銀河戦記/鳴動編トップメニュー
2023.05.31
PC版ホームページからの移行ブログです。
最近はスマホが流行し、今後は主流となると思います。
そこで、スマホでは表示が見にくいPC版を、
こちらへと転載していこうと思います。
ルナリアン戦記
銀河戦記/拍動編 new
第一部後半はこちらです
第二部はこちらです
第二部後半はこちら
銀河戦記/脈動編
ファンタジー系はこちらです

序章
索敵 I・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・V
士官学校 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・V
模擬戦闘 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ・Ⅵ・Ⅶ・Ⅷ・Ⅸ
情報参謀レイチェル I・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ・Ⅵ・Ⅶ
独立遊撃艦隊 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ・Ⅵ
カラカス基地攻略戦 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ・Ⅵ・Ⅶ・Ⅷ・Ⅸ・Ⅹ
不期遭遇会戦 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ・Ⅵ
第八章~十章は、稚拙ながら推理小説仕立てとなっております。
殺人犯は誰なのか? お楽しみください(*'▽')
犯罪捜査官 コレット・サブリナ Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・V・Ⅵ・Ⅶ
コレット・サブリナ 犯人を捜せ! Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・V・Ⅵ・Ⅶ・Ⅷ
コレット・サブリナ 氷解 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・V・Ⅵ
スハルト星系遭遇会戦 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・V・Ⅵ・Ⅶ・Ⅷ・Ⅸ・Ⅹ・Ⅺ
テルモピューレ会戦 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・V・Ⅵ・Ⅶ・Ⅷ
ハンニバル艦隊 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・V・Ⅵ・Ⅶ
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銀河戦記/拍動編 第六章 Ⅴ 王位継承の証
2023.05.27
第六章
Ⅴ 王位継承の証
サラマンダー号は、ついに祖国トラピスト星系連合王国首都星へと帰ってきた。
高性能ワープドライブ装置によって、寸分違わず所定の位置にワープアウトしてきたのである。
船内の全モニターには、目の前に青く輝くトランターが映し出されていた。
食い入るように見つめる乗員達。
モニターがアレックスの映像に切り替わり、船内及び地上に向けての放送が始まった。
『私は、トラピスト連合王国第三王子フレデリックの子、アレクサンダー。フレデリック王子夫妻の亡骸を運んできている。空港への着陸許可を願いたい。一応警告しておきますが、この船には縮退炉が搭載されていますので、万が一の場合にはそれを爆縮させることもできます』
セルジオ弁務コミッショナー執務室。
テレビ映像がアレックスの放送を流していた。
「縮退炉って、確かブラックホールを利用するエンジンや発電機ですよね。まだ開発段階と聞いていましたが……」
秘書官が首を傾げていた。
「先の戦いでは、荷電粒子砲をぶっ放した船だ。それを実用化させたんだろう。信じられないがな」
「如何いたしますか?」
「いわばブラックホール爆弾を抱えて飛び込んできたんだ。しばらく様子見だ。好きにやらせておこう」
「分かりました。着陸許可を出します」
連絡を入れてから、
「それはそうと確か誘拐されたかという、太陽系連合王国のイレーヌ王女も一緒におられるかと思いますが……」
「相手は、そのことは何も言ってきておらん。クロードからは連絡はきてないし、放っておくさ」
「いいんですかね」
「知ったこっちゃないよ」
「分かりました」
王室専用空港。
