響子そして(十四)新しい門出
2021.07.18

響子そして(覚醒剤に翻弄される少年の物語)R15+指定
この物語には、覚醒剤・暴力団・売春などの虐待シーンが登場します


(十四)新しい門出

 それからしばらくして、彼女は赤ちゃんを抱いて退院していった。
 わたしの方も覚醒剤からの脱却のプログラムが終わりを告げようとしていた。
「よおし、良く頑張ったね。もう覚醒剤はいらないよ」
「でも、量を減らしてきたとはいえ、完全にやめても大丈夫でしょうか?」
「その心配はいらない。ここ一週間、覚醒剤は射っていないからね」
「え? でも昨日まで注射してたじゃないですか」
「注射したのは、ぶどう糖だよ。いわゆる精神治療の一貫だよ。とっくに身体的覚醒剤からは脱却できていても、精神的にはなかなかその不安を取り除くことができない。特に覚醒剤はそうなんだ。だから覚醒剤と偽ってぶどう糖を打ち続ける。その後で事実を話してあげると、納得して安心できるというわけさ」
「そうでしたか……」
「ところで、退院ということになるのだが、住むところも働くところもないんだろ?」
「はい。祖父がいるんですが、裁判以降連絡がありません。たぶん勘当されていると思います。そうでなくてもこの身体ですから戻るに戻れません」
「だろうな……。そこでだ。君にいい就職先を紹介してあげようと思う。社員寮もあるから住む場所も心配しなくていい」
「ほんとうですか?」
「袖触れ合うも多少の縁というからな。あ、いかがわしい会社じゃないからな。安心したまえ」
「ありがとうございます」
「これが紹介状だ。期日は今日なんだが行ってくれないか。相手も忙しい身でね。他に時間が取れないんだ」
「でも、着ていく服がありません……」
「うん。身一つで入院したからな。服もこちらで用意してあるよ。後で看護婦が持って来てくれることになっている」
「何もかも……すみません」

 こうして看護婦が用意してくれた、リクルートスーツ一式で身を固めて、その会社へと足を運んだ。
 駅近くの一等地に自社ビルを抱える一流の製薬会社だった。
 それだけでも驚きなのに、まさか……、二次面接で社長室を訪れた時、そこに先生が座っているなんて、本当に驚いた。
 わたしは受付嬢としての辞令を頂き、早速その日から家具付きの社員寮に入る事ができた。入社祝いという事で、先生がポケットマネーを出してくれた。そのお金で衣料品や日用雑貨品を買い揃える事ができた。
 夢のような日々が過ぎていく。
 さらには先生の尽力で、戸籍の性別変更が認められて、磯部響子という正真正銘の女性になった。男性との結婚もできるようになった。
 会社の顔である受付嬢の仕事は大変だったが、やりがいもあった。
 十六歳の時から、飲みはじめた女性ホルモンのおかげで、完全な女性のプロポーションを獲得して、社内一の美人ともてはやされた。

 そしてある日、倉本里美というわたしより美しい女性が入社してきた。
 なんと! わたしと同じく先生から性別再判定手術を受けていたのだ。
 しかし、ほとんど強制的に知らないうちに手術を施されという。
 聞けば、あの研究所員が発明したという、ハイパーエストロゲンとスーパー成長ホルモンを注射されて、たった一日で豊かな乳房になってしまったというじゃない。あの話しは、ほんとだったんだと再認識した。
 そういうわけで、女性に成り立てて、まったく何も知らなかった。普通の性転換者は、女装や化粧を身に付けて、しっかりと女性の姿でいることに自信を持てるようになってから、手術を受けるものだ。
 化粧の仕方も、生理の手当てすらも知らない初な女性。それが里美だ。
 わたし達は、一緒に暮らすようになって、女性としての教育を里美に教え込んでいった。もともと素質があったのか、彼女はまたたくまに女性的な言葉や仕草を修得していった。
 わたしより二つ下で、共に生活しているうちに妹のように感じるようになっていた。里美の方も、わたしを姉のように慕っているようだった。里美は本当に可愛い。

