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梓の非日常/第二部 第二章・宇宙へのいざない(八)未来に向かって
2021.05.11

続 梓の非日常/第二章・宇宙へのいざない


(八)未来に向かって

「なるほど、そこまでお考えでしたか」
 代わって麗華が説明を続ける。
「高出力原子レーザー発振器の開発は、AFC直属の機関として高エネルギー研究所を新たに設立して、すでに基礎研究に取り組んでおります。篠崎さんに担当していただきたいのは、恒久的な月面基地と原子レーザー発電機の開発ですが、もう一つ中間基地としての宇宙ステーションの建造があります」
「宇宙ステーションですか?」
「そうです。原子レーザーといっても、大気中では減衰が激しく実用には向かないでしょう。宇宙ステーションに搭載すれば、大気の減衰もなければ、BEC回路や超電導素子を作動させる極超低温も、宇宙空間という天然の冷却材が利用できます。原子レーザーの本格的な運用は、宇宙ステーションが完成してからになるでしょう」
「理にかなっておりますな。が、問題は人材の確保と資金面です」
 再び梓が答える。
「その点に関しましては、アメリカの大幅な予算削減であぶれたNASAなどの研究者を一部登用しますし、研究資金は当方で用意いたします。といいますのは、これらの計画実行にあたっては、篠崎重工とAFCの資金提携による合弁事業としたいのです」
「合弁事業?」
「はい。新たにアメリカ国籍企業としての篠崎重工アメリカを設立し、そこで開発していただきたいのです。これはアメリカ政府と軍の干渉を少しでも和らげる苦肉の策でもあります」
「つまりアメリカ国籍企業なら、アメリカの国益にもつながると判断すると?」
「そうあってくれるといいんですけど。それに莫大な金額になる研究開発費税額控除が、アメリカにおいては日本より格段に優遇されていますからね。例えばエレクトロニクス分野などは、法人税が五分の一ですみます」
「なるほど……。それで合弁事業のことですが」
「資本金は両者の折半でいかがでしょう。全額こちらで出資してもよろしいのですが、その場合はAFCグループの傘下に入ることになります。どちらにしても、実際の会社の運営は篠崎重工側におまかせします」
「AFCは金は出すが口は出さないというのが基本政策でしたな」
「もちろん計画の提案者がこちら側ですので、多少の諮問はするでしょうけど」
「わかりました。我々二人だけで結論は出せないので、重役会議にはかってみることにします。しばらく時間をいただますか?」
「結構です」

 莫大なる資産を有するAFC代表となった梓の最初にして壮大なる開発計画が始動しはじめた。
 今後二十年間の間に、宇宙に人類を住まわせるというコンセプトではじめられた、今回の新規事業組織の内訳は、主だったものだけでも以下のごとくである。
 高エネルギー研究所、原子力発電協会、極超低温冷媒製造保管基地。
 宇宙貨物輸送協会、スペースシャトルバス開発機構、月面調査開発協会。
 ロケット推進技術研究所、宇宙航行体構造物研究所、宇宙船内生命維持装置研究所。
 火星探査協会、スペースコロニー研究開発機構、宇宙移民局設置準備室、宇宙環境問題委員会、宇宙資源開発国際協力会議。宇宙飛行士養成協会。
 原子力兵器諮問委員会。
 そして篠崎重工アメリカ側の事業としては、
 宇宙ステーション開発事業部、月面基地開発事業部、原子レーザー発電事業部の三部門が設立された。
 などなど、今後二十年間で資本投下される金額は、真条寺財閥の総資産の三分の一に相当する二十兆ドルにおよぶ。
 そしてこれらの頂点に立つのが、一介の女子高生、AFC代表の真条寺梓十六歳である。

 ブロンクス屋敷バルコニー。
 午後のティータイムをくつろく渚が、美恵子からの報告を聞いている。
 話題は、梓の宇宙開発計画についてである。
『新たなるフロンティアスピリッツだと絶賛の声が上がっています。新企業に採用される従業員は総勢七十万人におよび、完全失業者がいっきに減少して産業界からは拍手喝采で歓迎されています』
『議会の方はどうなっていますか?』
『はい。例の「宇宙産業分野における研究開発費税額控除特別法案」をハンフリー上院議員を通して上申していましたが、まもなく法案は可決成立する見込みとなっております』
『政府に干渉することは、梓が嫌うところだけど、これだけは目をつぶってもらわなくてはね』
『そうですね。宇宙開発には莫大な研究開発費が必要です。今後最低十年間は研究開発のみが続くでしょうし、本格的な宇宙ステーション等の建設がはじまるのはその後十年間といいますしね』
『AFCの総資産の三分の一を投入するのですから、出来うる限りの策を施しておいておかなければ』
『しかしお嬢さまも、思い切ったことを決定されましたね』
『これからは梓の時代です。宇宙開発はその根幹となる事業となるでしょう』