上空からサラマンダー号が着陸しようとしていた。
ターミナルビル空港ロビーには、放送を聞いてクリスティーナ女王が出迎えに来ていた。
横づけされたアムレス号に、ボーディング・ブリッジが接続される。
「いらっしゃいましたわ!」
侍女が連絡通路口に現れたアレックスを確認した。
フレデリック夫妻の眠る冷凍カプセルを運ぶアレックスに駆け寄る女王。
カプセルの中を覗いて、
「間違いありません。フレデリック王子です」
言いながら、アレックスを見つめる。
「あなたがアレクサンダー……ですね」
「はい」
小さく頷く。
「あなただけも生きて帰って嬉しいです」
言いながら、アレックスを抱擁する。
しばしの無言の時間が流れる。
「私は、仲間を連れて新天地に向かおうと思っています。銀河渦状腕間隙の向こう側へ」
「新天地?」
「御存知かと思いますが、仲間のほとんどが脱獄者です。この地にいることはできません。されども押して帰国したいと願う者もいます。その者たちの擁護をできませんか?」
「それは可能だと思いますけど……」
「よろしくお願いします。それでは、私はこれで……」
血が繋がっているとはいえ、これまで一度も面識のない関係である。
淡白な対応をするのも無理からぬことだろう。
「ちょっとお待ちを」
呼び止める女王。
立ち止まるアレックス。
「あなたにこれを」
と首に付けていた首飾りを外して、アレックスに手渡した。
「これは?」
アレックスが尋ねると、
「トラピスト連合王国において、王位を継ぐ者が身に着けるものとして、古くから受け継がれてきた由緒ある秘宝の首飾り『王位継承の証』です」
それは中心に深緑色の大粒のエメラルド、周辺に小粒のダイヤモンドを配した首飾りだった。
「王位継承の証?」
「この王国は私で最期となるでしょう。今後は、ケンタウリ帝国の息の掛った傀儡(かいらい)の王が選ばれます。ですから、真の継承者たるあなたに譲ります」
「よろしいのですか?」
「あなたが目指す新たなる地で国を興こそうとした時、国王となすためには必要となるものですから」
しばらく考え込むアレックスだった。
「分かりました。ありがたく頂いておきましょう」
「あなたの子孫は、きっと必ず銀河を統一できるでしょう」
それが何百年後になるかは、この時点では計り知れないだろうが……。
空港にはもう一人の人物が降り立っていた。
アンドレ・タウンゼント少佐である。
「来ているはずだが……」
当たりをキョロキョロと見まわしている。
すると向こうから、小走りで掛けてくる女性が現れた。
彼の恋人のエミリアだった。
飛びつくようにアンドレに抱き着くエミリアだった。
「生きていてよかった……」
かいつまんで、事の成り行きを説明するアンドレ。
「それで、新天地へ君も着いてきて欲しい」
単刀直入に説得する。
「もちろん、あなたの行くところへはどこへでも着いていきます」
「ありがとう」
そして彼女を強く抱きしめる。
数時間後、下船を希望した者を除いて、新天地への旅路に向かう人々を乗せてサラマンダー号が発進した。
宇宙空間に出たところで、接近する数多くの船が現れた。
「通信が入っています」
「繋いでくれ」
通信士が繋いで、モニターに相手が映し出された。
「私は、この船団のリーダーです。私たちも、新天地へ連れて行ってください」
「保証はできないが」
「かまいませんよ。ケンタウリの圧政を忍ぶよりも自由がいいですから。それに、この船には開拓に必要な設備も搭載していますから、お役に立てると思うのですが」
「分かりました。一緒に行きましょう」
「ありがとうございます」
そうこうするうちに、船団は数百隻に膨れ上がっていた。
話を聞くと、クリスティーナ女王から応援の依頼があったそうだ。
他の船からも次々と連絡が入って、新天地に向かっての開拓船団が出来上がっていった。
「進路、『タルシエンの橋』へ向かえ!」
アレックスが下令すると、
「了解。進路、タルシエンの橋!」
船長のアンドレが復唱する。
ゆっくりと動き出す開拓移民船団。
タルシエンの橋を渡った先の未踏の地、いて・りゅうこつ腕へと向かう。
セルジオ弁務コミッショナー執務室。
窓から、アムレス号が発進するのを眺めているセルジオ弁務コミッショナー。
秘書官が、サラマンダー以下の船団が新天地に向かうことを危惧していた。
「彼らを、行かせてもよかったのですか?」
「構わんよ。反乱分子は出て行ってくれた方がいい。それに、奴らが新天地での開拓を終えて発展しはじめた頃に、我々が出向いて行って占領すれば、自分で開拓する努力はいらない」
「なるほど……いや、それって何十年、何百年先の話ですか?」
