銀河戦記/鳴動編 第二部 第九章 共和国と帝国 Ⅷ
2020.11.14

第九章 共和国と帝国


Ⅷ 海賊艦隊


「敵艦隊、右翼に展開中です」
「どうやら、こちらに気付いたようです」
「敵艦の艦体温度上昇中!」
「戦闘態勢に入ったようです」
「識別信号は?」
「今なお出しておりません。完全無視です」
「敵艦隊およそ六百隻。我々を包囲しつつ接近中!」
 ここに至ってアレックスが動く。
「そうか……全艦戦闘配備!アーク・ロイヤルへ、艦載機全機発進!」


「敵さんは、こちらの勢力が二百隻と知って、六百隻にしたのかな?」
「艦隊数で三倍差があれば、たいがい勝ちますよね。ということは、事前にこちらの情報
を得ていた可能性大ですね」
 パトリシアが推測する。
「より多ければ勝利の確率も上がるが、隠密を是とする行動ではそうもいかんだろ。探知
されるのを防ぐためにも必要最低限というところだ。こちらが戦闘経験の少ない帝国軍だ
と甘くみているようでもあるがな……」
「提督が指揮を執られれば、それでも大丈夫なのでは?」
「ジュリエッタ艦隊とマーガレット艦隊の精鋭であることに違いはないのだがね」
「双方とも戦闘の経験は、ある程度あるはずです」
「それでも相手が連邦軍の残党だったら、百戦錬磨の経験があるだろう」
「殿下。その残党だか海賊だかは、やはり帝国側の息が掛かっているのは間違いないので
しょうか?」
 ジュリエッタが尋ねた。
「ああ、間違いないだろうね。私を一番煙たがっているのは誰かと考えればね」
「摂政派の貴族ということですか?」
「うむ……連邦は革命後の動乱で他国に干渉するだけの余裕はないだろう」

 スクリーン上に、艦載機群の戦闘によると思われる戦火の輝きが明滅する。
「はじまったな」
 その間隙を縫って、敵長距離ミサイルが迫ってくる。
「ミサイル接近中!」
「弾幕を張れ!」
 ネルソン提督が、すかさず下令する。
 近接防御火器システム(CIWS)が、迫りくるミサイル群を次々と撃ち落とした。
「前方の艦載機群の戦闘が終了したようです。敵機のほとんどは撃ち落とし、残りは撤収
したもよう」
「敵さんは空母を持ち合わせていなかったようだな」
「足の遅い空母は奇襲には向かないですからね」
「戦闘機を帰還させてくれ」
 戦闘機による攻撃が終われば、続いて艦砲射撃が始まる。
「敵艦隊接近中!」
「射程に入り次第、砲撃開始せよ」
「紡錘陣形!装甲の厚い戦艦を外側に配置して、この艦を守れ」
 ネルソン提督が、テキパキと指令を出し続ける。
 よほど間違った指令でもない限り、アレックスは黙って、指揮を任せていた。
 ジュリエッタ皇女艦隊の総司令官はネルソン提督である。
 それなりに自尊心もあるだろう。
 とはいえ、二百隻対六百隻では多勢に無勢、次々と撃破されてゆきジリ貧なりつつあっ
た。
 突如として、一隻の艦が特攻を仕掛けて来た。
 目の前に急接近する艦に怯えるオペレーター達。
 ぶつかると思った瞬間、味方艦が横から体当たりして、その特攻艦を排除した。
 安堵の吐息を漏らすオペレーター達。

「敵艦隊、我が艦隊を半包囲しました」
 着々と敵艦隊の包囲陣が完成しつつあった。
 いわゆる絶体絶命というピンチというところであろう。
 そんな中でも、全く動じずに冷静に振舞っているアレックスに、艦橋の人員は頭を傾げ
るしかない。
 共和国同盟の英雄とて、この状態を打破できるのだろうか?
 疑心暗鬼になり、逃げだしたくなるのだった。
 しかし、当の本人は冷静沈着だった。

「そろそろかな……」
 アレックスは呟き、手元の通信機を操作した。
「よろしく頼むよ」
 と一言送って通信を切った。
「今の通信は?」
 ジュリエッタが尋ねると、
「救援を頼んだのだよ」
「救援ですか?」
「そのうちに分かるさ」
 その直後だった。

