銀河戦記/鳴動編 第二部 第七章 反抗作戦始動 Ⅶ
2020.05.30

第七章 反抗作戦始動




 総督軍後方に新たなる艦隊の出現を見て、緊張を高めるオペレーター達。
 敵の援軍なればもはや救いようのない戦況となり、逃げ出すことも不可能となるだろう。
 しかし次なる報告に状況は一変することとなる。
「識別信号に独立遊撃艦隊第一分艦隊旗艦ウィンディーネを確認」
 それはアレックスの片腕の一人、ゴードン・オニール准将であった。
「ウィンディーネ艦隊だ! 援軍がやってきたんだ」
 小躍りするオペレーター達。
 さらに報告は続く。
「独立遊撃艦隊第二分艦隊旗艦ドリアードを確認!」
 もう一人の片腕、ガデラ・カインズ准将。
「さらに続々とやってきます」
「第十七艦隊旗艦戦艦フェニックスもいます」
 アレックスより艦隊司令官を引き継いだオーギュスト・チェスター准将。
「ヘインズ・コビック准将の第五艦隊、ジョーイ・ホスター准将の第十一艦隊」
 アレックス・ランドール配下の旧共和国同盟軍第八師団所属の精鋭艦隊が続々と登場し
つつあった。
 さらに第五師団所属、リデル・マーカー准将の第八艦隊以下、第十四艦隊、第二十一艦
隊も勢揃いした。
 アレックスの配下にあるアル・サフリエニ方面軍が勢揃いしたのである。
 バーナード星系連邦との国境に横たわる銀河渦状腕間隙にある、通行可能領域として存
在するタルシエンの橋。
 現在地からトリスタニア共和国を経て、さらに遠方にあるタルシエンを含む銀河辺境地
域を守るのがアル・サフリエニ方面軍である。
 トリスタニア陥落以降は、共和国同盟解放軍として旗揚げした総勢六十万隻に及ぶ精鋭
艦隊である。
「戦艦フェニックスより入電。フランク・ガードナー少将が出ておられます」
 アレックスの先輩であり、第五師団司令官にしてタルシエン要塞司令官である。
「繋いでくれ」
 正面スクリーンがガードナー少将の映像に切り替わった。
「やあ、少し遅れたようだが、約束通りに引き連れてきてやったぞ」
「恐れ入ります」
「さあて、早速はじめるとするか」
「お願いします」
「それでは、勝利の後にまた会おう」
 映像が途切れて再び戦場の映像に切り替わった。
 パトリシアは思い起こしていた。
 タルシエン要塞を出発する時のことである。
 発着場においてアレックスとガードナー提督が別れの挨拶を交わしていた。


「それでは先輩、行ってきます」
 ガードナー提督に敬礼するアレックス。
「まあ、いいさ。とにかく要塞のことはまかしておけ。援軍が欲しくなったら、連絡あり
しだいどこへでも持っていってやる」
「よろしくお願いします、では」
「ふむ、気をつけてな」


 そうなのだ。
 あの時からアレックスとガードナー提督の間には密約が交わされていたのだった。
 今日のこの日のために……。
 なぜ、そのことをパトリシアにさえ隠していたのか?
 現況を熟慮して、パトリシアは気がついた。
 統合軍は銀河帝国軍との混成軍である。
 しかも本国には不穏な動きを見せる摂政派の影の黒幕であるロベスピエール公爵の存在
がある。
 そして、このサラマンダーにも皇女艦隊との連絡係として乗艦している帝国兵士もいる。
 摂政派の息がかかっていないとは言えないのだ。
 たとえ腹心のパトリシアにとても、内心を明かすことはできなかったのである。
 壁に耳あり障子に目ありである。
 どんなに優秀な作戦も、上手の手から水が漏れて敵に作戦を知られては元も子もなくな
る。
 危険を最小限にするためには、完全無欠でなければならなかったのである。

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冗談ドラゴンクエストⅢ 冒険の書・13
2020.05.25