「何にせよ。奴らがどちらへ向かうか、索敵しておくべきだな」
「すでに長距離探索艇を出しています」
「なら良い。さて、女王様に会いに行くか」
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銀河戦記/拍動編 第六章 Ⅳ トランターへ
2023.05.20
第六章
Ⅳ 新天地へ向かって
アンツーク星に接近するゴーランド艦隊。
モニターに映る星を見つめながら司令官が確認する。
「この星にアムレス号が逃げ込んだのは間違いないのか?」
「はい。間違いありません」
「ここで以前起きた戦いの記録データはあるか?」
「はい。漂流していた戦闘記録ディスク(フライトレコーダー)を回収してあります」
「再生してくれ」
「惑星地上はどうなっているんだ?」
「先の戦闘後の調査で、小惑星の地上にオリオン号が着陸し修理を行った形跡と、鉱石を採取した痕跡がありました」
「例の船は?」
「付近には見当たりません」
「地上に降りて隠れているのか……」
「スキャンしていきますか?」
「やってくれ」
「はい。いや、お待ちください」
「どうした?」
「惑星地表に高熱源を感知しました」
「何だと! モニターに映せ!」
モニターには、地表のあちらこちらで光点が輝きを増していた。
「ミサイルです!」
「全艦退避! 散開しろ!」
慌てふためいて右往左往と動き回るゴーランド艦隊。
転回する際に、隣接の艦と接触事故を起こす艦が続出した。
そんな混乱状態の所へ、ミサイルが襲い掛かる。
小惑星基地。
「敵艦隊、消滅しました」
エダが報告すると、
やったー!
と小躍りする一同。
「援軍が来るかもしれない。補給が終わり次第、ここを出立する」
「かしこまりました。それはそうと、アレックス様に会っていただきたい方がいます」
「僕に? 分かった」
「では、こちらへ」
先に立って歩き出すエダ。
エレベーターに乗り上の階へと昇る。
止まった階で降りると、これまでと一変した場所だった。
厳かな雰囲気のある大きな部屋。
その中央に表面がガラス状の箱が二つ置かれたあった。
近づいてみると、それは冷凍睡眠装置のような形状をしており、中に二人の人間が横たわっていた。
「この人は?」
アレックスが尋ねると、
「フレデリック様と奥様です。アレックス様のご両親です」
「両親!」
「トラピスト星系連合王国クリスティーナ女王の第三王子夫妻です」
親子の死しての対面であった。
その経緯を詳しく説明するエダだった。
「そうか……」
と呟いた後、しばらく無言だった。
「ここに放置していくのは忍びないな。本国に埋葬してやりたいものだ。サラマンダーに移せるか?」
「もちろんです」
「では、よろしく頼む」
「分かりました」
壁際の端末に歩み寄り、操作するエダ。
微かな音と共に、床が下がり始め冷凍装置と共に飲み込まれてゆき、昇降機に乗せられて、階下のサラマンダーへと運び込まれ、一室に安置された。
「完了しました」
「この部屋は?」
「サラマンダー内にあるアルフレッド様の居室でした。船長室にあたります」
「そうか、分かった。そろそろ出発しようか」
「はい」
その部屋を出て、第一船橋へと向かう二人だった。
アムレス号改めサラマンダー号は、円盤部に指揮統制の中枢である第一船橋(メインブリッジ)がある。船長に任命されたアンドレ・タウンゼント以下、操舵手、通信士、レーダー手などが適材適所に配置されている。
隣接して通信統制管制室、戦術コンピューター室などがある。
今まで船橋として使用していた所は、戦闘専用船橋として活用されることとなる。
本来軍艦としての設備をすべて網羅しているが、今は国家に属さない民間船であるのだが……。
「全員、乗船完了しました。補給も終了です」
「よし、出発しよう。エンジン始動!」
アレックスが下令すると、
「エンジン始動します」
機関長が応答して、始動スイッチを押してエンジンを起動させた。
かすかな音が鳴り響き、僅かに震動がはじまった。
「進入口水平シャッターを開きます」
天井を塞いでいたシャッターが開いてゆき、光が差し込んで暗闇の構内に明るさが戻った。
『船台ロック解除シマス』
船体が軽く揺れてロックが外れた。
「浮上せよ!」
『浮上シマス』
ゆっくりと浮上を開始するサラマンダー。
水平シャッターを超えて、地中から地上へと姿を現すサラマンダー。
そして宇宙空間へと飛び出す。
「船内放送の用意を」
「かしこまりました」
アレックスの指示で、
「これより銀河渦状腕間隙を超えて、隣接する『射手・竜骨腕』へと旅立つ」
おお!