第二章 了

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梓の非日常/第二部 第二章・宇宙へのいざない(七)新規事業
2021.05.10

続 梓の非日常/第二章・宇宙へのいざない


(七)新規事業

『とにかく、彼が十八歳になって正式にプロポーズしてきたら、あなたは断ることはできないの』
『お母さんは、慎二とあたしの結婚を認めているというわけね』
『まあ、反対はしないわよ』
 うなだれる梓。
『ねえ、お母さん……慎二は、このこと知っているの?』
『知らないでしょうねえ。自分が婚約者の権利を得たことも、花婿候補だったことすらも知らないはずよ。くわしい事情を説明する暇がなかったのよね』
『だったら、このまま黙っててくれないかな……』
『いいわよ。どうせ、彼もしきたりのこと知らなかったはずだし』
『ありがとう、お母さん』
『それはいいけど、しきたりの載っている家訓帖ぐらいちゃんと読みなさいよね』
『だってえ。漢字がのたくったように走っているみたいで、全然読めないんだもの』
『それをいうなら、漢字の草書っていうのよ』
『ねえ。あたしにも読めるように英文に翻訳してくれないかなあ。家訓帖』
『仕方がないわねえ。草書が読めたとしても、文語体で書かれているから、梓には理解できないでしょう』

『ところで、話しは変わるけど、あなた衛星事業部を視察したそうね』
『ほんとに、変わるわねえ……』
『その衛星事業部から新規の研究開発に関する企画議案書と融資依願書が提出されているわ。せっかくだから、この案件はあなたが決済しなさい』
『あたしが?』
『そう。企画議案書によく目を通して、自分の判断で決定していいわ。わたしは一切口を出さないから』
 二つの書類を渡されて当惑する梓。
『衛星事業部か……』
 麗香と視察した研究所を思い出しながら、
『予算が、五千億ドルねえ……』
 じっと書類に目を通している梓。
『ふうん。そうか……なかなか面白そうじゃない』
 と、ぶつぶつ言いながら、その詳細な説明書を読みはじめた。
『原子レーザー発振器ねえ。これが最大の課題みたいね』
 梓は麗華を呼び寄せると、二つの書類の決裁に踏み切った。
 法的に有効なる決済書類を梓が作成できわけもなく、麗華に手伝ってもらってことにする。
『はい、結構です。それでは、こちらにご署名をお願いします』
 言われた通りに決裁書に署名する。
 もちろん英文字によるサインであるが、印鑑などというものを押印せずともそれで書類が有効となる。
『これで完了です。AFC統括事業部に送達すれば、後は向こうですべてが動き出します』
『ありがとう』
『どういたしまして』

 真条寺邸バルコニー。
 いつものようにティータイムの渚と美恵子。
『お嬢さまは、衛星事業部の五千億ドルの研究開発を承認されたようですね』
『梓が決めたことですから、私のとやかくいう筋合いではありませんが、問題が一つ』
『問題と言いますと?』
『大出力の原子レーザー発振器は、ともすれば核爆弾にも匹敵する原子力兵器となりえます。軍事レベルでの極秘開発が必要となりましょう』
『そうですねえ。今まではSFだった、プロトン砲や粒子ビーム砲などの科学兵器が実現可能になりますからね』
『ここは大統領とも相談して』
『ちょっと、やめてよね。お母さん』
 背後にいつの間にかネグリジェ姿の梓が立っていた。
『梓! まだ、寝てなかったの』
『寝る前に挨拶しようと寄ったのだけどね……それより、何よ今の話し。お母さんたら何かっていうと、大統領とか太平洋艦隊司令長官とかの力を利用するんだから』
『そうは言ってもねえ』
『いつまでもアメリカ軍に頼ってばかりいては、真条寺家の独自性が失われてしまうわ。今後はAFCを軸として独自路線を切り開きたいの。AFC単独の宇宙ステーションを打ち上げ、さらには火星への移住だって考えているんだから。火星ロケットや火星基地にエネルギーを恒久的に伝達する方法としての、原子レーザー発振器の開発は急務なのよ。アメリカ軍の手助けはいらない』
 いつになく強い口調の梓だった。新規事業に対する意気込みからだろうと思われる。
『決済を任せる、一切口出ししないと言ったのだから、その運用もすべて任せてくれるんじゃなかったの?』
『ごめんね、梓。お母さんが、間違っていたわ。出過ぎたまねをしたわね。AFCの代表はあなただったのよね。あなたの好きなようにして』
『ありがとう。お母さん』
 後ろから渚に抱きつくように手を回す梓。
『これからはあなたの時代。好きなようになさい。困ったことがあったらいつでも相談に乗るわよ』
『うん、判った……』
 母と娘の仲睦まじい光景であった。


