銀河戦記/鳴動編トップメニュー
2023.06.30

PC版ホームページからの移行ブログです。
最近はスマホが流行し、今後は主流となると思います。
そこで、スマホでは表示が見にくいPC版を、
こちらへと転載していこうと思います。
ルナリアン戦記
銀河戦記/拍動編 new
第一部後半はこちらです
第二部はこちらです
第二部後半はこちら
銀河戦記/脈動編
ファンタジー系はこちらです


序章
索敵 
士官学校 
模擬戦闘 
情報参謀レイチェル 
独立遊撃艦隊 
カラカス基地攻略戦 
不期遭遇会戦 

第八章~十章は、稚拙ながら推理小説仕立てとなっております。
殺人犯は誰なのか? お楽しみください(*'▽')

犯罪捜査官 コレット・サブリナ 
コレット・サブリナ 犯人を捜せ! 
コレット・サブリナ 氷解 
スハルト星系遭遇会戦 
テルモピューレ会戦 
ハンニバル艦隊 

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銀河戦記/拍動編 最終章・エピローグ
2023.06.03

エピローグ


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図=Wikipedia 銀河系より


エピローグ


 故郷のトラピスト連合王国に別れを告げ、銀河系渦状腕間隙の向こう側にある未踏の地「いて・りゅうこつ腕」へと向かったアレックス率いる移民船だった。
 渦状腕間隙の中に点在する恒星系を転々と渡りつつ補給を行いながら、各所に灯台ビーコンを設置して新航路「タルシエンの橋*」を築いていった。

 そして苦難の末ついに、対腕に渡り終えて最初の植民惑星『シャイニング』に到達した。
 後を追ってケンタウルス帝国軍がやってくるかも知れない、まずは防衛のための軍事基地を最優先に建設を始めた。
 さらに近隣恒星系惑星の『カラカス』『クリーグ』にも軍事基地を建設して、タルシエン橋を囲い込むような三点防衛ラインを築いた。
 タルシエンの橋の出口は狭く、相手が出てきたところを、包囲集中攻撃することができるので、どんな大軍で押し寄せようとも各個撃破できる。
 万が一突破された場合に備えて、衛星軌道に強力なビーム兵器を搭載した攻撃衛星を配備。
 惑星全体をエネルギーシールドが覆って近寄せず、地上には無数のミサイルサイトが口を開いて、宇宙からの侵入者を撃破する。
 シャイニングは、強大なる軍事基地へと成長していった。

 ある程度の防衛拠点ができたところで、いて・りゅうこつ腕における開拓移民を開始した。
 開拓移民は続き、いて・りゅうこつ腕のほぼ中心ほどに完全地球型の惑星を発見して首都星として、故郷の名を取って『トランター』と名付けた。
 いて腕に存在する惑星は資源豊富で、瞬く間に工業都市国家トリスタニア共和国が誕生した。

 発展を見届けたアレックスの子孫は、いて腕からさらに銀河の内側に広がる渦状腕である『たて・ケンタウルス腕』へと渡る新航路『ルビコンの橋』を発見して移民を開始した。
 後の専制君主国家アルデラーン公国の首都星となる惑星『アルデラン』に到達し発展していった。
 たて・ケンタウルス腕の辺境において、深緑のエメラルド色の瞳を持った子供が誕生し、やがて一族をまとめ上げてアルデラーン公国を興すこととなる。
 彼の名は『ソートガイヤー』後の初代銀河帝国皇帝となる人物だった。

 一方、ケンタウルス帝国も外側に広がるペルセウス腕へと渡る新航路『レマゲンの橋』を開発して移民を開始した。

 時は流れ、地球からは観測のできない銀河系の反対側の領域で、三者は出会うこととなり、この宙域を中立地帯と設定した。
 この中立地帯より『じょうぎ腕』へ渡った者もいたが、あまりにも銀河中心(銀河ブラックホール)に近すぎるために、環境が悪くあまり発展することはなかった。一応は、自由諸国連合を組織して細々と平和に暮らしているようだった。