冗談ドラゴンクエストⅢ 冒険の書・13


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ガルナの塔

ナレ「ダーマの神殿から北へ進むと」
勇者「塔が見えて来たな。ちょうどいい、ここでレベルアップしよう」
ナレ「というわけで、塔の中に突入する」
修女「人生は、さとりとすくいをもとめる、じゅんれいの旅。ガルナの塔へようこそ」
娘 「この塔のどこかに、さとりのしょと、よばれる物がねむっています。さとりのしょ
があれば、けんじゃにもなれましょう」
勇者「賢者か……ダーマの神殿で転職を聞かれた時、転職リストに賢者の項目がなかった
のは、さとりのしょがなかったからか」
ナタリー「呪文の使えないコンラッドさんなら、賢者になれば呪文も使えるようになるし、利
点も多いのでは?」
コンラト「はあ、時々呪文が使えたらと思う時はありますが、私は剣を振ってなんぼという精
神を大切にしたいですけどね」
リリア 「崇高な精神ですね。まさしく騎士、いえ戦士の鑑です」
勇者「ごたくはいい加減にして、攻略をはじめるぞ!」
ナレ「ガルナの塔を突き進む」
勇者「なんだこれは?塔の中に旅の扉があるぞ!」
ナタリー「というか、ワープゾーンといったほうがいいみたいね」
コンラト「これはたぶん、塔の中をいったりきたりできるみたいです」
勇者「そうか……。とりあえず手近なところから行くか」
ナレ「入り口を真っすぐ進んだ所にあるワープゾーンに飛び込んでみる」
勇者「なんか気分悪くなるな……あれ?行き止まりじゃないか」
リリア 「ワープですから、どこに飛ぶか分かりません。ともかくマップを書いて周辺の状況
から、現在地を特定します」
勇者「ああ、頼むぜ。マッピングなしでは攻略できねえな」
ナレ「何度かワープを繰り返し、階段を上り下りしながら、マップを完成させてゆく」
勇者「けっ!結局、分かったのは北西の独立塔に昇るのが正解みたいだぜ」
ナレ「その塔を昇った先は……」
ナタリー「行き止まりよ」
リリア 「いえ、ロープが張られていて北東の塔に繋がっているようです」
勇者「なに!?つまり、ここを綱渡りしていけ!ということか?賭博黙示録カイジのよう
に????」
コンラト「そうみたいですね」
勇者「それで成功したら2000万ペリカ貰えるのか?」
ナタリー「貰えないわよ」

勇者「足を滑らせて落ちたらどうなる?」
ナタリー「大丈夫なんじゃない?ピラミッドから飛び降りても平気だったから」
リリア 「下の階に落ちるだけですよ」
勇者「しかし、落ちればまた昇って来なくちゃならんだろ」
コンラト「そりゃそうですけどね」
勇者「よし、渡ろう……言っとくけど、押すなよ!!」
ナタリー「押さないわよ。あたし達は一蓮托生なんだから」
リリア 「勇者さんが落ちれば、みな落ちますよ」
勇者「絶対押すなよな!!」
ナタリー「しつこいわね!早く渡りなさい!!」
ナレ「と、つい背中を押した」
勇者「あああっ!!!!!」
ナレ「勇者が落ちたら、みな落ちた((o(>▽<)o)) きゃははっ♪」
勇者「なに笑ってやがるんだ!!それもナレーションが顔文字まで使いやがって」
コンラト「北西の尖塔の入り口に落ちましたね」
勇者「ほらみろ、また最初からやり直しじゃないか」
ナレ「ぶつぶつ言いながらも、改めて階段を昇り始めた勇者たち。一本綱渡りも何とかク
リアして、先の方へと突き進む。そして、その先の東の尖塔5階で見たものは……」
勇者「なんだよ、また綱渡りロープが張られてるじゃないか」
ナタリー「足もと注意して、もう一度チャレンジするしかないわね」
コンラト「仕方がありませんね」
ナレ「二本目の綱渡りを敢行して、西の尖塔6階でぎんのかみかざりを見つけた」
勇者「これで終わりか?」
ナタリー「行けるところは全部通ったはずだよ」
勇者「おかしいなあ…。さとりのしょ、があるはずだよな。マップはどうなっている?」
リリア 「見てください。2階以上の中央部に未踏破のところがあります」
コンラト「どこかに隠し通路とか隠し階段があるのでは?」
勇者「そうだな、見落としたのかもな。よし、引き返しながら隠し階段とかを探そう」