 さらに渡部由香里が妹に加わった。
 この娘は心身共に完璧な女性だ。その証拠に先生の息子で会社の専務である、英二さんと大恋愛し婚約するまでになった。潔白の精神の下に清い交際を続けたあげくのゴールだ。わたしも明人という旦那がいたにはいたが、それはセックスという行為で結ばれたものだった。わたしと明人との愛をはるかに超越した、男女の真の愛の姿というものを感じさせてくれる。
 他人も羨むほどの仲睦まじい関係なのだが、由香里の尻に敷かれている英二さんが情けない。会社では営業成績断トツの営業マンで、威風堂々の専務なのであるが、由香里の前では尻尾を振る飼犬に成り下がってしまう。
 しかもこの二人、お酒にめっぽう強いのだ。うわばみと呼んでもいい。
 英二さんがプロポーズした食事会のあの日。食事の後、二次会・三次会と称して飲み歩いたのだが、わたしと里美がダウンし、わたしのアパートに戻っても、自宅にキープしていたボトル五本を空にするまで、飲み明かした。しかも翌朝、二日酔いでふらふらのわたしと里美を尻目に、まったく平気な顔で出社していた。
「さあ、今夜は五次会だよお」
 とか言って、酒と肴をごっそりと買い込んできたのには、さすがに参った。
 婚約したのがよっぽど嬉しかったのだろうが、いい加減にしてほしいわよね。
 なお念のために言っておくと、先生の手による性転換の実施日はわたしの方が早いが、女装歴については彼女の方が長い。つまりわたしが仮出所した日より以前に、睾丸摘出の手術をされたらしい。

 そして桜井真菜美……。
 この娘は十六歳の高校生。
 わたしたち三人とは違って、正真正銘の女の子。
 自殺して脳死状態に陥ったが、さる男の脳を移植されて生き返った。
 思えば、この男の捕物帳における囮役は、男性経験豊富なわたし以外には考えられなかった。先生もそれを考慮して決定してくれたようね。
 あまりにも悲惨なわたしの過去は、妹達には一切秘密にしている。
 脳神経細胞活性化剤と女性ホルモンによって、脳の再分化が起こり女性脳に生まれ変わったのだが、真菜美ちゃんは記憶喪失状態。しばらくは元の男性の意識体がバックアップしてくれていたようだが、今は深層意識の奥底に潜り込んで表には出てこないそう。
 これから体験し記憶する事が新たなる人格形成となる。
 わたし達は、この娘の成長を温かく見守る事にしている。

 これまでのわたしは、波乱万丈というめまぐるしい人生模様が繰り広げられていた。
 わたしの人生は、常に性行為という男女の絡みが付きまとっていた。
 覚醒剤に翻弄された人生。わたしと明人の母親。わたし自身も危うくその毒牙に犯される寸前にあった。
 血液型では、両親を仲違いさせる原因となったが、明人の命を救った。

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11
特務捜査官レディー(十四)これから
2021.07.18

特務捜査官レディー
(響子そして/サイドストーリー)


(十四)これから

 身も心も結ばれた感動の余韻に浸りながら、並んで横になる二人。
 これまでの経緯からすぐには眠りに付けそうになかった。
 寝物語として、これまでの二人の生き様を披露しあう。
 真樹は、生死の境を乗り越えて、かの先生の手によって真の女性として生まれ変わった人生。
 敬は、追撃を振り切って特殊傭兵部隊に入り、ニューヨーク市警の所長暗殺に至った経緯。
 二人の話は尽きなかった。

