銀河戦記/拍動編 第三章 Ⅳ アムレス号
2023.02.04

第三章


Ⅳ アムレス号


 ビーグル号を離れてアムレス号へ向かう救助艇。
 艦載機発着口が開いて、中へと進入してゆく。

 救助艇を降りてゆく一同。
 辺りをキョロキョロと見回している。
 船内にはずらりと戦闘機が並んでいた。
「戦闘機だ!」
 一人がコクピットに乗り込み、計器類をいじりはじめた。
「こりゃあすごいや! これがミサイル発射ボタンで……ほう。自動操縦装置まであるぜ」
 どうやらパイロット出身のようである。
 戦闘機を囲む一同。
「一度、こいつに乗って戦ってみたいぜ。地球艦隊の戦闘機とは比べようがないほど高性能だぞ」
 わいわいがやがやと戦闘機談義しているところへ、ロビーがヒョコヒョコとやってきた。
「おっ! 何だ? ロボットだ」
 ロビー一同のすぐそばまでやってきて伝言する。
『皆サン、ヨウコソイラッシャイマシタ、歓迎シマス。コチラヘドウゾ』
 と言いながら、元来た道を戻りながら案内する。
「この船の主に合わせてくれるのか?」
『着イテキテクダサイ』
 ぞろぞろとついてゆく一同。
 エレベーターの前に到着し、ロビーの促すまま乗り込む。
「不思議だな」
 ビューロン少尉が首を傾げる。
「何がですか?」
「気が付かないか?」
「一体何が?」
「この船には人間が見当たらない」
「人間が?」
「そうだ。今まで分かっているのは、通信に出た女性とその背後にいた少女だけしかいない。あとはこのロボットだけだ」
「そう言われれば、船を動かすべき乗組員に一人も出会っていませんね」
「おい、ロボット。この船には、人間は二人しかいないのか?」
 ビューロン少尉が尋ねる。
『ハイ。ソノ通リデス』
「だとしたら、どうやってこの艦は動いているのだ? ただ漂流しているというわけではあるまい」
 その時、丁度エレベーターが止まった。
『到着シマシタ』
 扉が開くと、そこはコントロームルームだった。
 エレベーターから出てくる一同。
 エダ、手を広げて彼らを迎える。
「ようこそ。我がアムレス号へ」
「教えてください。あなたは何者で、この船はどこの国の所属なのか? この船には人間がほとんどいないようだが、どうやって動いているのか?」
 矢継ぎ早に質問する一同。
「それは、いずれゆっくりとお話しましょう。まずはこの宙域から、急いで退避します。と、その前に……主砲発射準備!」
 いつの間にか計器類の前に陣取って操作しているロビーだった。
 アムレス号の主砲を、ビーグル号に照準を合わせている。
『発射準備完了シマシタ』
 それを見ていたアレックスが尋ねる。
「何をしようというか?」
「もちろん、ビーグル号を破壊するのです」
「なぜ?」
「ビーグル号のコンピューターデータバンクには、このアムレス号との戦闘状況が記録されているはず。それを完全消去せねばならぬのです。このアムレス号の戦闘能力を敵に知られないために」
「そうなのか……?」
「戦いとはそういうものです」
『主砲、スタンバイOKデス』
「分かりました、主砲直ちに発射して下さい」
『了解。主砲発射シマス』
 主砲より発射されたエネルギービームがビーグル号に襲い掛かり炸裂する。閃光とともに爆発炎上して轟沈するビーグル号。
「ビーグル号が……」
「すごい! たった一撃で、あのビーグル号を撃破するとは……。地球艦隊でも手こずったというあのビーグル号が……。たった一撃か」
 唖然とする一同。
「では、全速で撤退しましょう」
『了解! 全速前進、退避シマス』
 加速して戦闘宙域から離脱してゆくアムレス号。
「待ってくれ! 私の質問に答えてくれないのか。せめて我々の味方なのか敵なのか、それだけでもはっきりさせてくれ」
「トラピスト星系連合王国なのか?」
 執拗に尋ねるので、つい答えてしまうエダ。
「このアムレス号は、どこの国にも所属していませんし、味方となるか敵となるかは、あなた方しだいです」
「我々しだい?」
「その通りです」
「我々にどうしろと言うのですか?」
「ともかく、このアムレス号に乗船している間は、私の指示に従ってもらいます。従えない方には、退船して頂きます」
「訳が分からないのだが……」
「今言えるのはこれだけです。ロビー、皆さんをお部屋に案内して差し上げてください」
「了解シマシタ。自動操縦ニ切リ替エマス。コース設定完了」
 機器をテキパキと操作を終えて、くるりと反転して、
『ミナサン、コチラヘドウゾ』
 と、トコトコと先に歩き出した。
 一同、ロビーの後に付いてゆく。
 ただ一人、アレックスだけが立ちすくんでいた。
 その視線の先には、少女イレーヌがいた。
「アレックス……」
「イレーヌ……」
 互いの名前を呼びあいながら、一歩また一歩と歩み寄ってゆく。
 やがて小走りになり、
「アレックス!」
「イレーヌ!」
 駆け寄って抱き合う。
 扉付近を過ぎようとして一行が振り向く。
「あれ、アレックスは?」
「あそこだよ」
 と抱き合う二人を指さす。
「おい、あの少女は?」
「どうやらアレックスの知り合いのようですね」
「あの少女は確か……」
 呟くビューロン少尉。
「少尉殿は、あの少女をご存じなのですか?」
「いや、何でもない。人違いだ」
 尋ねた部下は首を傾げる。

