銀河戦記/機動戦艦ミネルバ 第六章 新造戦艦サーフェイス V
2020.02.23

 機動戦艦ミネルバ/第六章 新造戦艦サーフェイス




 その頃、ミネルバが発進した造船所では、新造なったミネルバ級二番艦の【サーフェイ
ス】の出航式が執り行われていた。
「機関始動開始!」
「超伝導回路に液体ヘリウム注入!」
「浮上システムに異常は見当たりません」
 機関部より次々と報告がなされるサーフェイス艦橋。
 新艦長となったゼナフィス・リンゼー少佐が、造船所長官に挨拶をしていた。
「建造を急がせてしまって済みませんでした」
「なあに、いいさ。君もミネルバ討伐隊の司令官として責任重大だからね」
「これまで煮え湯を味合わせてくれたお礼は、倍にして返しますよ」
「まあ確かに、ミネルバを含むメビウス部隊によって、占領政策にもかなりの支障をきた
している。君達の活躍に期待しているよ」
「ご期待に沿うようにいたします」
 オペレーターが報告をしてくる。
「サーフェイス、出航準備完了しました」
「私は降りるとしよう」
「お手数をおかけしました」
「うん、しっかりな」
「それでは、行って参ります」
 下船する造船所所長に敬礼をしつつ見送るリンゼー少佐だった。

 やがて勇壮と造船所を出発してゆくサーフェイス。
「今度こそ互角の戦いができるぞ」
「砲弾一発で撃沈は辛かったですね」
「ああ、宇宙戦艦では、大気圏戦闘に特化したミネルバは倒せない」
「そのミネルバを早く探し出して雪辱を晴らしましょう」
「そうだな。が、どこをうろついているかだ」
「いずれ情報部から連絡があるでしょうが、パルチザンによて撹乱されていて、正しい情
報がなかなか集まらないらしいです」
「致し方ないな。こちらで独自に探し回るしかないということか」
「運まかせですね。うまく遭遇できれば良いのですけど」
「まあ、何とかなるだろう。何せ相手は、最新鋭の巨大戦艦だ。そうそう雲隠れできるも
のでもない」
「水中潜航を続けていたら?」
「何らかの作戦命令があれば、水中から出てくるだろう」
「そうですね」
「とにかく、いついつまでに掃討しろと期限は切られていないんだ。先は長いさ、のんび
りやろうじゃないか」
「はい、判りました」
「今頃、ランドール提督は何をしているのだろうな」
「噂では、援軍を求めるために銀河帝国へ向かったらしいです」
「銀河帝国か……。この戦いのキーパーソンだな」
「ランドール提督が、銀河帝国を味方に付けて戦いを挑んできたら、ひとたまりもないで
しょうね」
「例え有象無象の連中でも、作戦巧者の手に掛かれば百万馬力さ」
「司令!」
 オペレーターが突如として叫んだ。
「なんだ?」
「たった今、ラグーンのミサイルサイトが破壊されたとの報告がありました」
「たぶんミネルバでしょう」
「ラグーンか……とっくに現場を立ち去っているだろうが、方向性は掴めるだろう。よし!
急行しろ!!」
「全速前進!ラグーンへ」
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