銀河戦記/鳴動編トップメニュー
2021.09.30

PC版ホームページからの移行ブログです。
最近はスマホが流行し、今後は主流となると思います。
そこで、スマホでは表示が見にくいPC版を、
こちらへと転載していこうと思います。
ルナリアン戦記
第一部後半はこちらです
第二部はこちらです
第二部後半はこちら
銀河戦記/脈動編
ファンタジー系はこちらです


序章
索敵 
士官学校 
模擬戦闘 
情報参謀レイチェル 
独立遊撃艦隊 
カラカス基地攻略戦 
不期遭遇会戦 

第八章~十章は、稚拙ながら推理小説仕立てとなっております。
殺人犯は誰なのか? お楽しみください(*'▽')

犯罪捜査官 コレット・サブリナ 
コレット・サブリナ 犯人を捜せ! 
コレット・サブリナ 氷解 
スハルト星系遭遇会戦 
テルモピューレ会戦 
ハンニバル艦隊 

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銀河戦記/脈動編 第一章・謎の宇宙生物との闘い
2021.09.11

第一章・謎の宇宙生物との闘い
UMO(Unidentified Mysterious organism/未確認生物)





 ニュー・トランターを開拓している間にも、さらなる惑星探しに向かう探索隊が編成され、探索地域をブロックに分けて、それぞれに探索隊が派遣された。
 第103探索隊は、銀河の中心方向へと向かっていた。
 その母船には高精度の光学・電波望遠鏡や重力加速度計などが備わっており、天文学者があらゆる方向の天体を観測しつつ惑星系のありそうな恒星を探している。疑惑の星が見つかれば、超高速探索艇が繰り出されて調査に向かう。

 探索艇の一つ。
 パイロット達が、計器を操作する傍らで話し合っている。
「地球を脱出した人類が、天の川銀河系全体に移住を完了するまで千年ほど掛かったと言われますが、この銀河を全制覇するには何年掛かりますかね。地球脱出時代より宇宙航行の科学技術などはかなり進歩してますけど」
「星を巡り足跡を残すだけなら、十年もあれば到達できるだろうが。開発し居住できるようにするとなれば、最低でも百年はかかるだろうな」
「百年ですか……。自分の子供か孫の世代になるんでしょうね」
「まあ、そういうことだな」
「ところで開拓団には、帝国・同盟・連邦の三カ国からの移住希望者がいますよね?」
「それがどうした?」
「開拓した星を、それぞれの国家の領土として領有宣言して、紛争ごとになりませんかね」
「それはないだろう。移民船に乗る時に国籍を捨てて、銀河統一連邦の方針に従うと宣言したはずだ」
「そうでした……」
 その時、警報音が鳴り響いた。
「なんだ?」
「重力加速度計に反応です! 前方十二光秒!」
「前方モニター拡大!」
 宇宙の彼方から近づいてくる物体があった。
「なんだあれは?」
「なんだかウネウネと蠢いていますよ。まるでアメーバみたいです」
「絶対零度に近い真空中に生物がいるのかよ」
「どんどん近づいてきます」
 その生物と思われる物体が探索艇に取り付いた。
「エンジンが不調です! 出力が上がりません!」
「外部モニターだ! エンジン噴出口を映せ!」
 そこに映されたのは、噴出口に喰らい付いているアメーバーの姿だった。
「あいつ噴出口から出るプラズマを喰っていますよ」
「まさか! プラズマは5000度以上の高温だぞ。通常の生物なら生きていられまい」
 だがアメーバーは平気で喰らい続ける。
 やがて噴出が停止したかと思うと、噴出口の中へと潜り込んでいった。
「あいつ、船内に侵入するつもりじゃないですか?」
「この船の動力炉のエネルギーを狙っているのか?」
「分かりません」
「基地に連絡だ! 我、宇宙生物に遭遇セリ!」

 宇宙空間の温度は絶対温度の3K{ケルビン/摂氏ー270度}。
 1965年にベル電話研究所で働く「アーノ・ペンジアス」と「ロバート・ウィルソン」が「宇宙マイクロ波背景放射(CMB)」と呼ばれる電磁波を確認して、その波長が黒体放射の3Kであることを突き止めた。1978年ノーベル物理学賞受賞。