という声を上げる一同。
「渦状腕間隙を渡る手段はあるのですか」
一人が手を挙げて質問した。
「アムレス号の航海記録に、間隙内に点在する星々のある航路が発見されたという記録が残されていた。これをタルシエンの橋と命名された」
「それがいわゆる、大河の中にある浅瀬ということなのですね?」
「そういうことだ」
互いに見つめあって話し合っている一同。
「その前に一度、トラピスト首都星トランターに立ち寄り、最後の別れをする。祖国に降ろしてやりたいのは山々だが、君たちは脱獄者だ。どんな仕打ちを受けるか分からない。それでも降りたいという者がいれば申告してくれ。対処しよう」
しばらく沈黙があった。
「自分は、新天地に向かいたいです」
一人が名乗りを上げると、
「自分は祖国を捨てます!」
「新天地に行きたいです」
次々と申告する人々。
数時間後、新天地に行く者と、懲罰を受けても祖国に降りるという者が分けられた。
「トラピスト首都星トランターへ進路を取れ!」
アレックスは下令する。
「進路トランターへ!」
「微速前進!」
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銀河戦記/拍動編 第六章 Ⅲ アンツーク再び
2023.05.13
第六章
Ⅲ アンツーク星再び
ゴーランド艦隊前線基地。
「惑星アンガスに未知の戦艦が現れて、奴隷どもを解放しました。」
「なんだと! 所長を呼び出せ!」
報告を受けて怒りを露にするアルミン・ヴェッツェル司令だった。
惑星アンツークを含む宙域を所轄としているがために、捨てては置けない問題だった。
「マルセル所長が出ました」
「パネルスクリーンに出せ!」
通信士が取り次ぐ。
スクリーンに映し出されるアンガス収容所マルセル・ヴェラー所長。
しどろもどろで言い訳を取り繕うのだった。
「謀反を起こした将校の手引きによって暴動が起きて、さらに突然上空から現れた見知らぬ戦艦に襲われたというのだな?」
「まことに申し訳ありません」
只々、平謝りする所長だった。
「まあよいわ。たかが奴隷が逃げただけだ。それで、その未確認艦の行方は分かっているのだろうな」
「はあ、おひつじ座の方角に向かいました」
「おひつじ座か……ディーガーデンに向かったのか? いや、そうと見せかけて、くじら座からみずがめ座に回り込むとかありそうだな……」
「みずがめ座というと、トラピスト星系連合王国……ですか? しかし、すでに降伏したのでは?」
「降伏を良しとしない勢力がいるのだろう。パルチザン組織というところだな」
「とにかく、逃げた方向に索敵部隊を派遣しましょう」
「ああ、そうしてくれ」
辺境地域の恒星系の小惑星帯を進むアムレス号。
その行く手にアンツーク星が見えてきた。
『目標地点ニツキマシタ」』
「降下してください」
『了解シマシタ』
ゆっくりと降下していくアムレス号。
「ここは来たことがあるぞ」
アンドレは、迫りくる惑星アンツークの地表に見覚えがあった。
かつて、旗艦オリオン号が修理のために立ち寄った星だということを思い出したのだ。
砂塵を巻き上げて地表に降り立とうとするアムレス号。
『水平シャッター開放シマス』
と突然、地面が割れて開いていく。
そこにはランディングポートを示すマークが描かれていた。
「船底モニターを映してください」
『了解、船底モニター投影シマス』
地表が近づいていく。
『ランディングギア、ヲ降ロシマス』
船底から降着装置が引き出される。
さらに地上が近づいて、着陸となる。
『着陸、完了シマシタ。エレベーター、ヲ始動シマス』
ゆっくりとアムレス号を乗せた昇降機が地下へと降下してゆく。