 さらに数日後の衛星事業部の所長室。研究所員が飛び込んで来る。
「所長! 例の案件、通りましたよ。AFCから融資決定の書類が届きました」
「ほんとうか! 五千億ドルの予算だぞ」
「間違いありません。そして、梓お嬢さまのお言葉も添えられてありました」
 梓の礼状を開いて読み始める研究所所長だったが、
「英語だな……」
 ぼそりと呟く。
「そりゃそうですよ。英語圏で育った生粋のアメリカ人ですからね。ちゃんとした文章を考え記述するのには、日本語だと自信がなかったのかも知れません」
「まあ、そうだな」

『所員のみなさん。先日はわたくしのために、忙しい中いろいろと案内やご説明を頂き本当にありがとうございます。研究成果というものは、一朝一夕で出来上がるものではないかとおもいます。些細な研究でも、毎日こつこつと積み重ねていけば、やがて大きな成果となって現れることもあるのでしょう。
 ただ、わたくしが危惧することは、利益だけを追求したり、特許申請の数を競うだけの研究であってはならないということです。もっと大らかに、社会に貢献したと誇れるような、素晴らしい研究をしていただきたいと思います。日々精進努力する姿は美しいと思います。
 わたしは、そんな所員の皆様方を心の底から応援したいと思います。ありがとう』

「よし、研究開発の大号令を発する。二十年計画の予定だったが、十五年いや十年で開発を完了してみせようじゃないか。社内報にお嬢さまのお言葉を添えて号外で載せろ」
「わかりました!」
「わたしは、所員の皆様方すべてを心のそこから応援します、か。さすが、梓お嬢様だ」

 それから数日後。
 篠崎重工の社長室のそばにある特別応接室。
 梓と麗香、篠崎良三と花岡専務が一同に会していた。麗香だけが梓のそばで立って、商談の成り行きを見守る立場にあった。執行代理人としてグループ内でもナンバー3として強大な権限を持つ麗香でも、梓本人が同席している場では秘書的な地位しかなく、直接商談には加われないのだ。
 総資産六十五兆ドルを自由に動かせる梓と、二十億ドル程度の自由決済予算しかない麗香、主従の関係にある二人にはおのずと踏み越えられぬ垣根が存在するのだ。梓にしてみればたった二十億ドル程度かも知れないが、それを自由に動かせる麗香には、目の前の篠崎・花岡ですら頭が上がらないのである。
 梓がいかに雲の上の人物かがよくわかるだろう。
「しかし梓さま自らお出でになられるとはいかなご用でございますかな」
「麗香さん、あれをお見せして」
「かしこまりました」
 麗香が書類ケースから取り出して、二人の前に差し出した。
 それは衛星事業部が梓に提出した、
『高出力原子レーザー発振器による、月面移動基地への高エネルギー伝送実験の企画議案書』
 であった。
「目を通していただけますか?」
「拝見いたします」
 書類に目を通してしばらくすると、二人の表情がこわばるのが手に取るように見えた。
「高出力原子レーザー発振器ですか……」
「ぶっそうな代物ですな」
 二人は、それが何物であるかをすでに理解しているようで、その危険性を指摘してきた。
「確かにこれが開発できれば宇宙開発における画期的な進歩が訪れるでしょう、反面として、将来における宇宙戦争の強力な武器をも手に入れることにもなります。戦争と平和両面における慎重な検討が必要かと存じますか」
「原子力兵器への転用は、私どもも苦慮しております。しかし、核爆弾と原子力発電、戦闘機とジャンボ旅客機、大陸間弾道弾と宇宙ロケットなどにみられますように、新技術には必ずと言っていいほど、戦争と平和の両面性を兼ね備えております。 今のコンピューター時代も、有名な『エニアック』という弾道計算に使われた電子計算機が最初です。戦争のために開発された技術が平和利用されて、わたし達の暮らしを支えているものも数多く存在します。
 この高出力原子レーザー発振器も、善と悪が紙一重でありますが、だからといって開発を躊躇していては、未来はいつまでたっても訪れてはきません。人類の歴史がそうであったように、たとえ宇宙戦争を引き起こす要因となったとしても、その後に来たるべく明るい平和と進歩が約束されるならば、わたしは開発に着手すべきものだと信じています」

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