 探索隊本部。
「第103探索隊が消息を絶ちました」
「通信はどうなっているか?」
「宇宙生物に遭遇したという通信を最後に途絶えました」
「宇宙生物? 襲われたというのか?」
「おそらく……」
「捜索隊を出さなければならないが、宇宙生物の存在があるとしたら、それなりの対策をしておかなければならんな」
「生物学者、それも宇宙生物の権威を同行させた方がいいですね」

 生物学者の同行を得て、捜索隊が出発した。
 捜索隊の隊長 ウォーレス・トゥイガー大尉。(英♂)
 副長     ジェレミー・ジョンソン曹長。(英♂)
 船長     フリートヘルム・クラインミヒェル。(独♂)
 機関長    ヨーシフ・ペカルスキー。(露♂)
 操舵手    ロレンソ・セサル。(西♂)
 レーダー手  フェリシア・ヨハンソン。(瑞♀)
 通信士    フランカ・メインス。(蘭♀)
 生物学者   コレット・ゴベール(仏♀)
 医者     ゼバスティアン・ハニッシュ(独♂)
 以上の九名である。
 隊長と副長は軍人で、その他は民間人の乗組員である。

 やがて第103探索隊が消息不明となった区域にたどり着いた。

「レーダーに反応があります。行方不明の探索艇かと思われます」
 レーダー手のフェリシアが報告する。
「フランカ、本部に探索艇の発見を打電してくれ。位置もな」
 隊長のトゥイガー大尉が下令する。
「かしこまりました」
 通信士のフランカが発見場所を本部に打電する。
「よし、接近してみよう」
 反応のある方に向かって進んでゆくと、漂流する探索艇が見つかった。
「エンジンは停止しているようです」
「周囲に、怪しい物はいないか?」
 音信不通となる直前に宇宙生物襲来を打電しているので警戒する必要がある。
「ありません。この船だけです」
「探索艇に乗り込んで調べてみよう。学者を呼んできてくれ」

 探索艇に接舷する捜索艇。
 捜索艇から連絡通路が伸びて探索艇の乗船口にドッキングする。
「よし、行こう!」
 船長と通信士を残して、探索艇へと乗り込んでいく。
 宇宙服を着込んで、探索艇の乗船口気密室から潜入することにする。
「ハッチが開きません。電力を喪失しているようです」
「手動で開かないのか?」
「開けられますけど、中に入って至る所で手動でやってたんでは時間の無駄です。救助船から電力ケーブルを引いて繋いだ方がいいかと」
 機関長が進言した。
「わかった。やってくれないか」
「はい。すでに準備はしておりました」
 救助船から電力ケーブルを持ってくる機関長。
 手際よく探索艇の外部給電端子に接続する。
「よし、これでOKです。探索艇の電源が復活しているはずです」
 隊長がハッチの開閉スイッチを操作すると、静かにハッチが開いた。

 船の中には空気が保たれているようだったが、
「細菌感染の危険がありますので、宇宙服は脱がないでください」
 生物学者が注意を促した。
「分かった。ともかく船の中を調べよう」
 気密室を出て船内に入る。
「あ! 誰か倒れています」
 駆け寄る一同。
「だめだ! 死んでいる」
 医者のセバスティアンが確認した。
「どんな状況ですか?」
「どうでしょうかねえ、こんな遺体を見るのは初めてですが……。なんでしょうねえ、生命エネルギーを吸い取られたという感じです」
「原因不明の病気かでしょうか?」
「分かりません」
「このまま放置しておいて、他の部屋や操舵室に行ってみよう」
「二手に分かれましょう。操舵室のある前方と、機関部のある後方とにです」
 副長が提案する。
「そうだな。俺とフェリシアン、ロレンソ、セバスティアンは前方の操舵室を調べる。副長と残りの者は後部の機関室などを調べてくれ」


