冗談ドラゴンクエスト 冒険の書 48
2019.08.26


冗談ドラゴンクエスト


冒険の書 48


ナレ1「というわけで、大聖堂へやってきた一同」
コンラッド「さあ、入りましょうか」
ナレ1「入り口に立つ衛兵に国王印の押された親書を見せると、敬礼して重い扉を開け
て一行を迎え入れた」
ナレ2「大聖堂の身廊(Nave)と呼ばれる長い廊下を突き進む先にその人物は立ってい
た」
大神官「おや、珍しいですな。騎士団団長殿が何用ですかな。それと後ろの方々は?」
コンラッド「こちらは私のパーティーでございます。故あって大神官様にお目通りを願
いました。国王様からの親書をお持ちしました」
ナレ1「うやうやしく国王の親書を手渡す」
大神官「うむ(親書を読みながら)なるほど、クアール最高導師様の居場所を知りたい
と?」
コンラッド「左様にございます」
大神官「最高導師様は引退後は世捨て人として、人里離れた山の奥地に隠居されたの
だ」
コンラッド「重々承知しております」
大神官「それほどまでして、どうしても会わねばならぬ理由を説明してくれまいか?」
リリア「わたしが説明いたします」
ナレ1「身体と心が入れ替わってしまったこと、元の身体に戻りたい、ということを懇
切丁寧に説明するリリア」
大神官「なるほど人体錬成ですか、そういうわけだったのですね」
勇者「大神官様よお、手っ取り早くあんたの力で何とかならんか」
ナタリー「こ、こらあ!大神官様に向かってなんてことを」
勇者「だってよお、ウイスが言うには全宇宙五本の指に入る実力者なんだろ?精神入れ
替えなんざ、朝飯前だろ?」
ナタリー「何の話をしているのよ」
勇者「だから、ドラゴン〇ール超では……」
リリア「ここは、冗談ドラゴンクエストの世界です!」
大神官「ほほう、面白い方ですね」
ナタリー「すみません、すみません(と勇者の頭を押さえつけて十回謝る)」
大神官「あはは、残念ながら精神入れ替えのような術は持っておりませんよ」
勇者「ちぇっ!大した奴じゃないということか……」
ナタリー「すみません、すみません(ともう一度、勇者の頭を押さえつけて十回謝
る)」
リリア「最高導師様がどちらにいらっしゃるかご存知ありませんか?」
大神官「いいでしょう。お教えしましょう」
リリア「ありがとうございます」
大神官「クアール最高導師様は、竜王バハムートの住む龍峡谷のとある祠に住んでいる
という」
勇者「竜王だと?上手くすりゃあ、ロトのつるぎが手に入るか?」
ナタリー「何の話?」
勇者「とその前に、たいようのいし、ロトのしるし、あまぐものつえ、にじのしずく、
とか集めなきゃいかんのか……面倒だな」
ナタリー「だからあ、何の話ししてるって言ってんのよ!!」
勇者「ドラゴンクエストIに決まっているだろ」
ナタリー「もういっぺん死んでこい!(ファイアボールの魔法を勇者に投げつける)」
リリア「きゃああ!その身体はあたしですぅ!!」
ナタリー「あ、ごめんごめん」
大神官「ははは、面白い方だ」
ナタリー「恐縮いたします」
大神官「まあ良い。これを持っていくがよい」
コンラッド「(受け取りながら)これは?」
大神官「それは、最高導師様から預かっていた『道しるべの羅針盤』」
コンラッド「道しるべの羅針盤ですか?」
大神官「通常はただの羅針盤なのだが、ある一定の条件が揃うと、最高導師様の居場所
を指し示してくれるという」
コンラッド「それで羅針盤ですか……で、その条件とは?」
大神官「それは教えて下さらなかったよ。その時がくれば自然に条件は揃うと仰られて
いた」
コンラッド「そうでしたか……おそらく龍峡谷へ向かえば道は開かれるかもしれません
ね」


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銀河戦記/機動戦艦ミネルバ 第四章 新型モビルスーツを奪還せよ XV
2019.08.25


