思いはるかな甲子園~思いはるか~
2021.07.04

思いはるかな甲子園


■ 思いはるか ■

『栄進高校のナイン、ダグアウト前に円陣を組みました』

 山中主将が激を飛ばす。
「いいか。泣いても笑ってもこの回までだ。参考試合になったからと言って気を抜くなよ」
「はい!」
「見ろよ。浩二も観客席から観戦している」
 と観客席で浩二の母親が抱いている遺影を指し示す。
 梓もその姿を見て胸に熱い感情が沸き起こる。
「決勝戦を前に逝ったあいつのためにも、恥ずかしい試合はするな。全精力を掛けて守れ、走れ。自分の所に飛んできたボールは死んでも取れ!」
 山中が円陣の中心に手を差し出す。
 全員がその手に自分の手を重ねる。
「いくぞ、ファイト!」
「おお!」
 気合を入れる一同。
 そして守備へと駆け足で散っていくナイン。

『さあ!栄進高校のナインが守備に付きます。九回の攻防戦が始まりました』
『真条寺君、マウンドに登りました。そして山中捕手に対して準備投球』


 プレートを踏みしめてゆっくりと山中めがけて投げ込む梓。
 スピードはないが確かなコントロールで山中のミットに収まる。
「よし!」
 山中が手ごたえを感じながら、返球する。

『既定の3球を投げて、さあ!いよいよプレイボールです』

 捕手の山中主将がマウンドに歩み寄り、捕球したボールを手渡しながら、
「すべて君に任せる。好きな時に好きなように投げろ!すべて俺が受け止める」
「わかりました」
 にっこりと笑顔を見せる梓。
「いい顔だ」
 梓の肩を叩いて、キャッチャボックスに向かう。
 ミットをポンポンと叩いて構える山中。
 梓は野手に向かって、人差し指を高く捧げて大声で叫ぶ。
「ワンアウト!」
「おおお!」
 野手からも大きな返答が返ってくる。

 前に向き直り、ロジンバックを手に取る。
 城東の打者はすでにバッターボックスに入っている。
「プレイ!」
 アンパイアの試合再開の合図が響く。

『さあ、真条寺君気を取り直して、セットポジションにつきました。ランナーはいませんが制球という点でこちらの方が良いのでしょう』
『城東相手では、スピードは関係ありませんからね』
『果して試合の中断がどれだけ影響しているかはわかりませんが、ノーヒットノーランを目指して投球動作に入りました』
『いえ、参考試合ですから、ノーヒットノーランというのはおかしいでしょう。記録に残りませんし』
『そうです、失礼いたしました。参考試合ですので、ノーヒットノーランは成立しません』


「ストライク!」
 審判の手が高々と上がる。

『第一球、ストライクです。コントロールは相変わらず抜群です。スピードはありませんが、ボールが地面すれすれから這いあがるようにしてストライクコースを通る独特の下手投げと、微妙なコースを巧みについて打者を翻弄。フォアボールと内野手エラーが四つありましたが、これまで、セカンドベースを踏んだ選手は一人もいません』
『三振! ツーアウトです。二人目の打者も見事討ち取りました。さあ、残すはあと一人です。ネクストバッターサークルの沢渡選手、ゆっくりと立ち上がってバッターボックスへ歩きます』


 沢渡、帽子を取り主審に一礼してからバッターボックスに入る。
 マウンド上では、梓が足先で地面をならしている。
 梓に視線を送りながら、
「とうとう、ここまできたな梓さん。いや、浩二君というべきかな……梓さんの野球センスは浩二君そのままだ。城東に対し、これだけ苦戦させられるのは、浩二君しかいない。やはり君の魂が、甲子園を目前にして逝った君の思いが、梓さんに乗り移っているのだろう?」
 その背後に浩二の姿を感じている沢渡であった。
「しかし、僕は手加減しないよ。それが浩二君、君への手向けになると信じるからだ」

『さあ、今季高校球界随一と称されるスラッガー沢渡君に対して、どのようなピッチングを見せてくれるのでしょうか。第1球投げました』

「ストライク!」
 主審の手が上がる。

『ストライクです。沢渡君ピクリとも動きません。ボールが返球されます』
『見ているだけなのに、こちらの方が緊張しますね』
『まったくですね。真条寺君、第二球を投げます。ストライク! 沢渡君、二球目も見送りました』
『おそらく球筋をみているのでしょう。彼にはカウントなど関係ないですから』
『真条寺君、流れる汗をユニフォームの袖で拭いました。ロジンバッグを拾って、滑り止めします』