 こうして、ケンタウルス帝国、トリスタニア共和国、アルデラーン公国という三つ巴の銀河大戦の下地が整った。

 銀河戦記/波動編 銀河帝国の興亡(仮題) へ続く


解説
 *タルシエンの橋=天の川銀河のいて腕とオリオン腕の間の領域、約6500光年に「こぎつね座OBアソシエーション」と呼ばれるフィラメント構造の大質量星形成領域が発見された。

 2022年、大阪府立大学 藤田 真司 研究員、名古屋市科学館 河野 樹人 学芸員、国立天文台野辺山宇宙電波観測所 西村 淳 特任准教授を中心とする研究グループは、野辺山 45m 電波望遠鏡を用いて、天の川銀河の腕間に位置する大質量星形成領域「こぎつね座OBアソシエーション」に対する大規模な分子ガス雲の観測を行いました。
 観測の結果、この領域で長さ100光年にわたる巨大フィラメント状分子ガス雲の存在を初めて明らかにしました。



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銀河戦記/拍動編 第六章 Ⅴ 王位継承の証
2023.05.27

第六章


Ⅴ 王位継承の証


 サラマンダー号は、ついに祖国トラピスト星系連合王国首都星へと帰ってきた。
 高性能ワープドライブ装置によって、寸分違わず所定の位置にワープアウトしてきたのである。
 船内の全モニターには、目の前に青く輝くトランターが映し出されていた。
 食い入るように見つめる乗員達。
 モニターがアレックスの映像に切り替わり、船内及び地上に向けての放送が始まった。

『私は、トラピスト連合王国第三王子フレデリックの子、アレクサンダー。フレデリック王子夫妻の亡骸を運んできている。空港への着陸許可を願いたい。一応警告しておきますが、この船には縮退炉が搭載されていますので、万が一の場合にはそれを爆縮させることもできます』

 セルジオ弁務コミッショナー執務室。
 テレビ映像がアレックスの放送を流していた。
「縮退炉って、確かブラックホールを利用するエンジンや発電機ですよね。まだ開発段階と聞いていましたが……」
 秘書官が首を傾げていた。
「先の戦いでは、荷電粒子砲をぶっ放した船だ。それを実用化させたんだろう。信じられないがな」
「如何いたしますか?」
「いわばブラックホール爆弾を抱えて飛び込んできたんだ。しばらく様子見だ。好きにやらせておこう」
「分かりました。着陸許可を出します」
 連絡を入れてから、
「それはそうと確か誘拐されたかという、太陽系連合王国のイレーヌ王女も一緒におられるかと思いますが……」
「相手は、そのことは何も言ってきておらん。クロードからは連絡はきてないし、放っておくさ」
「いいんですかね」
「知ったこっちゃないよ」
「分かりました」


