銀河戦記/鳴動編トップメニュー
2021.01.31

PC版ホームページからの移行ブログです。
最近はスマホが流行し、今後は主流となると思います。
そこで、スマホでは表示が見にくいPC版を、
こちらへと転載していこうと思います。

第二部はこちらです
ファンタジー系はこちらです


序章
索敵 
士官学校 
模擬戦闘 
情報参謀レイチェル 
独立遊撃艦隊 
カラカス基地攻略戦 
不時遭遇会戦 

第八章~十章は、稚拙ながら推理小説仕立てとなっております。
殺人犯は誰なのか? お楽しみください(*'▽')

犯罪捜査官 コレット・サブリナ 
コレット・サブリナ 犯人を捜せ! 



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銀河戦記/鳴動編 第一部 第九章・コレット・サブリナ Ⅶ
2021.01.22

第九章・犯人を探せ




 コレットは、もう一度ミシェールの遺体を検分するために、遺体安置所に向かっていた。
 IDカードを提示して遺体安置所に入ったコレットは、係官に命じて遺体の収められているロッカーを開けさせた。
 プシュー!
 という音とともに安置ロッカーから引き出されたベッドの上にミシェールは裸で横たわっていた。腐敗を防ぐために冷蔵された身体は白くなり、吊るされていたことから首筋に紫斑と脚部に血液凝固斑いわゆる死斑が見られる。すでに死後硬直は解かれているようであった。身体の各部は膝の傷を除けばいたってきれいであった。
「司法解剖はいつ?」
「明日の一五○○時に監察医務官が来られることになっていますから、その後すぐに行われると思います」
「鑑識にも伝えてありますが、監察官にこの膝の擦過傷について念入りに調べてもらってください」
「念入りに調べるのですか。つまり細胞レベルで?」
「そう。この傷が、死後硬直の以前にできたのか、それとも後にできたのか、についてです。生存中にできた可能性も含めて」
「わかりました」

「やはり殺人ですかねえ……」
 係官が質問ともとれる呟きをもらした。
「まだわからない」
 殺人だという確証が出てこない限りにはそう言うよりしようがない。
「もし殺人だとしたら哀しいですね。この部隊にいる人達はみんな、ランドール司令の下で働くのを生きがいにしていると思うんです。たとえ生きて帰ってこれないような作戦にだって喜んで出撃していきます。それで戦死したのなら本望だと思っています。それがこんな形で死んでしまったら浮かばれないです」
 そうかも知れないと思った。
 部隊にいるすべてのものが、ランドール司令に絶大な信頼を寄せていた。カラカス基地攻略という理不尽な作戦命令を受けても、ミッドウェイやキャブリック星雲不時遭遇会戦にしても、まさしく生きて帰ってこれないような作戦遂行に至っても、誰一人として逃げ出さなかった。司令にたいして文句一つ口にしなかった。
 そんな志を一つにする者同士が殺人を犯す者だろうか?
 容疑者の一人であるカテリーナにしても思いは同じはずだ。
 おそらくは共犯者でありスパイである男の存在がそうさせたのだろう。

 サラマンダーに潜入したスパイは、司令官を取り巻く主要な士官達が女性ばかりと知って驚いたことだろう。第一艦橋はすべて女性だし、統合作戦司令室、統制通信管制所も九割が女性だ。顔馴染みのない男性が潜入すればすぐに身元がばれてしまう。
 スパイは考えたのだろう。ランドールのいる発令所ブロックでスパイ活動するには、発令所要員の女性を手懐けて、共犯者に仕立てれば良いと。
 そしてカテリーナが選ばれた。
 カテリーナは、野心を持って近づいた男に、何も知らずに恋に落ちた。やがて恋人からランドール司令の調査を依頼されて従うことになる。
 ランドール司令と恋人とを両天秤に掛けて、恋人の方が重ければ当然そちらに傾く。スパイ活動中にミシェールに気づかれて殺してしまった。恋人のために罪を犯し、そして証拠隠滅に尽力する。
 スパイの正体は一体何者か?
 カテリーナが白状しない限り突き止める事は不可能だろう。
 まずはカテリーナの周囲を洗って証拠を集めよう。
 何にしても、このミシェールのためにも真相を究明しなければ、係官の言うとおり浮かばれない。
「死人は黙して語らずか……。ああ、もう元に戻してください」
「わかりました」
 係官がミシェールの横たわるベッドを安置ロッカーに戻す。
「ミシェールの着ていたものを見せていただけません?」
「いいですよ、こちらです」
 隣の部屋に案内される。
 引出の中からビニール袋に収められた衣類が取り出された。
「レオタードとその下に着用するショーツ、そしてタイツか……」
 死ぬ直前に、アスレチックジムで汗を流していたのだから、それがすべてであった。
 鑑識用の白手袋をはめて、レオタードを調べる。何か付着していないかと、裏返したり透かしたりして、じっくりと観察するが、何も出ない。
「問題はタイツね……」
 擦過傷を負っていただけにタイツの生地に擦った痕があるが、破断までには至っていない。
 スポーツなどしていて転んだ時、衣服は破れていないのに、その下の膝や肘などが擦り剥けて血が出ているということがよくある。いわゆる圧迫擦過傷である。
 皮膚は誰でも知っている通り、自由に伸び縮みしながら体運動を可能にしている。転んだ場合など、皮膚と衣服との間には静止摩擦が生じて、皮膚は衣服にへばりついたまま外力方向へ引っ張られる。この時、皮膚が伸びきったり、急激な伸長が与えられ張力限界を越えた時、表層雪崩のように皮膚の表面が、ずるりと剥けるのである。
 静止摩擦が加わったことを示す、熱反応がわずかに見られた。生地が熱で縮れているようだ。しかし擦過傷があれば血液が付着しているはずなのに、ほとんど見られなかった。これはつまり死んで血流が止まった後で、傷ができたことを示す。遺体を移送中に生じた証拠となる。司法解剖で擦過傷に対する判断が下されれば真実は明らかになるだろう。