 空を仰いでいる梓。
「入院している時からずっとやさしく看病してくれたお母さん。いやな顔もせずにキャッチボールに付き合ってくれ、相談に乗ってくれたお父さん。これが終わったら精一杯親孝行するからね。そして野球部のみんな、ありがとう。甲子園に行くのをあきらめてまで、このボクにすべてを預けてくれたみんなの思いを、野球にたいする情熱を無駄にしてはいけない」
 つと観客席の母親に視線を移す。
(母さん……。親孝行できなかったけど、この試合ぜひとも勝って、せめて安堵させてあげたい」
「浩二がやり残した思いを、この一球に」
 梓、ボールをぎゅっと握りしめて、プレートに足をかけてゆっくりと両手を振り被る。

「この一球に、すべてをかける」


背番号のないエース 作詞:売野雅勇/作曲・編曲:芹澤廣明

「浩二君、こい!」
 沢渡もバットを握り締めて、打撃の体勢にとる。

『さあ真条寺君、最後の投球になりますか、足をあげて、投げました!』

 一球入魂。全精神を注ぎこんだボールが梓の手から放たれ、地を這うように捕手のミットへ、打者の沢渡の胸元へと走る。

 カキーン!

 するどい球音とともに梓の顔をかすめるようにライナーで飛んでいく。

『打ったあ! 球はセンター方向に一直線だ。これは大きい! ホームランか?』

 センターの郷田が全速力で追っている。
「ちきしょう! 絶対に取ってみせるぜ」
 フェンスをかけ登る郷田。

『なんと! センターの郷田君、フェンスによじ登りました。すごい執念です。しかし、届かないか? あ、ジャンプしました。取った、取りました。しかし勢いついたまま地面に激突だ!』

 ホームランボールを補球した体勢のままグランドに落下する郷田。地面に激突し砂塵を舞い上げたその身体はぴくりとも動かない。
 観客席の人々が、フェンス越しに身体を乗り出して見つめている。
 時折センターに目を移しながらベースを回る沢渡。

『郷田君、グランドに倒れたまま動きません。大丈夫でしょうか。そしてボールは?』

 梓、倒れたまま身動きしない郷田を心配そうに見つめている。
「郷田君……」
 郷田のもとに集まってゆく外野手とショートそして塁審。

『センター動きません。脳震頭でもおこしたか……あ、起き上がりました』

 郷田、右腕支持横臥の状態からグラブを高々と挙げる。グラブの中に白い球が入っている。
 塁審、手を挙げてアウトを宣告する。

『取った! 取りました、アウトです。ゲームセット、試合終了!』

 県大会会場。
 球場がわれんばかりの大歓声につつまれている。
 飛び散る紙吹雪。

『ご覧ください、お聞きください! 観客席の人達が総立ちで、マウンド上の真条寺梓さんに対して、惜しみない拍手喝采を送っております』
『女性ながらも、九回を守って参考試合ながらもノーヒットノーランを成し遂げました。男である私も脱帽です』


 浩二としてやり残したことを成し遂げた梓。
「ありがとう、みんな。これで思い残す事はもうない……」
 空を仰ぐその瞳からは涙が流れ落ちる。
 そして足元から崩れるようにマウンド場に倒れる梓。
 薄れる意識の中で、浩二だった頃の記憶が次々と蘇り、そして消えていった。

 部員達が全員、梓のもとに駆け寄っていく。

 梓よ、今日の日をありがとう。
 そして……。
 さようなら、甲子園。

 【思いはるかな甲子園】 了

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思いはるかな甲子園~声援の中で~
2021.07.03

思いはるかな甲子園


■ 声援の中で ■

 梓の父親が経営する会社の本社ビル。
 その社長室の隅にあるTVからは、県大会決勝の実況中継が放映されている。
 甲子園に出場したこともある父親だけに、県大会決勝の行方が気になるようだ。しかも対戦高校の一方の栄進高校には、マネージャーである娘が、記録係りとしてベンチ入りしているので、見ないわけにはいかない。ベンチにカメラが向けられれば、当然娘の姿が映されるからだ。
 その梓が、ピッチャーズマウンドに立ち、長い髪がほどけて女子である事がばれ、アップで映し出されていた。
 仕事を一時中断してソファーに座り、神妙な面持ちで実況を聴いている父親。
 そのそばにいる社長秘書の麗香が口を開いた。
「社長、やっぱりお嬢さまですよ」
「ああ……」
 父親は、梓が登板した時から気づいていた。どんなに変装しようとも、実の娘を見間違えるはずがなかった。
「どうしてお嬢さまが、ピッチャーなんかやっているんでしょうか」
「まあ、梓にねだられて、練習相手をさせられたりはしたが……」
「ええ! 社長が、お嬢さまの練習相手をなさったのですか?」
「ああ……意外と、上達が早くてな。コントロールは抜群だった」
「なるほどね。社長は、お嬢さまには甘いですからね。投手としてのセンスは、父親ゆずりというわけですか」
「そういうことになるかな」
 自分の娘のことを誉められて、少し上機嫌になる父親。

