方が先に眼を覚ます」
リリア「わたしは……(身体を確認する)」
ナタリー「どう?あなたは誰?」
リリア「リリアです」
ナタリー「リリアなのね?」
リリア「はい、リリアです。わたしは女の子ですか?」
ナタリー「そうよ、成功したのよ。おめでとう!(抱きつく)」
コンラッド「となるとあっちの方は?(男性の方を見つめる)」
ナレ1「むっくりと起き上がる元リリアだった男性」
勇者「ここはどこ?わたしはだーれ?」
ナタリー「ぼけかますな、こら!」
勇者「おお、愛しのナタリーじゃないか」
ナタリー「どうやら元に戻ったようね」
コンラッド「最高導師様、よろしいですか?」
最高導師「何かね?」
コンラッド「最高導師様は、どうして我々の望みを叶えて下さったのですか?」
最高導師「まあ、気まぐれじゃよ」
コンラッド「気まぐれですか?」
最高導師「私が出した試練を乗り越えてやってきたのだ、それ相応の報酬というと
ころだな」
リリア「ありがとうございます、最高導師様(深々と膝を折って感謝する)」
最高導師「皆の者ご苦労であった。フェリス王国へ戻して上げよう」
ナレ1「両手を高々と上げ、祈りの言葉を唱えると、一行の身体が輝きだした」
ナレ2「と、次の瞬間。一行はフェリス王城へと舞い戻っていたのであった」
コンラッド「ここは、フェリス王城です」
リリア「ほんとうに、戻ってきたのですね」
ナタリー「さすがは最高導師様です」
勇者「あんだけ苦労して、ここからムース滝までの道のりは一体なんだったのだ」
ナタリー「終わり良ければ総て良し、じゃない?」
コンラッド「リリアさんの願いも叶ったことだし、皆さんこれからどうされます
か?」
ナタリー「そうねえ……あたしは元の町に戻るわ」
勇者「売春婦に戻るのか?」
ナタリー「うるさいわね。かねてから誘いがあった魔導学校の指導教官になるわ」
リリア「あたしは、花売りに戻ります。魔獣には気を付けます」
勇者「俺は遊び人だ。とりあえずこの城下町で女を漁ることする」
コンラッド「そうですか……名残惜しいですけど。パーティーを解散しましょう」
リリア「コンラッドさんは、どうされるのですか?」
コンラッド「王国騎士団に戻ります」
ナタリー「そういえば、騎士団長でしたね」
リリア「みなさん、あたしのためにありがとうございました」
ナタリー「人生山あり谷ありよ。気にしないでいいわ」
コンラッド「それではみなさん、帰りの道中も気を付けて」
ナレ1「というわけで、解散してそれぞれの帰路に着いたのであった」



冗談ドラゴンクエストIIへ続く……かも知れない


11
銀河戦記/機動戦艦ミネルバ 第五章 ターラント基地攻略戦 I
2019.09.22


 機動戦艦ミネルバ/第五章 ターラント基地攻略戦


                 I

 ムサラハン鉱山跡地に時間通りに到着したミネルバ。
 補給艦とも無事に接触して補給の真っ最中だった。
 相手の艦長は、前回と同じベルモンド・ロックウェル中尉だった。
 ロックウェル中尉は、補給の任の他に、次の作戦指令を伝達する任務も負っていた。
「次なる作戦は、モビルスーツ生産工場であるリスキー開発区の攻略です。工場を破壊
するのが目的ですが、出来うる限りのモビルスーツをも奪取することも、作戦内容に含
まれております」
「工場の破壊とモビルスーツの奪取ですか……」
「その通りです。モビルスーツ戦となることは必定でしょう」
 ここに至って、バイモアール基地攻略の作戦理由が見えてきた。
 新型モビルスーツを手に入れ、このリスキー開発区の攻略に当たらせることだったの
だ。
 カサンドラ訓練所の訓練生を収容したのも、モビルスーツ奪取の後のことを考えての
ことだったようだ。
「今回は、ミネルバ以外にも計五隻の艦艇が作戦に参加することになっています。ミネ
ルバは、その旗艦として働いています」
「合同作戦ですか?」
「戦術士官としての腕の見せ所ですね」
 たった六隻の小隊とはいえ、複数の艦艇を指揮運用できるのは戦術用兵士官だけであ
る。
 一般士官の艦長の権限では、自艦のみしか指揮できない。
 フランソワの出番だった。
 合同作戦の旗艦として、ミネルバが位置づけられたことで、フランソワの責任も重大
なものとなりつつあった。
「モビルスーツ同士の格闘戦ですか。壮絶なる戦いとなることが避けられないでしょう
ね」
 副長のベンソン中尉が、感慨深げそうに言葉を漏らす。
「新型は、経験豊富なナイジェル中尉とオーガス曹長、そしてサブリナ中尉とハイネ上
級曹長に任せましょう」
「無難でしょうね。ついでにパイロット候補生達の訓練教官になってもらいましょう」
「それは結構ですね」
「パイロット候補生というと、例の三人組の男子が意識を取り戻したそうです。女子の
方はまだのようですが」
「そう……。お見舞いにいってみましょう。しばらくここをお願いします」
 立ち上がって、指揮官席を交代するフランソワ。
「了解。指揮を交代します」

 フランソワが医務室に入ると、すでに先客がいた。
 特殊工作部隊の隊長のシャーリー・サブリナ中尉だった。
 バイモアール基地において、訓練生の行動を阻止できずに、結果としてこのような事
態になった責任を感じているのである。
「あ、艦長殿もお見舞いですか?」
「具合はどうですか?」
「元気なものですよ」
 とはいうものの、訓練生はガラスで隔たれた集中治療室に入れられていた。
 ベッドに横たわり、点滴の針を刺されている。
 突然一人が起き上がって、ガラス窓にへばりついて叫びだした。
「なあ、いい加減ここから出してくれよ!」
 ジャンである。
「だめだ! おまえは死にかけていたんだぞ。見た目は元気でも内臓は弱っているぞ。
その点滴も内臓を回復させるためだ。感染を防ぐためにもまだそこから出すわけにはい
かん」
「いつまで入ってりゃいいんだ?」
「回復するまでだ」
 アイクの方は、背を向けたまま動かない。
「もう一人はどうしたんですか?」
「いやいや、向こう向きで見えませんが、携帯ゲームで遊んでいるんですよ。心配はい
りません」
「そう……。重体の女の子は?」
「CCUの方です」


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