ナレ「と、5階に降りた時だった」
勇者「お、おお、おおお!メタルスライムが出やがったぞ!しかも6匹もだ」
コンラト「これは大金星です。1匹倒せば一人頭約1000Pもの経験値が得られますよ」
ナタリー「呪文は効かないわよ。打撃オンリーだからね」
リリア 「分かっています。ナタリーさんは、毒針攻撃お願いします」
ナレ「豊富な経験値を与えてくれるメタルスライムの群れに興奮する一行」
勇者「頼むから逃げないでくれよ」
ナレ「素早さアップの『ほしふるうでわ』と毒針を装備したナタリーが先制攻撃で確実に
1ポイントずつヒットさせる」
リリア 「当たりませんわ」
コンラト「自分も外れました」
勇者「よし、1ポイントだ!」
ナレ「メタルスライムは、倒せば経験値がたくさん入るが、呪文は一切受け付けず、ほぼ
1ポイントずつしか打撃を与えられない。しかもやたら逃げ足の早いことでも有名」
ナタリー「やったあ!1ポイントヒットで、1匹倒したわよ」
勇者「でかしたぞ!メタルのHPは3だ。3回当てれば倒せる」
ナレ「引き続き1匹倒すも、3匹が逃亡した」
リリア 「残り1匹、逃げないで~」
ナレ「ナタリーの番が回り、毒針がメタルスライムの急所を貫いた。プシュッという感じ
で消え去る」
ナタリー「やったあ!!3匹目倒したわよ(^ω^)」
ナレ「メタルスライムを倒した時の経験値は 4140 で、参加人数で割ったものが、個人の
経験値で 1035 となる。それが3匹だから、その3倍。したがって、各自それぞれレベル
アップした。チャリラリラン♪」
勇者「やったな(*^^)v。2レベルアップして、ついにリレミト覚えたぜ」
ナタリー「ようするに、脱出つまりトンズラできるということね」
勇者「おまえ、一言多いぞ!」
ナタリー「ふん!」
コンラト「良かったですね。ダンジョン攻略が楽になりますね。これで人さらいのアジトに向
かえますね」
ナレ「一同、レベルアップに小躍りして注意が散漫となり、足を滑らせた」
勇者「またかよお~!!」
ナレ「落ちた先の4階は何もない空間だったが、床にひび割れができていた」
リリア 「ここは(マップを確認)例の塔の中央未踏破の場所です」

勇者「そうか……。となると、その割れ目に飛び込めば、さらに下の未踏破地に行けると
いうことだよな」
リリア 「たぶん、そうだと思います」
勇者「よし、みな飛び込め!」
ナレ「3階の未踏破地に到着した」
コンラト「ここは下への階段があるだけですね」
勇者「無論、降りるぞ」
ナレ「2階の未踏破地に降りました」
リリア 「宝箱がありましたよ!」
勇者「さとりのしょ、が入ってたぞ。リリア、でかしたぞ。さすが、マッピングの天才だ
な!」
リリア 「どういたしまして」
ナレ「宝箱の他には、地割れがあるだけだった」
勇者「地割れといっても、この下は踏破済みの1階だな。せっかくだから、覚えたてのリ
レミト(ダンジョン脱出呪文)を試してみるか。リレミト!!」
ナレ「一瞬にして、ガルナの塔の入り口に立っていた」
コンラト「それでは、人さらいのアジトですね」
勇者「ま、約束だからな。その前に、ダーマの神殿で冒険の書に記録してもらって、宿屋
で休息だ!」

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銀河戦記/鳴動編 第二部 第七章 反抗作戦始動 VI
2020.05.23

第七章 反抗作戦始動


VI


 ザンジバル艦橋。
 正面スクリーンには、後退を続ける帝国艦隊が投影されていた。
「帝国艦隊さらに後退中です。前衛艦隊はほぼ壊滅状態です」
 正面スクリーンには、敵艦隊を示す光点が次々と消えゆく有様が投影されていた。
「このままいけば、帝国艦隊が全滅するのも時間の問題でしょう」
 当初から、二百五十万隻対百五十万隻という艦隊数で劣勢だったのだ。こうなることは
戦う前から判りきっていたのだが……。
「それにしても一体どういうことだ。理解できん。同盟領に侵入し、いざ決戦という時に
引き下がるとは……」
 摩訶不思議な表情でスクリーンを見つめているカーサー提督。
「何か罠を仕掛けているのではないですか?」
「その可能性はあるまいて。周囲には星雲や小天体などの身を隠す空間もない。罠を仕掛
けることなど不可能だ」
「そうでしょうか……」
「天地両翼を展ばして包囲陣を敷け。握り潰す」
 帝国軍を包囲するように、艦隊が動き始めた。

