あっと!ヴィーナス!! 第三部 第二章 part-5
2020.12.20

あっと! ヴィーナス!!(40)


第二章 partー6

「もしかして、この合言葉を考えた奴も、その神夜映画劇場を見てるのか?」
「ありうるわね」
「するってえと、誘拐犯は神様ってことか?」
「今頃気付いたの?」
「前回が天上界だったから、地の底ということで、地獄の閻魔大王か?」
「それは、仏教やヒンズー教でしょ。私たちが誰だと思ってるのよ」
「ギリシャ・ローマ神話の神だろ?」
「その神話の中で冥界の王は誰?」
「知らんな」
「まったく、日本人にはマイナー過ぎて知らない人も多いけど……ハーデースよ。ハーデスとも呼ぶわね」
「盲導犬とかを繋ぐ奴か?」
「それは、ハーネス!」
 などと、ボケと突っ込みを繰り返しながらも、ダンジョンの攻略を進めてゆく。
「ダンジョンじゃねえだろ。ナレーションもドラクエに毒されたか?」
 そうでした……。つい、釣られました……地下世界へ通ずる洞窟です。
 さらに進むと、大きな扉の前に出た。
「また扉だな。合言葉を言ってみるか」
「開け!ゴマ!!」
「……」
 反応はなかった。
「今度は別の合言葉かな?扉を開ける合言葉か……」
 しばらく考え込む弘美。
 そして深呼吸してから呪文のような言葉を出した。
「われ正しき心をもつ者なり。ちからひめたるやいばを。氷のふちよりときはなたん」
 すると、静かに扉が開いた。
「なんなの?その呪文みたいなのは??」
「ドラクエ6の氷の洞窟にある封印された扉を開く合言葉(メラサム)だよ」
「なによ。あんたもドラクエじゃないの!」
「これで、お互い様じゃないか」
 ともかくも、開いた扉の中へと慎重に突き進むのだった。
 ドラクエよろしく出現する魔物を倒しながら、下へ下へと降りてゆく。
「一体どこまで降りるんだよ。なんかさっきから堂々巡りしているような気がするのだが……」
「それは、お前が人間だからだ」
「そうなのか?」
「うむ。ハーデースの悪戯だろう。間違いなく下降しながら進んでいる。いずれ地下神殿にたどり着くだろう」
「おまえら、地下神殿とやらに行ったことがあるのか?」
「ない!(きっぱりと)」
「んなあんだとお!!それじゃ、どこへ向かって降りていっているかも分からないじゃないか!?」
「ちっちっちっ!神となれば神通力があるのだよ。地下神殿などすぐに分かる」
「なら、さっさと地下神殿とやらに向かえよ」
「そう慌てるでないぞ。敵は逃げはしないからな」
「逃げなくても、愛ちゃんがその間にもどうなるか分からないだろうが」
「あれ?ローマに来た時に言ったことと違うじゃないか」
「だからよ。地下通路で迷子になってりゃ、気も焦るさ」
「それはそうだが……」
「やっぱり迷子になってるのだろ?」
「そ、そんな事はない!!」
「じゃあ、瞬間移動でもやってみせろよ!」
「わ、わかった。やりゃいいんだろが」
「ああ、やってみせろ!」
「いくぞ!リレミト!!」
 と呪文を唱えると……。
 太陽降り注ぐ地上だった。
「な、なんだよ。地上に逆戻りしたじゃないか(*'へ'*)ぷんぷん」

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あっと!ヴィーナス!!第三部 第二章 part-4
2020.12.18

あっと! ヴィーナス!!(35)


第二章 part-5

 日本から一瞬にして、イタリアのローマへとやってきた一行だった。
「ここから、Google Map の経路ナビを使うんだな」
「その通り」
 スマホのナビゲーションを起動する弘美。
 マップ上に目的地までの経路が示されている。
「目的地まで、徒歩67分(5.3km)と出ているな。もっと近くに寄れなかったのかよ」
「日本からローマまで飛んだんだ。十分誤差の範囲だと思うぞ」
「まあいいや。観光のつもりでのんびり行くか」
「愛ちゃんが囚われているのに余裕だな」
「奴らの欲しいのは俺自身とファイルーZなんだろ?」
「まあそうだろな」
「だったら、愛ちゃんに手を出すことはないさ」
「本当にそう思うのか?身代金誘拐の多くで殺人となっているぞ」
「それは人間界の話だろ?神にも威厳というものがあるだろう?インディアン嘘つかない、とか良く言ってたじゃないか」
「そ、それはまあそうだが……」

