銀河戦記/拍動編 最終章・エピローグ
2023.06.03
エピローグ

図=Wikipedia 銀河系より
エピローグ
故郷のトラピスト連合王国に別れを告げ、銀河系渦状腕間隙の向こう側にある未踏の地「いて・りゅうこつ腕」へと向かったアレックス率いる移民船だった。
渦状腕間隙の中に点在する恒星系を転々と渡りつつ補給を行いながら、各所に灯台ビーコンを設置して新航路「タルシエンの橋*」を築いていった。
そして苦難の末ついに、対腕に渡り終えて最初の植民惑星『シャイニング』に到達した。
後を追ってケンタウルス帝国軍がやってくるかも知れない、まずは防衛のための軍事基地を最優先に建設を始めた。
さらに近隣恒星系惑星の『カラカス』『クリーグ』にも軍事基地を建設して、タルシエン橋を囲い込むような三点防衛ラインを築いた。
タルシエンの橋の出口は狭く、相手が出てきたところを、包囲集中攻撃することができるので、どんな大軍で押し寄せようとも各個撃破できる。
万が一突破された場合に備えて、衛星軌道に強力なビーム兵器を搭載した攻撃衛星を配備。
惑星全体をエネルギーシールドが覆って近寄せず、地上には無数のミサイルサイトが口を開いて、宇宙からの侵入者を撃破する。
シャイニングは、強大なる軍事基地へと成長していった。
ある程度の防衛拠点ができたところで、いて・りゅうこつ腕における開拓移民を開始した。
開拓移民は続き、いて・りゅうこつ腕のほぼ中心ほどに完全地球型の惑星を発見して首都星として、故郷の名を取って『トランター』と名付けた。
いて腕に存在する惑星は資源豊富で、瞬く間に工業都市国家トリスタニア共和国が誕生した。
発展を見届けたアレックスの子孫は、いて腕からさらに銀河の内側に広がる渦状腕である『たて・ケンタウルス腕』へと渡る新航路『ルビコンの橋』を発見して移民を開始した。
後の専制君主国家アルデラーン公国の首都星となる惑星『アルデラン』に到達し発展していった。
たて・ケンタウルス腕の辺境において、深緑のエメラルド色の瞳を持った子供が誕生し、やがて一族をまとめ上げてアルデラーン公国を興すこととなる。
彼の名は『ソートガイヤー』後の初代銀河帝国皇帝となる人物だった。
一方、ケンタウルス帝国も外側に広がるペルセウス腕へと渡る新航路『レマゲンの橋』を開発して移民を開始した。
時は流れ、地球からは観測のできない銀河系の反対側の領域で、三者は出会うこととなり、この宙域を中立地帯と設定した。
この中立地帯より『じょうぎ腕』へ渡った者もいたが、あまりにも銀河中心(銀河ブラックホール)に近すぎるために、環境が悪くあまり発展することはなかった。一応は、自由諸国連合を組織して細々と平和に暮らしているようだった。
こうして、ケンタウルス帝国、トリスタニア共和国、アルデラーン公国という三つ巴の銀河大戦の下地が整った。
銀河戦記/波動編 銀河帝国の興亡(仮題) へ続く
解説
*タルシエンの橋=天の川銀河のいて腕とオリオン腕の間の領域、約6500光年に「こぎつね座OBアソシエーション」と呼ばれるフィラメント構造の大質量星形成領域が発見された。
2022年、大阪府立大学 藤田 真司 研究員、名古屋市科学館 河野 樹人 学芸員、国立天文台野辺山宇宙電波観測所 西村 淳 特任准教授を中心とする研究グループは、野辺山 45m 電波望遠鏡を用いて、天の川銀河の腕間に位置する大質量星形成領域「こぎつね座OBアソシエーション」に対する大規模な分子ガス雲の観測を行いました。
観測の結果、この領域で長さ100光年にわたる巨大フィラメント状分子ガス雲の存在を初めて明らかにしました。
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