 敵艦隊が包囲陣を敷いたことによって、両翼に展開する第二皇女艦隊と第三皇女艦隊の
被害がさらに大きくなりつつあった。
 前衛にいた第六皇女艦隊はすでに壊滅し、大破を喫した旗艦マジェスティックは後方に
退き、マリアンヌはインヴィンシブルのジュリエッタの元に身を寄せていた。
「敵艦隊は包囲陣を敷いて、我が艦隊を包囲殲滅する所存のようです」
「なるほど、やはりそうきたか……。包囲陣は数に勝る時は有効な作戦だ。しかし半面と
して防衛に回った時には守備陣が薄い欠点がある」
「その通りです。両翼を除く正面の艦隊はほぼ互角の百五十万隻です。紡錘陣形で突入す
れば正面突破が可能なのではないですか?」
「中央突破を図って撤退の道を切り開くならそれも良い作戦だが……。しかしながら我々
は勝たねばならない。逃げるわけにはいかないのだ。ここに踏みとどまり敵艦隊の銀河帝
国への侵略を阻止しなければならない」
「そうは申されましても、このままでは敗退は確実です。援軍でも来ない限りは……」
「援軍か……。それもありだ。待つことにしよう」
「おっしゃる意味が判りませんが? 援軍とおっしゃられましても、後から来る帝国軍第
四艦隊及び第五艦隊は後方支援のみで戦闘には参加しませんが」
「まあな」
 意味深な返答に疑問を投げかけるパトリシア。
「援軍が来るのですか?」
「今に判るさ」
 自分に隠し事をしているアレックスが理解できなかった。
 どんな些細なことでも相談しあう相棒ではなかったのか。
 悲しかった。
 黙りこんだまま正面スクリーンを見つめているアレックス。
 と、突然通信オペレーターが叫んだ。
「特秘暗号文入電! 解読中です」
 それを聞いてアレックスの表情が大きく変わった。
 艦橋内がしばしの沈黙に覆われた。
 全員が固唾を呑んで解読の結果を待っている風だった。
 これまでのアレックスの態度から、何かを待っていることが明らかだったからだ。
 現況を打破する新たな風。
「解読終了!」
「読め!」
「読みます」
『静かなる湖に白鳥は舞い降りる』
「以上です」
 それを聞いてアレックスが動いた。
「全艦に放送の用意を」
 すぐさま全艦放送の手配が取られる。
 それが完了するまで、アレックスをじっと見つめるオペレーター達。
 これから語られる内容を一句たりとも聞き漏らさないように耳を澄ましている。
「全艦放送の用意ができました」
 オペレーターがマイクをアレックスの口元にセットした。
 厳かに言葉を発するアレックス。
「全将兵に告げる。これまで辛抱してよく耐えてくれた。感謝する」
 敵艦隊に包囲された情勢の中では、通常的には敗北宣言というのが普通であろう。
 潔く負けを認め、撤退するなり降伏するなりの道を選ぶのだろう。
 誰もがそう思うだろう。
 しかし、それに続くアレックスの言葉は意外なものだった。
「苦しい戦いであったが、それもこれまで。これより態勢を整えて総反撃に移り、敵艦隊
を殲滅する」
 そう告げたとき、オペレーターが叫んだ。
「敵艦隊の後方に重力加速度を検知! 何かがワープアウトしてきます!」
 と同時に、正面スクリーンの映像に新たな艦影が出現した。
「敵艦隊後方に多数の艦隊を確認!」

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冗談ドラゴンクエストⅢ 冒険の書・12
2020.05.18

