銀河戦記/鳴動編 第二部 第三章 第三皇女 Ⅵ
2021.06.16

第三章 第三皇女




 物語に戻ることにする。
 インヴィンシブルの艦橋。
 貴賓席に腰を降ろしているジュリエッタ皇女と、その両脇に直立不動の姿勢で立っているネルソン提督とアレックス。
 艦橋オペレーターは、アレックスの方をチラチラと訝しげに垣間見ている。
「まもなく、アルビエール候国領内に入ります」
「ここから先は、自治領を侵犯してゆくことになります」
 オペレーターの報告に対して説明するネルソン提督。
「いつ、どこから攻撃を受けるか判らないということですね」
「はい、その通りです。マーガレット様の艦隊は航空母艦を主体とした艦隊編成ですので、まずは戦闘機の大編隊が襲い掛かってきます」
 ジュリエッタの質問に詳しい解説を加えるネルソン提督。
「マーガレット皇女様の旗艦は、攻撃空母アークロイヤルでしたね?」
 確認を求めるアレックスにネルソン提督が答える。
「はい。舷側に皇家の紋章が配色されているので、すぐに判ります」
「ありがとう」
 頷きながら正面スクリーンに敵編隊を探し求めるような表情を見せるアレックスだった。
「ランドール提督宛て、ヘルハウンドより入電しています」
 艦内の緊迫感を一気に高める声だった。
 アレックスは冷静に対応する。
「繋いでください」
 正面スクリーンにポップアップ画面でヘルハウンド艦長が映し出された。
「Pー300VXが敵艦隊を捉えました」
「よし。索敵を続行。マーガレット皇女の旗艦空母アークロイヤルを探せ! それとドルフィン号をこちらに回してくれ。今からそちらへ行く」
「了解!」
 艦長の映像が途切れて、元の深遠の宇宙空間が広がる映像に戻った。
 アレックスはジュリエッタに向き直って、先程の交信内容を実行することを伝えた。
「これより我がサラマンダー艦隊は、マーガレット皇女様を保護するために、皇女艦隊への突撃を敢行いたします」
「たった二百隻で大丈夫ですか?」
 心配そうに尋ねるジュリエッタに微笑みながら答えるアレックスだった。
「六十万隻を相手にするのではなく、目標のアークロイヤル一隻のみですので大丈夫ですよ。ジュリエッタ様は、作戦通り援護射撃に専念してください」

 ヘルハウンドに戻ったアレックスは、早速サラマンダー艦隊に進撃を命じた。
「機関出力三分の二、加速三十パーセント。マーガレット皇女艦隊に向けて進撃開始」
 速度を上げてジュリエッタ艦隊を引き離すように先行してゆくサラマンダー艦隊。
「まさか、このヘルハウンドで、たて続けに戦闘をするなどとは思わなかったな」
 愚痴ともとれる言葉に、艦長が笑いながら答えた。
「いいじゃありませんか。我が艦隊の乗員達も提督を指揮官に迎えて、みんな張り切っているのですから」
 艦長に呼応するかのように、オペレーター達が立ち上がって答える。
「艦長のおっしゃるとおりです」
「かつての独立遊撃艦隊の復活です」
「提督となら地獄の果てまでもご一緒しますよ」
「おいおい。地獄はないだろう。天国にしてくれ」
 笑いの渦が沸き起こった。
 本来なら笑っていられる状態ではなかった。六十万隻もの大艦隊がひしめく中に飛び込んで、皇女艦に取り付いて、白兵戦でマーガレット皇女を保護しようというのだから。まさしく命がけの戦いで、地獄の果てまでという言葉が出たのもそのせいなのだ。
 しかし、サラマンダー艦隊に集う士官達に迷いはない。提督と共になら、火中に栗を拾いに行くこともいとわないのである。
 まさしくミッドウェイ宙域会戦の再来ともいうべき作戦が開始されようとしていた。


