銀河戦記/鳴動編 第二部 第八章 トランター解放 II
2020.07.25

第八章 トランター解放


II


 戦艦サジタリウムの艦橋内。
 正面スクリーンには、アレクサンダー皇太子率いる帝国・解放軍連合艦隊が迫っている
姿が投影されている。
「帝国軍、停止しました」
「敵艦隊より降伏勧告が打電され続けています」
 通信士のその言葉には、早く結論を出してくれという悲哀にも似た感情が込められてい
た。
 目の前にいる艦隊は、総督軍二百五十万隻を打ち破った艦隊である。
 しかも、あの共和国同盟の英雄と称えられているアレックス・ランドール提督が率いて
いるのだ。
 誰が考えても勝てる見込みはないと思えるだろう。
 そう……。
 司令官でさえ、そう思っているのだから。
 それを踏み留めさせているのは、連邦軍から派遣されて同乗している監察官の存在があ
るからである。
「司令官殿。判っておいでですよね」
 彼の名は、ユリウス・マーカス大佐。
 その手には拳銃が握り締められている。
 武器の持込が禁じられている艦橋において、監察官だけは武器の所持が許されている。
 そして今、その武器を構えて司令官に徹底抗戦を指図しているのだ。
 監察官の任務として、トランター総督府統帥本部からの指令を忠実に守ろうとしている。
 連邦軍三十万隻の将兵達は、本国において革命が起きた以上、ここを死守しなければ帰
る場所はない。
 しかし旧共和国同盟軍の将兵達にとっては、銀河帝国は友好通商条約国であり、ラン
ドール艦隊は同胞である。
 できれば戦わずに済めば良いと考えるのは至極当然のことであろう。
「私達に、あのランドール提督と戦えと命ずるのですか?」
 司令官のアンディー・レイン少将が念押しする。
「その通りだ」
 マーカス監察官は冷酷に答える。
 彼とて勝算はないことは判りきっていることである。
 ワープゲートを奪取されたと判った時に、奪還のために迎撃に出ることも考えたが、現
れたのは銀河最強のアル・サフリエニ方面軍六十万隻である。残存の百万隻を持ってして
も勝ち目のない相手である。
 そうこうするうちに遠征軍をものの見事に看破して、目の前に押し並べてやってきた。
 もはや逃げも隠れもできない切羽詰った状態である。
 まさか二百五十万隻の艦隊が百五十万隻の艦隊に敗れようとは思わなかったから、留守
居役を任されたとしても、気楽に考えて何の策も講じていなかった。
 結局、ランドールは百二十万隻の隠し玉を用意していて、都合二百七十万隻の艦隊で当
たったのだから勝つのは当たり前。
 残された道は、降伏か玉砕かであるのだが……。
 この際、かつての同胞同士で戦ってもらおうじゃないか。
 はっきり言って、旧共和国同盟がどうなろうと知ったこっちゃないというのが本音であ
ろう。
「どうした? 出撃命令を出さないのか」
 拳銃を握る手先に力をこめるマーカス監察官。
 その時、指揮官パネルが鳴った。
 付帯している通話機に入電である。
 即座に艦隊リモコンコードによる緊急連絡であると気づくレイン少将。
 相手は誰か?
 艦隊リモコンコードによる緊急連絡を行える艦艇は、この付近にはいないはずである。
 同様の艦政システムを搭載していて、アクセスできる相手となると……。
 ランドール提督座乗のサラマンダーしかない。
 おもむろに送受器を取るレイン少将。
「わたしだ」
 あくまでも艦内連絡かのように振舞うレイン少将。
 この連絡手段を知らないであろうマーカス監察官に気取られないためである。
『解放軍司令のランドールです』
 感が当たった。
「ああ、君か。今忙しいのだ。用件は手短にしてくれないか」
『なるほど。そばに監察官がいるのですね。それも連邦軍で、徹底抗戦を?』
「そのとおりだ」
『まさか同胞同士で戦うつもりはないでしょう?』
「確かにそう願いたいものだよ」
『では、こうしませんか。こちらから艦隊リモコンコードを送信します。それを全艦隊に
再送信して同調させてはくれませんか』
「するとなにか、君は徹底抗戦を進言すると言うのだな。勝てる見込みがあるというの
か」
『おまかせください』
「判った。そうしよう」
『では、艦隊リモコンコードを送信します』
 レイン少将は指揮パネルを受信にセットした。
 ややあってコードは受信完了した。
 そしてマーカス監察官に向かって言った。
「部下の一人から意見具申がありました」
「で?」
「帝国軍は遠征軍と一戦交えた後で、兵士達も疲弊しているはず。しかもランドール提督
にとっては、同胞同士の戦いは避けたいと考えるのが常識。そこが付け目で、十分互角に
戦えるはずとね」
「ふん」
「というわけで、あなたのご意向通りに戦闘開始することにしました」
「そう願いたいものだな」
 マーカス監察官は、レイン少将とランドール提督との密約に気づいていない。
 これから起こることに目をむくことになるだろう。
 その後逆上した監察官が取りうる行動は予想だに難しくないが、将兵達の命を救うため
にも、自らを犠牲にするもやぶさかではない。
「全艦戦闘配備! これより送信する艦隊リモコンコードに同調させよ」