冗談ドラゴンクエストⅢ 冒険の書・12


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バハラタ

ナレ「ノルドの洞くつを抜けて、高い山々に囲まれた谷間を南下する」
勇者「イラン・イラクの東ということは……ここはインドだな」
リリア 「結構歩きますね。まだ次の町に着きませんか?」
勇者「地図を見ているんだが、だいぶ南だな」
ナタリー「魔物は強くなってきているし、MPも底をつきそうだわ」
勇者「海岸線さえ見えてくれば、すぐそこなんだろうが……」
コンラト「あ、海岸線が見えてきましたよ」
リリア 「町もありました!」
勇者「やっとかよ。実世界に比べて、随分と南の方に間延びした世界だな。ま、インドの
首都ニューデリーというところだな」
ナタリー「さっさと町に入るわよ」
娘 「バハラタの町にようこそ」
リリア 「バハラタとは、インドの古名バーラタからきています」
勇者「あ、俺が言おうとしていたのに、先に言われた」
コンラト「それはともかく情報集めです」
勇者「そうだな。反時計回に情報集めだな」
売店「くろこしょう?それなら、このすぐの南の店で売ってるよ。それより…ここは、武
器と防具の店だ。どんな用だい?」
勇者「また後でな」
リリア 「あら、この店は主人がいませんね」
剣士「私は、こしょうを買いにきた。だが娘がさらわれたとかで、商売をしてくれない」
勇者「店主がいないのか……。二階へ上がって、たびびとのふくが箪笥に入ってたぞ」
コンラト「店の外に誰かいますよ」
住民「りりょくんつえは、MPのちからを攻撃力に変えて敵を攻撃する武器だ。戦うたび
MPを使うが、魔法を封じられたとき、これでたたくとよいだろう」
リリア 「ナタリーさんが装備すれば良さそうですね」
ナタリー「でもダンジョン内とかじゃ、貴重なMPを消費してまでは使いたくないわね」
ナレ「町の一角に青年と老人がいる」
青年「ああ、タニア…ぼくのいとしき人……」
老人「旅のひと、まあ聞いてくだされ。わしのかわいいまごむすめタニアが、悪党どもに
さらわれてしまったのじゃ。そこにおる若者がタニアの恋人のグプタ。わしは2人を結婚
させ店をまかせようと思ったのに…。あんたらは強そうじゃな。どうかタニアを助け…」
クプタ「ぼくがいきます!」
ナレ「驚く一同」
クプタ「見ず知らずの旅のひとにたのむなんて……まっててください。きっとタニアを助け
出してきます!」
ナレ「と言って走り去ってしまうグプタ」
老人「グプタ!おお!この上グプタまで、つかまったら、わしはわしは……」
勇者「ほいじゃ、次行くか」
コンラト「待ってください。今の話聞いていなかったのですか?」
勇者「なんだよ。カンダタの時のように、また人助けしようというんじゃないだろな」
コンラト「人助けは、騎士……いや、戦士として人として大切です」
勇者「まあ、落ち着けよ。人助けしようにも、その悪党の居場所がわからんだろうが」
ナタリー「確かにそうね。ここは情報集めが大事ね」
コンラト「……わかりました」

ナレ「川のほとりに立つ二人がいる」
娘 「聖なる川の流れで、身を清めています。やがてさずかる赤ちゃんが、どうか元気に
生まれますように」
男 「このためにはるばる旅をしてきたのです。この聖なる川の水は飲み水になるだけで
なく、魔よけのチカラも持っているとか」
ナレ「南の建物に入る」
老人「魔王はすべてをほろぼすもの。凍てついた暗闇と死の世界の支配者じゃ!このまま
ではやがてすべての人びとが、その野望におびえることになるであろう」
ナレ「南東の部屋」
男 「橋のむこうの洞くつには、人さらいたちが住んでいるそうだ。近づかない方が身の
ためだぜ」
コンラト「聞きましたか?橋のむこうの洞くつだそうです」
勇者「焦るなよ。まだ全員に聞いていないぞ」
ナレ「宿屋に入る」
勇者「東の部屋から小さなメダルを見つけたぜ(*^^)v」
剣士「北の山奥には、転職をおこなうダーマの神殿があるそうだ。オレも、いつかは遊び
人…じゃなくて、りっぱな賢者になってみたいものだな」
ナタリー「あんたのこと言っているみたいね」
勇者「うるせいやい!」
リリア 「一通り住民から話を聞けました」
勇者「そいじゃ、レベルアップがてら、ダーマの神殿とやらに行ってみるか」
コンラト「え?人さらいのアジトに向かうのでは?」
勇者「なに言ってんの?今のレベルで人さらいと戦えると思ってるの?バハラタに来る道
中でもMP使い果たしたのに、洞窟内で魔物と戦うだけで精一杯だよ。とてもボスキャラ
とは一戦することもできない」
ナタリー「意外に、正論をいうじゃない」
勇者「シャンパーニの塔もしかり、人さらいのアジトもボスキャラとの戦闘は避けられな
い。これまでのナジミの塔やピラミッドなどは、ボスキャラがいなかったからクリアでき
たんだ」
リリア 「では、どれくらいレベルアップすれば良いのですか?」
勇者「そうだな……俺が、リレミト(ダンジョン脱出呪文)を習得するまでだな」
ナレ「というわけで、バハラタの東の橋を渡り、洞窟を横目に見ながら北に向かって歩き
続けた」
リリア 「お城が見えましたわ」
勇者「あれが噂のダーマの神殿か?」


