銀河戦記/鳴動編 第二部 第十五章 タルシエン要塞陥落 Ⅰ
2021.08.20

第十五章 タルシエン要塞陥落





 銀河帝国でアレクサンダー皇太子によって、内乱が集結され統一がなった頃、タルシエン要塞では一大事が起きていた。

 タルシエン要塞内に鳴り響く警報音。
「タルシエンの橋に感あり! 何者かが橋を通過しているもよう」
「ついに来たか!」
 要塞防御指揮官であるフランク・ガードナー少将は指令を下す。
「戦闘配備につけ!」
「戦闘配備!」

「あれはなんだ?」
 タルシエンの橋から、まるで蜂の巣を突いたように、数えきれないほどの戦闘機が沸いて出てくる。
「戦闘機です!」
「カーグ少佐とクライスラー少佐に迎撃させろ!」
「すでに発艦済みです」
 無数の戦闘機群に対して、ジミー・カーグ少佐とハリソン・クライスラー少佐が出て迎撃する。
「戦闘機の数、あまりにも多すぎて計測不能です。百万機以上は軽く突破します!」
 要塞の周囲に展開していた戦艦だったが、小さな戦闘機に悪戦苦闘していた。
「だめだ! 戦艦では小さな戦闘機の相手にならない。カーグ少佐達に任せるしかないな」
 そのカーグ少佐は、戦闘機相手に奮戦していたが、圧倒的多数に苦戦していた。
 が、撃墜していく中で気が付いたのだった。
「報告! 敵戦闘機は無人だ!」
 そうなのだ。
 撃墜した敵戦闘機には人が乗っていないことが判明した。
「無人戦闘機だと?」
「おおう。有人機は一機もいねえよ」
「これではこっち側だけの消耗戦ではないですか。相手は撃墜されても人的被害はゼロです」
「なるほどな。帰還の必要のない無人機なら使い捨てだ。しかも生命維持装置や脱出装置など必要ないから、格安に大量生産できるというわけか」
「3Dプリンターで打ち出した機体に、エンジンと機関砲そして制御装置を組み込んで。はい! 一丁出来上がりですね」
「いわば百円ライター戦闘機ですか?」
「戦闘は遠隔でしょうか?」
「違いますね。プログラムをインプットされた自動戦闘でしょう」
「どういうことだ?」
「まずは設定目標に対して攻撃、進路を妨害されたら逃げるか攻撃目標を変更。最終的に燃料切れ寸前に自爆か特攻という具合です。どうやら敵さんの中に自動実行のアルゴリズムを構築できる優秀なプログラマーがいるようです」
「優秀なプログラマー? まさか例のジュビロ・カービンという奴か?」
「彼はハッカーじゃないか。綿密なプログラムなど組めるのか?」
「しかし実際に、この要塞を奪取した際にはプログラム再構築に参加してましたよね」
「そ、そうだった」

「敵さんは、この要塞の詳細を知り尽くしているからな。弱点とかもな」

「これだけの戦闘機です。橋の中のどこかに空母が潜んでいると思われます」
「だろうな。よし、一発お見舞いしてみるか。要塞砲の発射準備をしろ!」
「要塞砲発射準備!」
 陽子反陽子対消滅エネルギー砲は、銀河随一の破壊力を持つ究極の兵器である。
「陽子・反陽子加速器始動開始!」
「要塞奪取時に発射テストを行って以来だ。入念にチェックをしろよ」
「了解」
「アレックスは二度と発射することはないだろうと言っていたが、こんな形で実行することになるとはな」
「軸線上にある艦艇を下げます」

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2021.08.20 07:05 | 固定リンク | 第二部 | コメント (0)
銀河戦記/鳴動編 第二部 第十四章 アクティウム宙域会戦 Ⅵ
2021.08.19

第十四章 アクティウム海域会戦





 ウィンディーネ艦隊が前に突出してゆく。
 続いて本隊にも命令を下す。
「本隊も動くぞ。全艦全速前進だ!」
「御意!」
 ついに皇太子派の全軍も進軍を始めた。

 ウィンディーネ艦隊の猛烈な攻撃により、摂政派軍の中央が崩されてゆく。左右に分断され指揮系統も混乱を始めていた。
 やがて中央突破に成功したウィンディーネ艦隊が反転攻撃を開始する。
 分断されて混乱の極みに達した
「ウィンディーネに打電! 敵の右翼に砲撃を集中させよ!」
 通信士が打電する。
「了解! ウィンディーネは敵右翼に集中攻撃せよ!」
 左翼を相手にせず、右翼だけに集中すれば、対する艦数はほぼ互角となる。

 そして迂回していたマーガレット皇女艦隊が到着し、側面攻撃を開始した。
 戦闘機一機は戦艦一隻に相当する。
 ここに至って、艦数で皇太子派軍は俄然優勢となり、右翼の艦隊は壊滅に至った。
「これ以上、無駄な血を流すこともないだろう。投降を呼びかけてくれないか」
「御意!」
 残された左翼も、完全包囲される格好となり、アレックスの投降の呼びかけに応じて白旗を揚げた。
「殿下、皇太子派軍の勝利です」
 誇らしげに勝利宣言を発表するジュリエッタ皇女だった。


