梢ちゃんの非日常 梢ちゃん誘拐される!
2021.08.14

 梓ちゃん誘拐される!

 ニューヨーク市街。
 けたたましくパトカーがサイレンを鳴らして、ある一点に収束するように向かっていた。
 そこは、とある廃ビル。
 すでに十数台のパトカーが取り囲み、サーチライトが当てられていた。
「海兵隊の到着はまだか?」
 ここの現場を取り仕切るニューヨーク市警コードウェル署長。

 そのビルの近くに、GM社製キャデラック・エルドラド・フリートウッドが停車しており、運転手の白井が立ち尽くしていた。
 そこへフェラーリ・F50・クーペ・ベルリネット(五十周年記念特別仕様車)が颯爽と登場してくる。
 車から降りてきたのは、凛々しくも美しい容姿をした竜崎麗香。
 そしてフリートウッドの運転手に質問を投げかける。
「白井。説明してください」
 汗を拭き拭き、事の成り行きを弁明する白井。

■ 事の成り行きはこうだった。

 梢と梓が用を済ませて建物から出て、歩道からフリートウッドに乗車しようとする寸前だった。
 猛スピードで走る大型バイクが歩道上に乗り上げ、二人に接近したかと思うと、梢を抱きかかえて走り抜けた。さらに五十メートル先には、ナンバープレートを隠した黒塗りの車が待機していて、梢はその車に移乗させられて走り去ってしまったのである。
 一瞬の誘拐事件に、梓そして周辺で密かに警護任務に当たっていたSPも対処する暇もなかった。
「梢の髪飾りに付いている発信機の信号を追ってください!」
 白石に指示してフリートウッドに乗車する梓。
 梓がそうであったように、梢にも居場所を知らせる発信機が付けられている。
 発信機は宇宙空間にある人工衛星によって常に監視されているが、そのデータはフリートウッド車内のナビゲーションシステム上に表示することができる。
 ナビのマップ上を、梢の位置を知らせる赤い点滅と、追いかけるフリートウッドの青い点滅が動き回っている。
 やがて赤い点滅が一か所で止まった。
 そこは廃墟となったビルだった。
 玄関脇には、梢を浚ったバイクと自動車も乗り捨てられていた。
 ナンバープレートから所有者を特定できるだろうが、どうせ盗難車であろう。
「私たちが後を追いかけているのには気づいているはずよね」
「おそらくは」
「つまりは、娘を返して欲しくば一人で入ってこい! ってところでしょうか?」
「まさか! お一人で行かれるおつもりですか? 救援を待った方が……」
「でも娘は恐怖に怯えながらも、母親の私を待っているのです。一刻一秒も待ってはいられません」
「しかし……」
「あなたは、救援がくるのを待っていてください」
 すでに真条寺渚と警察には、この事態を連絡済みである。
「わかりました。お気をつけて」
 梓が一度言いだしたことには絶対服従な白石だった。
 気を引き締めて、建物の中へと入ってゆく梓。
 手には三次元レーダーを手にしている。
 平面だけでなく上下方向にも探知できるもので、ビル内で梢が迷子になった場合などに備えて常備していた。
 何もないコンクリートのビル内を探索する梓の靴音だけが響いている。
 階段そばに立つと、信号は上方向を指している。
「どうやら最上階のようね」
 周囲に警戒を張り巡らしながら、階段を慎重に登ってゆく。
 途中誰にも会わずに最上階へと到達した。
「この部屋かしら?」
 探知機の信号は間違いなく、その部屋を指示していた。
 バッグの中に探知機をしまって、扉脇に置いた。
 深呼吸をして、静かに扉の取っ手を回した。
「ママ!」
 梓の姿を見て梢が叫ぶ。
「梢ちゃん!」
 駆け寄ろうとした時に、ドア側に隠れていた男たちに制止された。
「動くな!」
 銃を突き付けられ身動きできなかった。
「何が目的ですか?」
 梢を拘束している、首謀者らしき人物に尋ねてみる。
「そうだな。まずは百億ドル相当のビットコインを用意してもらおうかな」
「ビットコイン?」
「そうだ。現ナマは足が付きやすいし、運ぶのも大変だからな」