 やがて今後の問題に入った。
「ところでさあ……。一緒に仕事しようと言ったこと考えてくれた?」
「うん……その件だけどさあ」
 煮え切らない返答に、
「あ、別にいいんだよ。今は新しい両親の元で真樹として暮らしているんだし、俺と結婚して専業主婦になるってのでもいいんだ。親孝行も大切だからね。用は一緒に暮らせればいいんだ」
 と切り替えしてきた。
 確かにそれでもいいとは思っている。
 結婚し家庭に入って、子供を産んで育てる。ごく普通の主婦としての生活。
 それでも十分な幸せと言えるだろうし、今の両親の願いでもあるはずだった。敬はそのことを考慮して言ってくれているのだった。
 しかしわたしの意志は決まっていた。
「違うのよ。敬と一緒に仕事したいけど、ちょっと都合があって……」
「都合って?」
「はっきり言うわ。わたし、麻薬取締官になるつもりなの」
「麻薬取締官?」
「そうよ。どうせ一緒に仕事するなら、やり残したことをちゃんと片付けたいと思う」
「磯部健児か?」
 すぐに答える敬。
 彼も心の隅にずっと気に掛けていたようだった。
「でもね。一介の警察官じゃ、あの生活安全局の局長が大きな壁になる。健児を挙げるのも、局長の真の姿を暴くのも不可能だと思うのよ」
「そうだな。その権限を笠に掛けて握りつぶされるのがおちだな」
「最近の警察の不祥事のニュースを見ても判るとおり、警察内部は腐りきっているわ。身内を庇ったり、不祥事を隠蔽しようとしたり、毎日のように馬鹿げた報道が繰り返されている」
「俺達がニューヨークへ飛ばされた要因でもある縦割り行政の問題もあるからな。生活安全局、刑事局暴力団対策課、それぞれが縄張り争いしてる」
「ああ、それだけど。警察庁組織が改編されて、薬物銃器対策課というのが刑事局組織犯罪対策部の中にできたらしいの」
「そうなのか?」
「警察庁にはね。でも地方警察の方では、相変わらず生活安全局の中にあるところが多いわ」
「ふうん……まずは本庁から組織改編をはじめて、いずれ地方に手を掛けるんだろうな」
「でも、国家公安委員会の下の警察機構の中では一本化されつつあっても、薬物銃器対策の組織ととしては、依然として厚生労働省麻薬取締部や、財務省税関そして海上保安庁とがある。それぞれ独自に捜査を続けていて、綿密に連絡を取り合って情報を共有しあって、薬物銃器対策の捜査に役立てているところは皆無に近い状況だわ」
「どっちにしても今の警察はだめだ!」
「だから警察内でいくら足掻いても無駄なこと、治外法権的な立場から警察を暴くしかないわ」
「それが麻薬取締官か……」
「そうなの。行政組織が違うから、犯罪を立証しさえすれば警察内部に踏み込むことが可能だわ。あの局長だって逮捕することだってできるはずよ」
「麻薬取締官か……俺には無理だな」
「だから、以前申請していたじゃない。麻薬と銃器を取り締まる、それぞれの行政組織を一体化させた新しい組織の創設よ」
「ああ、局長に一握りで潰された話だな」
「麻薬犯罪は悪化の一途を辿っているわ。このまま手をこまねいていては、いたいけな少年少女までにも蔓延してしまう。何せ世界一の生産・輸出国家であるアフガニスタンや南・北朝鮮から大量に流出しているんですもの」
「とにかくだ。おまえだけでも麻薬取締官になれよ。国家公務員の採用試験は一年に一回しかないんだからな」
「うん。判った」
 愛し合う二人だが、それにもまして正義感に溢れることが、こんな会話を可能にしていた。
 正義を守って悪を絶つ。
 二人に共通する思いの丈であった。
「取りあえず俺は、元の警察官に戻るよ。沢渡敬としてね」
「敬として?」
「ああ、あの局長にこの生きた姿で会ってやる」
「驚くでしょうね」
「とにかく局長が俺達を陥れたという証拠はどこにもない。そのためにこそニューヨークへ飛ばしたんだからな」
 確かに今の腐敗した警察内部の不祥事は、報道関係が目を光らせている。一介の警察官が死んだというそれだけもニュースになる時代だ。だから、警察官の死亡など日常茶飯事のニューヨークへ飛ばし、抗争事件の巻き添えで殉職というシナリオを用意していたのだ。
「でも、生きて戻ってきたとなれば、また敬をどうにかしようと動き出すでしょうね」
「そこが狙いだよ。今度こそ、奴の首根っこを捕まえてやる。特殊傭兵部隊で鍛え上げた強靭な身体と根性を見せてやるよ。俺の命を狙うなら狙えってみろだ。返り討ちにしてくれる」
「大した自信ね」
「実際、幾度となく死線を乗り越えてきたからな」
「ほんとにね……」