 摂政派軍敗北の報が、アルタミラ宮殿に届いた。
「我が軍が敗北しただと?」
 青ざめるロベスピエール公爵だが、玉座にあるロベール皇帝は何のこと? といった表情で首を傾げている。
 皇太子派軍が帝国本星に向けて進撃を開始したのを受けて、公爵は自国のウェセックス公国へと落ち延びていった。
 エリザベス皇女は、事態の収拾を図るために宮殿に留まることを決断し、アレクサンダー皇太子到着の前に、やるべき事を次々と行った。
 まずは摂政派の要人に対して、身の振り方の確認をし、ニューゲート監獄に収監されていた皇太子派の要人達を解放した。
 国民を虐げていた憲兵組織の解散。
 閉鎖されていた皇室議会の開場。
 空港・鉄道などの公共機関の解放。
 報道機関の検閲廃止と自由化など。
 そして何よりの衝撃は、ロベール皇帝の廃嫡を宣言したのである。
 退位ではなく、そもそも即位がなかったとしたのだ。そうでなければ、帝位を奪った者として処断される可能性もあったからである。

 数日後、アレックスが二皇女を引き連れてアルタミラ宮殿に入った。
「アレクサンダー皇太子殿下、マーガレット皇女様、ジュリエッタ皇女様、ご入来!」
 近衛兵が、謁見の間に通じる重い扉を開けながら宣言する。
 招聘された大臣や上級貴族、そして高級官僚の立ち並ぶ謁見の間の真紅のカーペットの上を歩いて玉座に向かう三人。
 アレックスが目の前を通る度に、深々と頭を垂れる大臣達。
 中には、摂政派に属していた者達もいたが、転身してもはや異議を訴える者は一人もいない。
 壇上への数段の階段を上り、玉座の前に立つアレックス。
 かつてロベール皇帝が着座していたが、廃嫡宣言によって空席となっている。
 玉座の脇で深々と頭を下げて、アレックスの着座を促しているエリザベス皇女。

 謁見の間の参列者を嘗め回すように見渡してから、静かに着席した。
「皇太子殿下、万歳!」
 マーガレットが高らかに唱える。
「皇太子殿下、万歳!」
 釣られる様に参列者達も続いて唱えだした。

第十四章 了

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2021.08.19 06:36 | 固定リンク | 第二部 | コメント (0)
銀河戦記/鳴動編 第二部 第十四章 アクティウム宙域会戦 V
2021.08.18

第十四章 アクティウム海域会戦





 戦況は一進一退を続けていたが、アレックスは冷静沈着であった。
「第二戦線の方はどうかな? そろそろ戦端が開始される頃だと思うが……」
 第二戦線という名称で有名なのは、対独戦争における米英軍のノルマンディー上陸作戦である。当時独軍は東部戦線(ソ連方面)に兵力を集中していたが、ソ連はその勢力を分散させるよう同盟国である米英に背後からの攻撃を要請した。

 その第二戦線。
 カスバート・コリングウッド提督率いる部隊は、摂政派軍の側面攻撃のために船の墓場を迂回しつつ進軍していた。
 突然、警報が鳴り響く。
「前方に戦闘機多数出現!」
「戦闘機だと?」
「後方に空母アークロイヤルを確認しました」
「敵艦隊は、第二皇女マーガレット様のもよう」
「馬鹿な! 敵の方が数が少ないというのに、勢力を分散させてこちらに回ってくるなんてあり得ない! 自滅を早めるだけじゃないか」
 勢力分散など兵力に余裕のある時というのが提督の持論のようだ。
 数万機の戦闘機群に取り囲まれる別動隊。
 戦列艦を主体としているだけに、艦載機を搭載した空母など一隻もいなかった。
 護衛の戦闘機なしでは、いかに火力のある戦列艦とて歯が立たなかった。

 空母アークロイヤル艦橋。
「やはり別動隊が動いていたようですね」
 というマーガレット皇女の呟きに、司令長官のアーネスト・グレイブス提督が応答する。
「はい。殿下の先見の明は確かでした」
「さすが殿下というしかありませんね」
「どうやら勝利は時間の問題です」
「敵将は誰か分かりますか?」
「カスバート・コリングウッド提督のようです」
「同じ帝国軍です。降伏を進言してください」
「かしこまりました」

 それから数時間後、カスバート・コリングウッド提督は降伏し、別動隊は進軍を停止した。あまつさえ、説得に応じた従順な指揮官達がマーガレット皇女の配下に入ったのである。
 そして今度は、摂政派軍への側面攻撃に向けての逆進行を開始した。


 第二戦線からの報告を受けたアレックス。
「そうか想定通りだったな。それに比べてこちらは大変だ……」
 皇太子派軍は第二皇女艦隊六十万隻が抜けて、百四十万隻で戦っていた。対する摂政派軍は戦列艦が抜けたとしても総勢二百六十万隻と、相変わらずの圧倒的優勢である。
 第二皇女が戦域に到着して側面攻撃を開始するまでは持ち堪えられそうにない。
「そろそろ頃合いかな……」
 戦闘が順調に続いて、帝国の将兵たちも戦闘慣れしてくる頃だった。
「ウィンディーネに突撃命令を出せ! 敵陣に飛び込んで中央から分断せよ!」
 その命令を、パトリシアがウィンディーネのゴードンに伝える。

「閣下! 提督から突撃命令が出ました!」
「よおし! 待っていたぞ、全艦突撃開始せよ!」
 立ち上がって下礼するゴードン。
「今度こそ、汚名を晴らす好機である。与えられたチャンスを逃すことなく、ウィンディーネの底力を見せつけてやれ!」
 ゴードンの奮起に、
「おおお!」
 と、歓声を上げるオペレーター達。

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2021.08.18 06:46 | 固定リンク | 第二部 | コメント (0)

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