 王室専用空港。
 上空からサラマンダー号が着陸しようとしていた。
 ターミナルビル空港ロビーには、放送を聞いてクリスティーナ女王が出迎えに来ていた。
 横づけされたアムレス号に、ボーディング・ブリッジが接続される。
「いらっしゃいましたわ!」
 侍女が連絡通路口に現れたアレックスを確認した。
 フレデリック夫妻の眠る冷凍カプセルを運ぶアレックスに駆け寄る女王。
 カプセルの中を覗いて、
「間違いありません。フレデリック王子です」
 言いながら、アレックスを見つめる。
「あなたがアレクサンダー……ですね」
「はい」
 小さく頷く。
「あなただけも生きて帰って嬉しいです」
 言いながら、アレックスを抱擁する。
 しばしの無言の時間が流れる。
「私は、仲間を連れて新天地に向かおうと思っています。銀河渦状腕間隙の向こう側へ」
「新天地?」
「御存知かと思いますが、仲間のほとんどが脱獄者です。この地にいることはできません。されども押して帰国したいと願う者もいます。その者たちの擁護をできませんか?」
「それは可能だと思いますけど……」
「よろしくお願いします。それでは、私はこれで……」
 血が繋がっているとはいえ、これまで一度も面識のない関係である。
 淡白な対応をするのも無理からぬことだろう。
「ちょっとお待ちを」
 呼び止める女王。
 立ち止まるアレックス。
「あなたにこれを」
 と首に付けていた首飾りを外して、アレックスに手渡した。
「これは?」
 アレックスが尋ねると、
「トラピスト連合王国において、王位を継ぐ者が身に着けるものとして、古くから受け継がれてきた由緒ある秘宝の首飾り『王位継承の証』です」
 それは中心に深緑色の大粒のエメラルド、周辺に小粒のダイヤモンドを配した首飾りだった。
「王位継承の証?」
「この王国は私で最期となるでしょう。今後は、ケンタウリ帝国の息の掛った傀儡(かいらい)の王が選ばれます。ですから、真の継承者たるあなたに譲ります」
「よろしいのですか?」
「あなたが目指す新たなる地で国を興こそうとした時、国王となすためには必要となるものですから」
 しばらく考え込むアレックスだった。
「分かりました。ありがたく頂いておきましょう」
「あなたの子孫は、きっと必ず銀河を統一できるでしょう」
 それが何百年後になるかは、この時点では計り知れないだろうが……。

 空港にはもう一人の人物が降り立っていた。
 アンドレ・タウンゼント少佐である。
「来ているはずだが……」
 当たりをキョロキョロと見まわしている。
 すると向こうから、小走りで掛けてくる女性が現れた。
 彼の恋人のエミリアだった。
 飛びつくようにアンドレに抱き着くエミリアだった。
「生きていてよかった……」
 かいつまんで、事の成り行きを説明するアンドレ。
「それで、新天地へ君も着いてきて欲しい」
 単刀直入に説得する。
「もちろん、あなたの行くところへはどこへでも着いていきます」
「ありがとう」
 そして彼女を強く抱きしめる。


 数時間後、下船を希望した者を除いて、新天地への旅路に向かう人々を乗せてサラマンダー号が発進した。
 宇宙空間に出たところで、接近する数多くの船が現れた。
「通信が入っています」
「繋いでくれ」
 通信士が繋いで、モニターに相手が映し出された。
「私は、この船団のリーダーです。私たちも、新天地へ連れて行ってください」
「保証はできないが」
「かまいませんよ。ケンタウリの圧政を忍ぶよりも自由がいいですから。それに、この船には開拓に必要な設備も搭載していますから、お役に立てると思うのですが」
「分かりました。一緒に行きましょう」
「ありがとうございます」
 そうこうするうちに、船団は数百隻に膨れ上がっていた。
 話を聞くと、クリスティーナ女王から応援の依頼があったそうだ。
 他の船からも次々と連絡が入って、新天地に向かっての開拓船団が出来上がっていった。
「進路、『タルシエンの橋』へ向かえ!」
 アレックスが下令すると、
「了解。進路、タルシエンの橋!」
 船長のアンドレが復唱する。
 ゆっくりと動き出す開拓移民船団。
 タルシエンの橋を渡った先の未踏の地、いて・りゅうこつ腕へと向かう。


 セルジオ弁務コミッショナー執務室。
 窓から、アムレス号が発進するのを眺めているセルジオ弁務コミッショナー。
 秘書官が、サラマンダー以下の船団が新天地に向かうことを危惧していた。
「彼らを、行かせてもよかったのですか?」
「構わんよ。反乱分子は出て行ってくれた方がいい。それに、奴らが新天地での開拓を終えて発展しはじめた頃に、我々が出向いて行って占領すれば、自分で開拓する努力はいらない」
「なるほど……いや、それって何十年、何百年先の話ですか?」
「何にせよ。奴らがどちらへ向かうか、索敵しておくべきだな」
「すでに長距離探索艇を出しています」
「なら良い。さて、女王様に会いに行くか」



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