『間違いありません。確かに女子生徒です。しかも、実に可愛い女の子です』
『栄進高校の行為が理解できませんねえ。女子生徒が選手として出場できないのは、判っているでしょう。なぜ他の男子部員に投げさせなかったのでしょうか。白鳥君やマウンドの真条寺さんほど上手に投げられないかも知れませんが、少なくとも没収試合は避けられたのです』



 グラウンド上では、両校の主将と審判が、女子選手の参加についての経緯などを論点として協議を続けている。
 栄進高校の守備陣は一旦ベンチに戻されている。
 多くの人が持参しているラジオから、実況中継のアナウンサーや解説者の声が聞こえ、観客達が耳を傾けている。
「梓ちゃんに投げさせて!」
 突然、絵利香が立ち上がって叫んだ。
 カメラの矢面に立たされている仲良しの友人に対して、居ても立ってもいられなくなったのだ。
 するとまわりにいた観客が同調して叫びだす。
「そうだ! 投げさせろ」
「なんで女の子が参加しちゃいけないんだ」
「ルールなんかくそくらえだぞー」
「ノーヒットノーランはどうなるの」

 次々と広がっていく場内コール。
 身を乗り出して応援している絵利香に、
「ありがとう、絵利香ちゃん」
 声にならない感謝の言葉を送る梓であった。

『おおっと、場内から真条寺君に投げさせてというコールがかかりました』

 観客総立ちになっている。
「やい! 城東学園。おまえらからも何か言ってやれ!」
「このまま、女の子にノーヒットノーランで負けるのがくやしいのか!」
「男なら正々堂々と最後まで戦え!」
 中にはフェンスから身を乗り出すようにして、ベンチ内の城東学園に罵声をあげる観客もいた。
「沢渡君! 最後まで戦ってあげて」
「女の子に負けたままで悔しくないの?」
 沢渡のファンかと思われる女子高生の声も上がる。

『これは、城東学園の応援席からも、試合続行のコールがかかりました。城東学園の選手達、観客の場内コールに唖然として立ちすくしています』

 場内割れんばかりの観客達の声援。

『これはすごい! 観客が総立ちでシュプレヒコールを一斉に上げています。これは高校野球史上はじめてのことでしょう』
『これまでの真条寺君の真剣なプレーに感動した観客達が、次々と立ち上がって真条寺君の続投を、試合再開を叫んでいます。かくいう私も、真条寺君のノーヒットノーランの行方を最後まで見届けたい気持ちで一杯です。サッカーにしろ、柔道にしろ、男女共に試合が設けられていると言うのに、高校硬式野球だけが男子だけという風習を守っています。はたしてこれでいいのでしょうか、考えさせられる問題であります。これを機会に女子選手による大会開催を、甲子園を目指せるような新しい組織作りを、そして根本の大会規則を変えられないものでしょうか。私は思います。甲子園という言葉は、野球に興味を持つすべての人々の関心事なのです』


 解説者は独自の考えを持っているようだ。女子選手にたいする理解溢れる言葉の数々であった。

『女子にはソフトボールがあるじゃないかという声もありますが、ソフトボールと野球は似てはいますが、全く別のものと考えた方がいいものです』
『訂正させて下さい。ソフトじゃなくても、全国高等学校女子硬式野球連盟というものが一応あって、第一回全国大会が1997年から開催されています。しかしいかんせん加盟校はたったの44校ですし、大会に参加するのは全部じゃないですからね。とても話題に上がるような代物じゃないです。なおかつ競技球場も甲子園ではなくて、「つかさグループいちじま球場」(兵庫県丹羽市)なんですよ』
『そうでしたか』


 ベンチにいる城東及び栄進両校の選手たちも鮮烈を覚えていた。
 試合再開なるかは自分達にはどうすることもできない。
 しかし決着はともかく最後まで戦いたいという気持ちは、すべての選手の胸の内にあった。
「女子ながらも、素晴らしい選手じゃないですか。チームのために身も心もボロボロになっても、全身全霊を掛けてプレーする姿は、うちも少しは見習いたいものですね」
 沢渡が感心するように言った。
「そうだな……。おまえがノーヒットに抑えられていることからしても、大した選手だ。男子だったらプロのスカウトも放って置かないだろう」
「プロなら女子でもいいんじゃないですか?」
「うん?ああ、そうだな。プロの女子選手もいるにはいるが、活躍できていない」
「体力差はどうしようもないですからね」
 改めて、梓の方を見つめる沢渡だった。

『場内、観客達の試合続行をコールする声はさらに高まっております。一向に消える気配は衰えません。もしこのまま試合が中断されれば、暴動にさえ発展するかも知れません。あ、ちょっとお待ち下さい。ニュース速報が入ったようです……』

