冗談ドラゴンクエスト 冒険の書 42
2019.08.14


冗談ドラゴンクエスト


冒険の書 42


勇者「何なんだよ(と鏡を見る)」
ナレ1「その鏡に映っているのは見目麗しき若き女性だった」
勇者「おお、綺麗な姉ちゃんやなあ」
ナタリー「(コホンと軽く咳をして)良く見なさいよね」
勇者「何だよ(ナタリーに顔を向けると鏡の彼女も横を向く)あれ?」
ナレ1「横向きから鏡に視線を移すと、鏡の彼女も視線を移して自分を見つめる」
ナレ2「右手を上げると、鏡の彼女は左手を上げる」
ナレ1「左手を上げると、彼女は右手を上げる」
ナレ2「バンザイすると、彼女もバンザイする」
ナレ1「一挙一動寸分の違いも見せずに追従する動きを見せる鏡の彼女」
勇者「まさか……(どうやら気づいたようだ)」
ナレ1「唐突に服を開けて自分の胸を確認する勇者」
勇者「なんやこれはあ!!」
ナレ1「そこには豊かな膨らみがあったのである」
勇者「まさか……」
ナレ1「当然のように下半身を確認する」
勇者「ない……( ;∀;)」
ナタリー「どうやら納得したようね」
勇者「どうしてこうなったのだ」
ナタリー「日頃の行いが悪かったのよ(という言葉を飲み込んだ)」
ナレ1「それを言ってしまえば、同様にリリアも日頃の行いが悪かったことになるから
だ」
コンラッド「おそらく二人は、ほぼ同時に亡くなられ、ナタリーさんの蘇生術によって
魂が呼び戻されたものの……」
リリア「入れ替わってしまったと?」
コンラッド「そうです。蘇生術が行われた時、リリアさんの魂が最も近いところを浮遊
していたために、身近な勇者さんの身体に。そして残った勇者さんの魂は、仕方なくリ
リアさんの身体に入ったのではないでしょうか」
勇者「いい加減だな」
ナタリー「何をのんきな事言ってるのよ」
勇者「別に俺は構わんぞ(豊かな胸をじっと見る)」
リリア「いやあ、止めて!」
コンラッド「と、とにかく元に戻す方法を考えましょう」
リリア「ナタリーさん、魂を入れ替える術とか知りませんか?」
ナタリー「残念ながら知らないわ」
リリア「そんなあ……(ガックリと気落ちする)」
道具屋「いっそ性転換薬使ってはいかがでしょうか?」
リリア「性転換薬?」
ナタリー「つまり、それぞれの身体を性転換させるということね」
道具屋「はい。性転換薬の調合方法は知っていますから」
ナタリー「リリア聞いた?これで解決ね」
リリア「だめですよお。いくら性転換したって、あたしの魂はリリアの身体だからこそ
リリアなのよ」
コンラッド「そうですね。勇者さんの身体であるリリアさんが誰かと結婚して子供が生
まれたら、当然勇者さんと瓜二つで、リリアさんの面影は一切ありませんからね」
ナタリー「そうだ!クアール最高導師さまなら、何とかできるかも知れないわ」
リリア「そ、その手がありましたね。元々クアール最高導師様には会いにいく予定でし
たし」
ナタリー「そうね。フェリス王国へ向かいましょう」
コンラッド「フェリス王国ですか……(ちょっと困ったような表情)」
リリア「どうかしましたか?」
コンラッド「いえ、なんでもありません。フェリス王国へ行きましょう」
ナタリー「でも、今日はもう遅いから明日にしましょう」
勇者「それがいいな」
コンラッド「宿屋はありますか?」
道具屋「ここを出て右へ五軒目が宿屋です。主人も人間に戻っているでしょう」


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