 ともかくも、わたしは麻薬取締官、敬は元の警察官に戻ることを決めた。
 磯部健児を検挙し、犠牲となった磯部親子に報いるためにも、わたし達ができ得ることをしようと誓い合った。

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響子そして(十三)赤ちゃんのこと
2021.07.17

響子そして(覚醒剤に翻弄される少年の物語)R15+指定
この物語には、覚醒剤・暴力団・売春などの虐待シーンが登場します


(十三)赤ちゃんのこと

 それから数日後。
 わたしは、かの女性の病室を尋ねることにした。
 彼女が退院する前に、一度会っておきたかった。
 彼女は、丁度赤ちゃんを抱いて授乳させているところだった。
「こんにちわ。お邪魔します」
「聞いているわ。わたしと同じ性転換手術した女性が入院しているって。あなたね」
「はい。そうです」
 赤ちゃんは、一心不乱にお乳を飲んでいる。時々、その乳房を軽く揉むような仕草をみせるのは、お乳が出やすくするため本能的にやっていることなのか。
「ちゃんとお乳が出るんですね」
「当たり前よ。この娘を産んだ母親なんだから」
 十分飲み終えたのか、乳首から口を離した赤ちゃん。それを見計らったように、彼女は抱き方を変えた。
「赤ちゃんは、お乳と一緒に空気も飲み込んじゃうの。その空気を胃から追い出さなければならないけど、自分でげっぷを出せないから、こうやって縦だっこして背中をたたいて、出してあげないといけないの」
「へえ、そうなんだ」

「あの……。わたしに、抱かせていただきませんか?」
「どうぞ、構いませんよ」
 快く引き受けてくれた。そっと大切に受け取って抱き上げる。
 一瞬、とまどったような表情をした赤ちゃんだったが、やさしく声をかけてあやすと、安心したような顔に戻った。
 じっとわたしを見つめている。
「可愛いでしょう?」
「ええ、とっても。さっきからじっと見つめてるわ」
「それはね。赤ちゃんは本能的に、黒くて丸いものに反応する習性があるのよ。実際にそれは母親の瞳になるんだけどね。だからじっと見つめ合う格好になるわけよ」
 そういえば、鳥の雛が親鳥の口先の色に反応してそれを突つく習性があって、それが餌をねだる行為になっていうと聞いたことがある。
 指を頬に軽くあてると、それを吸おうとして顔をそちらに向ける。反対を触るとまたそっちに向こうとする。お乳を飲んで満足しているはずだが、頬に何か触ると反射的にそれを吸おうとするのだ。
 足の裏を触ると、足指を曲げる動作をする。くすぐったいからではなく、そのものを握ろうとする反射だそうだ。
 やがて、小さな口を精一杯開けてあくびをすると、そのまますやすやとわたしの腕の中で寝入ってしまった。
「あは……眠っちゃった。可愛い寝顔」
「それは、あなたを母親だと思って安心しきっているからですよ」
「母親?」
「赤ちゃんが眠りにつくには、心身ともにリラックスできる状態じゃないと、なかなか寝付けないのよ。母親に抱かれているという接触的安堵感、そしてやさしいその表情と声掛けがあって、自分は見守られているんだと本能的に感じ取って、はじめて安心して眠る事ができるわけね」
 そっと静かに、傍らのベビーベッドに寝かせて布団を掛けてあげる。
「あなたには、しっかりとした母性本能が身についているわ。これなら子供を産んでも大丈夫よ」
「そうかしら……」
「たった今、この娘が証明してくれたじゃない」
「それは、そうみたいだけど……」
「自信を持ちなさいよ。大丈夫、あなたならちゃんと母親になれわよ」