 しばらくの静寂があった。速報を伝えるメモ書きを広げる乾いた音が聞こえる。

『お待たせしました。ニュース速報です。各ラジオ局やTV局には、真条寺君に続投させてくださいという、視聴者達からの抗議電話が続々と寄せられており、大会運営本部の電話も鳴りっ放しとのことです。この場内で観戦する人も、ラジオ・TVで観戦する人も、思いはみな同じのようです』
『あ、運営本部から人が出てきましたね。審判達のもとへ歩いていきますよ。きっと今のニュースの状況を伝達するようです』


 運営本部の人間と審判達が話し合っている。

『あ、審判が放送室の方へ歩き出しました。結論が出たもようです。場内放送を聞いてみましょう』

 場内が一斉に静まり返った。

『場内のみなさん。ご覧のように栄進高校の白鳥君に変わって登板した背番号11番、真条寺君は女子生徒であることが判明しました。よって大会規定によりこの試合は没収試合とさせていただきます。優勝高は城東学園高校に決定いたしました』

 それを聞いた観衆達が再び騒ぎだした。
「なんだとー。俺達は金を払って入場しているんだぞ。最後まで試合を続けさせろ」
 グランドに、空き缶などが投げ入れられる。

『みなさん、お静かにお願いします。試合そのものは没収試合とさせていただきますが、大会運営委員会と城東高校及び栄進高校のみなさんとも協議の結果、特例を認めて参考試合という形で、このまま試合を続行することにいたします。ただし参考試合ですので、公式記録には残りません。また、延長戦はなしで九回までの攻防とさせて頂きます』

「よく言った!」
 場内に大歓声が沸き起こる。

『お聞きになりましたでしょうか。試合続行です。参考試合にはなってしまいましたが、引続き試合終了までこのまま真条寺君が投げます。観客や視聴者達の熱い声が審判団をついに動かしたのです』

「えらいぞ! よくやった、それでこそ高校野球だ!」

『そうです。これは高校野球です。確かに甲子園に出場するということはナイン達の夢です。しかしそれだけが、高校野球のすべてではありません。野球部のみなさんは、この日のために血のにじむような練習を繰り返してきたのです。甲子園は、その努力の報酬としてさらに戦う場を与えているのです。女子生徒がその中に入っていたというだけで、ナインのこれまでの努力をすべて無にしてもよいのでしょうか』

 解説者が力説する声が、ラジオやTVを通して、場内の観客達に届いている。うなづいて耳を傾けている観客達。

『試合が再開されます』

 投げ入れられた空き缶類を拾い集める場内整備員達。
 一時ベンチに避難していた栄進高校の面々がグラウンドに出てくる。

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思いはるかな甲子園~アクシデント~
2021.07.02

思いはるかな甲子園


■ アクシデント ■

『さあ、ワンアウト、一・三塁。絶好の先取点のチャンスです。さて栄進高校どういう作戦にでるでしょうか』
『通常ならスクイズバントというところでしょうが、三塁ランナーはかなり疲れています。これ以上、ピッチャーの真条寺君を疲れさせるわけにはいかないでしょう。やはりここはヒッティングが無難でしょうね』
『城東学園、一応スクイズにも警戒して、通常の守備に戻りました』
『疲れ切っている足の遅い真条寺君を。本塁でタッチアウトする体制ですね。たぶん内野安打程度ではアウトになるでしょう』
『さて次の打順は、ショートの城之内君です。長打はありませんが、守備の甘いところを狙って確実にヒットしてきます』
『選球眼とバットコントロールがずば抜けているんです。甘い球は絶対見逃しません。ただ、沢渡君や山中君ほど長打力はありませんからねえ。この場面ではつらいかも知れません』


 素振りをしながらバッターボックスに向かう城之内。梓の方をちらりと見て、
「梓ちゃんをホームに迎えたいが、内野安打や外野飛球程度ではアウトになるな……一発長打を狙うしかないか。たとえ梓ちゃんがアウトになっても木田が三塁に行けば次の打者で何とかなるかもしれないし。よし、梓ちゃんからのサインはないし、自由にやれということだから、思いっきり振りぬいてやる」
 ゆっくりとバッターボックスに入る城之内。

 堀米、梓の方をちらりと見てから投球モーションに入る。

『ピッチャー投げました!』

「絶対に梓ちゃんを返すんだ!」
 全力で振りぬく城之内。
 カキーン!
 見事バットの真芯でボールを捕らえて、ボールは低空を一直線にフェンスへ直撃する。

『打ったあ! ライナーでフェンス直撃です。これでは、守備でも抜群の沢渡君とて、補球は不可能です』
『さすがですね、城之内君の打撃センスは抜群です、今のような長打力が身に付けば、沢渡君にも匹敵するスラッガーになれるでしょう』
『真条寺君、楽々ホームインです。おおっと! 一塁の木田君、二塁を蹴って三塁に走ります。これは無謀だ! 沢渡君から返球されて……アウト! アウトです』


