冗談ドラゴンクエスト 冒険の書 55
2019.09.05


冗談ドラゴンクエスト


冒険の書 55


ナレ2「山あり谷ありの道というよりも、ほとんど獣道といった所を龍峡谷へと進
む一行」
ナレ1「進めば進むほど、出現するモンスターの数も増え、レベルも上がってゆ
く」
ナレ2「モンスターを倒しながら突き進むうちに、どこからともなく水の音が聞こ
えてくる」
リリア「水が流れる音が聞こえます」
ナタリー「ムースの滝でしょうか?」
コンラッド「何とも言えませんが、近づいてみましょう」
ナレ1「と一歩踏み出すと、目の前に巨大な影が遮った」
勇者「こいつあ、ヤマタノオロチか?」
ナタリー「違うみたいね、1・2・3……頭が9個あるわ。九頭竜ね」
勇者「ほんとだ。頭、8本じゃないな」
ナレ1「解説しよう。日本書紀などにあるヤマタノオロチは、須佐之男命が八首龍
を倒して『草薙の剣』を手にした、とあるが。別の伝承ではまた違う記述がある。
例えば千葉の鹿野山九頭竜伝説では、日本武尊が草薙の剣を持って九頭竜を倒した
とある。龍が村人を襲ったとか、酒で酔い潰したところを倒したのは同じ。伝承と
いうものは地方によって、それぞれ都合よく改変されるものである」
勇者「ステージクリアを阻むボスキャラ登場というところか!」
ナタリー「言いえて妙ね」
勇者「シューティングゲームなら倒すっきゃないが、RPGなら説得するとかアイ
テムさえあれば何とかなるんだが。例えば『メルキドのまち』を守るゴーレム『よ
うせいのふえ』があれば戦闘なしで消し去ることができる」
ナタリー「また、ドラクエIの話?」
勇者「おうともよ」
リリア「回り道しますか?」
勇者「王城の武器屋で売っていたドラゴンバスター1000000Gがあれば簡単に倒せ
るんだろうけどな。あれはゲームクリア直前の金貨持ちきれないほど状態でないと
買えないぜ」
ナタリー「ん……。ちょっと待って(なにやら呪文を唱えている)」
ナレ1「すると九頭竜の姿が薄れてゆき、やがて残ったのは朽ちた大木であった」
コンラッド「九頭竜が消えた?」
ナタリー「幻惑視の魔法が掛けられていたのよ」
リリア「クアール最高導師様が?」
ナタリー「そのようね」
コンラッド「さすが魔術師のナタリーさんですね。幻惑視を見破るなんて」
勇者「うそだい、こいつは売春婦だぜ」
ナタリー「さあ、先を急ぎましょう(相手にしない)」
勇者「おいこら!無視するなあ!!」
ナレ1「勇者を無視して先へ急ぐ一行だった」


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冗談ドラゴンクエスト 冒険の書 54
2019.09.04


冗談ドラゴンクエスト


冒険の書 54


ナレ1「食堂で食事をしている一行。そこへ勇者が青い顔をして現れる」
勇者「気持ち悪いぜ……」
ナタリー「飲めないのに、がぶ飲みするからよ」
勇者「そうなのか?」
リリア「今のあなたの身体は、酒の飲めないあたしなんですから」
勇者「なるほど、すっかり忘れていたよ」
ナタリー「まあ、おかげで昨夜は、夜這いされることなくぐっすり眠れたわ」
リリア「はい、お水をどうぞ(コップを刺しだす)」
勇者「おお、サンキュー(ゴクゴクと飲み干す)」
コンラッド「みなさん、お静かに。今日の予定を発表します」
リリア「予定ですか?」
コンラッド「司祭様からの情報です、龍峡谷の東斜面のムース滝で、最高導師様らしき
人を見かけたという村人がいたとのことです」
リリア「ほんとうですか?(目を爛々と輝かせて)」
コンラッド「あくまで不確定要素ですが……」
ナタリー「でも手探り状態の現状を考えれば、どんな些細な情報でも確認する必要があ
るでしょう。ね、リリア」
リリア「はい、わたしもそう思います」
勇者「反対!!(と手を挙げる)」
ナタリー「それでは、ムース滝に行くべしという方は挙手して(勇者を無視)」
リリア「はい、賛成!」
ナレ1「勇者を除く三人が手を挙げた」
ナタリー「決まりね。ムース滝行き決定!」
勇者「少数意見無視だ!多数決横暴!!絶対反対だぞ、行くならおまえらだけで行け」
ナタリー「どっかの国の政党みたいね。政権取ったら少数意見を無視して多数決原理で
政治を強行して、いざまた野党に戻ったら、多数決横暴とか議会運営を邪魔する」
コンラッド「行く行かないは個人の自由ではありますが、あなただけの問題ではないの
ですからね」
ナタリー「そうよ。リリアは元に戻りたいのよ。そのためは、その場にあなたの同席が
いるの!」
リリア「元に戻りたくないのですか?わたしは戻りたいです(必死の表情で懇願す
る)」
ナレ1「うるうると瞳をうるませて、じっと勇者を見つめるリリア」
ナタリー「あんたの性格なら、女でいる方が世のためかも知れないけどね」
リリア「そんなあ、ひどいです!」
ナタリー「あ、うそよ。うそ」
勇者「わかったよ……行けばいいんだろうが!」
コンラッド「よし!決まりですね」
ナレ1「というわけで、龍峡谷東側斜面にあるというムース滝に向けて、チャッキリ村
を出発する一行だった」