 操舵室へと向かう隊長の班。
「全然人に出会いませんね。皆死んでしまったのでしょうか?」
 レーダー手のフェリシア・ヨハンソンが呟くように言った。
「分からんな。確かに誰にも会わないが」
 操舵室にたどり着いた。
 ドアの開閉スイッチに手を掛ける隊長。
「中には何があるか分からん。ブラスターを構えておけ」
 命令に従って、各自腰に下げたホルスターからブラスターを抜く。
「開けるぞ!」
 静かにドアが開く。
 緊張の面持ちで、ゆっくりと室内へと入る。
 動いている物は一つもなかった。
 床に倒れている職員たちがいるが、全員死亡していた。
「だめです。生存者はいません」
 医者のゼバスティアン・ハニッシュが生死を確認する。
「全滅なのか……?」
「動かせるか確認してくれ」
 操舵手のロレンソ・セサルに命じる。
「分かりました」
 操舵機器を調べ始めるロレンソ。
 同様にレーダー機器を調べるフェリシア。


 その頃、もう一方の副長の班も機関室にたどり着いていた。
「結局ここまで生存者はいませんでしたね」
 生物学者のコレット・ゴベールが嘆く。
「ともかくエンジンを調べよう」
 副長ジェレミー・ジョンソン曹長の指示のもと、機関長のヨーシフ・ペカルスキーがエンジンを調べ始めた。
 コレットは、遺体から宇宙生物の痕跡がないか調べている。
「エンジンの方はどうだ、動きそうか?」
「駄目ですね。動力源のエネルギーが尽きています」
「そうか……。ならば、この船を曳航して本部に戻るしかないな」
「この船……大丈夫なのでしょうか? 恐ろしい病原菌とかに汚染されていたら?」
 生物学者のコレットが心配する。
「しかし原因を究明する必要がある。ニュー・トランターのラグランジュ点に留めて調査を続けよう」


 操舵室にいる隊長の携帯無線に副長から連絡が入った。
「動力源がダメか? 宇宙生物の痕跡とか見つからないか、他の部屋とかも調べてみてくれ」
 連絡を終えた時だった。
「ちょっと何か変な音がしませんか?」
 フェリシアが耳を澄ませている。
「変な音?」
 音のする方向を探っているフェリシア。
 レーダー手なので耳の感覚が優れているようだ。
「上……上から聞こえます」
 一同が上を向いた途端、何かが落ちてきた。
 天井にある換気口からだった。
 アメーバー状のそれはロレンソに覆い被った。
「な、なんだこれは?」
 手をバタバタと動かして、振りほどこうとするが叶わなかった。
 そして動かなくなって床に倒れた。
「こ、こいつが例の宇宙生物なのか?」
 驚愕の表情で見つめる隊長。
 やがてアメーバーはゆっくりとロレンソから離れた。
 干乾びた状態のロレンソの姿。
「船内に倒れていた者と同じ症状です。間違いなさそうです、こいつが船を襲った宇宙生物です」
 ゆっくりとだったが アメーバーは他の隊員に向かってきていた。
「撃て! ブラスターだ!」
 腰のホルスターからブラスターを引き抜いて、アメーバーに向かって撃つ。
 一斉射撃を受けるアメーバーだったが、ビクともしないどころか少しずつ大きくなっているようだった。
「なんだ? 大きくなったぞ」
「ブラスターのエネルギーを吸収しているようです」
「もしかしたら、エネルギーを物質に変換する能力を持っているのか?」
「エネルギーを喰らって成長する生物なのでは?」
「仕方がない。ここを放棄する」
「ロレンソを放っていくのですか?」
 亡くなっているだろうが、仲間の遺体を見捨てていくことは忍びない。
「構っていたら奴に襲われる。無念だが放っていくしかない」
 ロレンソを置いて、操舵室を逃げ出す。
「奴は換気口から現れた。どの部屋にも換気口があるから、どこへ行っても奴がくるだろう。倒す術がない以上、この船を放棄するしかない」
 副長の班にも連絡を入れて、撤退を始める。
 ロレンソを除く隊員が、乗船口気密室へと戻ってきた。
「放棄するとしても、この船をこのままにしておくわけにはいきませんよ」
 船が放流しているうちに、どこかの開拓星にたどり着くかもしれないのだ。
「捜索艇で曳航しつつ、恒星に船ごと落下させるしかない」
「恒星にですか? それこそ莫大なエネルギーを喰らって、よりいっそう巨大化してしまうのでは?」
「許容限界というものがあるだろうし、巨大化するといっても恒星をまるごと喰らうには、おそらく何万年もかかるんじゃないか?」
「そうかも知れませんね」
 電源ケーブルを外し、連絡通路を収納して捜索艇に戻る一行。
「牽引するぞ!」
 牽引ビームを宛てて、探索艇を牽引してゆく。
「恒星落下コースに乗りました」
「よし! ビームを停止。後は慣性にまかせる」
 離れてゆく捜索艇と恒星に向かっていく探索艇。
 ロレンソ、そして探索艇の乗員たちの冥福を祈る一行だった。