 三塁ベース上、砂塵を巻き上げながら頭から突入し、憤死した木田が倒れている。
 やがてゆっくりと立ち上がって、ユニフォームについた泥を叩き落としながら
「うーん。やっぱり無茶だったか……」
 とつぶやいてベンチに戻る。
 梓が出迎える。
「惜しかったですね」
 にっこり微笑んで健闘を湛えている。
「すまん。梓ちゃん」
「いいんですよ。それより、ナイスバントでした。あれが成功したから点が取れたんですから」
「ありがとう」
「あ、キャプテンが打ちますよ」
 バッターボックスに入る山中主将に手を振る梓。
 前の三人に続けとばかりに意気込む山中であったが、惜しくもサードゴロに倒れてしまう。

「さあ、梓ちゃん。最終回だ、頑張ろう!」
「打たせていいからね。ばっちり守ってみせるから」
 次々に梓の肩を叩いてグランドに駆け出す部員達。
 後を追ってゆっくりとマウンドに向かう梓。

『さあ、最終回です。栄進高校、八回の貴重な1点を守りきる事ができますか。最後の守りに就きます』
『真条寺君、グランド一周してかなり疲れていますからねえ。延長戦になっては持ちません。この回をどう切り抜くか、見物です』
『それにしても、強打揃いの城東打線を相手に、七回以降フォアボールと内野のエラーで一塁に出した意外は、これまで誰一人二塁を踏ませていません。実に素晴らしい投手です。このままいけば、ノーヒットノーランが成立するかも知れません』
『まるで去年のエース投手長居浩二君を思わせますね。これまでの試合運びをみていますと、長居選手とよく似た感じが伝わってきます。もしかしたら、甲子園を目前として逝った長居選手の思いが、彼に乗り移っているのかも知れませんね。八回裏の攻撃で見せた彼の執念は、鬼神迫るものがありましたからね。尋常な精神力ではとうてい成し得ないでしょう』
『さあ、城東は二番からの打順となります。佐々木君がバッターボックスに入りました。先頭打者として出塁し、逆転の足掛かりとなれるでしょうか』


 梓、ゆっくりと投球モーションに入る。

『さあ、第一球目、投げました』

 梓の手元から放たれたボールが打者の胸元に食い込むように進入する。
「ノーヒットノーランになんかされてたまるか!」
 意地を見せた佐々木の打ったボールが梓を襲った。

『ピッチャー直撃だ! あ、マウンドの端で、イレギュラーバウンドした。ボールは真条寺君の帽子のつばにあたって、弾き飛ばした。ボールはセカンドがカバーしてファーストへ。アウトです』

 梓の髪が、帽子が飛ばされたはずみで、留めていたヘアピンが外れて、ふわりと垂れ下がった。

『おおっと、これは! 真条寺君、帽子が飛ばされ、髪がほどけてしまいました。ずいぶん長いですねえ、腰のあたりまでありそうです』
『いや、あれは女の子ですよ』
『え? そういえば、小柄な身体つきといい、まさかとは思いますが、よくよく見れば確かに女子生徒のようです』
『試合が中断されます。ただ今、審判達が真条寺君の所に集まっております。どうやら真偽のほどを確かめているようです』
『栄進高校の部員達もマウンドに集まり、主将の山中君が事情説明しているようです』
『城東高校の監督が呼ばれます』
『真条寺君が女子生徒ならば、これは没収試合ですね。ノーヒットノーランを目前にして非常に残念です。電光掲示板に八回表まで続いている”0”という数字ももはや記録として残らなくなります』
『高校野球連盟の規定では女子生徒は出場することが出来ないことになっております。ここまでの好投もすべて水の泡となってしまうのでしょうか。私個人の希望としてはこのまま投げさせてやりたいという気持ちで一杯です。しかしルールは厳粛です。野球がルールにのっとって行われる以上、ルールを無視することは出来ません』『それにしても栄進高校、去年の夏の試合といいこの大会といい決勝戦まできながらまたもやエース投手不在のまま敗退していくのでしょうか』


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11
思いはるかな甲子園~執念~
2021.07.01

思いはるかな甲子園


■ 執念 ■

 さらに回は進んで八回の裏。
 栄進の攻撃は九番の梓から。梓が出塁すれば、一番からの好打順が回ってくるという場面であった。得点は0対0。
「ここが最後のチャンスね。何としても塁に出なくちゃ」
 バットを重そうに持ちながら打席に入る梓。
「ふん。女の子相手に変化球なんかいらねえや。ストレートのど真ん中で勝負してやるよ」
 梓の様子を見て悟った投手の堀米は、捕手とのサインも交わさずに簡単にストライクを放りこんできた。
「ちきしょう。女の子だと思って、ど真ん中に投げてきやがる」