 抱き合っていたイレーヌとアレックス、やがて離れる。
「どうして君がここにいるの?」

「それは……」
「私がお連れしたのです。アレックス様」
 返答に窮していたイレーヌに変わって、エダが答える。
「あなたは? 僕の名前をどうして知っているのですか?」
「私は、あなた様の忠実な従臣でございます」
「従臣?」
「左様にございます。アレックス様をお救いするために、こうしてアムレス号でお迎えに参ったのです」
「アムレス号……」
「はい。宇宙戦闘艦アムレス号、あなた様の船です。命ずるままにどこへでも……」



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11
銀河戦記/拍動編 第三章 Ⅲ 救援
2023.01.28

第三章


Ⅲ 救援


 宇宙空間。
 態勢を整えて、砲門を未確認戦に向ける地球艦隊各艦。
 対するアムレス号からは無人戦闘機群が発艦している。

 アムレス号船橋。
 スクリーンを前に腕を組むエダ。
 その後方で心配そうな表情のイレーヌ。
「敵ガ応戦シテキマシタ。エネルギービーム接近!」
 たちまち集中砲火を浴びるアムレス号。
 船橋内はビームの閃光で眩いばかりになっていた。
 しかし、船内の機器は正常に作動しており、損傷はないようだった。
「ビームバリアー、正常ニ動作中! 船ニ損傷ハ、アリマセン」
「攻撃続行します。但し、国王の乗られているノーザンプトンは外して」
 イレーヌの父親であるクロード王を死なせるわけにはいかない。
 敵ではあっても、将来において和平交渉となったときに、生きていてくれなければならない。
「了解シマシタ。ノーザンプトン、ハ外シマス」
 引き続き攻撃を続けるアムレス号。


 ノーザンプトン艦橋。
「ビ、ビーム砲がまるで歯が立たない」
「バリヤーか!」
「そのようです」
「ミサイルに切り替えて攻撃しろ!」
「バリヤーを張れるとは、よほど高性能のエンジンを搭載しているようです」
 スクリーンに映る戦艦の一つが、艦載機によって撃沈された。
 次々と沈められてゆく味方艦隊。
「戦艦ミディアムがやられました」
「続いて巡洋艦アマンダ」
「現在の味方の戦況は?」
「はっ。現在味方の五分の一が撃沈もしくは大破。残りもかなりの損傷を受けています」
「馬鹿な。たった一隻の敵艦に我が艦隊が手も足も出ないというのか?」


 ビーグル号艦橋。
 アムレス号が、太陽系連合王国艦隊に対して優勢に戦っているのを、驚愕の視線でモニターを見つめている囚人達。
「たった一隻で、あれだけの艦隊と互角に戦えるとは」
「互角どころか、かなり優勢に戦っていますね。あ、またやられた」
「あれは、巡洋艦アトランタだったな」
 ビューロン少尉が呟く。
「地球艦隊はすでに戦力の五分の一を失ったもよう」
「先が見えてきたな」
「どこの所属の船なんでしょうねえ」
「分からんな。ただ言えることは、我々の敵ではないということだ」
「ケンタウリ帝国でも太陽系連合王国でもなさそうです。となると……トラピスト星系連合王国ですかね」
 奮戦する宇宙船を見つめるアレックスに視線が集まる。


 ノーザンプトン艦橋。
「我が方の損害は?」
「はっ。戦力の四分の一を失いました」
「そうか。たった一隻の船に、歯が立たないというのか……」
「こちらにも艦載機があれば十分戦えるのですが」
「うむ。第七艦隊のエンタープライズは、今オルファガ宙域でトラピスト軍と戦っておるしな。空母はすべて戦線に出ておる」
「駆逐艦フレッチャーが撃沈されました」
「陛下、このままでは全滅してしまいます」
「うーむ。あと一息でビーグルをやれたというのに……」
「陛下……」
「分かっておる。撤退すればいいのだろう。インゲル星に降下しろ。そこまでは追ってはこないだろう」
「了解。全艦、百八十度回頭! インゲル星へ降下せよ」
 全艦インゲル星へと降下してゆく。
「イレーヌ……」
 アムレス号に捕らわれている王女を気遣う国王だった。


