銀河戦記/鳴動編トップメニュー
2022.05.31
PC版ホームページからの移行ブログです。
最近はスマホが流行し、今後は主流となると思います。
そこで、スマホでは表示が見にくいPC版を、
こちらへと転載していこうと思います。
ルナリアン戦記
第一部後半はこちらです
第二部はこちらです
第二部後半はこちら
銀河戦記/脈動編
ファンタジー系はこちらです

序章
索敵 I・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・V
士官学校 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・V
模擬戦闘 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ・Ⅵ・Ⅶ・Ⅷ・Ⅸ
情報参謀レイチェル I・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ・Ⅵ・Ⅶ
独立遊撃艦隊 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ・Ⅵ
カラカス基地攻略戦 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ・Ⅵ・Ⅶ・Ⅷ・Ⅸ・Ⅹ
不期遭遇会戦 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ・Ⅵ
第八章~十章は、稚拙ながら推理小説仕立てとなっております。
殺人犯は誰なのか? お楽しみください(*'▽')
犯罪捜査官 コレット・サブリナ Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・V・Ⅵ・Ⅶ
コレット・サブリナ 犯人を捜せ! Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・V・Ⅵ・Ⅶ・Ⅷ
コレット・サブリナ 氷解 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・V・Ⅵ
スハルト星系遭遇会戦 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・V・Ⅵ・Ⅶ・Ⅷ・Ⅸ・Ⅹ・Ⅺ
テルモピューレ会戦 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・V・Ⅵ・Ⅶ・Ⅷ
ハンニバル艦隊 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・V・Ⅵ・Ⅶ
↓ 1日1回、クリックして頂ければ励みになります(*^^)v

ファンタジー・SF小説ランキング
銀河戦記/脈動編 第九章・カチェーシャ Ⅰ
2022.05.21
第九章・カチェーシャ
Ⅰ
言語学者 =クリスティン・ラザフォード(英♀)
ミュー族 =エカチェリーナ・メニシコヴァ
医務室で待機する盲目の女性。
彼女の名前は、エカチェリーナ・メニシコヴァ。
目が覚めた時、周りには人の気配と聞いたことのない声と、規則的で機械的な音が続いている。そして、病院特有の消毒薬の匂いが漂っていた。
ベッドの上に寝かされているようだった。
『ここは敵の船の中? それも病院?』
寝てもいられず、ともかく身体を起こしてみる。
「あら、気が付いたのね」
女性の声がしたが、何と言っているか分からない。
近づいてくる足音。
「言葉が分かる? 分からないわよね……どうしたものかしら」
優しく問いかけるその言葉には、何とか意思疎通をできないかとの、緊張感が伝わってくる。
手を取られたかと思うと、自分の胸辺りに誘導して、
「あなたね」
と言った。
続いて、その手が伸びたと思ったら何かに触れたが、どうやら相手の胸のようであった。
「わたしよ。名前はクリスティン」
と言った。
そして再び、自分の胸を触って、
「あなた、名前は?」
と言った。
どうやら名前を聞いているようで、ボディーランゲージを使って意思を伝えている。
『私の名前は、エカチェリーナです』
相手の言語が分からないので、自身の言葉で答える。
言葉の中から、明らかに名前だと分かる部分を理解したようだ。
「エカチェリーナね。あなたの名前は、エカチェリーナ」
頷いて応えるエカチェリーナ。
ともかく意思疎通するには、言語を理解しなければならいし、基本の単語と文法を覚えなければならい。
身近に触れられる対象物を、お互いの言語で語り合うことから始めた。
目が見えるクリスティンが親切丁寧に、対象物に触れさせてから、
「これはベッドで、ここに眠るのよね」
などと、名称と使い方を伝える。
「チーズケーキよ。美味しいから食べてみて」
食べ物も、味覚などの情報を交えてゆく。
会話の中から、エカチェリーナが使用する言語の文法を解析していくクリスティンだった。
やがて日常会話程度なら、理解できるようになっていた。
「ねえ、エカチェリーナ」
呼びかけた時、
「わたしのこと、カチェーシャと呼んでくださっていいです」
と呼び名を変えてほしいと言った。
カチェーシャとはエカチェリーナという名前の愛称である。
親しい間柄ではカーチャと呼び習わし、さらに親しくなるとカチェーシャとなる。
「愛称で呼んでいいの?」
「はい。クリスティンなら平気です」
「分かったわ、カチェーシャ」
それなりに親しくなった二人は、会話を通してそれぞれの言葉を話せるようになっていった。
特に言語学者のクリスティンは、カチェーシャとの会話から文法なども理解できていた。
言葉が分かれば、相手の事を知りたくなるものだ。
カチェーシャの属する国家と、もう一つの国家について質問するクリスティン。
「わたしの祖国は、この銀河の反対側の端にあります。惑星都市サンクト・ピーテルブールフが首都です」
「銀河の反対側なの? 随分と遠くまでやってきたのね」
「私たちの国は、開拓移民のため首都を旅立って五千年もの年月を掛けて、銀河をぐるりと一万五千光年を回ってきたのです」
「開拓移民ですか?」
「既にご存じかと思いますが、もう一つの国家との開拓競争と領地争いを戦ってきました」
「そうだと思いました。あなたの国と戦争している国があるのですね」
「はい。クリスティンの国は、もしかしたら隣にある銀河にあるのではないですか?」
「その通りです」
「なるほど、銀河間を渡る科学技術を持っているのですね。あなたの国の事、詳しくお話頂けないかしら」
「そのお話は、司令官直々にお伺いしましょうか」
二人の間で会話をしても、司令官にも内容報告する必要がある。ならば直接司令官と話した方が良いだろう。
「分かりました。司令官さまに合わせて頂きますか」
「いいわ。合わせてあげましょう」
数時間後、トゥイガー少佐とエカチェリーナの面談が設定された。
↓ 1日1回、クリックして頂ければ励みになります(*^^)v