 それはアレックスが昇進し大艦隊を指揮統制できるようになっても独立遊撃艦隊として、二百隻をそのまま自分の直属として配下に置き続けたきたからである。
 幾度となく死線を乗り越えてきた勇者の余裕ともいうべき雰囲気に満ちていた。
「Pー300VXより入電! 敵空母より艦載機が発進しました。その数およそ三万機」
 オペレーターの声によって、艦橋は一気に緊迫ムードに包まれた。
「おいでなすったぞ。全艦、対艦ミサイル迎撃準備。CIWS{近接防御武器システム}を自動追尾セット。各砲台は射手の判断において各個撃破に専念せよ」
 戦闘機は接近戦に入る前に、遠距離からのミサイル攻撃を仕掛けるのが常套である。そこでまず最初に、そのミサイルに対する防御処置を取ったのである。とはいえ、各機がミサイルを一発ずつ放ったとしても、総数三万発のものが襲い掛かってくることになる。まともに相手などしていられない。
「ミサイル接近中!」
「全艦急速ターン用意」
 ここはミサイルの欠点を突くしかない。宇宙空間では、ミサイルは急速ターンができず、ホーミングによって追尾しようとしても旋回半径が非常に大きい。そこでタイミングよく急速移動すれば、何とか交わすことが可能である。
「よし、今だ! 急速ターン!」
 ミサイルと違って、ヘルハウンド以下の艦艇には、舷側や甲板・艦底などに噴射ジェットが備えられており、急速ターンや平行移動ができる。ミサイルを目前にまで近づけておいて、一気に移動を掛けるのである。
 目標を失ったミサイルは頭上を素通りしていった。そこをCIWSが一斉に掃射されて破壊してゆくのである。
 こうしてミサイル群を見事に交わしきってしまったサラマンダー艦隊は、さらに前進を続ける。
「敵艦載機、急速接近!」
 ミサイルよりはるかに手ごわい相手の登場である。
「提督。ちょっと遊んでもいいですか?」
 操舵手が許可を求めてきた。
 余裕綽々の表情である。
 三万隻を相手にして遊んでやろうという自信のほどが窺える。
「ほどほどにしてくれよ」
「判ってますよ」
 わざとらしく腕まくりをして、操作盤に向き直った。
「全艦に伝達。戦闘機のコクピットは狙わずに、後部エンジンに限定して攻撃せよ。パイロットが緊急脱出できるようにしておけ」
 今回の作戦は、敵艦隊を殲滅させることではなく、空母アークロイヤルに座乗しているマーガレット皇女を保護し、反乱を終結させ和平に結びつけることにある。その他の将兵達には極力手出ししないようにしたかったのである。
 仮に目的のためには手段を選ばずで、手当たり次第に殺戮を行えば、後々まで遺恨を残して、和平にはほど遠くなってしまうだろう。
 とにもかくにも、サラマンダー艦隊と戦闘機との壮絶な戦いが繰り広げられていた。
 ランドール戦法、すなわち究極の艦隊ドッグファイトを見せつけられて、目を丸くしている戦闘機パイロット達がいた。
 何せ機動力では、はるかに戦闘機の動きを凌駕していたのである。
 舷側などにある噴射ジェットを駆使して、まるで曲芸飛行を見せつけてられているようだった。その場旋回やドリフト旋回など、戦闘機には不可能な動きで、簡単に背後に回ってロックオン・攻撃。もちろんCIWSなどの対空砲火も半端なものではなかった。次々と撃墜されてゆく戦闘機編隊。戦闘開始十分後には一万機が撃ち落されていた。
 パイロット達は、すっかり戦闘意欲を喪失しまっていたのである。

↓ 1日1回、クリックして頂ければ励みになります(*^^)v


ファンタジー・SF小説ランキング


小説・詩ランキング



11
2021.06.16 08:27 | 固定リンク | 第二部 | コメント (0)
銀河戦記/鳴動編 第二部 第三章 第三皇女 V
2021.06.15

第二章 ミスト艦隊




 別働隊指揮艦の艦橋。
 迫り来る敵艦隊との会戦の時が迫り、オペレーター達の緊張が最高潮を迎えようとしていた。
 正面スクリーンが明滅して、敵艦隊の来襲を知らせる映像が投影された。
「敵艦隊捕捉! 右舷三十度、距離三十二光秒!」
 目の前を敵艦隊が悠然と進撃している。
 ミスト艦隊が取るに足りない弱小艦隊とみて、索敵もそこそこにしてミスト本星へ急行しているというところだ。
 手っ取り早くミストを攻略し、先遣隊が帝国皇女の拉致に成功した後に、この星に連行してくるつもりなのかも知れない。
「時間通りです」
「ようし! 全艦攻撃開始だ」
 アレックスの作戦プランに従い、別働隊の敵艦隊に対する側面攻撃が開始された。