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冗談ドラゴンクエストⅢ 冒険の書・22
2020.07.25

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悲しみの村テドン

ナレ「ポルトガを再出発してすぐ、海峡の南に祠を発見する」
勇者「おや?今まで気がつかなかったが、ジブラルタル海峡の南の岬に、何やらあるじゃ
ないか?」
ナタリー「あら、今更気がついたの?」
コンラト「そうですね。大航海時代は、アメリカ大陸発見だ!とかなんとか言ってポーズまで
とって、さっさと西に向かいましたからね」
勇者「どうでもいいじゃんか。ともかく上陸して調べてみようぜ」
ナレ「ちなみに大昔には、ジブラルタルの両端は陸続きで、地中海は内海にして塩湖でし
た。やがて533万年前に一帯が海に沈んで現在のごとくとなりました」
勇者「祠かと思ったが、灯台だったな」
ナレ「あ、説明を聞いてないでしょ!」
勇者「(´・ω・`)知らんがな」
防人「この灯台に来たのは、正解だったぜ。海の男のオレさまが世界のことをおしえてや
る!ここから南、りくにそって船をこげば、やがてテドンの岬をまわるだろう。そして、
テドンの岬から、ずっと東へゆけばランシール。さらにアリアハン大陸が見えるだろう。
アリアハン大陸からずっと北へ船でゆくと、黄金の国ジパング」
勇者「話が長い!字数制限があるんだから、もっと短く簡潔に言え!!」
ナタリー「あんたこそ、話の腰を折らないでね」
防人「で、世界のどっかにある6つのオーブをあつめた者は、船を必要としなくなるって
話だ。とにかく、南へいってみな。おっと、それから今のオレの言葉をよおく心にきざみ
こんでおけよ」
勇者「なるほど、よおく分かったぞ」
リリア 「何が分かったんですか?」
勇者「要するに、船を手に入れたらまず最初にここへ寄るべきだった、ということ。航海
後に立たずだ」
ナタリー「後悔先に立たずでしょうが!」
勇者「そうとも言うな」
ナタリー「何がそうとも言うなよ(*'へ'*)ぷんぷん」
勇者「ところで、1階の階段脇に最後の鍵の掛かった扉があったな。どこに通じているの
かな?」
コンラト「行ってみれば分かりますよ」
ナレ「ということで、扉を開けて旅の扉に飛び込むと……さらに最後の扉があって、開け
て出てみると森の中」
勇者「おや?見たことあるような場所だな」
ナレ「外に出てみると、アリアハンのレーベの村の南にある、いざないの洞くつへの近道
であった」
勇者「そうか、あの時は見向きもしなかったが…ここに居てもしょうがないから戻ろう」
リリア 「あの時は、最後の鍵を持ってませんでしたからね」
ナレ「灯台を出発してさらに大陸沿いに南下する。途中に祠を発見する」
修女「ここは、まよえる船人たちがたちよる小さな教会。昔はテドンの村人たちも、よく
来ていました。でも、今は……」
勇者「テドンの村か……」
リリア 「後ろに旅の扉がありますけど、その先はどうなっているのでしょうか?」
コンラト「テドンの村でしょうか?」
勇者「行ってみれば分かるぞ。旅の扉に飛び込め!」
ナレ「旅の扉に飛び込んだ先、最後の鍵で開けた所は、どこかの宿屋のようであった」
宿人「われは、日いづる国より来たもの。国では『やまたのおろち』なる怪物がおりもう
して、みなこまっていまする」
勇者「やまたのおろちか……やはり巡る順番を間違えたようだな」
ナタリー「外に通じているわね。ちょっと出てみましょうか」