ファンタジー・SF小説ランキング

11
銀河戦記/脈動編 第八章・ミュータント族との接触 V
2022.05.14
第八章・ミュータント族との接触
V
ミュータント族前進基地クラスノダール。
輸送船が盛んに発着を繰り返している。
管制塔から指揮を執っている基地司令官イヴァン・ソルヤノフ。
傍らに立つ副官フリストフォル・イグルノフが首を傾げている。
「まさか後方司令部が撤退許可を出してくれるなんて意外でした。一旦引いて後方の基地で迎撃するらしいです」
「敵との戦闘記録を見て例のエネルギー兵器に興味を持ったようだ。敵船を鹵獲して技術を盗む気だ」
「鹵獲? 可能ですかね」
「本星より秘蔵のESP部隊を呼び寄せるらしい」
「ESP部隊! それは頼もしい増援ですね」
ミュータント族の中には、一定の割合で超感覚的知覚などの特殊能力を持った者が生まれることがある。
主に精神感応によって、相手に幻視や幻聴などを引き起こす才能である。敵兵を惑わして戦闘不能に陥らせることができ、その間に総攻撃して撃沈するなり艦を鹵獲するなりできるわけだ。
但しESP要員は、能力持ちの出生確率が極端に低いので人員に限りがあり、ここぞという時にしか出撃することはない。
「無償で基地を明け渡すつもりはない。奴らが降り立ったら、目を丸くする罠を仕掛けておく」
基地のあちらこちらに、自爆装置が取り付けられていった。
いわゆるブービートラップである。
敵が近づいたり、設備に触ったりしたら自動的に爆発する。
軍属などの一般住民が輸送船に乗り込み後背の基地へと出発する。
技術者が基地内の仕掛けを終えて、最後の船が基地の住民を乗せて惑星を離れたのは、撤退命令が出てから十八時間後だった。
「総員、撤退準備完了しました」
「よし、速やかに撤退する」
全艦、ゆっくりとクラスノダールを離れ始める。
スクリーンに映る基地が遠くなっていくのをを眺めながら、イグルノフ副官が感慨深げに呟いた。
「無骨な惑星基地でしたけど、撤退するにつけて改めて見つめなおすと、郷愁が呼び覚まされますね」
「そうだな。岩盤をくり抜いて汗水垂らして作り上げた血と汗の結晶だからな」
「我らと同様にこの惑星に目を付けていた銀河人を近づけさせないために突貫工事でやりましたからね」
やがて、後方のノルトライン=ヴェストファーレン星区前線基地クレーフェルトへと撤退していった。
ミュータント族の首都星、惑星都市サンクト・ピーテルブールフ。
宇宙港から一隻の艦が宇宙へ舞い上がってゆく。
やがて周囲から戦艦が集まって来て、その艦を護衛するかのように周りを囲い込んだ。
艦の名前は軽巡洋艦スヴェトラーナ、ESP要員が搭乗している。
艦橋内には、正面スクリーンに対して扇状に座席が設けられ、ヘルメットを被った人々が座っている。
彼らはESP要員で、ヘルメットから延びたケーブルは精神増幅装置に繋がれている。中には生命維持装置に繋がれている者もいるが、筋萎縮性側索硬化症の患者であり、身体は動かせないがそのハンデを補うように超能力に目覚めたようだ。
乗員達の意思疎通も、言葉ではなくケーブルを通して念波で行われている。
『微速前進!』
扇の要にいる人物が指示を、声を出さずに下令する。
彼の名はドミトリー・シェコチヒン。
その名は、伝統的にミュータント族の族長が名乗ることになっていた。
機関担当が念ずると、機関室のエンジンが回りだす。
機関室には人は誰もおらず、念動力で動いている。
『機関全速、前進基地クラスノダールへ全速前進!』
『面舵三十度』
『機関全速!』
ゆっくりと進み始めるスヴェトラーナ。
それに付き従うように、他の艦艇も動き出す。
『全艦、予定進路に入りました』
『よし、ジャンプしろ!』
艦影が揺らいだ次の瞬間、すべての艦艇が消え去った。
↓ 1日1回、クリックして頂ければ励みになります(*^^)v

ファンタジー・SF小説ランキング

11