 取引所でのビットコイン送金には、一日10~20TBCまでと制限があるが、個人間の送金には制限はない。
 足が付くと言っていたが、ビットコインもアカウント間の入出金の流れは記録として保存されており、現金として降ろしても足が付くのは同じである。
「それだけの金額を提示するということは、私が誰かも知っているわけだな」
「ああ、総資産六十五兆ドルの真条寺家財閥の当主だろ? 百億ドルなどはした金だろうな」
「そんな大金、あなた達には使いきれないでしょ。つまり裏に黒幕の組織がいるということね」
 もし巨大な組織なら現金化できるかもしれないが、百億などはした金に過ぎない。払うのか払わないのか、その反応を見るためだけの行為なのかもしれない。その黒幕の組織が何者かは、薄々と感じていた梓だった。
「そんなことはどうでもいい! 出すのか出さないのか?」
「いいでしょう。出しましょう。で、逃走の乗り物も要求するのよね」
「話が早いな、その通りだ。と言いたいが、すでに屋上にヘリが待機しているよ」
「用意がいいのね」
「まあな。但し、ヘリに乗るのはおまえらだ」
「どういうことよ?」
「簡単な話だ。例えヘリで逃げても、追撃を交わすのは不可能だろう。最悪撃墜されてしまうからな」
「可能性は高いわね」
「そこでだ。自動操縦設定になってるヘリにおまえらを乗せて飛んでもらう。ビルの周囲を取り囲んでいる奴らは、当然俺たちが逃走したと思ってヘリを追いかけるだろう」
「このビル内にも捜索隊が入るわよ」
「大丈夫だ。実は、隠し部屋があるんだよ。絶対に気づかれない秘密のな。そこで息を潜めていて、捜索隊が撤収した後でなら歩いて脱出できるというわけさ」
「私達が乗ったヘリが撃墜される可能性は考慮しないのね」
「ああ、先のことは関知しない。運を天に任せるんだな」
「冷たいのね」
「さあ、ママの所に行くんだよ」
 梢の拘束を解く男。
「ママあ~!」
 駆け出して梓の胸に飛び込む梢。
「梢、怖かったでしょ。もう大丈夫よ」
「うん」
 小さな身体が小刻みに震えている。
「さあ、感動の再会を果たしたところで、ビットコインの送金をしてもらおうか。ここにパソコンがあるから使いたまえ」
 机の上にあるパソコンを指して命令する男。
「分かったわよ。ただ、私はビットコインを直接扱ったことがないから、屋敷のものに指示するメールを送ってもいいかな」
「いいだろう」
 男が指定するアカウントに送金するように、麗香宛にメールを送る梓。
 しばらくすると、パソコンの男のものだと思われるアカウントに入金の表示が現れた。
「入金を確認した。それでは予定通り、屋上に上がってもらうか」
「まだ出発の準備が出来ていないぞ」
 別の男が注意した。
「そうか……。なら、準備が整うまで座っていろ。妙な動きをしたら撃つからな」
「わかったわよ」
 男が指し示す窓際に腰を降ろす梓と梢。


 暴漢達と対峙しながらも、梓は一つのことを考えていた。
 誘拐事件は、渚の元にも知らされているはずだ。
 手をこまねいているはずがない。
 何らかの行動を起こしているはずだ。
「さてと、お母さんはどう出てくるかな」
 まず最初に思い浮かんだのは、宇宙空間に浮かぶ十三基のあずさシリーズの人工衛星。そのすべてが何らかの機能をもって、自分の行動を監視していことを知らされた時は驚いたものだった。光化学式超高解像度の地上監視カメラによる映像監視ができる予備機を含めた八基の資源探査気象衛星「AZUSA」と、高性能のGPS位置情報を梓の持つ携帯電話や、ファンタムⅥとフリートウッドのナビシステムに地図情報として送り届ける五基の超高速・大容量通信衛星「あずさ」である。国際的公共衛星としての役割を果たしながらも、その裏で私的に活用されてきた両機種であった。
「まったくお母さんたら、あたしに内緒でよくもまあやってくれたものだわ。公私混同も甚だしいじゃない。といってみても、娘を心配する母親としては当然なのだろうけど、財力に物を言わせるのは反則行為かもね」