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冗談ドラゴンクエスト 冒険の書 53
2019.09.03


冗談ドラゴンクエスト


冒険の書 53


コンラッド「はい。存じております」
司祭「その激しい瀑布に打たれている修行僧らしき人物がいた、ということだ」
コンラッド「あの瀑布に打たれれば、普通の人間なら死にますよ。どころか、激流に押
し流されてしまいます」
司祭「まあそうだろうな。常人じゃない雰囲気を持っていたそうだ」
コンラッド「つまり、ムース滝近辺に最高導師様がいらっしゃる可能性ありですね」
司祭「行ってみるか?」
コンラッド「もちろんです!」
ナレ1「こうして、新たなる情報を得たコンラッドは、司祭にお礼を言って仲間の待つ
宿屋に戻った」
リリア「止めてください!お願いですから!!」
ナレ1「宿屋の食堂から、リリアの悲鳴が聞こえてくる」
コンラッド「何事ですか?(と食堂に入ると)」
勇者「おお、コンラッド帰ったか!」
ナレ1「と見ると、勇者が上半身裸で、食卓の上に登って踊っていた」
コンラッド「こ、これは何ですか?」
リリア「あたし酒は飲めないんですよ。それなのに……」
ナタリー「こいつ酒乱だったんだ」
リリア「あ、あたしじゃありませんからね」
コンラッド「は、はあ……(ため息)」
リリア「と、とにかく服を着てください!(悲鳴)」
勇者「え、なに?じゃあ、下も脱ぎまーす」
リリア「きゃあああああ!」
ナタリー「しょうがないわねえ。スリープ!(眠りの魔法をかける)」
勇者「ほえ……(魔法により食卓の上にうずくまって眠りこける)」
コンラッド「しようがないですねえ……(勇者を抱きかかえる)」
ナレ1「魂は勇者でも、身体は元々リリアなので、優しく扱うコンラッドだった」
コンラッド「寝かせますから、部屋はどちらですか?」
リリア「あたしが案内します」
ナレ1「勇者の部屋に入り、ベッドに寝かせ付ける」
ナレ2「そして夜が明ける」


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冗談ドラゴンクエスト 冒険の書 52
2019.09.02


冗談ドラゴンクエスト


冒険の書 52


ナレ1「目的地への道は、龍峡谷というだけあって山あり谷あり、おまけにモンスター
もテンコ盛りだった」
ナレ2「チャリラリラン♪ 勇者のレベルが上がった、体力が1上がった……。リリア
のレベルが上がった、体力が1上がった……」
ナタリー「ふうっ……キリがないわね。まあ、レベルの低いリリアの経験値稼ぎには丁
度いいけど」
リリア「勇者さんも同じですね」
勇者「おりゃあ!(とモンスターを一匹倒す)わらわらと出てきやがるな」
リリア「見て!(と指さす)山里が見えますよ」
コンラッド「チャッキリ村ですよ」
ナタリー「急ぎましょう」
ナレ1「というわけで、チャッキリ村に駆け込む一行」
リリア「宿屋を探しましょう」
勇者「それがいいね。飯をたらふく食いたいぜ」
リリア「それは止めてください。太りますから」
勇者「なんだよ、飯ぐらい好きに食わせろよ」
ナタリー「喧嘩は止めなさいよね。ほら、あそこに宿屋があるわ」
コンラッド「先に宿屋に行ってください。私は、教会に行きます」
リリア「司祭様に、クアール最高導師様についてお聞きするのね」
ナタリー「どこかで見かけたという情報でもいいから、聞きだせるとよいわね」
ナレ1「一行から離れて教会へ向かったコンラッド」
ナレ2「そそり立つ尖塔を構えた教会が、村の中心に立っていた」
ナレ1「村の中にモンスターが入れないのも、この教会が発する強力な結界が村を守っ
ているのである」
司祭「よくぞ参った、コンラッド殿」
コンラッド「お久しぶりです、司祭様」
司祭「噂に流れ聞いているぞ。クアール最高導師様を探しているそうだな」
コンラッド「左様にございます。司祭様はご存知ないですか?」
司祭「そう聞くだろうと思って、実は礼拝の時に村人達にそれらしき人物を見かけなか
ったか尋ねてみた」
コンラッド「で、どうでしたか?」
司祭「うむ……そもそも最高導師様がどんなお姿かも知っている者はおらんからな。並
みの人間ではなさそうな、あくまでそれらしき人物」
ナレ1「じらすような口調で言葉を続ける司祭」
司祭「龍峡谷の東斜面にムース滝があるのは知っておるな」