ナレ「宿屋を出たところは……」
勇者「うむ、ここは、朝鮮半島だな」
ナタリー「はい。ここを読んでいる方のために、解説しなさい」
勇者「ええと……。ここは中国大陸の出っ張りにあって、朝鮮人が『東海』などと抜かす
日本海を挟んで、東にあるのがジパングだ。先の宿人が言っていた、日いづる国というこ
とだ」
リリア 「ご苦労様でした。よく分かりましたよね?」
勇者「おちょくってるのか?」
コンラト「とんでもない。勇者さんの博識に感動しているだけです」
勇者「そうは思わんが……まいいや。元に戻るのもアレだから、地図の色塗りのために、
ちょっくら西に向かってみるか」
ナレ「というわけで、ジパングを後ろ見に、西へと進む」
勇者「なあ、今進んでいるのは中国大陸だよな?」
リリア 「そうだと思います」
勇者「大航海時代の中国と言えば、明から清というところだろ?」
コンラト「時代的に、そうなりますね」
勇者「北京はどこだ?紫禁城はないのか?」
ナタリー「町や村はないし、長江も黄河もないわよ。ただ平原が広がっているだけで、砂漠す
らないわよ」
勇者「つまらんなあ……。楼蘭もロプノールもないとは。せめてBGMは、喜多朗のシル
クロードテーマ曲『絲綢之路』にしてくれよ」
ナレ「西へ西へと、魔物退治しながら進んでいくと」
ナタリー「なんか、どこかで見たような場所に来たようだわ」
コンラト「神殿が見えてきました。あれは?」
勇者「なんだ、ダーマの神殿じゃないか。もうこんな場所にたどり着くとは、中国大陸
というには恥ずかしい限りだな。中国とインドシナ半島を合わせて、ギュッと凝縮させた
みたいだな。中国共産党がこのMAPを見たら、日本大使を呼びつけて激しく抗議をする
ぞ」
ナタリー「現世界ならね」
勇者「ダーマの神殿そばを流れる川は、さしずめメコン川か」
リリア 「ダーマの宿屋で休息しましょうか?一人2G、安いものね」
勇者「そうだな。休んで冒険の書に記録してもらって、もう一度さっきの祠からさらに南
下してみよう」
ナレ「それからポルトガから再出発して、アフリカ沿岸を南下し、前回の祠を横に見なが
ら、さらに南下する」
勇者「ちょっと待て!ここら辺りの陸地が色塗りされていないじゃないか。未踏破という
ことは、何かあるかも知れないな」
コンラト「そうですね。あ、川が流れていますよ。ここを遡ればいいんじゃないですか?」
勇者「スーの村もそうだったよな。よし、川を遡上しようぜ」