 機動戦艦ミネルバ/第四章 新型モビルスーツを奪回せよ


                 XV

 上空にミネルバが到着した。
「新型モビルスーツ発見! 人影も見えます」
「大至急降下して、訓練生を救出して下さい」
 航海長が警告する。
「一帯は流砂地帯が広がっています。砂の上を歩くときは、十分注意して下さい」
「流砂ですか……。砂上モービルを出して下さい。ミネルバは念のためにホバリング状
態で着陸する」
 砂の上に着陸したミネルバから、救助隊を乗せた砂上モービルが繰り出して、三人の
共助に向かった。
 現場に到着した救助隊は、早速三人の容態を確認して、ミネルバに無線で報告する。
「三人とも、まだ生きています」
『ただちに収容して下さい」
 その場で、脱水症状を回復するための点滴が施されて、担架に乗せられて砂上モービ
ルで、ミネルバへと搬送された。そして集中治療室に運ばれて、本格的な治療がはじめ
られた。
 様子を見にきたフランソワに、医師は現状を説明した。
「三人とも命に別状はありませんが、女の子の方は心臓がかなり弱っており、回復まで
には相当の期間がかかりそうです」
「命に別状がないことは幸いです。十分な治療をしてやって下さい」
 訓練生の容態を確認して一安心したフランソワは、艦橋に戻って新型モビルスーツの
回収を命じた。
 ミネルバを新型の上空に移動させて、大型クレーンを使って引き上げる作業が行われ
る。
 燃料切れでなければ、パイロットを搭乗させれば、簡単に済むことなのであるが。
 回収作業の責任者として、ナイジェル中尉とオーガス曹長が当たっていた。
 二人は、この新型の搭乗予定者になっていたからだ。
 ちなみにすでに回収されていたもう一機の方は、サブリナ中尉とハイネ上級曹長が搭
乗することになっている。
「新型の回収、終わりました」
「よろしい。本部に暗号打電! 『新型モビルスーツとカサンドラ訓練生の収容を完了。
次なる指令を乞う』以上だ」
 作戦任務終了の後は、戦闘で消耗した燃料・弾薬の補給が予定されていたが、直前ま
で補給地点は知らされていなかった。
「本部より返信。『通信文を了解。次なる補給地点として、明晩19:00にムサラハン鉱
山跡地に向かえ』以上です」
「航海長! ムサラハン鉱山跡地へ向かってください。補給予定時間は19:00です。そ
の頃に丁度到着するように、多少の寄り道も構いません」
 ここは敵勢力圏である。真っ直ぐ目的地に向かえば、敵に悟られて、待ち伏せされて
補給艦が襲われる可能性がある。多少遠回りしても、寄り道しながら、最終的に予定時
間に補給地へ向かうわけだ。

 砂漠の上空を進むミネルバ。
 その後を追うように、砂の中に潜むように動くものがあった。
 それは砂の中を突き進むことのできる潜砂艦であった。
 艦橋から潜望鏡が砂上に頭を出している。
「こんな砂漠を飛んでいるなんて珍しいな」
「艦艇データにありません」
「おそらく新造戦艦なのだろう。そっちの方面で検索してみろ」
「あ、ありました。旧共和国同盟所属の新造戦艦ミネルバのようです」
 正面スクリーンにミネルバの艦艇データがテロップで流れ出した。
「ミネルバということは、我々のご同輩というわけか」
「はい。メビウス部隊の旗艦という位置づけになっているようです」
「旗艦か……。なんぼのものか、少し遊んでやるとするか」
「またですか? 前回も遊びすぎて、撃沈させてしまったではありませんか」
「なあに証拠さえ残さなければ大丈夫だ」
「また、そんな事言って……」
「ようし。戦闘配備だ」
「しようがないですねえ。戦闘配備! トラスター発射管、一番から八番まで発射準
備」
「一番発射用意。目標、上空を飛行する戦艦」
「目標セットオン。照準合いました」
「一番、発射!」
 発射管から飛び出していくミサイル。


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銀河戦記/鳴動編 第二部 第四章 皇位継承の証 I
2019.08.24