ダーマの神殿

案内「ダーマの神殿によくぞきた!勇者が次のレベル……以下略」
勇者「なんだ、案内人かと思ったら、セーブ人だったのか」
リリア 「あら、神殿の外側に誰かいますよ」
勇者「気になるな。会ってみよう」
神官「わしは、命名神マリナン様につかえる神官じゃ。おぬしたちの中で、今の名前をか
えたい者がおったら、わしにいうがよい。だれか名前をかえるか?」
勇者「いいよ。ここで名前を変えたら、これまでの物語がごっちゃになるから」
神官「そうか。名前をかえたくなったら、いつでも来るがよいぞ。名前の守りがあらんこ
とを……」
ナタリー「東の方にあるのはなにかしら?」
ナレ「東の階段を昇ると宿屋だった。教会も併設中!」
民A「すやすや……ベキラマー!」
民B「むにゃむにゃ……。なにを買うかね」
民C「ぐうぐう……。やだ~。だってえ、あいつってチョベリガンブロンだしい……」
勇者「チョベリガンブロン……ってなんだ?」
ナタリー「ああ、それはね。超ベリー顔面不細工ロン毛野郎、という意味の略よ」
ナレ「ちなみに、このゲームが発売された当時、ファミコン雑誌では『チョベリガンブロ
ン』の意味について激論が交わされました('◇')ゞ」
勇者「解説ありがと('ω')それにしても、こいつ爺さんじゃないか」
ナタリー「きっと、ピチピチギャルになりたがっているんでしょ。転職してね」
宿屋「旅人の宿屋へようこそ。こんな夜ふけまでおつかれさまでした。ひと晩8ゴールド
ですが、お泊りになりますか?」
勇者「安い!!!一人頭2ゴールドか、泊まろうぜ!」

宿屋「おはようございます。では、いってらっしゃいませ」
勇者「夜が明けたら、ベットは空になってるな」
リリア 「みなさん、転職のための修行をはじめているのでしょう」
男 「はるか東の海にジパングと呼ばれる黄金の国があるそうです。もし、その話が本当
ならなんとしても、いってみたいですね」
勇者「なんか……どこかで聞いたような話だな。東方……なんとかだったかな」

老人「わしは、ぴちぴちのコギャルになりたいのう」
勇者「チョベリガンブロンだな」
娘 「わたし、魔法使いになるの」
勇者「早くベキラマー習得してね」
男 「私は、武闘家になろうと思っています」
青年「ぼくは、商人になってお金をもうけたいな!」
勇者「みんな頑張ってね!さて、ここのボス神官に会ってみるか」
神官「ここは転職をつかさどるダーマの神殿。職業をかえたい者が来るところじゃ。転職
をごきぼうか?」
勇者「おおうよ」
神官「どなたの職業をかえたいのじゃ?」
勇者「俺を遊び人にしてくれ!」
神官「おろか者め!勇者をやめたいというのか?それだけはならんっ!ほかに転職したい
者はおるかな?」
勇者「コンラッドが騎士になりたいそうだ」
コンラト「騎士という職業はありませんよ」
勇者「知ってるわい。もしかしたらと思っただけだ」
ナタリー「あたしは転職するつもりはないわよ」
リリア 「わたしもです」
コンラト「とりあえず、ここには用がないようですね。宿に泊まる以外は」
勇者「そうだな……。まだレベル不足だし、神殿の北の方へ行ってみよう」

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冗談ドラゴンクエストⅢ 冒険の書・11
2020.05.17