 ビーグル号艦橋。
「見ろ! 地球艦隊が退却を始めたぞ」
「ざまあみろ!」
「俺たちは助かったんだ!」
 口々に喜びの声を上げている。
「果たして助かったと言えるかどうか……」
 アレックスが呟く。
「そのだ。この船は、もはやポンコツ同然だし、修理しようにも技師がいない。あの宇宙船だって地球艦隊から救ってくれはしたが、真に味方とは言えないしな」
「一体どこの国の宇宙船でしょうか?」
「分からんな。ただ言えるのは、我々の敵ではなさそうだということだけだ。アレックス殿はご存じないですか?」
「いえ……」
「宇宙船が、こちらへ向かってきます」
「我々をどうしようというのか……」
 一同疑心暗鬼になっていた。


 ビーグル号に接近する宇宙船アムレス号。
 すぐそばに迫ったアムレス号の雄姿に唖然としている一同。
「すげえ!」
「これほどの宇宙船は、ゴーランド艦隊にだって見当たらないぜ」
「宇宙船より入電です」
「映像回線に映せ!」
 ビューロン少尉が指示すると、スクリーンにエダが映し出される。
 一同が注目する。
「あなたは?」
 ビューロン少尉が尋ねる。
「話はこちらに来てからにしましょう。これより救助艇をそちらに向かわします。ドッキングロックから脱出して下さい」
「分かりました。感謝します」
 もはや航行不能に近いビーグル号にいつまでも乗船しているわけにもいかない。ここは好意に甘えて移乗するしかない。
 不審船であることには変わりがないが、ここにいても埒があかない。
「総員。速やかに脱出の用意をしろ。負傷者から先だ! 急げよ、いつ敵が体勢を整えて攻撃を仕掛けてくるやも知れんからな」
 ただ一人、スクリーンを見つめるアレックス。
 エダの背後に見知った人物を確認した。
「イレーヌじゃないか……」

 イレーヌの方もアレックスに気が付いて、スクリーンに近寄る。
 手を胸に当てて、アレックスを見つめている。
「アレックス……生きていたのね……」
 涙を流すその肩に手を置いて、エダが宥める。
「さあ、迎えに行きましょう」



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銀河戦記/拍動編 第三章 Ⅱ 戦闘
2023.01.21

第三章


Ⅱ 戦闘


 宇宙空間を飛ぶセルジオ艦ビーグル号。
 艦橋では、元囚人達によって計器は操作され、インゲル星から遠ざかりつつあった。
「プラズマエンジン大気圏外出力から惑星間航行速度へ」
「インゲル星重力圏突破しました」
 パネルスクリーンに離れてゆくインゲル星を見ながら歓声を上げる囚人達だった。
「やっと解放されたぞ!」
「我々は自由になったんだ!」
 一同口々に叫んでいる。
「それはまだ早いぞ」
 ビューロン少尉が注意勧告する。
 それと同時に艦が激しく揺れる。
 あちこちに飛ばされ動揺する囚人達。
「何だ。一体何が起こったんだ?」
 レーダー担当になっていた者が叫ぶ。
「右舷後方に敵地球艦隊接近中!」


 インゲル星の背後から現れた、クロード王率いる地球艦隊。
 旗艦ノーザンプトンの艦橋内。
「いいか。絶対に逃がすなよ」
「はっ!」
「巡洋艦前へ。駆逐艦は両翼に展開して、魚雷で徹底的にやれ!」
 艦長がテキパキと指令を下している。
 その様子を見つめながら、スクリーンを眺めている。
「それにしても、セルジオ様ともあろうお方が、簡単に艦を奪われるとは……」

 ビーグル号艦橋内。
「追尾装置セットオン!」
「いいか。よく狙って撃て」
 ビューロン少尉が注意する。
「方位修正右0.2秒。上下角そのまま。敵艦主砲軸線上に乗りました」
「よし。攻撃開始」
 攻撃を開始するビーグル号。
 ビーム砲が地球艦隊に当たって砕け散る。

 ノーザンプトン艦橋。
「敵が撃ってきました!」
 副官の報告にクロード王が応える。
「なあに大したことはない。相手は戦艦ではないのだ。たとえ高性能のゴーランド艦とてたかが一隻。我々の方が数・火力とも上だ」
「それに、ビーグル号をまともに操縦したことのない連中ですからね」
「そういうことだ」

 ビーグル号艦橋。
 濛々(もうもう)と煙を上げる艦内。
 時折起こる爆風。
 倒れている兵士と囚人達。
「機関部損傷。エネルギーゲージ70%ダウン」
 機関部からの連絡が入る。
「クソォ! ここまで来ながら……」
「諦めるのは早い。最後まで戦うのだ」
 次々と被弾し、損傷の酷くなってゆくビーグル号。
「第一主砲被弾。第七副砲……全砲使用不能」
「もはやこれまでか……」
 老人が掛かりかける。
「アレックス様」