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2021.01.22 08:47 | 固定リンク | 第一部 | コメント (0)
銀河戦記/鳴動編 第一部 第九章・コレット・サブリナ Ⅵ
2021.01.21

第九章・コレット・サブリナ 犯人を探せ




 とここまで調べた時、レイチェルがランドールの幼馴染みということを思い出した。
「ついでだから、ウィング大尉が中佐と仲が良かったという幼少の頃を見てみますか」
 コレットは、アレックスとレイチェルのさらなる過去についての資料を探しはじめた。

 アレックス・ランドール。一歳の時、銀河帝国及びバーナード星系連邦そして共和国同盟三国の絶対中立地帯において、擬装海賊商船「マスカレード号」に捕われているところを、辺境警備艦隊によって救出される。俗に「マスカレード号事件」と称されている。

 救出された幼児は、当時着用していたよだれ掛けに刺繍されていたイニシャルから、アレックス・ランドールと命名される。六歳の時、軍の里親制度によって、警備艦隊司令官トライトン・アズナブル中佐の元に引き取られる。同時に、共和国同盟軍幼年学校に入隊。以降、下士官養成学校、上級士官学校、高等士官学校、高等士官学校専攻科目へと順次進級する。
 所見として、深緑色の虹彩と褐色の髪の形態から、銀河帝国皇族に繋がる血筋と推測される。
「この一歳の時の、マスカレード号事件の詳細が不明にされているのよね」

 マスカレード号事件。
 銀河帝国と共和国同盟そしてバーナード星系連邦の三国が接する領域には中立地帯が設けられていた。
 国際法規上、中立地帯への立ち入りと戦闘行為が禁止されている軍艦が、海賊船を追い掛けてその境界を越えて進入し、戦闘に至った事件である。
 当時、銀河帝国や共和国同盟の辺境惑星近隣では、武装した海賊船団が各惑星を襲っては、物資略奪や婦女子誘拐を繰り返し、軍艦の追撃をかわして三国境界中立地帯へ逃げ込むという事件が多発していた。
 海賊船は、火器を減らして高速性能を高めた改造戦艦を使用していた。そのスピードに追いつける軍艦は数少なく、誘拐した婦女子を人質に取られていては成す術もなかった。
 海賊船はバーナード星系連邦の戦艦を改造していると見られていた。その背後には連邦が関与しているか、或は連邦軍人が直接携わっているかも知れないと憶測されていた。
 惑星が略奪にあった時、これまでは軍艦がその惑星へ赴いていたが、時既に遅く逃げ去った後で、事後処理にあたるだけという具合であった。
 その対策のために高速駆逐艦を主力とした討伐隊が編成された。トライトン中佐率いる辺境警備艦隊の誕生である。彼は略奪された惑星には赴かずに、海賊の逃走ルートに先回りしてこれを叩くようにしたのである。あるいは海賊が出て来そうなところに待ち伏せして一気に壊滅したこともあった。略奪された惑星を放っておいて海賊ばかり追い掛けていると不評を買ったが、確実に海賊は討伐されていった。
 そんな折り、海賊船団の族長が乗っていると見られる「マスカレード号」を、とうとう追い詰めてもう少しで撃破というところで、中立地帯に逃げ込まれた際に、さらに境界を越えてこれを追跡撃破ついには拿捕に成功した。
 共和国同盟軍は、その事件を軍事機密として封印した。中立地帯への越境・戦闘行為が、国際法規委員会の審議にかかることになれば、敵国のバーナード星系連邦の有利に働くからである。
 それがゆえに、アレックスの素性も解明されないままとなり、今日に至っているというわけである。出生不明かつそのエメラルド色の瞳から、銀河帝国からの流浪者とかスパイとか風潮されるのも仕方のないことであった。
「軍が秘密にしている限り、ランドール司令の出生の秘密も蚊帳の外ということね。もう二十年以上も前の話しだから、覚えている人も少ないし、当のトライトン中佐も軍上層部からの鉗口令に従って口を閉ざしている。その幼児の里親としてトライトン中佐が選ばれたのも流言を避けるためだと言われているわね」
 今になって、目覚ましい戦果をあげて昇進著しいランドール司令のことを調査するためにスパイが派遣されたと考えられる。

「さてそれはさておいて、ウィング大尉の方も調べてみましょうか」

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2021.01.21 07:47 | 固定リンク | 第一部 | コメント (0)

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