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ポルトガ

ナレ「女王イベントを終えて、冒険の旅に戻る一行」
勇者「何を抜かすか!おまえのおかげで苦労したぜ」
ナレ「たまには、息抜きもよろしいかと」
勇者「何が息抜きじゃ!ちっとも息抜きできんかったわい」
ナレ「あら、そうでしたか?」
勇者「ところで、お前たちはどこに雲隠れしてたんだ?どこにもいなかったよな」
ナタリー「あら、パーティーを解散させられたから、ルイーダの酒場に戻っていたわよ」
リリア 「勇者さんの女王としての風聞が届いていましたよ」
コンラト「美しく立派な女王だとのもっぱらの噂でしたよ」
勇者「そ、そうか?美しいとな(頬を赤らめる)」
ナタリー「なるほど、やはり16歳の女の子の反応ね」
勇者「う、うるせいやい!」
コンラト「パーティーも復活しましたし、冒険を再開しましょう」
リリア 「そうですね。ロマリア城の西の方角に活路ありでした」
ナレ「城を出て西に進むと、祠が見えてきた」
勇者「なんだよ、こんなところにあったのか」
リリア 「ロマリアに初めて来たときは、カザーフ村の情報を得て、真っすぐ北に向かったか
ら、目に入らなかったのですね」
ナタリー「早速、祠に入ってみましょう」
ナレ「祠の中には、魔法の扉とその前に立つ兵士がいた」
兵士「トビラを開けば、その先はポルトガの国だ。まほうのカギをもっているなら通るが
よい」
勇者「そいじゃ、通らせてもらうぜ」
ナレ「扉の鍵を開けて、地下通路へと降りる」
勇者「鍵が掛かっている扉があるな」
コンラト「まほうのカギでも開きませんね」
ナタリー「別の鍵が必要なようね」
リリア 「ここのことはメモしておきます( ..)φカキカキ」

ナレ「祠を出て南下すると城が見えてきた」
勇者「ポルトガルに到着!っとね」
少年「ここはポルトガだよ」
勇者「そ、そうだったな。よおし、右回りに情報収集だ!」
コンラト「右手に宿屋と武具屋、そして道具屋があります」
娘 「ああ、死ぬまでにはいちど『こしょう』というものをたべてみとうございます」
リリア 「こしょう……ですか。こしょう1グラムが、金塊1グラムに相当するほどの貴重品
だそうですね」
ナタリー「大航海時代の話ね」
勇者「懐かしいなあ……。レオン・フェレロなる没落貴族が、交易で名誉や爵位を上げて
ポルトガル王の一人娘と結婚して王位を継ぐまでの話だな」
ナタリー「どこの世界の話をしているの?あんた何歳なのよ?ほんとに16歳?」
コンラト「まあ、いつものことですよ」
勇者「(聞いちゃいない)盗賊の鍵の扉があるな…。なんかありそうだ。調べてみよう」
ナタリー「馬小屋のようね」
馬 「ヒヒーン!」
勇者「お!茂みの中に小さなメダル見っけ(*^^)v」
コンラト「そろそろ武具を買い替えませんか?この先魔物はより強くなりますから」
勇者「そうだな。おい、武具屋!」
武具「こしょうひとつぶは、おうごんひとつぶ。あんなねだんの高いものは、ここには置
いておけませんよ。ところで……ここは武器と防具の店だ。どんな用だい?」
勇者「見せてくれや」
ナレ「鉄シリーズの他、はがねのつるぎとはがねのむち、くろしょうぞくが並んでいた」
勇者「……いまいちだな。コンラッドには悪いが、もっと先の町で買うことにしよう」
コンラト「仕方がありませんね」
老人「なに?船がほしい?王さまに会いなされ」
住民「ここの王さまは、こしょうがだい好きだ。はるか東の国ではやすく手にはいるそう
だが…こしょうのためだけに、東へキケンな旅をするものもあるまい」
勇者「北側にも盗賊扉だ」
ナタリー「また家探しするのね」
娘 「わたしはサブリナ。こうして恋人のことを思っています。でも、夜になれば……。
夜がこわい。ああ、わたしのカルロス…」
勇者「壁に掛けられた袋のなかに、ちからのたねがあった!」