ナレ「大西洋から川を遡って陸地の奥へと向かう」
勇者「な、なんだよ。やけに魔物の出現率が半端ないぞ。しかも強敵揃いだし」
リリア 「それだけ重要なものがあると思われますね」
ナレ「仲間を呼んだり、死んだ仲間を復活させるというシャーマンに苦戦しながらも、な
んとか村が見えてきた」
リリア 「夜になりましたね」
勇者「ああ、夜になれば魔物の出現率もレベルも上がるから、さっさと村に入ろう」
村人「ようこそ、テドンの村へ」
兵士「テドンの岬を東にまわり、陸ぞいにさらに川を上ると、ひだりてに火山がみえるだ
ろう。その火山こそがネクロゴンドへのカギ。しかし、よほどの強者でもないかぎり火口
には、近づかぬほうが身のためだろう」
リリア 「ネクロゴンド、メモしておきますね( ..)φカキカキ」
勇者「なんだよ、夜だというのに、ここの連中はやけにピンピンしているじゃないか。眠
くならないのかな?」
コンラト「アッサラームも夜の町でしたよ」
リリア 「それにしても、なんかあちこち建物が崩れていますね。毒沼もあります」
コンラト「おそらく魔物に襲われたのでしょう。例のギアガの大穴の近くのようですし」
勇者「しかし、ここまでの道のり強敵だらけで疲れたよ」
リリア 「宿屋がありますから、休憩しますか?」
勇者「そうだな……。ここはルーラで来れるリストにないしな。また来なければならなく
ならないように、宿屋で休息を取りながら徹底的に調査しよう」
宿屋「ひと晩、4ゴールドですがお泊りになりますか?」
勇者「や、安いな。泊まろうぜ。情報集めは翌朝からにしよう」
宿屋「それでは、ごゆっくりおやすみください」
ナレ「一行が目ざめた時、村の様子が一変していた。村人が誰一人いなくなっていたのだ」
勇者「な、なんだよ一体!?」
リリア 「これはまるで……一晩で無人の廃墟になった?」
コンラト「ゆめ……をみているのでしょうか?」
勇者「と、とにかく情報集め……はできないから。何かないか探索しよう」
ナレ「宿屋を出て探索を開始する」
ナタリー「とはいっても誰一人いないから」
勇者「毒沼の先に階段があるな、行ってみよう。あ、沼の中に小さなメダル見っけ(*^^)v」
ナレ「地下に降りた所には、棺桶が二つ並んでいた」
リリア 「ゾンビとか入っていないですよね(;'∀')」
ナレ「勇者は、そっとカンオケのなかをのぞいてみた……死んでいるような…生きている
ような…しかし、やはりただのしかばねのようだ…」
勇者「あれ、棺桶のそばに、いのちのきのみ、が落ちてたぞ。なんか、侘しく感じるな。
これを使えば、この人も少しは長生きできたのかもな」
コンラト「ここは、牢屋みたいですね。中には亡骸が……」
勇者「いわゆる獄死というやつか。牢屋に入れられているということは、何らかの重要な
情報を持っていそうなのだが。死んでいては、聞くにも聞けないな」
ナレ「武具屋の看板のある店には誰もいない。二階に上がると」
リリア 「ベッドに誰かが……」
ナレ「返事がない。ただのしかばねのようだ……」
リリア 「成仏してください(手を合わせる)」
勇者「くろずきん、やみのランプがあったぞ!」
ナタリー「あんたは、何があっても家探し優先なのね」
勇者「それが俺の生きがいだからな。で、くろずきんは防具だろうけど、やみのランプは
何に使うのか?」
コンラト「試しに、使ってみたらいかがですか?」
勇者「使ったらどうなる?擦ったりすれば、ランプの精が現れて、三つの願いをかなえて
くれるのか?」
ナタリー「それは、アラジンと魔法のランプでしょが!」
勇者「その三つのお願いってどんなか知っているか?」
リリア 「知ってますよ。1つ目が王子さまになること」
コンラト「2つ目は海に溺れたアラジンを助けること」
ナタリー「最後は、ランプの奴隷となっていた、ジーニーの解放でしょ。そして念願だった人
間になるのよね」
勇者「願い事については、人を殺さない、人を生き返らせない、人の心を操ってはいけな
いという原則があるのを知っているか?」
ナタリー「あら、そうなの?」
勇者「アラジンという物語は、『心を解放することで何でも願いは叶う。ただし願いは愛
に関係すること』という愛の道理を訴える物語だそうだよ。愛ある道理にかなったことを
心から信じて願えば、願いは何でも叶うということを、アラジンの物語は伝えている」
リリア 「でも、1つ目の願いの王子さまになるって、愛ある道理にかなっていないと思いま
すけど」
勇者「そりゃ誰でも最初から仙人になれるわけがないように、冒険を重ねていくうちに真
理に気づくというわけさ。主人公の心の成長を物語っているんだ。RPGゲームと同じだ」
コンラト「なるほど……」
ナレ「そろそろ……\(・_\)ソノハナシハ (/_・)/コツチニオイトイテ」
ナタリー「で、そのやみのランプを使ってみたら?」
勇者「そうだね。使ってみよう」
ナレ「勇者は、やみのランプに火をともした。ランプから暗闇がしみわたり、あたりを夜
にそめた!」
勇者「お!夜になったぞ!?しかも人がいる!」
コンラト「村人が……戻ってきた?」
リリア 「なんか……怖いんですけど」
ナタリー「ま……まさか……幽霊じゃないでしょね」
勇者「おまえら、三点リーダーが多いじゃないか。たぶん、そのまさかじゃないのか」
リリア 「脅かさないでください」
勇者「幽霊だろうが、なんだろうが。情報を集めるためには、当たって砕けろだ!」
村人「魔王は北の山奥、ネクロゴンドにいるそうです。近いせいか、ここまで邪悪な空気
がただよっているように感じます」
村娘「ああ、空を飛べたら、どんなにステキかしら!そうすれば魔物におびえることもな
く、行きたい所へ行けるのでしょうね」
コンラト「ほら、鉄格子に入れられた人がいますよ」
牢番「ここは牢ごく。立ち去られ!」
勇者「とは、言っても。最後のカギ持ってるもんね。牢番を無視して、鉄格子を開けて中
の人と会おう。昼間は死んでるんだから今のうちだ」
囚人「おお!やっと、来てくださいましたね。私は、このときを待っていました。運命の
勇者が、私のもとをたずねてくださるときを……。さあ、このオーブをおうけとりくださ
い!」
ナレ「勇者は、グリーンオーブを手に入れた」
囚人「世界にちらばるオーブを集めて、はるか南のレイアムランドのさいだんにささげる
のです。あなたがたになら、きっと新たなる道がひらかれるでしょう」
勇者「ふむ。グリーンオーブか……これと同じものを集めるのがゲームクリアの条件とい
うわけだ」
ナタリー「冒険だよ。忘れないでね」
リリア 「レイアムランド……メモしておきますね( ..)φカキカキ」
老人「たとえ、魔王がせめて来ようとも、わしらは自分たちの村を守るぞい!」
リリア 「でも……滅ぼされたんですよ」
老人「よいか、旅のお方。まず牢屋のトビラをも開く、さいごのかぎを見つけられよ。バ
ハラタのはるか南の島、ランシールにゆくがよい」
コンラト「なるほど、このご老人の話を聞いてから、最後の鍵を手に入れて、戻ってきて牢屋
の人からグリーンオーブを貰う。というのが正規ルートだったのですね」
勇者「何をいまさら。もう遅いよ。それにしても……どうやら、この村の人々は、自分が
死んだということに気がつかずに彷徨っているようだ」
リリア 「可哀そう……」
勇者「そうか(掌を拳でポンと叩いて)今思い出したぞ。ボーア戦争だよ!」
ナタリー「何よ、いきなり。ボーア戦争?」
勇者「イギリスとオランダ系移民ボーア人との植民地戦争だよ。何せこのあたりには、ダ
イヤモンドや金鉱が発見されていたからな」
リリア 「この地は、その植民地戦争で廃墟になったというの?」
勇者「まあ、史実ではそういうことなのだが。その後復興しているしな……ゲーム上では
魔王軍にやられたという設定にしたのだろう」
ナレ「設定なんて言わないでください」
コンラト「それで、勇者さんのお得意な現世界の地図との照合は?」
勇者「そうだな……キンバリーかヨハネスブルグかな。渡って来た川はオレンジ川だ」
ナレ「真偽のほどはともかく、テドンの村へ来るには現時点では船を使って川を上って来
るしかありません。しかも、ポルトガやバハラタから寄り道しないで来ると、必ず夜にな
ります。そして宿屋で朝を迎え村人が一人もいなくなるという恐怖のイベントに遭遇する
というわけです」
勇者「テドンの村の人々、アラジンと魔法のランプが示すように、生き返らせることはで
きないけど……。せめて、大魔神を倒してその魂を解放してやりたいものだ」
リリア 「そうですね。きっと魂も救われることでしょう」
ナレ「こうして悲しい物語を秘めたテドンの村に別れを告げるのだった。やみのランプに
込められた真相もまた……」
勇者「……さてと、またショニンの町へ行こう。また変わっているだろうからな」
ナレ「ちなみに、グリーンオーブをくれた囚人は、その後に来訪すると、こんなメッセー
ジを残しています」
遺体「返事がない。ただのしかばねのようだ……。しかし、壁にらくがきを見つけた。生
きているうちに、オーブを渡せてよかった……」