そして再び、天井のシャッターは閉まってゆく。
完全に降り切ったアムレス号の周囲が、天井からの光が途絶えて真っ暗闇に包まれる。
アムレス号が完全に静止すると、周囲から照明が当てられ、暗闇の中に浮かび上がる。
やがて壁からボーディング・ブリッジが伸びてきて、アムレスの搭乗口に接続された。
ゾロゾロと船を下船する人々。
一同は大広間に案内され、エダから説明を受けた。
「みなさん、ここの施設には大した設備はありません。携帯食料と寝袋を渡します。各自食事と睡眠を取ってください」
目の前のターブルに携帯食と寝袋が並べられている。
それを受け取って、各自適当な場所に腰を降ろして休息を始めた。
ベッドの上で眠りたいという願望があるだろうが、贅沢も言っていられない。
「収容所で強制重労働させられていたことを考えれば、ここは天国みたいなものだ」
「野戦のことを考えれば、雨露を凌げるだけでもましだしな」
それぞれ不満はあるだろうが、なるしかないと諦めるしかなかった。
アムレス号の駐機している倉庫では、これからの長旅に向けての増設工事が進められていた。
倉庫の奥から巨大な円盤状の機体が運び込まれてくる。
それは乗員達が快適に過ごせる居室の他、食堂・病院・アスレチック施設などの健康面に配慮した設備も充実していた。さらに放送局を兼ね備えた高性能の通信施設もある。
施設内は自動化されて、ロボットが組み立て工事を迅速に行っていた。
その様子をガラス張りの制御室から見つめているアレックス。
目の前の端末のディスプレイには、増設部の船内見取り図が表示されている。
「すごいな。これなら銀河系どこへでも行けるな」
「その通りです」
エダが自慢げに答える。
「これを、僕の両親が設計・開発・建造したというこだな」
「はい。一応船の名前も命名されておりました」
「アムレス号ではなくて?」
「正式名称は『ハイドライド型高速船零式サラマンダー』です」
「サラマンダーか……いい名前だ。それに改名しようか」
「結構ですね」
突然、管内に警報が鳴り響いた。
「何だ? 何事だ?」
一同が驚いていると、壁に取り付けられたモニターに映像が映された。
宇宙空間から接近する艦隊の姿だった。
「ゴーランド艦隊だ!」
「ついにここまで追ってきたのか?」
「この惑星を包囲されたら、逃げ道はないぞ!」
狼狽(うろた)える人々。
制御室のモニターにも敵艦隊来襲の映像が流れている。
そこへアンドレ・タウンゼントが駆けつけてきた。
「ゴーランド艦隊が来たぞ」
「そのようですね」
エダが答えると、
「手はあるか?」
アレックスが尋ねる。
「ここには迎撃ミサイルがありますよね」
先にアンドレが発言する。
かつて、オリオン号が立ち寄った時に、ここを訪れて半自動防空管制装置を見ているからである。
「どうして、そのことを?」
首を傾げるエダ。
「オリオン号に乗っている時に、戦闘の損傷を修理するために、この星に降りたことがあって、修理に必要な鉱石探しで、この基地を発見しました」
「なるほど、そうでしたか」
「それで、ミサイルは使えるのですか?」
「もちろん」
「やはり起動キーはアムレス号?」
「そうですね。如何いたします』?」
と、アレックスに判断を求めるように言った。
「そうだな。やってくれ」
「では、アレックス様、こちらのパネルに手を乗せて下さい。指紋・掌紋照合機です」
「分かった」
指さしたパネルに、アレックスが手を乗せると光が出て、その掌紋を読み取っていく。
「アレックス様が赤子の時に、すでに指紋・掌紋を登録してありました」
「そうか、それが起動キーだったのか!」
アンドレが納得する。
システムが生き返り、室内のすべての機器が動き出した。