「敵艦隊の後方に感あり!」
 オペレーターが報告する。
「援軍か!?敵か味方か?」
「敵の通信妨害で確認できません!」

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第二部 第九章 共和国と帝国 IVVI







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にじのしずく


ナレ「竜王の指定した地下1階の宝箱に、ロトの剣を収める勇者」
勇者「うむ……。☆彡・〇▽★々◇……"(-""-)"……よし!」
コンラト「封印の呪文ですね」
勇者「宝箱に収めろとは言われたが、封印するなとは言われてないからな」
リリア 「そうですね。誰でも開けられて取られないようにした方が良いでしょう」
ナタリー「さあ、竜王の所に戻りましょうか」
竜王「おお、ご苦労だった。報酬の約束手形を渡そう。ギルド銀行で換金するがよい。魔
よけの鈴はくれてやる」
勇者「サンキューな(*^^)v」
竜王「では、サラバだ!」
ナレ「気が付くと、一行は魔王城の外に立っていた」
ナタリー「帰りましょう」
ナレ「リマルダールと魔の島に架る虹の橋を渡り終えたときだった」
リリア 「あ!橋が崩れました」
コンラト「危なかったですね」
勇者「おや?何か落ちているぞ」
ナレ「勇者が拾い上げたのは、涙滴状の虹色の塊だった」
リリア 「なんでしょうね?」
ナタリー「ギルドで鑑定してもらいましょう」
ギルト「お疲れさまでした。100年来の依頼がやっと終了できました。約束手形を現金化し
ますか?」
勇者「ああ、頼むよ。ただの紙じゃ何も買えねえからな」
ギルト「大金ですので、一応ギルド銀行に入金しておきます。ギルド証を呈示すれば、いつ
でも引き出しできますから」
勇者「そうか、ギルド証がキャッシュカードにもなるのか。便利になったもんだ」
ナタリー「あんたんとこの家宝を差し出して、依頼を達成できたんだから、あんたが九割貰っ
て残りをうちらが山分けするよ」
コンラト「そうですね。私としても33,000Gあれば十分ですよ」
リリア 「わたしも異議ありませんわ」
勇者「それでいいのか?」
ナタリー「それでいいのよ。貰っときなさい」
勇者「わかった。ところで、鑑定してもらいたいものがあるのだが」
ギルト「どのようなものでしょうか?」
勇者「これだよ(とギルドに差し出す)」
ギルト「こ、これは!【にじのしずく】じゃないですか、これをどこで?」
ナタリー「魔王城に架っていた橋が壊れまして、その袂(たもと)に落ちていました」
ギルト「そうでしたか……橋が壊れたので、元の形に戻ったのでしょう」
勇者「それって、形状記憶合金なのか?」
ギルト「実は、これを探している方がいます」
リリア 「依頼があるのですか?」
ギルト「はい。リマルダール南の島にある、聖なる祠の神官の依頼です」
勇者「なんだよ。またあの爺さんに会いに行くのか?」
リリア 「神官さまに失礼ですよ」
ナタリー「まあいいわ。それ引き受けます」
ナレ「というわけで、以前通った順路に従って聖なる祠へとやってきた」
神官「よくぞこれを手に入れたましたな」
コンラト「じつは、是是然然(これこれしかじか)……」
神官「なるほど、そういうものでしたか。この【にじのしずく】は、この祠の神官に代々
伝わるものでしてね。歴史は繰り返す、その時のために用意してあるのです」
リリア 「歴史は繰り返す……ですか。いずれまた大きな災禍が降りかかり、それを解決せん
と勇者が現れる……ですね」
ナタリー「それは100年後のことですか?」
神官「それは分かりませんが……」
ナレ「聖なる祠への届け物依頼が終了して、再びナダトームに戻って来た」
ギルト「お疲れさまでした。これからどうしますか?」
勇者「そうだなあ……。未来の勇者のための下準備はすべて終わったし……そろそろ、国
王の依頼を何とかしたいと思っているのだが……」
ギルト「姫さま救出ですね。竜王の依頼以上に難しいでしょうね」
勇者「その通りだよ」
ギルト「それでは、無事に依頼を達成できることを祈ります」
ナレ「ギルドを出てくる一行」
リリア 「姫さまの救出といっても、ナクロゴンドに行く方法がありませんよね?」
勇者「大魔王の住むナクロゴンドは、俺のひいばばが討伐に向かった場所だ。だから俺の
潜在意識の中にあるんじゃないかと思うんだ。ひいばばと手を繋いだ時、流れ込んできた
意識の中に、それはあるんじゃないかと思うんだ」
コンラト「なるほど……その潜在意識を読み取って瞬間移動できる能力があれば……」
ナタリー「最高導師クアール様なら、それができるんじゃないかな」
リリア 「大聖堂からフェリス王国まで、私たちを瞬間移動してくださいましたわ」
勇者「また、野となり山となりを這いずり回って大聖堂まで行くのかよ」
コンラト「フェリス王国に戻っているかも知れませんよ」
ナタリー「そうね。一旦フェリス王国に行ってみましょう。大聖堂以外の場所にも寄ってるか
も知れないから、確認の必要ありよ」
勇者「しようがねえ、フェリス王国だ」
ナレ「そんなわけで、久しぶりのフェリス王国へと向かう一行だった」