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銀河戦記/鳴動編 第二部 第八章 トランター解放 I
2020.07.18

第八章 トランター解放




 決戦場を離脱してから、敵艦隊の攻撃を受けることもなく首都星トランターへと近づき
つつあった。
「メビウスとは連絡が取れないか?」
「はい。ジャミングがひどくて」
「そうか……まあ、便りのないのは良い便りというからな」
 例え通信手段が妨害されていたとしても、いくらでも連絡手段はある。
 何せ彼らは、ネットワークを自由に渡り歩くことのできる連中なのだ。
 通常通信による交互通話はできなくても、情報網を撹乱・操作して、いくらでも連絡を
取ることができるはず。
 それをしないのは、計画が予定どおり順調にはかどっていて、連絡の必要性がないから
である。
 その綿密なる計画は、アレックスが絶大なる信頼を預けている、レイチェル・ウィング
大佐の脳裏の中にある。
 敵の只中に送り込んで、のっぴきならぬ背水の陣を任せたのも、その信頼の証。
 万が一、寝返ったとしても恨みはしない。
 それだけの覚悟があった。
「提督、何をお考えになっているのですか?」
 パトリシアが怪訝そうに尋ねた。
 どうやら深刻そうな表情になっていたらしい。
 今回の作戦にはパトリシアは、作戦参謀として参画していない。
 心苦しい判断ではあったがいたし方のないこと。
「今頃、彼らはどうしているだろうかと思っていたのさ」
 当たり障りのない返答をするアレックス。
「そうですね。フランソワも大役を任されて奮闘しているでしょうね」
「ああ、そうだな……」
 遠きそらから願うだけである。