『ツーストライク。ツーストライクです。真条寺君、後がありません。ピッチャー、振りかぶりました。三球目』

 梓は、それをカットしてファールで逃げた。
「しゃらくせえこと、しやがるな」

『ピッチャー、四球目を投げます。あっと! ファールです。真条寺君、ファールで粘ります』
『しかしピッチャーの堀米君。もう少し間合いをとってじっくり投げたほうがいいですよ。こうもぽんぽんと投げ込んでいては、なかなか討ち取れませんよ』
『おおっと、またもや、ファールです。真条寺君も、疲れきった身体に鞭打って頑張っています』


 次第に焦りだす堀米投手。相手は投手、しかも女の子を討ち取れない。

『堀米投手、一旦プレートを外して、ロジンバッグを手に取りました』

 梓も合わせるように、タイムを掛けてバッターボックスを出る。

『タイムです。双方、一呼吸するように、それぞれ間合いを取っています。真条寺選手、滑り止めスプレーをバットに吹きかけています』
『緊張して手に汗が出ますから、まあ自然でしょう』


 その時、栄進高校側の応援席にちょっとしたざわめきが起こった。
 長居浩二の母親が、遺影を抱えて入場してきたのだ。
 それと知った応援団の一人が、観客に促し道を開けさせて、グラウンドが見渡せる最前列に案内する。
 目ざとくそれを見つけたアナウンサー。

『栄進高校応援席をご覧ください』

 マウンドを映していたTV中継のカメラが、観客席を映すカメラに切り替えられる。

『去年の決勝戦を直前にして亡くなられた、長居浩二君のお母さんのようです』

 カメラは遺影をクローズアップする。
 アナウンサーの手元のモニターに映し出された遺影。
 マウンド上で、今まさにボールが指から離れた瞬間を正面から捉えた、ユニフォーム姿の写真であった。

『長居浩二君です。母親に抱えられて、母校の試合を観戦に、そして応援にきました』

 応援席のざわめきによって、ダッグアウトの野球部員達も気付くこととなった。
 もちろん梓も。
「母さん……来てくれたんだ」
 目頭が熱くなり、涙がこぼれそうになる梓。
 しかし今は泣いている場合ではない。
 汗を拭うように、ユニフォームの袖で拭き取る。
 そしてバッターボックスに戻る。

「プレイ!」
 主審の声で試合再開。

『ファール!ファールです。真条寺君、相変わらずファールで粘って、絶好球が来るのをひたすら待つ戦法です』
『これは辛いですね。投手も打者も双方共に精神疲れます』


「ちきしょう。これでどうだあ!」
 大きく振りかぶる堀米投手。
「コースと球種さえ判れば、このあたしにだって当てられるんだ。しかし、腕力のないあたしが打ち返すには、フルスウィングで真芯を捕らえるしかない」
 ピッチャーが振りかぶると同時に、打撃態勢に入る梓。
 バットに全精力を注いで、渾身の力を込めてフルスウィングする梓。
 カキーン!
 そしてバットは見事真芯を捕らえて、ボールはレフト方向へ。

『打った! 打ちました。前進守備の外野の間を抜けて、ボールはフェンス際を点々と転がっています。長打コースです。ランナーは一塁を蹴って二塁へ向かいます。がしかし足が遅い。レフトからの返球が早いか? いや、間に合いました。セーフです。二塁打。二塁打です』
『彼は、ファールで粘りながらも、タイミングを計っていたんでしょうねえ』


 グラブを地面に叩きつけて悔しがるピッチャー。
「ちくしょう! この俺が、女になんかに打たれるなんて……」
 それを見た捕手の金井主将が、タイムをかけて駆け寄る。
「どうした? 堀米、おまえが打たれるなんて」
「なんでもねえよ」
「ならいいが……とにかく」
 といいながら梓を見る金井。全速力で走ったので肩で息をしている。
「あれじゃあ、彼女はとうてい走れないだろう。バッター勝負で行こう」
「わかってるさ」
 グラブを拾う堀米。

『さあ、打順は一番に戻って打撃好調の木田君の登場です。二塁打と単打二つを打っています』
『やはりここは、真条寺君を楽に返してあげる為に、ホームラン狙いで振り回してくるでしょうねえ』


 二塁に達した梓に視線を送りながら、一番の木田。
「絶対に梓ちゃんをホームに迎え入れてやる。しかし梓ちゃんは足が遅い、しかも疲れ切っているんだ。バントなんて姑息な手段は取れねえ、長打を狙うしかない……」

 振りかぶって投球モーションに入る堀米。
「ちきしょう! 梓ちゃんが走れないことをいいことに、振り被りやがって」
 ストライク!