 人質救出作戦で必要なのは、ビルの正確な見取り図と周辺の地理。そして人質のいる正確な場所である。
「まずはビルの正確な見取り図と周辺の地理は、通信衛星あずさのナビゲーションシステムを利用すれば何とかなるとして……。問題は、あたし達のいる正確な場所をどうやって知るかね」
 天井を仰ぐ梓。
「ほぼ六時間ごとに周回を繰り返す「AZUSA」には、遠赤外線探査レーダーが搭載されていたわね。遠赤外線なら壁を通過してあたし達の体温を感知できるはず。各機と予備機を使えば連続的に同時探査ができるのよね。両極回りコースを通る太陽フレア観測機「なぎさ」三号・四号機を姿勢制御して搭載された遠赤外線レーダーを地上に合わせれば三点探査が可能になる。三方向からの遠赤外線レーダー探査のデータをコンピューター処理すれば、ビル内の人物の正確な位置情報がつかめる」
 梓は、飛行機が太平洋の孤島に墜落して、鍾乳洞に閉じこめられた時のことを思い出していた。あの時の探索にも「AZUSA」搭載の遠赤外線レーダーが使用された。梓の考えた理論が果たして正しいのか、ましてや同様のことを渚が考えついているかも、まったくの不明である。
 しかし信じるしか道は残されていなかった。
「後は、救出作戦の突入路をどこにとるかということと、人質であるあたし達がどこにいれば最も安全かということね」
 突入には最も容易と思われるベランダに面した南側には四人の犯人が監視して立っている。北側の小さな窓には犯人が一人で、窓枠の下に座り込んでいる梓の監視役として張り付いている。その窓の向こうには五メートルと離れずに窓のまったくない隣の雑居ビルがあり、屋上にも犯人がいる関係上ここからの進入は通常不可能と思われる。そして、西側にある昇降階段には犯人が一人。東側は何もない壁である。もちろん上下の階には他に多数の犯人がたむろしていると思われる。もちろんすべての犯人が銃火機を携帯しているのは言うまでもない。
 犯人と梓達の位置関係はざっとそんなところだ。
 突入路はどこからか?
 西側の階段を登ってくるのは人的被害甚大で、時間もかかりその間に人質の命は失われる。戦闘ヘリなど使って南側の窓から進入しても、銃撃戦となって室内の人質に流れ弾が当たるのを防ぐことは出来ない。東側の壁を突き破る作戦は論外である。
 となると残るは北側の窓しか残らないが、隣の雑居ビルが邪魔になっている。この狭い間隙を進撃できる航空機は、今の梓には考えがつかない。小型で垂直上下移動のできる旋回半径が極小な高速VTOL機があれば、ここからでも突入が可能なのだが……敵の裏をかいて救出作戦の確率も高くなる。
「でももしかしたら、大統領も一目置いているお母さんの事だもの。アメリカ軍や民間航空産業界が所有する航空機、研究中の試作機まで含めて、すべての資料を検討して最良の答えを導きだしているかもしれない」
 梓は、母親である渚が突入路として選ぶのが北側の窓と結論した。その手段は判らないが、人質としてもっとも安全な場所はどこだろうと考えた時、北東の隅が一番だというのはすぐにわかった。そこなら銃撃戦になっても流れ弾に当たる確率が最も低い。