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ロトの剣


勇者「分かった!そのロトの剣とやらを持ってくればいいんだな」
竜王「そうだ。すでに100年間待ちぼうけなのでな。時間を気にすることはないぞ。手に
入ったら、いつでも持ってきてくれ」
勇者「ところで、1,000,000Gとやらは間違いないだろうな」
竜王「インディアン嘘つかない!」
勇者「何だよ。おまえも地上デジタル放送の神夜映画『ローンレンジャー』を見てるのか
よ?」
竜王「帰るのは大変だろうから、ナダトーム城まで送ってやるよ」
ナレ「眩い光に包まれたかと思うと、一行はナダトーム城の前に立っていた」
勇者「どうせなら、アリアヘンに送ってくれればよかったのにな」
ナタリー「アリアヘンを知らなかったんじゃない?それに魔城のすぐそばだし」
勇者「仕方がねえな。アリアヘンに向かうぞ」
ナレ「というわけで、アリアヘンに戻って来た」
母親「お帰り!」
勇者「単刀直入に言うぞ!王者の剣を、俺にくれ!!」
ナタリー「じつは……斯斯然然(かくかくしかじか)……なのです」
勇者「なんだよ。東村アキコ(漫画家)かよ」
母親「……なるほど。よく分かりました」
ナレ「祖母の女勇者の部屋に向かい、家宝の王者の剣を持ってくる母親」
ナタリー「これが、王者の剣ですか?」
母親「はい。祖母が大魔王ズーマを倒したという剣です」
勇者「33,000Gで買った剣が、1,000,000Gになるのか……」
リリア 「100年以上経ってますから、貨幣価値も違ってると思いますが」
コンラト「この大事な家宝である王者の剣を、渡してくれるのは何故ですか?」
母親「祖母もそうでしたが、私の所にも天からの声が届いていました。未来の世界に生ま
れる勇者のために、この王者の剣を息子に委ねろと」
コンラト「なるほど……」
勇者「そういうわけだから、王者の剣を貰っていくぞ」
母親「ああ、分かっているよ。しっかりやりな」
ナレ「王者の剣を携えて、再び竜王の前へとやってきた」
勇者「持ってきてやったぞ」
竜王「おお!!よくぞここまで持ってきたな。それがロトの剣か」
勇者「手に入れてどうする?叩き壊すのか?」
竜王「いやいや。ロトの剣はオリハルコンという物質で出来ていてな、かの大魔王ズーマ
ですら破壊するのに3年掛かったというからな。壊せないなら、手元で厳重に保管するし
かないだろ」
勇者「ところで、ちょっと聞いていいか?」
竜王「なんだ?」
勇者「魔王を知っているか?ファンタリオン王国の姫を誘拐した奴なんだが」
竜王「誘拐?それはいかんな」
勇者「おまえだって、100年後にルーラ王女を誘拐しようとしているのを知っているぞ」
竜王「な、なぜ。それを知っている?さては、海底洞窟の貴賓室に忍び込んだな?」
勇者「ああ、そこに置いてあった手帳に書いてあったぞ」
竜王「そ、そうだ!取引しようじゃないか」
勇者「取引だと?」
竜王「そうだ。儂は、魔王の居場所を教える。おまえは、100年後の計画を黙って見逃す
のだ」
ナレ「コンラッドが耳打ちする」
コンラト「取引に応じてはいかがでしょうか」
勇者「なぜ?」
コンラト「100年後など、誰も生きてはいません。誰かに密告しても誰が信じてくれるでしょ
うか。今は、ファンタリオン王の勅命である姫の救出が先決ではないでしょうか」
勇者「それもそうだな。おい竜王!」
竜王「取引に応じるようだな」
勇者「海底洞窟のことは黙っててやるから、魔王のことを教えろ!」
竜王「いいだろう。かつて勇者によって倒されたブラモスに孫がおってな。ナクロゴンド
に新たなる城を造成して住んで居る。ブラモス三世と名乗っているそうじゃ」
勇者「ここにも三世?そういや、ドラクエⅡの竜王のひ孫と同じか……」
竜王「なんじゃそれは?儂のひ孫とな……どういうことじゃ。儂はまだ独身じゃが」
勇者「ああ、気にするなよ。そうだな……予言だよ。将来のこの場所に、ひ孫が君臨して
いるということだ」
竜王「そ、そうか……未来の予言か。となると、儂とルーラ姫の間に子供ができるのじゃ
な(頬を赤らめる)」
コンラト「そんなこと言ってよかったのですか?」
勇者「伴侶が誰かは分からんが、ひ孫ができるのは事実だからな」
リリア 「どうなっても知りませんわよ」
ナタリー「と、とにかく依頼だから。このロトの剣を、地下1階の宝箱にしまいに行きましょ
う」
竜王「すまない、その宝箱は一度地下4階に昇ってから、地上から来た別のルートを通っ
た地下1階にあるからな」
勇者「それは構わんが、魔物をどうにかしてくれないか?」
竜王「おお、そうじゃったな。配下の魔物には手出ししないように言っておくから、安心
しておれ。一応念のために、この魔よけの鈴を渡しておこう」
勇者「熊よけ鈴のようなものか?」
竜王「まあ、そんなところだ」

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