「迎撃システムを起動します」
エダが端末を操作すると、計器が明滅しはじめて、半自動防空管制装置の迎撃システムが動き出した。
モニターには、地上のミサイルサイトが開いてゆく様子が映し出されている。
自動的に接近する敵艦隊に対しての標的ロックオンが始まる。
「まもなく発射されます」
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銀河戦記/拍動編 第六章 Ⅱ 奴隷解放
2023.05.07
第六章
Ⅱ 奴隷解放
奴隷惑星に近づく宇宙船アムレス号。
船橋のスクリーンには、バリアーに包まれた惑星が投影されている。
「工作員からの連絡は?」
エダが質問する。
『アリマセン』
ロビーが応える。
「そう……。どうやら動力炉の切断には、まだ成功してないようね」
信号が入った。
『下カラ連絡入リマシタ。動力ノ切断ニ成功!』
と同時に、前方の惑星の周囲に張り巡らせられていたバリアーが薄れてゆき、やがて消失した。
『バリアー、ノ消失ヲ確認!』
「微速前進、衛星軌道に進入しろ」
アレックスが下令する。
『了解、微速前進、衛星軌道ニ進入シマス』
ゆっくりと動いて、惑星の軌道上に乗るアムレス号。
「軌道爆雷を投下して、航空基地を叩け!」
『了解、地上ヲスキャン、シテ航空基地ヘノ軌道爆雷投下シマス』
捕虜を収容するには、大気圏突入しなければならず、基地からのミサイルや戦闘機迎撃ができないようにするためである。
軌道を一回りしてから、航空基地への爆雷攻撃が始まる。
地上の各所の基地が真っ赤に炎上する。
「大気圏突入しろ」
『突入シマス』
大気圏に入ると、前方から戦闘機が向かってきた。
爆雷攻撃を受ける前に、緊急発進したものと思われる。
「キニスキー大尉達にまかせよう」
艦内スピーカーが警報を鳴らし、キニスキー大尉達の緊急発進命令を流していた。
控室で携帯食料を頬張っていた大尉が立ち上がる。
「俺らの出番か! みんな急げよ」
他の仲間を促して、発着場へと走る。
各自割与えられた戦闘機に搭乗してゆく。
「総員搭乗した。ゲートを開けてくれ!」
『了解』
発着口が開いていき、戦闘機が勇躍飛び出してゆく。
「久しぶりのドッグファイトだ。みんな気を許すなよ」
通信を入れると、
『へいへい。まかせろよ。そちらこそ、腕がなまっていないだろうな』
という答えが返ってくる。
「いい返事だ。行くぞ! アタックだ!」
『了解!』
迫り来る戦闘機群に向かってゆくキニスキーらの戦闘機。
一方、収容所内では友軍来訪とみて、歓声を上げながら守衛に対して攻撃を加えていた。
動力炉では、電源シャットダウンに成功したアンドレとイブが次の行動に移っていた。
「飛行場へ向かいます」
イブが率先して飛行場へ続く通路を駆け出す。
アンドレも遅れずに着いてゆく。
途中、守衛と鉢合わせし銃撃戦となるが、無事に飛行場にたどり着いた。
今まさに、巨大な船が降下しているところであった。
その船からは、収容所の銃座への攻撃が続いている。
その降下地点付近に向かって、捕虜達が男女入り乱れて駆けてゆく。
舞い降りてくる船を見上げながらアンドレが尋ねる。
「自分もあの船に乗れるのか?」
「そうです。捕虜達も連れていきます」
「分かった」
アンドレも船に向かって走り出す。
一目散に船に向かって駆け寄る捕虜達に対して、収容所側も最後の足掻きを見せて、一斉掃射の銃撃を開始した。
次々と倒れる捕虜達だったが、アムレス号から援護の砲撃が始まる。
何とか乗船口にたどり着くアンドレ。
「みんな急げ!」
後続の捕虜達に急かせるアンドレ。