 なんだかんだ言っているうちに、経路ナビの終点にたどり着いた。
 目の前には、蝙蝠が出入りする薄暗い洞窟があった。
「どうやら、この洞窟の中が目的地のようだな」
 慎重に洞窟に入る一行。
「真っ暗だな。おい、光の呪文とかないのか?レミーラとか」
「レミーラとはなんだ?」
「レミーラも知らないのかよ。ドラクエ通ならすぐ分かるぞ」
「ゲームの話をしているのか?」
「他にないだろ?とにかく光だ!」
「ふむ。まあいい!光あれ!!」
 ディアナが訴えると、辺り一面が明るくなった。
「さすが、神だな」
「当たり前だのクラッカーだ!」
「てなもんや三度笠かよ」
「そうそう。『俺がこんなに強いのも~』って、懐からクラッカー出して掲げるのよね」
「それ、古すぎるぞ。神夜映画劇場って、一体何年代のものやってるんだ?」
「さあな。地上の時間のことは、天上界では分らんのでな」
 などと話していると……。
「魔物が現れた!ゾンビが3匹。魔物の先制攻撃!弘美に30Pのダメージを与えた」
「ちょっと待て!いつからドラクエになったんだよ。ってか、なんでヴィーナスのおまえがナレーションやってんだよ」
「暇だったからよ。はい!王者の剣あげるから、軽く倒してよ。剣道の達人でしょ」
「ドラクエの武器かよ。ってか、俺は柔道だぞ!剣道はやってない!!」
「あらそうだったけかしら?」
「しようがねえなあ……」
 といいながらも、王者の剣で一刀両断でゾンビを倒す。
「チャリラリラン♪弘美はレベルが上がった……」
「もういいよ」
「さすが、ゲームをやり込んでいるみたいね。あっさりと倒しちゃったわね」
「うるせえ!勝手に抜かしてろ!!」
 暗闇の洞窟を突き進む弘美達。
 やがて頑丈そうな岩が道を塞いだ。
「行き止まりだぞ。どうやって先に進むんだ?」
「こういう時は、合言葉じゃないの?確か、神夜映画劇場でやってた……盗賊達が大きな岩の前で唱えるのよ」
「それって、アリババと四十人の盗賊か?『開け、ゴマ!』ってやつ」
「ああ、それよ!その言葉『開け、ゴマ!』よ」
 すると、ヴィーナスの声に反応して、岩が軋み音を立てて横にずれて道が開いた。
「おお!」
 あまりの拍子抜けな事に、顔を見合わせる一同だった。

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あっと!ヴィーナス!! 第三部 第二章 part-3
2020.12.17

あっと! ヴィーナス!!(34)


第二章 part-4

「地図だ!Google Map のようだな。地図の真ん中にマークがあるぜ」
「ローマ郊外のようだな」
「俺のスマホに届いたってことは、俺がその場所に『ファイルーZ』とやらを持って来いということだよな」
「まあ、そうなるだろうね」
「ファイルーZを、そこに名がある弘美が持って来いか……」
「上手くいけば、一石二鳥というやつね」
「経路ナビを立ち上げてっと、行き先は地図のマーク地点、出発地は現在地、そして徒歩で行くと……日本列島北部を縦断して宗谷岬から海を渡って樺太へ、さらに間宮海峡を渡ってロシアに上陸、シベリア鉄道沿いに行くこと、106日と16時間(13,146km)と表示されたぞ!」
 ディアナがスマホをのぞき込む。
「そのようだな」
「これって、24時間ひと時も休まず、飲み食いもせずにひたすら歩き続けた結果の数値だろうな」
「あなたは馬鹿ですか!?誰が徒歩で行く人がいますか?」
「そりゃ海の上は歩けねえが、宗谷海峡や間宮海峡くらいなら、泳いで渡る自信はあるぞ」
「そうじゃなくって!」
「じゃあ飛行機で行くのか?俺、そんな金持ってねえぞ。そういや、パスポートとやらもないし」
「呆れたわ。目の前にいるのが、誰だと思ってるのよ」
「飲んべったらしの女神だろ?そもそもの発端が、その酒癖の悪さだろ?」
「うむ。確かにその通りだ!」
 ディアナがキッパリと肯定した。
「そうじゃなくって!」
「じゃ、なんだよ?」
「私たちは神だ。そこは分かるな」
「一応そういうことになってるようだな」
「神は人間にできないことができる」
「まあ、それは認めよう。で?」
「ローマなど一瞬で移動できる能力を持っているということである」
「……?」
「もう一度言うぞ。ローマなど一飛びだ」
「なるほど、ワープするのだな。本当にできるのか?」
「インディアン嘘つかない!」
「また、それかよ。神夜映画劇場の見すぎだろ」
「天上界には、映画会社や放送局とかないからな。地上デジタル放送は娯楽の一つとなっておる」
「それで、どうやるんだ?ドラクエみたく旅の扉を使うのか?それともドラエモンのどこでもドアか?」
「似たようなものだが……はい、ディアナよろしく頼む」
「なんだ、私がやるのか?」
「時空管理者の方が間違いないからな」
「言ってろ!ゼウス様のお声が掛かってなけりゃ、おまえの手助けなど御免なんだがな」
「痴話喧嘩してないで、行動に移せよ」
「おまえに、そんなこと言われるのが心外だな」
「ま、確かに。行動に移すべきだな」
 手を前に突き出すようにして、
「ゲートオープン!!」
 と唱えると、目の前に扉が現れた。
 観光都市ローマへようこそ!
 という札が掛かっている。
「観光案内かよ。やっぱ、どこでもドアだったな。確か前回は『過去への扉』だったよな」
「まあな。ノックしなくてもいいぞ」
「さあ、出発しましょう!」
 ディアナ、弘美、ヴィーナスの順で扉をくぐる。
 一瞬光に包まれたかと思うと、目の前はローマの街だった。

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