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11
銀河戦記/脈動編 序章・マゼラン銀河
2021.09.04

序章・マゼラン銀河


 漆黒の宇宙を進む宇宙船。
 天の川銀河から大マゼラン銀河へと向かう開拓移民船団の群れであった。
 およそ十六万光年の道のりには補給できる星はなく、一億人からいる人々は冷凍睡眠カプセルの中で来るべき日を夢見て眠っている。
 船はコンピューターにプログラムされた通りに進むため、運航要員はおらず数人の監視員が交代で計器を見守っているだけだった。
 移民船団には万が一を考えて護衛艦隊が付き添っていた。
 その旗艦サラマンダーの艦橋。
 アントニー・メレディス少佐以下の六名が当直で起きていた。
「まもなく最後のワープに入ります」
「とは言っても、我々は何もすることもないのだがな」
「全自動ですからね。計器が正常に動いているかを見てるだけ」
「まあ一億人からの生命を預かっているには違いない」
「ワープの時間です」

 宇宙空間。
 航行していた移民船団の船がワープして姿を消した。


 やがて別の空間に姿を現す移民船団。
 サラマンダー艦橋。
「最後のワープ終了!」
「計器異常ありません」
「大マゼラン銀河の端に到着したようです」
「よし、第一次探索隊の要員を起こそう」

 大型輸送船内にある居住区の冷凍睡眠カプセルのあるブロック。
 次々とカプセルが開いてゆく。
 ゆっくりと起き上がる隊員たち。
 長い眠りから覚めても、今なお夢うつつ状態が続いている。
 数時間後、食堂で朝食? を食べている隊員たち。
「大マゼラン銀河に到着は間違いないのだろうね」
「間違いないそうだ」
 食事を終えてゆっくりしていると、
『第一次探索隊要員はミーティングルームへ集合せよ』
 艦内放送が聞こえてきた。

 ミーティングルーム。
 大マゼラン銀河の映像が表示されたモニターを前にして、探索指揮官が説明をしている。
「このように、ここから十光年の間にある恒星が二十個ほど見つかった。このうち惑星系を持つと思われるのが、この三つの恒星だ」
 モニターに三つの光点が、方角と距離と共に表示されている。
「探索班を三つに分けて、これらの恒星を探索してもらいたい」

 大型輸送船発着口。
 長距離探索艇が格納庫から引き出されている。
 戦闘用の兵器は擬装されていないが、重力加速度計などの惑星探査レーダーを搭載しており、一光年を一時間ほどで超光速航行できる。
 三つの方角に向けて、次々と出発する探索艇。


 サラマンダー艦橋から、探索艇が出発する様子を見つめているメレディス少佐と副官。
「惑星が見つかるといいですね」
「そうだな」
 地球のように水と大気のある惑星でなくてもよい。
 月のように大気がなくても、しっかりと大地を踏みしめることのできる岩石型惑星(灼熱惑星除く)なら何でもよいのだ。
 まずは探索の拠点となるベースキャンプを確保することが先決なのである。


 惑星探査に向かった探索艇の一班。
「まもなく目的の恒星に到着します」
「恒星の自転方向を調査」
 惑星系は、自転する恒星の赤道面に並んで公転している公算が高いので、自転軸の真上か真下から離れて見れば容易く発見できる。惑星の公転面の上下から俯瞰して探すことができるというわけだ。
「自転方向確認できました」
「よし、二班に分かれて調査する」
 探査艇が、恒星の北・南極方向に分かれてゆく。

 数時間後。
「こちらA班、惑星を発見!」
「了解した。A班は、惑星の調査に向かえ。こちらB班は、引き続き二個目の惑星がないか探査する」
「A班了解。惑星探査に向かいます」