 梓、二塁上で息を整えながらも、敵の守備陣形を確認している。
「城東は、あたしが走れないと思ってる。となると警戒するのは、長打ということで、かなり深い守備陣形をとっているわ。ワンアウトだから補球を確認しなきゃ進塁できないし、ヒットになっても、フライでタッチアップしても、あたしの足じゃ三塁でアウトだ。やるっきゃないか……」
 大きく深呼吸してから、バッターボックスの木田に合図を送る。
(なに! おい、嘘だろ?)
 サインを見た木田が煩悶して再確認する。が、サインは変わらなかった。
(わかったよ。梓ちゃんが、そこまでやるというならな)

『ピッチャー、第二球投げました』

 木田、ピッチャーの投球と同時にバントに構えた。
 梓は、三塁へ突進する。

『あ! 木田君、いきなりバント! 真条寺君、走った。バンドエンドランだ』

 打球は三塁線を転がっていく。

『これは、完全に球威を殺して、絶妙なバントになりました。サード、ボールを取りましたがどちらにも投げられません。内野安打です。真条寺君、楽々三塁に達しました。木田君も一塁に生きました』
『バッターが打撃好調の木田君ということで、一打逆転を警戒して、深い守備陣をとっていた城東の野手達。その裏をかいてのバント攻撃でしたね。確か、木田君のバントははじめてのことでしょう』


「へん。梓ちゃんに言われて、バントも練習していたんだよ」
 鼻を鳴らしながら自慢気に呟く木田。
 そして、センターから梓の後ろ姿を見つめながら感心する沢渡。
「さすが梓さんだ。守備の弱点を的確についてくる。しかも自分が一番疲れているはずなのに、常に全精力を出している。見習うべきだな」

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思いはるかな甲子園~梓、登板~
2021.06.30

思いはるかな甲子園


■ 梓、登板 ■


 場内アナウンスが栄進高校の先発メンバーを打順に読み上げていた。

『栄進高等学校の先発メンバーをお知らせします。
 一番、ファースト、木田考司君
 二番、ショート、城之内啓二君
 三番、キャッチャー、山中太志君
 四番、センター、郷田健司君
 五番、セカンド、武藤剛君
 六番、ライト、安西次郎君
 七番、レフト、熊谷健司君
 八番、サード、田中宏君
 九番、ピッチャー、白鳥順平君に代わりまして、真条寺梓君です。
 以上です』


 栄進高校の部員達が試合前の守備練習にグランドに駆け出す。
 梓もピッチャーズマウンドに登って投球練習をはじめた。
『おっと、白鳥君に変わって登場しました真条寺君です。背番号11番、なんと一年生です。手元の資料では、中学時代の記録は白紙になっております。どんな選手なのでしょうか』
『ずいぶんと小柄ですが、大丈夫でしょうか』
『投球練習を始めました』
『うーん。アンダースローですね。球威はそれほどなさそうですが、果して超高校級スラッガー沢渡君率いる城東高校に対して、どこまで投げ切るか注目いたしましょう』


 城東学園のダッグアウト。
「監督! あの真条寺ってのは、女子生徒ですよ」
 梓に気づいた部員の一人が叫んだ。
「なに、本当か」
「抗議しましょう」
「そうだな」
「待ってください!」
 動きだそうとした部員達を、沢渡が制止した。
「このまま黙って投げさせましょうよ」
「何を言うんだ」
「あの梓さんに打ち勝てるようでなきゃ、甲子園に出られても一回戦敗退するのが、関の山ですよ。去年のレギュラー部員で残っているのは、僕と捕手の金井主将だけです。いくら前年度優勝といったって、ほとんど実績はないに等しいですからね。選抜だって一回戦で敗退したじゃないですか」
「そうかも知れないが……」
「それに仮に負けてもですよ、女子生徒であることを隠し通せないでしょう。身近で見れば可愛い女の子だとすぐ判ります。ルール違反で没収試合となります。どっちに転んでも僕達の甲子園出場は決まっているんですから」
「そりゃあ、そうだが」
「彼女との練習試合での雪辱をはらさなくては心残りになるというものです。栄進の連中も、そのことを念頭に、彼女を送り込んできたんです。打ち崩せるなら打ち崩してみろとね。これは奴等の、我々に対する挑戦状なんです。逃げるつもりですか?」
 鬼気迫る勢いで沢渡が監督に進言する。
「わかったよ。おまえの好きなようにしろ」
「ありがとうございます」
 監督に礼をのべて、梓の方に向き直る沢渡。
「さて、さいは投げられたよ、梓さん。君の戦いぶりをじっくり拝見させてもらおう」

 グランドに二列に並ぶ両校。
 一様に梓に視線を送る城東の部員達。
「城東学園高校の先攻ではじます」
「お願いします」
 試合前の挨拶を交わしてグランドに散る栄進高校の部員達。

『ウォーミングアップが終って、いよいよ真条寺君第一投を投げます。試合開始です』

 一番の金井主将が打席に向かう。
「おい。じっくり見て行けよ。前回のように短打で転がせ。ぶんまわしても外野飛球だからな」
 沢渡が助言を述べる。
「わかった」

『さあ一番の金井君がバッターボックスに入りました』
 プレーボールの声が掛かる。
『真条寺君、ゆっくりとプレートを踏んで下手から……投げました!』
『金井君、見送ってワンストライク』
『球筋を見たようですね』
『さあ、二球目投げました。打ちました!セカンドゴロです。セカンドの武藤君難なくこれを捕って一塁へ、アウトです』