 ノーザンプトン号艦橋。
「敵は完全に沈黙しました」
「よし。ビーグル号に打電しろ。降伏か死か選ばせるのだ」
「了解」
「脱獄者は処刑あるのみではないですか?」
「本来ならばな。しかしビーグル号はセルジオ様の船でもあるしな……。通信士、収容所のセルジオ様との連絡は取れたか?」
「はっ。それがセルジオ様はお休みになられたとかで、応対に出られないとのことです。代わりにガードナー少佐が出られて、ビーグル号に関しては一切口出し無用捨て置けとの返答です」
「何だと! 一切関知するなと言うのか?」
「その通りです」
「一体何を考えているのだ。こんな重大事にセルジオ様が眠っておられる。その上、奪われたビーグル号も捨て置けとは……」
「陛下。ビーグル号が逃げていきます」
「通信士、先ほどの打電の返答は?」
「ありません。応答なし」
「よし、撃ち落せ」
「しかし、ガードナー少佐は捨て置けと」
「たかが将校ごとき聞く耳持たぬわ。セルジオ様直々のお言葉なら別だがな」
「どうしますか?」
「ええい! かまわん撃破してしまえ」
「了解。主砲発射用意! 目標ビーグル号」
「しかし陛下。敵に奪われはしたものの、ビーグル号はセルジオ様の船です。いいのでしょうか?」
 副官が確認する。
「かと言って、囚人をこのまま逃がしてもいいというのか?」
「それは……」
「お前は黙っていろ!」
「陛下、主砲発射準備完了しました」
「よし。発射しろ!」

 ビーグル号艦橋。
「敵がまた撃ってきました」
「なすすべもなしか……」
「それにしても、これだけ攻撃を受けても良く持っているのが不思議だ」
「そりゃそうですよ。これはゴーランド艦ですよ。地球艦とは比べものにならぬ程、材質・技術が違います。がしかし、こうも集中攻撃を受けては、さしものゴーランド艦とて……」
 その瞬間、艦内を爆風が襲う。
 吹き飛ぶ囚人達、そして老人。
 濛々たる黒煙が立ち込める。
「おじいさま!」
 老人のもとに駆け寄るルシア。

 ノーザンプトン号艦橋。
 正面スクリーンを見つめるクロード王。
「よし。そろそろ止めを刺せ」
「はっ。ミサイル艦前へ」
 前進するミサイル艦。
「ミサイル発射!」
 多数のミサイルがビーグル号に襲い掛かる。

 ビーグル号艦橋。
 老人の身体に触れ伏して泣いているルシア。
 それを見つめているアレックス達。
「ミサイルだ!」
 誰かが叫ぶ。
「あれにやられたら一たまりもないぞ!」
 ミサイルがビーグル号に襲い掛かる。

 ノーザンプトン艦橋。
 まばゆい光に目を細めるクロード王。
「命中です」
「うむ……」
 次第に光が薄らいでゆく。
「むっ?」
 スクリーンを凝視するクロード。
 そこにはビーグル号が生存していた。
「どうしたんだ? ビーグル号は健在だぞ!」
「そんな馬鹿な! ミサイルは直撃しました。木っ端微塵になっているはずです」

 ビーグル号艦橋。
 床に伏して震えている者、耳を押さえて目を瞑っている者。
 皆やられたと思ってかじっとして動かない。
 ゆっくりと立ち上がるアレックス。
「どうしたんだ?」
「ん……ミサイルは?」
 ビューロン少尉も不可思議な表情をしている。
 倒れている者も、次々に起き上がりスクリーンを見つめる。
「助かったのか?」
「ミサイルがぶつかる寸前に爆発したみたいだけど……」
「あ、あれは何だ?」
「どうした?」
 囚人の一人がスクリーンを指さす。
 そこには見知らぬ宇宙船が映っていた。
「あの船が迎撃してくれたのか?」
「地球の船ではないようね」
「ケンタウリの船でも、トラピストの船でもないようだ」

 ノーザンプトン艦橋。
「右舷三十度に未確認艦発見!」
「何だと?」
「ミサイル接近中! 五秒で接触します」
「迎撃しろ!」
「駄目です。間に合いません!」
「機関全速、取り舵一杯!」
 眩い閃光と共に、護衛艦の一隻が轟沈した。
「第二波接近します」
「全艦、主砲をあの宇宙船に標準合わせ! 機関砲、ミサイルを撃ち落せ!」
「あれは! 地球を脱出した例の宇宙船ですよ」
 副官が気付いて報告する。
「何、本当か!」



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