 敵艦隊の旗艦艦橋。
「攻撃です! 側面から」
 不意の奇襲に、声を上ずらせてオペレーターが叫ぶ。
「側面だと? こざかしい!」
「艦数およそ二百隻です」
「所詮は陽動に過ぎん。放っておけ。加速して振り切ってしまえ!」
「こちらは外洋宇宙航行艦、向こうは惑星間航行艦。速力がまるで違いますからね」
「競走馬と荷役馬の違いを見せてやるさ」
 別働隊の攻撃を無視して、速度を上げて差を広げていく連邦艦隊。

 別働隊指揮艦。
 正面スクリーンに投影された敵艦隊の艦影が遠ざかっているのが判る。
「距離が離れていきます。追いつけません」
「それでいい。作戦通りだ」
 落ち着いた口調で答える司令官。
 敵艦隊が別働隊の奇襲を無視して加速して引き離すことは予測していたことであった。
 アレックスの思惑通りに、事は運んでいた。
「さて、後方からゆっくりと追いかけるとするか……」
 艦橋にいる人々に聞こえるように呟く司令。
 頷くオペレーター達。
「よし、全艦全速前進!」
 ゆっくりと追いかけると言ったのは、敵艦隊のスピードに対しての皮肉であった。
 追いつけないまでも、敵艦隊に減速の機会を与えないように、後方から睨みを利かせるためである。

 その頃、連邦軍の艦影を捉えたミスト旗艦のアレックスは全艦放送を行っていた。
「……いかに敵艦が数に勝るとも、無用に恐れおののくことはない。わたしの指示通りに動き、持てる力を十二分に引き出してくれれば、勝機は必ずおとずれる。どんなに強力な艦隊でも所詮は人が動かすもの、相手を見くびったり、奢り高ぶれば油断が生じるものだ。その油断に乗じて的確な攻撃を敢行すれば、例え少数の艦隊でもこれを打ち砕くことができるだろう……」
 感動したオペレーターが、思わず拍手をすると、その波はウェーブとなった。
 放送を終えて照れてしまうアレックスであった。
 しかし、アレックスにはもう一つの放送をしなければならなかった。

 敵艦隊の指揮艦。
 機器を操作していた通信士が報告する。
「敵の旗艦から国際通信で入電しています」
 戦闘に際しては、通信士の任務は重大である。
 味方同士の指令伝達は無論のこと、敵艦同士の通信を傍受して作戦を図り知ることも大切な任務である。
「正面スクリーンに映せ」
「映します」
 オペレーターが機器を操作し、正面スクリーンにアレックスの姿が映し出された。
 スクリーンのアレックスが語りかける。
「わたしはアル・サフリエニ方面軍最高司令官、アレックス・ランドールである」
 途端に艦橋内にざわめきが湧き上がった。
 ランドールと聞けば知らぬ者はいない。
 そのランドールが、なぜミスト艦隊に?
 オペレーター達が驚き、隣の者達と囁きあっているのだ。
 スクリーンのアレックスは言葉を続ける。
「わけあって、このミスト艦隊の指揮を委ねられた……」
 疑心暗鬼の表情になっている司令官であった。
 ランドールと名乗られても、『はいそうですか』と即時に信じられるものではない。
 副官は機器を操作して、スクリーンに映る人物の確認を取っていたが、
「間違いありません。正真正銘のランドール提督です。それに、ミストから離れつつある艦隊を捕らえました。サラマンダー艦隊です」
「どういうことだ。タルシエン要塞にいるはずのやつらが、なぜここにいる?」
 何も知らないのは道理といえた。
 ランドール率いる反乱軍は、堅牢なるタルシエン要塞を頼りにして、篭城戦に出ているのではなかったのか……。
「おそらくランドールの目的は銀河帝国との交渉に赴いたのではないでしょうか?」
「交渉だと?」
「はい。反政府軍が長期戦を戦い抜くには強力な援護者が必要です。帝国との交渉に自らやってきて、補給に立ち寄ったこのミストにおいて、我々との戦いを避けられないミスト艦隊が、提督に指揮を依頼した。そんなところではないでしょうか」
「なるほどな……。とにかく大きな獲物が舞い込んできたというわけだ」
 すでにアレックスの挨拶が終わっていて、スクリーンはミスト艦隊の映像に切り替わっていた。
「敵艦隊、速度を上げて近づいてきます」
「全艦に放送を」
 通信士が全艦放送の手配を済ませて、マイクを司令に向けた。
「敵艦隊の旗艦には、宿敵とも言うべき反乱軍の総大将のランドール提督が乗艦しているのが判明した。その旗艦を拿捕してランドールを捕虜にするのだ。それを成したものは、聖十字栄誉勲章は確実だぞ。いいか、ランドールは生かして捕らえるのだ、決してあの旗艦を攻撃してはならん」
「なせです。捕虜にするのも、撃沈して葬るのも同じではないですか」
「ばか者。ここはミスト領内で、あやつの乗艦しているのはミスト艦隊だぞ。撃沈してしまったら、どうやってランドールだと証明できるか? 宿敵艦隊旗艦のサラマンダーならともかくだ」
「そうでした……」
「指令を徹底させろ」
「判りました。指令を徹底させます」