第四章 皇位継承の証(あかし)/土曜劇場


                 I

 首都星アルデランのアルタミラ宮殿。
 謁見の間に居並ぶ大臣・将軍達の表情は一様に重苦しい。
 マーガレット第二皇女が、摂政であるエリザベス第一皇女の裁定を受けていた。
「マーガレットよ。我が帝国の治安を乱し、テロなどの破壊行為なども誘発したことは
悪しき重罪である。事の次第は皇室議会において処遇を決定することになる。追って裁
定が下るまで、自室にて謹慎を命じる」
 うやうやしく頭を下げて処分を承諾するマーガレット皇女。
 そしてくるりと翻り姿勢を正して自室へと向かい始め、その後を侍女が従った。警備
兵が二人その後ろから付いてくるが、連行するというようなことはしない。皇女として
の誇りに委ねられた一幕であった。
 マーガレットが退室し、続いてアレックスに対する労いの言葉が、エリザベスより発
せられた。
「今回の任務。よくぞ無事にマーガレットを連れてこられた。感謝の言葉もないくらい
である。その功績を讃えて、中将待遇で銀河帝国特別客員提督の地位を与え、この謁見
の間における列席を許し、貴下の二千隻の艦船に対して、帝国内での自由行動を認め
る」
 ほうっ。
 という感嘆の声が、将軍達の間から沸き起こった。

 貴賓室。
 謁見を終えたアレックスが、応接セットに腰掛けてパトリシアと会談している。
 アレックスがマーガレット保護作戦に出撃している間、パトリシアはこの部屋に留め
置かれていた。
 いわゆる人質というやつで、大臣達からの要望であったと言われる。それでも世話係
として侍女が二人付けられたのは皇女の計らいらしい。
「艦隊の帝国内自由行動が認められたので、スザンナ達には軍事ステーションから、最
寄の惑星タランでの半舷休息を与えることにした」
「休暇と言っても先立つものが必要でしょう?」
「ははは、それなら心配はいらない。帝国軍から一人ひとりに【おこづかい】が支給さ
れたよ。内乱を鎮圧した感謝の気持ちらしいが……。本来なら彼らが成すべき事だった
からな」
「至れり尽くせりですね」
「しかし、これからが正念場だ。帝国側との交渉の席がやっと設置されたというところ
だな。まだまだ先は遠いよ」
「そうですね」
 事態は好転したとはいえ、解放戦線との協定に結び付けるには、多くの障害を乗り越
えなければならない。特に問題なのは、あの頭の固い大臣達である。あれほど保守的に
凝り固まった役人達を説得するのは、並大抵の苦労では済まないだろう。
「ジュリエッタ皇女様がお見えになりました」
 侍女が来訪者を告げた。
「お通ししてください」
 アレックスが答えると、侍女は重厚な扉を大きく開いて、ジュリエッタ第三皇女を迎
え入れた。
「宮殿の住み心地は、いかがですか?」
「はい。侍女の方も付けて頂いて、至れり尽くせりで感謝致しております。十二分に満
足しております」
「それは結構です。何か必要なものがございましたら、何なりと侍女にお申し付けくだ
さい」
「ありがとうございます」
「ところで明晩に戦勝祝賀のパーティーが開催されることが決まりました。つきまして
は提督にもぜひ参加されますよう、お誘いに参りました」
「戦勝祝賀ですか……」
「内乱が鎮圧されたことを受けて、ウェセックス公が主催されます。その功労者である
ランドール提督にもお誘いがかかったのです」
「しかし、私のような門外漢が参加してよろしいのでしょうか?」
「大丈夫です。パーティーには高級軍人も招待されておりまして、客員中将に召された
のですから、参加の資格はあります」
「そうですか……。判りました、慎んでお受けいたします」
 断る理由はなかった。


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妖奇退魔夜行/胞衣壺(えなつぼ)の怪 其の拾陸
2019.08.23


陰陽退魔士・逢坂蘭子/胞衣壺(えなつぼ)の怪(金曜劇場)


其の拾陸 追跡


 開け放たれた窓辺に寄りかかるようにして神田美咲が立っていた。
「どうやら罠に掛からなかったようだね」
「初歩的なトラップでした」
「ふむ、さすが陰陽師というわけですか」
「なぜ知っている?」
 自分が陰陽師である事は、美咲には教えていない。
「あなたの体内からあふれ出るオーラを感じますから」
「なるほど」
「で、どうなさるおつもりですか?」
「悪しき魔物は倒す!」
「そうですか……」
 ニヤリとほくそ笑むと
「ならば……逃げます」
 机の上の壺を抱え込んで窓の外へと飛び出した。
 しまった!
 という表情で、窓辺に駆け寄る蘭子。
 窓の下を覗いてみるが、すでに美咲の姿は消え失せていた。
 改めて部屋の中を観察する。
 見た目には綺麗に拭き取られているが、そこここに血液の痕跡が浮かんでいた。
 通常の警察鑑定のルミノール反応を調べれば確かな証拠が出るだろう。
 井上課長に一報を入れようかとも思ったが……。
 警察の現場検証が入れば後戻りはできない。
 魔人との決着が着いてからでもよいだろう。