次々と到着する捕虜達と握手を交わしながら船内へと迎え入れる。
肩を負傷した捕虜がヨタヨタと乗船してくる。
「大丈夫か?」
アンドレが声を掛けると、
「大丈夫だ。俺が最後だと思う」
と息を切らしながら答える。
収容所の方を見ると、もはや誰も出てこなかった。
出遅れた者もいるかも知れないが、いつまでも待っているわけにはいかない。
援軍の艦隊が向かってきていることもある。
「扉を閉めます」
イブが開閉弁を操作して扉を閉じた。
さらに傍の端末で連絡を入れた。
「こちら格納庫乗船口。全員搭乗しました。離陸お願いします」
『了解。離陸シマス』
機械調の音声での返事があると、船体はゆっくりと上昇を始めた。
「助かったあ!」
歓声を上げる人々。
抱き合って喜ぶ者もいる。
そして先輩ともいうべきアレックスの仲間達が拍手で出迎えた。
「責任者に合わせてくれないか」
アンドレが近くの年配者に尋ねた。
彼は、インゲル星での脱獄を主導し、アレックスを助け出した老人だった。
「君の名前は?」
「アンドレ・タウンゼントです。オリオン号の元艦長です」
「艦長だと?」
とイブの方を向いて、彼女が首を縦に振るのを見てから、
「それは都合が良い。君には乗組員の指導と監督をお願いできるかな?」
「私でよければ」
「分かった。この船の主に会わせてあげよう。着いてきてくれ」
というと、先に立って歩きだした。
船内の隅にあるエレベーターに乗る。
たどり着いた先は、どうやら船橋のようであった。
正面に大きなパネルスクリーンがあり、操舵士席や通信士席などが並んでいる。
その後方、部屋の中央の席に指揮官と思われる人物が座っている。
「トラピスト星系連合王国旗艦オリオン号の元艦長、アンドレ・タウンゼント殿をお連れしました」
その声に反応するようよに立ち上がり、こちら側に振り向く指揮官。
「やあ、お勤めご苦労様でした」
あまりにも若い指揮官に意外な表情を見せるアンドレ。
「あなたがこの船の指揮官ですか?」
「そういうことになっています」
「?」
「この方は、トラピスト星系連合王国クリスティーナ女王の第三王子フレデリック様のご子息のアレックス殿下です」
「女王様の公孫であらせられると?」
「いかにも。囚われの身である女王様をお救いせんと、みはたを掲げて活動されていらっしゃるのです」
「了解しました。自分もぜひお仲間に入れてくださいませんか?」
アンドレが願いを申し立てると、
「無論です。仲間は一人でも多い方がいいですからね。あなたには、船長として乗組員を取りまとめていただきましょう」
「ありがとうございます」
格納庫では、乗船した人々に対して、船内における役割分担を決めていた。
各人の職歴を聞き取って、前職で機関要員だったものは機関室へ、戦闘機乗りは船内にある戦闘機の割り当てなどを行っていた。
「戦闘機に乗るのはいいが、パイロットの人数より、戦闘機の数が全然足りていないじゃないか」
不満を述べる者もいた。
「それは心配ない。この後、戦闘機の置いてある秘密基地に向かうことになっている」
「秘密基地があるのか?」
「詳しくは知らないがな」
「知らないのかよ」
「すべてはエダさまが知っている」
「エダ?」
「アレックスさまの相談役ということらしい」
船橋内。
「総員、配備に着きました」
エダが報告する。
「分かった。予定通り、アンツークに向けて出発しろ!」
アレックスの下令にオペレーターが応える。
「了解しました」
「進路、アンツーク星。微速前進!」
ゆっくりと進路を変えて、アンツーク星へと進路を取るアムレス号。
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