 彼女は、わたしが子供も産める女性になるために、本当の性転換を受けたけど、母親になる自信を持てないと思っているようであった。

「実はわたし、手術は二度めなんです」
「二度め?」
「最初は、人工的な造膣術を施しただけの手術で自分の意思で行いました。二回目の今度は、実は自殺して意識不明の間に先生が、本当の女性にする手術をしてくれました。そういうわけだから、わたし最初から、子供を産む事なんか考えもしなかったんです」
「へえ、自殺したんだ……。何か、いろいろと深い事情がありそうね。よかったら話してくださらないかしら? わたしでも相談にのってあげられることもあるかも知れないから」
 彼女は、わたしと同じ性転換者であり、悩みについても共通のものがあると思った。
 わたしは正直に話した。

「そうか……。大変だったわね。覚醒剤は、人生を狂わせる悪魔の薬。一度その毒牙にかかったら二度と抜け出せない。わたしの研究所でも、こっそり持ち出したり、使用量を偽ったりして、試しに使用してみる人が結構いるのよね。で、抜け出せなくなって、さらに持ち出して発覚してくびになってる。結局抜け出せなくなって廃人になってしまったのを何人も知っているわ」
「あなた、覚醒剤に関わっているの?」
「だって、製薬会社の研究所員ですもの。覚醒剤どころか、大麻・麻薬、今はやりの合成麻薬MDMAだって扱っているわよ。でも、わたしが担当しているのは、女性ホルモンとか性転換薬とかいった分野よ。つまり、あなたとわたしに直接関わるホルモン剤の研究してる」
「性転換薬なんてできるの?」
「できるわよ。原理は判ってるし、調合方法も完成しているの。ただ、原料がなかなか手に入らなくてね。苦労しているわ。もう一つの研究テーマである、ハイパーエストロゲンとスーパー成長ホルモンは完成してる。先生に臨床実験をお願いしているわ」
「なにそれ?」
「答える前にこちらから質問するわ。あなた最初の性転換手術する時、当然女性ホルモン飲んで胸膨らんでいたでしょう?」
「ええ、もちろん」
「それなりになるのに、何ヶ月かかった?」
「わたし、思春期にはじめたからAカップになるのに二ヶ月、半年でCカップだったわ」
「へえ、早いのね。わたしなんかAカップには半年かかったし、Bカップ以上にはならなかった。もっとも今は授乳のために臨時的にDカップくらいにはなってるけど。で、本題……。さっきのホルモン剤は、たった一晩で立派な乳房や女性的な身体を作り上げちゃうという夢の薬なの」
「ほんとうなの?」
「ほんとうよ」
「信じられないわ」

「話しは戻るけど、女性ホルモンだって、男性が飲みはじめて半年以上も経てば、睾丸が萎縮して、二度と元に戻れなくなる。一生飲み続けなければならないという点では、覚醒剤みたいなものね」
「それはそうだけど……。でも、わたし達は飲まなくてもいいんでしょ?」
「当たり前よ。卵巣があるんだもの。子宮もね」
「でも反面、毎月生理になるわ」
「それだからこそ、女性の喜びもあるわ。子供を産めるんだもの」
 と言って、ベビーベッドの赤ちゃんに目を移す彼女。
 実際に現実を目の当たりにしていると、彼女の言い分が正しいように感じる。

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