住民「ここは恋人たちのかたらいの場所。かつて愛しあうふたりが、よくここに来ていた
のですが、あのふたりはいまどこに…?」
勇者「そろそろ城に入るか」
衛兵A「ポルトガ城にようこそ」
衛兵B「このようなちいさな国とはいえ、王さまはりっぱなおかたです。どうかそそうのな
いように」
男 「なんと、東にはしょくぎょうをかえられる神殿があるそうです。私もいってみたい
ものですなあ」
ナレ「北東のまほうのカギの扉に入る」
娘 「みなは東の国にいってみたいというけれど、私はこわいですわ。だって東にはやば
ん人しか住んでいないのでしょう」
勇者「東の方の野蛮人?ロマリア地方のことだよな……」
ナタリー「そうみたいね」
ナレ「中央に宝箱の並んでいる部屋がある」
勇者「な、なんだこれは!?」
コンラト「バリアーですよ。踏み込んだだけで強烈なダメージを食らいますよ」
勇者「ふむ、一歩ずつHP回復させながら行けばいいんだろ?」
ナタリー「一歩で死んじゃうかもよ」
勇者「なあに、はじめるまえにセーブしておいて、死んだら再起動してやり直せばいい」
リリア 「あの……。セーブなんて言っていいんですか?」
勇者「いいんだよ。冗談からはじまる真実さ」
ナタリー「勝手にすれば……(呆れている)」
ナレ「まふうじのつえ、スタミナのたね、いかりのタトゥー、を見つけた」
勇者「ほらみろ、まふうじのつえなら、呪文使い相手には役に立つぞ。さて次行こうか」
老人「わしは真実をかたるもの、真実を聞きたいか?」
勇者「聞かせてもらおうか?」
老人「いそがばまわれ!これが真実じゃ。ふあっふあっふあっ」
コンラト「先ほどの行動のことを言ってますね」
勇者「うるせいやい!聞きたくないと答えたらどうだ?」
老人「それは、ざんねんじゃのう」
リリア 「当然の返答ですね」

衛兵「おおくのものたちが東をめざし、そして死んだ。気をつけることだな」
ナタリー「ここでも、東がやばいと言ってるわね」
コンラト「ロマリアからアッサラーム、そこからさらに東を指しているのではないかと?」
大臣「よくぞまいられた!わが王は、いまいそがしいので、私がかわってそなたらの話を
聞こう。勇者がつぎのレベルになるには……以下略」
勇者「なんだ、この城は王さまのかわりに侍従が冒険の書に記録するのか。じゃあ、王
さまは何しているのかな?」
国王「はるか東の国では、くろこしょうがおおくとれるという。東に旅立ち、東方で見聞
したことを、わしにほうこくせよ。こしょうをもちかえったとき、そなたらを勇者とみと
め、わしの船をあたえよう!この手紙を東への洞くつに住むノルドに見せれば、みちびい
てくれるはずじゃ」
ナレ「勇者は、『おうのてがみ』をうけとった!」
国王「ではゆけ、勇者よ!」
勇者「ところでノルドって誰だよ?」
リリア 「アッサラームの東の洞くつにノルドっていう方がいましたよ」
勇者「ああ、あの洞くつか。よし、さっそく行ってみよう」
ナレ「ルーラでアッサラームに飛び、東にあるノルドの洞くつに入る」
ノルド「わしは、ホピットのノルド。おじょうさんがたは、なんだね?さっ、出てゆきなさ
れ!」
勇者「前と同じこと言ってるぞ。普通持っているだけで、シナリオが進むんじゃなかった
のか?ロマリア城のきんのかんむり女王事件のように」
リリア 「ポルトガの王から頂いた『おうのてがみ』を【つかう】のではないですか?」
勇者「そうなのか?」
ナレ「勇者はおうのてがみを読み上げた」
国王「しんあいなるノルドよ。この手紙をもつ旅人をバーンのぬけ道へあんないしてやっ
てくれ。ポルトガの王より」
ノルド「ふむ!すると、おじょうさんがたは、東へいきたいのかね?」
勇者「むろんだ!」
ノルド「ふむ!ほかならぬポルトガの王さまのたのみとあらば…さ!ついて来なされ」
ナレ「と言って、先に行ってしまったノルドの後を追う」
ノルド「ふむ!そこで待っていなされ」
ナレ「洞くつの突き当りで、ノルドが岩盤にアタックすると……新しい道が開けた」
ノルド「さあ、お通りなされ!これがバーンのぬけ道への入り口じゃ」
勇者「すっごい!荒業だな。身体は大丈夫なのか?」
ナレ「抜け道へと進む一行。新たなる土地へ、どのような冒険が待ち受けているのだろう
か?」

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