「白虎、来い!」
 四聖獣であり西方の守護神でもある白虎を呼び出す。
 それに答えるように、見た目虎の姿をした大きな身体の聖獣が姿を現す。
 蘭子が幼少の頃に召喚に成功し、以来ずっと蘭子を見守っている。
「魔物を追ってちょうだい」
 といいながら、その背中に乗る。
 追跡するのに犬ではなく、猫科の虎なのか?
 匂いで追跡するのではなく、白虎の神通力を使って、魔物が持つ精神波を探知するの
である。
 白虎の背に乗った蘭子が、闇に暮れた街中を疾走する。
「この先は?」
 白虎が突き進む先には、例の旧民家解体現場があった。
「そうか……そこへ向かっているのね」
 人生に行き詰った時、人は故郷を目指すという。
 いや、犯人はいずれ犯行現場に戻るもの、というべきだろうか。


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冗談ドラゴンクエスト 冒険の書 47
2019.08.22


冗談ドラゴンクエスト


冒険の書 47


勇者「罠とは小癪なことを、脱獄名人・縄抜け名人の俺にかかれば朝飯前じゃ……あれ
れ?」
ナレ1「抜け出そうとするが、身動きできない」
ナタリー「残念ね。その網には呪縛の魔法が掛けてあるのよ」
勇者「ち、ちくしょう……」
ナタリー「さてと、そこどいね」
ナレ1「と言うと、魔法を使って勇者を網ごと部屋の片隅に移動させた」
勇者「ここから出せ~!」
ナタリー「無駄よ。魔法を解かない限り抜けられないわよ」
勇者「この借りは、必ず払ってもらうからなあ」
ナタリー「静かにしてよね、眠れないじゃない。さてと、おやすみなさい」
ナレ1「なんやかんやで、夜が明ける」
コンラッド「おはようございます」
リリア「いい天気ですよ」
ナタリー「おっは~!」
宿屋「おはようございます。皆さん、ぐっすり眠れたでしょうか?」
勇者「一睡もできなかったぞ(怒)」
宿屋「あらまあ!いかがなされましたか?」
勇者「こいつが(ナタリーを指さして)」
ナタリー「(勇者の口を塞いで)ああ、こいつの言うことは気にしないでいいですよ」
勇者「ぐぐぐぐ~(口を塞がれて声が出せない)」
コンラッド「私は、一度王宮に伺わなければならないので、出発の準備をしておいてく
ださい」
宿屋「食事をされてからでいいのでは?」
コンラッド「いえ、一秒でもお待たせするわけにはいきませんから」
ナレ1「王宮謁見の間。国王の前で傅くコンラッド」
国王「おお、朝からご苦労であった」
コンラッド「陛下におかれましては、ご健勝のほどお慶び申し上げます」
国王「コンラッドも忙しい身であろう。早速だが、これを遣わす」
ナレ1「侍従から書状を受け取ってコンラッドの前に差し出す」
ナレ2「数歩前に進み、傅きながらうやうやしく受け取るコンラッド」
国王「大神官様への紹介状である。有用に使うが良い」
コンラッド「ははっ!重々承知にございます」
ナレ1「コンラッドが宿屋に戻ると、一行の出発準備は整っていた」
リリア「お帰りなさい。出発準備は整ってます」
ナタリー「最初に大神官様にお会いするのよね」
リリア「大聖堂ですよね」
コンラッド「では、参りましょうか」
勇者「おお、気を付けて行けや」
ナタリー「あんたが行かなきゃ始まらないじゃない」
勇者「なんでだよ?」
ナタリー「パーティーの先頭は勇者と決まってるでしょ」
勇者「誰が決めたんだよお」
ナタリー「いいからきなさい(といつものように耳を引っ張り連れ出す)」


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