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銀河戦記/機動戦艦ミネルバ 第四章 新型モビルスーツを奪還せよ XVI
2019.09.01


 機動戦艦ミネルバ/第四章 新型モビルスーツを奪回せよ


                XVI

 潜砂艦の指揮塔から、砂の上に降り立つ、艦長以下の参謀達。
 砂塵を巻き上げながら降下するミネルバを見上げている。
 ミネルバの砲塔が旋回して潜砂艦に照準が合わせられたようだ。抵抗する気配を見せ
たら、容赦なく攻撃を開始するという牽制である。
 やがて降下したミネルバの昇降口が開いて、フランソワやベンソン副長が降り立ち、
歩み寄ってくる。
「どうやら向こうの艦長は女みたいですね」
「それだけじゃない。胸の徽章を見てみろ。戦術用兵士官だ」
「なるほど、旗艦という理由が納得できたみたいです」
 フランソワが目の前に立った。
 一斉に敬礼する潜砂艦の乗員達。
 それに応えてフランソワも敬礼を返しながら、
「これはどういうことですか? ハルブライト・オーウェン中尉」
 名前を言い当てられて、少し驚きの表情を見せる艦長のオーウェン中尉。
 艦艇データから、艦長名などを調べ上げたようだ。
「申し訳ありませんね。こちらに記録されております艦艇データが古くて、そちらの
データが載っていなかったのですよ。そちらさんは、どうやら新造戦艦のようですから
ね。確認が取れない以上、連邦軍の未確認艦として、攻撃を行ったというわけです」
 嘘も方便である。確かに艦艇データに記録はないのだから、言い逃れはできそうであ
る。
 副長は笑いを押し殺している。
「そういうわけで、そちらの艦長さんのお名前も知らないわけでして……」
 言われて頷くフランソワ。まだ自分の身分を名乗っていなかった。味方に攻撃されて
興奮していたせいであろう。
「ミネルバ艦長、フランソワ・クレール上級大尉です」
「ミネルバというと、メビウス隊の旗艦となる艦でしたよね。なるほど、それで我々の
攻撃をいとも簡単に凌いでしまわれたわけだ。感心しましたよ」
 その時、通信が急ぎ足でオーウェンのもとに駆け寄ってきた。フランソワに一礼して
から通信文を艦長に手渡す。
 その通信文を読み終えて、
「新しい任務が届けられました。取り急ぎの用なので、これで失礼します。今回の件に
つきましては、そちらの方で本部に伝えておいてください」
 と言い残して、踵を返して潜砂艦に戻っていった。

 潜砂艦艦橋。
「潜航開始!」
 ゆっくりと砂の中に潜っていく潜砂艦。
「作戦の前にオアシスによって水を補給する。微速前進」
「取り急ぎの用ではなかったのですか?」
「自分の娘ほどの若い上級士官から小言を聞かされるのは耐えられんからな。任務にか
こつけてオサラバしたのさ」
「あの上級大尉さん。呆然としていましたよ」
「まあ、俺の方が世渡り上手なだけだ」
「そんなものですかね」
 それから小一時間後。
 オアシスの湖に浮かんでいる潜砂艦。
「水の補給完了しました」
「それでは、行くとしますか。潜航!」
 湖に沈んでいく潜砂艦。というよりも潜水艦と言った方が良いだろう。
 この艦は流砂の中はもちろんのこと水中へも潜れる、SWS(サンド・ウォーター・
サブマリン)と呼ばれる兼用潜航艦である。


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