「梢ちゃん、おしっこはしたくない?」
 あえて男たちに聞こえるように促す梓。
 前回用を足してからかなりの時間が経っている。
 そろそろ尿意を感じることだと思ったのだ。
「うん。したい」
 素直に答える梢。
「動くな!」
「娘が催したのよ。どうせトイレには行かせてくれないんでしょ。部屋の隅でさせてもらうわ」
「我慢できないのか?」
「子供ができるわけないじゃない」
「ちっ! 変な真似するなよ」
 部屋の隅に移動する梓と梢。
 男の一人が付いてくる。
「ちょっと、離れなさいよ。たとえ赤ちゃんでも女の子よ。少しはデリカシーを持ちなさいよ」
 と梓が強い口調で言い放つと、渋々といった表情を見せて、ベランダ側に移動して行く。娘を連れた母親には何もできないと知っているからだ。
 これで死角に入ったはずだ。



 梓が人質になっているビルから、雑居ビルを挟んだ空き地に二機のジェット戦闘ヘリと一機の超小型VTOL機が待機していた。犯人達に気づかれないように大型トレーラーで搬送されて、この地に到着して整備され、出撃を待っている。
 超小型のVTOL機。その機体の名前は、スカイ・スナイパー。
 アメリカでの軍需産業部門を率いる篠崎重工アメリカが設計し、AFC財団が資金を出して開発中の機体だ。
 空からの狙撃者という意味のそれは、ジャングルに潜むゲリラの掃討用に開発中の小型ジェット戦闘VTOL機の試作機だった。生い茂る木々をかき分け、自由自在な旋回能力を発揮して高速移動しながらゲリラを掃討する。ベトナム戦争以来、森や山岳に潜むゲリラに業を煮やしている米軍が、喉から手が出るほど欲しがる機体だ。しかし研究開発できる企業が存在しなかったため今日にいたっている。
 財団を梓に譲る以前の渚が、アメリカ軍需産業に進出した時に、米軍から依頼を受け開発に着手した。アメリカの軍需産業に日本企業が進出するのは、少なからぬ問題が発生するために、当初篠崎重工が開発していたが、梓がAFCと篠崎重工が資本提携したアメリカ国籍企業である、篠崎重工アメリカを立ち上げたときに、そのまま移行してきたものだ。初代CEO(最高経営責任者)には篠崎重工元専務である花岡一郎が就任している。
 現在、渚が相談役に退いてもその開発は引き続き行われていた。もちろん清楚なイメージを持つ梓にはふさわしくないということで、娘に知らされることなく極秘理に進められていた。
 なお、現在空席の篠崎重工の専務には、現在進められている絵利香の婿養子選びを待って決定されることになっている。


「渚さま、スカイ・スナイパーの準備が整いました。いつでも出撃可能です」
 執務室に、現地で陣頭指揮をとる麗香からの報告が届く。
「わかりました。そのまま待機させておいてください」
 目の前のパネルスクリーンには、梓母娘が人質になっているビルの、精密な三次元投影画像が映しだされている。動いている赤い点滅は犯人達の現在位置を示しており、五階の窓際に動かないままの青い点滅が梓母娘を示している。
 この映像は数台の人工衛星からの遠赤外線レーダーのデータを、十台のスーパーコンピューターを並列結合し超高速演算して、リアルタイムな映像として現れるようにしたものである。この映像は通信衛星「あずさ」一号機を介して、現地のフリートウッドのナビゲーションシステムにも転送されて、麗香に伝えられている。
「問題は、梓さまに張り付いている一人の犯人ですね。こいつがそばにいる限り突入は不可能です」
 青い点滅のそばで点滅する赤い点を示している恵美子。
「それと梓さまのいらっしゃる場所も問題です。この位置では銃撃戦の巻き添えになります。一番安全な北東の隅でないと」
「何とか梓さまに連絡がとれればいいのですが……」
 人質となっていることで、突入の機会が難しくなっている。