↓ 1日1回、クリックして頂ければ励みになります(*^^)v


ファンタジー・SF小説ランキング


小説・詩ランキング



11
2021.06.15 07:40 | 固定リンク | 第二部 | コメント (0)
銀河戦記/鳴動編 第二部 第三章 第三皇女 Ⅳ
2021.06.14

第三章 第三皇女




「さて……」
 と、前置きしておいてから、アレックスに向かって語りだすエリザベス皇女。
「妹であるジュリエッタを救い出して頂いたこと、個人としても大いに感謝しています。あなたの組織する解放軍が援助を願っていることも伺いました。しかしながら、我が銀河帝国には内憂外患とも言うべき頭の痛い問題を抱えているのです。もちろん一方は、バーナード星系連邦の侵略です。そしてこれが一番の難しい問題なのですが……。はっきり申し上げましょう」
 エリザベス皇女が語り出した問題は、内乱の勃発というものだった。
 しかもそれを引き起こしているのが身内であり、マーガレット第二皇女がその首謀者ということである。
 かつて銀河帝国を震撼する大事件があった。
 次期皇太子・皇帝となるべき皇位継承権第一のアレクサンダー第一王子が誘拐され行方不明となったのである。
 そして皇帝が崩御されて、次期皇帝問題が起こったが、皇帝には第一王子以外に男子はなく、行方不明である以上捜索を続けるべしとの結論が出されて、皇帝不在のままエリザベス第一皇女が摂政となることで取りあえずの一件落着が諮られた。
 しかし二十余年もの時が過ぎ去り、第一王子が行方不明のまま、いつまでも皇帝不在なのは問題である。そこで新たなる皇太子候補を皇族の中から選びなおそうではないか。
 そして人選に上がってきたのが、エリザベス第一皇女と夫君のウェセックス公国領主のロベスピエール公爵との間に生まれた、ロベール王子である。
 皇位継承の順位では、ロベスピエール公がアレクサンダー王子に次ぐ第二位になるのであるが、公爵はその権利を第五位の息子に譲って、皇太子候補として強く擁立した。
 ロベスピエール公ロベール王子が次期皇太子。
 皇族の間では妥当であるとされ、皇室議会でも承認された。
 これに毅然として反対したのが、マーガレット第三皇女である。ロベール王子は皇家の証であるエメラルド・アイではなく、アレクサンダー王子の消息が確認されるまでは待つべきだと主張した。
 そして何より最大の根拠は、【皇位継承の証】の存在であった。
 【皇位継承の証】は、代々の皇太子に受け継がれてきた皇家の至宝である。その実体はエメラルドの首飾りで、深く澄み通った鮮やかに輝く深緑色の大粒のエメラルドを中心にして、その周囲をダイヤモンドが配されているというものだった。
 そしてそれは、アレクサンダー王子の首に掛けられたまま、共に行方不明となっている。
 アレクサンダー王子が生きていれば当然所持しているだろうし、仮に王子が亡くなられていたとしても、価値ある宝石であるために、いずれ宝石商やオークション、骨董品市場などに流通するはずであろう。
 エメラルド・アイと皇位継承の証の二点を根拠に、反論を続けるマーガレット皇女であったが、結局ロベール王子擁立は覆されなかった。
 そしてついに、マーガレット皇女は、ロベール王子擁立を掲げるロベスピエール公爵率いる摂政派に対して、皇太子派としての反旗を掲げたのである。そしてそれを支援したのが、自治領アルビエール候国領主のハロルド侯爵である。
 こうして銀河帝国を二分する姉妹同士が骨肉相食む内戦へと発展していった。