 あっけなくセカンドゴロに終わる金井主将。
 ベンチに頭を掻きながら戻る。
「キャプテン、何してるんですか」
「いやあ、悪い悪い。あまりの絶好球だったもんで、つい手が出ちまった」
「それが彼女の狙いなんですよ」
「わかった、次からはちゃんとやるよ」

『真条寺君。一回の表を難無く三人で終わらせましたが、その裏栄進の攻撃も三人で終わってしまいました』

 攻守を交代して移動する部員達。
 梓が再び登場してマウンドに向かう。

『さて、四番打者の沢渡君の登場です。真条寺君、どんな投球を見せるでしょうか』
 ゆっくりと振り被り、一球目を投げる梓。そして二球目。
『ツーストライクです。沢渡君、一球・二球と様子を見ましたか。打つそぶりも見せませんでした』

「なるほど、相変わらず絶妙のコントロールだ。打ち気をそそるコースをボールが通るが、打点の直前で微妙に変化する。これでは内野ゴロが関の山だ」
 ボールのコースをじっくりと観察していた沢渡が感心する。
 梓が三球目の投球モーションに入る。
「しかし、この僕には通用しない」
 沢渡、渾身の一撃で外野へボールを運ぶ。
「センター、右バック!」
 センターに向かって指示する梓。
 指定された地点の真下に走りこみ、打球が落ちてくるのを構えるセンター。
 一・二塁間の線上で、打球が補球されるのを確認して立ち止まる沢渡。そして梓に視線を送りながら引き返していく。
 ベンチに戻ると、部員達の激励が待っていた。
「しかし惜しいですね……今のは完全に抜けていたと思いますが」
「まぐれですね」
「いや、違う。俺が打った瞬間に、彼女は球の行方も見ないでセンターに向かって守備方向を指示していやがった」
「まさか」
「事実だ。彼女は打った瞬間の球音だけで、球がどの方向にかつどのくらい飛ぶかが判るんだ。それを即座に外野に指示しているんだ。外野手にしても球の行方なんて見ちゃいない、彼女が指示する位置にすばやく移動して、球が落ちてくるのを待っていればいいのだ」
「そ、それじゃ……」
「ああ、彼女がいる限り、外野飛球はすべて補球されてしまう。かといってあの絶妙のコントロールと球速ではホームランするのも困難だ」
「球速が速ければ速いほど、ジャストミートすれば遠くへ飛びますからね。あれでは腕力で強引に持っていくしかありませんから、外野飛球にはなってもなかなかホームランになりませんよ」
「どうしますか」
「球速はないんだ、じっくり見ていくんだ。ジャストミートを心がけて、ライナーで転がせ。決して長打を狙って大振りするな」
「わかりました」
「しかし、外野に簡単に飛ばされる球威しかないのを、守備力で完全にカバーしてやがるとは……こんなにも天性の感覚を見に付けているやつは、今までにたった一人しかいないと思っていたが……」
「え? 他にもいたんですか」
「去年の夏の選手権大会県予選準決勝戦で三度ものノーヒットノーランを達成し、決勝では我々と戦うはずだった、エースピッチャーの長居浩二だ」
「あ……」
「俺達は決勝戦を目前にして死んだ長居浩二の亡霊と戦っているのかも知れないぞ」
「よ、よしてくださいよ」

 回は進んで六回表の三人目の打者をピッチャーゴロに討ち取る梓。

『おおっと、真条寺君よろけました。が、何とか体勢を立て直してファーストへ。アウト、アウトです。辛うじて間に合いました。スリーアウト、チェンジです』
『一年生ですからね、体力不足は否めないでしょう。一球も手を抜けない城東打線に対し、精根疲れて果てていると思います。しかもこの暑さに、さすがに体力が持たないでしょう。彼の体力がどこまで続くかが、勝負の分かれ道でしょうね』
『真条寺君、何とか六回の表を守り切りましたが、残る三回が心配になってまいりました。しかし、これまで一人のランナーも出していないのは見事です』





今回もおまけの画像をどうぞ。
PC-9801VX21にマグペイントで描画。
16色MAG画像を256色GIF変換。
梓と絵利香のイメージ画像ですが、この二人は私の小説に頻繁に登場します。



ちなみに発売当初、PC-9801VX21, 433,000円で、今からは想像も出来ないお値段。
現在、オークションでは5000円台で出品されているようです。

かつて、NIFTY Serve というテキストベースのパソコン通信があって、会議室と
よべれる場所があり、会員同士でわいわいがやがやと会話していた。
また付属として画像データ保管所があり、腕に覚えのある絵描き達が奮ってアッ
プロードして見せあい批評しあっていた。
MAG画像形式は、盛んに使用されていたフォーマットでした。

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