 惑星発見の報は、すぐさまサラマンダーにも伝えられた。
「見つかった惑星は木星型の巨大惑星が二つです。双方とも衛星系を持っており、その幾つかは鉱物資源を採掘できそうです」
「ベースキャンプにはできそうだな」
「残り二つの恒星に向かった班は、距離が遠くて探査はまだこれからです」
「そうか、地球型が見つかるといんだがな」
 数時間後、別の探索班から報告が入る。
「地球型惑星発見!」
「やりましたね」
「そうだな。精密調査隊を派遣させて、詳しく調べさせよう」
 地質や気象などを本格的に調べて居住に適した環境かを調べる部隊。

 やがて地球型惑星は居住可能で、大気と海と陸地がある一億人の住民が生存できる環境であることが判明した。
「よおし、開拓民総員起こしだ! その地球型惑星に移民船を向かわせる」

 移民船が地球型惑星に到着した。
 人々は、開拓移民船を衛星軌道上に待機させて当面の間、船の中で暮らすこととなった。
 まず最初に静止衛星軌道上に数隻の大型輸送船を配置して宇宙ステーション代わりとして、そこから下へと延びる宇宙エレベーターが造られた。
 建設土木機械が地上に降ろされ、そこから毎日出勤するようにして地上に降りて開拓を始める。

 地球型惑星の開拓は続き、その星に『ニュー・トランター』という名前が付けられた。
 人々は、ドーム状の居住空間を作って地球のような空気を満たして暮らし始めた。
 大気中に酸素濃度は2パーセントほどしかなく、有害猛毒なシアン化水素も含んでいた。
 現状では、宇宙服なしでは外を歩けないが、よりよい環境とするためのテラフォーミングが続く。
 海の成分は、水に溶けたシアン化水素酸とそれが加水分解したアンモニア、各種のミネラル成分がある。

 シアン化水素を燃やせば、水と窒素と二酸化炭素が生成するので、二酸化炭素を植物の光合成で酸素を生み出すことができる。(引火点摂氏ー18度、発火点摂氏538度)
 大規模なシアン化水素火力発電プラントが建設されて、空気中のシアン化水素を取り込んで燃焼させて、水と酸素を作り出して空気中や海に放出していた。
 海に溶けているシアン化水素は、Pedobacter 属細菌を使って分解無毒化する方法がとられた。

 Pedobacter 属細菌を培養している細菌研究所。
 研究員が談話している。
「海に溶けているシアン化水素を完全に無毒化させるには何年掛かりますかね」
「どうかな。百年はかかるんじゃないか? 俺たちの世代では無理だろうな」
「百年ですか……、気が遠くなりますね。それまで宇宙服なしでこのドームからは出られないのですね」
「まあそういうことだな」
「この星は諦めて、別の完全地球型惑星を探した方がいいんじゃないですか?」
「無理だよ。そんな理想の惑星を見つけるのに何年掛かると思う? 百年か? 千年か? この星が見つかったのも、何万分の一以上の確率の賜物なんだよ。それに、天の川銀河との橋渡しとなる橋頭保でもあるからな」


 その頃、巨大惑星の衛星の方でも、鉱物資源採掘がはじまっていた。
 衛星のあちらこちらで掘削機が稼働して、有用鉱物を採掘していた。
 ケイ素、鉄、マグネシウムなどがあり、酸素はそれらの酸化物として存在している。
 鉱物集積ステーション。
 採掘場から集められた鉱石が輸送船に積み込まれて、ニュー・トランターへ次々と出発している。
 ステーション事務所では、鉱石輸送船の手配などを行っている人員がいる。
「これが本日最後の船です」
 本日最後と言っても、この衛星では一日という概念がない。
 巨大惑星によって潮汐固定されており、公転周期の七日三時間(地球時換算)がこの衛星の一日に相当する。惑星に向いている側は惑星表面の反射光を受けて常に昼のように明るいし、反対側は常に夜のように暗い。
 一応生活時間として、トランター標準時を使用している。
「それから第二次開拓移民船団が出発したようですよ」
「そうか……。ニュー・トランターから、さらに先の銀河中心に向けて調査団が派遣されるということだな」

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