 現地で指揮を執る麗香も落ち着けない。
 陸軍から戦術コンピューターの搭載された戦闘指揮車が派遣されてきていた。
 中には、ずらりと液晶ディスプレイが並び、ビルの外観映像はもちろんのこと、内部見取り図と敵の配置図などが表示されている。
 スナイパーや戦闘ヘリの位置も一目瞭然。合図一つですぐにでも動き出せる状態だった。

「気丈で精神力のある方の梓さまが出ておられると助かるのだけど……」
 何とか、梓の方で行動を起こしてくれたらと願う麗香だった。

 だが次の瞬間事態が急変したことに気づく。
 戦闘指揮車のオペレーターが知らせる。
「あ! 見てください。梓さまが北東に移動しています。しかも張り付いていた犯人もベランダの方に」
「梓は、わたし達の計画に気づいているんだわ」
「今がチャンスです」
「そうね。突入して下さい」
「はい。突入開始します」
 麗香の攻撃命令以下、二台のジェット戦闘ヘリと超小型VTOL機がエンジンを轟かせながら発進した。

 ビルの中。
 突然沸き起こる大きな音と、微かに揺れるビルに何事かと窓の外を眺める犯人達。屋上でジェット戦闘ヘリによる最初の銃撃戦が開始されたのだ。屋上に強襲着陸する目的と、五階の窓に向かうVTOL機が屋上から攻撃されないための第一波攻撃だった。
 梓はとっさに梢をしっかりと抱きかかえると身体を小さく屈めた。たとえ自分の身体に流れ弾が当たっても、決して梢には当たらないようにしている。
 犯人達の背後の北側の窓に、突然出現した一台の超小型VTOL機。その機銃の銃口から一斉掃射される弾丸。耳をつんざくような銃撃音の中、梓は梢を抱いたまま微動だにしない。一斉射撃が止み銃口を階段に向けたままホバリング状態にはいるVTOL機。次には、さらにもう一台のジェット戦闘ヘリがベランダ側に出現して、ロープが降ろされて中から四人の兵士が飛び降りてきた。倒れている犯人達を乗り越え、梓の側にやってくる。
「梓さま、大丈夫ですか?」
 ゆっくりと振り返る梓。
「こちら突入部隊。梓さまを確保しました。母子ともご無事です」
「よし、一人は梓さまをヘリに回収して脱出しろ」
「残る三人は、屋上強襲班と共に犯人の掃討にあたれ。他の階から犯人達がその階に移動している、一人残らず射殺しろ」
 兵士の一人が梓をベランダに連れていき、ヘリから垂らされているロープにしっかりと梓を結わえると言った。
「お子様を、お渡しください」
 上昇時のショックで子供を振り落とすことを心配したからだが、梓は黙り込み梢をしっかり抱きかかえたまま離そうとはしない。
「わかりました。絶対に離さないでくださいよ」
 兵士がヘリに合図をすると、ロープがするすると巻き上げられ、梓母娘は無事にヘリに回収された。
 そこには麗香が待ち受けていた。
「梓さま! ご無事で何よりでした」
「麗香さん……」
 麗香の姿を確認しても、梓の表情は虚ろだった。無理もないだろう、目の前での耳をつんざくような銃撃戦、幾人かの人間が死んでいき、その死体の上を歩いてヘリに乗ったのだから。
「梓さまを、無事助けだしました。これより屋敷に直行します」

 真条寺家屋敷のそばに併設されている私設の飛行場に、ジェット戦闘ヘリが着陸する。
 待ち受けていた人々が一斉に駆け寄って行く。
 渚、恵美子、そして専属のメイド達。
 担架に乗せられた梓と麗香に抱きかかえられた梢がゆっくりと降りてくる。
「二人は大丈夫なの?」
 声を掛ける渚だったが、
「梢さまは気を失っていますが無傷です。しかし、梓さまは……」
 麗香は項垂れて言葉を繋げることが出来なかった。
 その真意を受け取って、その肩を抱いてその気苦労を誉める渚。
「分かりました。ともかく梓を医療センターに運びましょう」

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