「内乱ですか……。宇宙港の物々しい警戒はそのためだったわけですか」
「双方にはそれぞれ穏健派と急進派がありまして、急進派の人々が至る所で騒動やテロを引き起こしているのです。要人の暗殺も起きております」
「大変な事態ですね。これは早急に手を打たないと、漁夫の利を得てバーナード星系連邦の思う壺にはまりますよ」
 それは誰しもが考えていることであった。速やかに内乱を鎮圧して外来の敵に備えなければいけない。そのためには首謀者であるマーガレット皇女を捕らえることである。
 しかしマーガレット皇女率いる第二皇女艦隊は強者揃いである。そしてマーガレット皇女が身を寄せているアルビエール候国にも、自治領艦隊百万隻に及ぶ大艦隊を有していた。それはアルビエール候国が、バーナード星系連邦との国境に位置しており、領土防衛の観点からより多くの艦艇の保有を許されてきたからである。しかも連邦の侵略を食い止めるために、常日頃から戦闘訓練が施されて精鋭の艦隊へと成長していた。
 第二皇女艦隊と自治領艦隊とを合わせて百六十万隻。
 対する摂政派率いる統合軍は、第一・第三・第六皇女艦隊、そしてウェセックス公国軍とを合わせて二百四十万隻になるが、ジュリエッタ皇女の艦隊以外は、戦闘経験がまったくない素人の集団であった。まともな戦闘ができる状況ではなかった。
 銀河帝国の汚点とも言うべき内容を、外来者であるアレックスに対し、淡々と説明するエリザベス皇女。その心の内には、皇家の血統の証であるエメラルド・アイを持ち、共和国同盟の英雄と称えられるランドール提督なら、解決の糸口を見出してくれるのではないかという意識が働いたのではないかと思われる。
「もし許して頂けるのなら、私がマーガレット皇女様を保護し、この宮殿にお連れして差し上げましょう」
 突然の意見具申を申し出るアレックスだった。まさしくエリザベス皇女の期待に応える形となったのである。
「そんな馬鹿なことができるわけがない」
「冗談にもほどがあるぞ」
 大臣達が口々に反論するが、一方の将軍達は黙ってアレックスを見つめていた。
「できるというのなら、やらせてみようじゃないか」
 そういう表情をしていた。同じ軍人であり、以心伝心するものがあるのかも知れない。共和国同盟の英雄、奇跡を起こす提督ならやるかも知れない。
「判りました。いずれにしてもこのままでは、のっぴきならぬ状況に陥るのは目に見えています。前代未聞のことですが、ここは一つランドール提督にお任せしてみましょう」
 摂政が決断を下せば、それに従って行動を起こすだけである。
 アレックスは声には出さず、深々と頭を下げた。
「ランドール提督には、希望なり必要なものはありますか? できる限りの便宜をはかりましょう」
「二つほどの要望があります」
「構いません。どうぞ、おっしゃってください」

↓ 1日1回、クリックして頂ければ励みになります(*^^)v


ファンタジー・SF小説ランキング


小説・詩ランキング



11
2021.06.14 08:11 | 固定リンク | 第二部 | コメント (0)

- CafeLog -