「前方に艦影! トランター守備艦隊かと思われます」
 正面スクリーンに投影される敵艦隊の艦影。
「艦数、およそ百万!」
 こちらの勢力は、アル・サフリエニ方面軍が抜けて百二十万隻である。
 艦数ではほぼ互角とはいえ、総督軍と一戦交えたばかりで、将兵達も疲弊していると思
われる。
 敗勢を逆転勝利したことで、士気は高まっているだろうが、無理強いはしたくない。
「無駄な戦いはしたくないな……。交渉を呼びかけてみよ」
 守備艦隊は、旧共和国同盟軍が七割以上を占めていた。
 同胞同士の戦いは、敵味方共々避けたいと考えるのが尋常であろう。
 交渉次第では、無血停戦も可能。
 問題は三割の連邦軍であろうが、旧共和国同盟軍が味方についてくれれば何のこともな
い。
「応答ありません」
「艦隊の動きも見られません。首都星トランターの前面に布陣したままです」
「そうか……。参謀達の間で論議紛糾して、結論が出せないでいるのかも知れないな」
「あるいは連邦軍の監察官が張り付いているのかも知れませんよ」
「監察官か……」
 艦隊司令官には、統合参謀本部からの指令無視や反乱を防ぎ監視するための監察官が同
行することになっていた。
 以前にも第十七艦隊司令官になったアレックスに同行していた監察官が、ニールセン中
将の密偵として抹殺しようとしたことがあった。
*第一部 第十八章 監察官
 同様に旧共和国同盟軍の司令官にも、連邦軍の監察官が張り付いていて、総督軍の命令
を遵守するように働きかけているだろうことは、想像だに難しくない。
「しばらく様子を見よう。全艦停止だ」
「戦闘態勢は?」
「必要ない。それより、同盟軍側の総指揮艦を割り出してくれ」
「三分ほどお待ちください」
 アレックスの乗艦するサラマンダーは、共和国同盟軍の朋友艦であり、艦体を動かす艦
政システムコンピューターはまったく同じものを搭載している。
 トランター滅亡後に艦政システムの改造が行われていない限り、何らかのアクセスが可
能なはずである。
「艦体リモコンコードですね」
 パトリシアは気づいているようであった。
 数百万隻もの艦隊が整然と行軍するには、個々に判断して行動していては、列が乱れた
り最悪接触事故を起こしかねない。
 そこで重要なものが【艦隊リモコンコード】と呼ばれるものである。
 旗艦より発信されるこのリモコンコードに同調させることによって、個々の艦隻同士の
相対距離を自動的に調整して衝突を回避すると共に理路整然と行進が可能になる。いざと
いう時には旗艦に呼応して効率の良い戦闘を行うことができる。
「指揮艦が判りました。旧第一艦隊第十八部隊の旗艦、戦艦サジタリウム。司令はアンデ
ィー・レイン少将」
 共和国同盟軍には定員二十七名の准将と九名の少将がいたが、知らない名前だった。
 同盟壊滅後の総督軍への編入によって昇進したものと思われる。
 将軍の名前は全員覚えているが、定員のない佐官クラスまでは覚えきれない。
「しかし少将か。前職は大佐級以下のはずだよな。戦死してもいないのに、二階級特進と
はね」
 将兵達を手なずけるための特別昇進が実施されたのだろうが、その給与体系はどうなっ
ているのかと心配したりもする。
 ただでさえ、ベラケルス星域決戦において壊滅した三百万隻の艦隊に従軍して戦死した
六千万人に及ぶ将兵達の遺族年金だけでも莫大な金額になるはずである。
 共和国同盟軍の給与規定や年金条例に従うならば、とても賄い切れない財政負担を強い
られるはずである。
「ともかく連絡を取ってみるか。アクセスコードが変更されてなければ良いが」
 アレックスは、指揮パネルを操作して、サジタリウムへのアクセスを試みた。

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