冗談ドラゴンクエスト 冒険の書 13
2019.06.25


冗談ドラゴンクエスト


冒険の書 13

08/05 11:46 ナタリー「ほら、素早さを上げるアイテムよ。身に着けておいて」


08/05 11:47 勇者「ほいよ(受け取って身に着ける)」


08/05 14:44 ナレ1「モンスターが襲ってきた」


08/05 14:45 勇者「ほいよ。逃げるんだろ?」


08/05 14:46 ナタリー「待って! この程度の雑魚はわたしが片付けるから見ていて」


08/05 14:47 勇者「なんでだよ」


08/05 14:48 ナタリー「話はこいつを倒してから」


08/05 14:49 ナレ1「というと果敢にモンスターに切りかかった」


08/05 14:52 ナレ2「モンスターを倒した。経験値5と5Gが手に入った。」


08/05 15:41 勇者「お!」


08/05 15:42 ナレ1「引き続いてモンスターが襲ってきた」


08/05 15:43 ナレ2「ナタリーの攻撃! モンスターを倒した」


08/05 15:44 ナレ1「チャラリラリン♪」


08/05 15:45 ナレ2「どこからともなく聞こえる音」


08/05 15:46 勇者「なんだ? この音は?」


08/05 15:47 ナタリー「気にしないでいいわ。レベルアップすると神様が祝福くれてい
るのよ」


08/05 15:48 勇者「レベルアップ?」


08/05 15:49 ナレ1「勇者がレベルアップした。」


08/05 15:51 ナレ2「素早さが1、攻撃力が1、防御力1……。それぞれアップした」


08/05 15:52 勇者「ほう……。ステータスが全部1こずつ上昇しているみたいだ。」


08/05 15:54 ナタリー「1こずつ? せこいわねえ。これじゃあ、まともなステータス
になるのに、どれだけレベルアップを続けなきゃならないの?」


08/05 16:07 勇者「そうか、わかったぞ。逃げないで戦うのは、レベルアップが目的な
のか」


08/05 16:08 ナタリー「今頃気づいたわけ? Gも手に入るからアイテム購入資金にな
るしね」


08/05 16:09 勇者「なるほど……。納得した」


08/05 16:24 ナタリー「納得したなら、オリコレ村周辺で経験値稼ぎするわよ」


08/05 16:25 勇者「経験値稼ぎ?」


08/05 16:26 ナタリー「これからはあなたも戦いに参加してもらうからね」


08/05 16:27 勇者「モンスターに、当たりも触りもしないのにかい?」


08/05 16:29 ナタリー「まぐれ当たりということもあるじゃない。それに戦っていると、
ステータスの上昇率も増えるはずだから」


08/05 16:30 勇者「そういうことか……。まあ、いいや。やってやるよ」


08/05 16:31 ナレ1「というわけで、オリコレ村周辺での経験値稼ぎをはじめる二人だ
った」


08/10 00:04 ナレ2「モンスターが三匹現れた!」


08/10 00:05 勇者「げっ! 三匹かよ」


08/10 00:06 ナレ1「といいつつ、モンスターの一匹をたこなぐりにした」


08/10 00:07 ナタリー「なによ、たこって」


08/10 00:08 勇者「しようがねえだろ。持ってた短剣を売ってしまって、素手で戦うし
かないんだから」


08/10 00:10 ナタリー「あら、そうだったわね。せめて道端にでも落ちている木の棒で
も拾ったら?」


08/10 00:12 勇者「そんな都合の良い棒なんか落ちてるわきゃないだろ」


08/11 01:20 ナタリー「はい、樫の棍棒。そこに落ちてわよ」


08/11 01:21 勇者「まあ、そんなことも……たまにはあるかもな」


08/11 09:30 ナタリー「攻撃補正値が10ね。拾ったにしては、なかなかいいじゃない」


08/11 10:01 勇者「なんだ? 短剣の5よりも攻撃力があるじゃないか」


08/11 10:54 ナタリー「その分重いから、素早さが下がってるわ。-5ポイント」



冗談ドラゴンクエスト 冒険の書 12
2019.06.24


冗談ドラゴンクエスト


冒険の書 12


08/04 15:24 勇者「さてと……。朝までにまだたっぷり時間があるな」


08/04 15:25 ナレ1「というと、ナタリーにおいかぶさってくる」


08/04 15:25 ナタリー「な、なにをするのよ!」


08/04 15:26 勇者「男と女がすることといったら一つ」


08/04 15:27 ナレ1「というと、ナタリーのパジャマをいきなり脱がしてしまう」


08/04 15:27 ナタリー「きゃあ!」


08/04 15:28 勇者「遊び人の俺に不可能の文字はない」


08/04 15:29 ナレ1「いつの間にやら、ナタリーのブラジャーをはずしていた」


08/04 15:30 ナレ2「ナタリーの豊かな胸が露になって揺れる」


08/04 15:31 ナタリー「な、なにをするのよ」


08/04 15:31 勇者「無駄な抵抗はやめることだよ」


08/04 15:32 ナレ1「ナタリーのショーツの手が掛かったかと思うと……」


08/04 15:33 ナレ2「とうとう、すっぽんぽんになってしまうナタリーだった」


08/04 15:33 勇者「うん。なかなか良い眺めじゃ」


08/04 15:34 ナタリー「きゃあ! きゃあ!」


08/04 15:35 ナレ1「必死に抵抗を見せるが、遊び人の術中に完全にはまっていた」


08/04 15:36 勇者「いただきます!」


08/04 15:37 ナレ1「それからね……」


08/04 15:37 ナレ2「戦いすんで夜が明ける」


08/04 15:38 ナレ1「目を覚ます勇者」


08/04 15:39 勇者「今朝の太陽は黄色い……」


08/04 15:40 ナタリー「何を抜かしているのよ」


08/04 15:41 勇者「おお、そこにいたか、ジュリエッタ」


08/04 15:41 ナタリー「なにをお気楽なこと言ってるのよ。出発するわよ」


08/04 15:42 勇者「もう少し、休んでいかないか。このベッドの上で」


08/04 15:43 ナタリー「あんたには、20000Gの貸しがあるのよ。さっさと稼いでもら
って、返してもらうんだから」


08/04 15:44 勇者「ちょっと待て! いつから20000Gに増えたんじゃ」


08/04 15:45 ナタリー「身に覚えがないとは言わせないわよ」


08/04 15:46 勇者「なるほど……。納得した」


08/04 15:47 ナタリー「納得したなら、早く身支度しなさい」


08/04 16:03 勇者「へい、へい」


08/04 16:03 ナレ1「身支度を整えた二人」


08/04 16:04 道具屋「いってらっしゃい。お気をつけて」


08/04 16:07 ナレ1「という道具屋に見送られながら、オリコレ村を後にしたのであ
る」




銀河戦記/機動戦艦ミネルバ 第四章 新型モビルスーツを奪還せよ VI
2019.06.23


 機動戦艦ミネルバ/第四章 新型モビルスーツを奪回せよ


                 VI

 海上を進む戦艦ミネルバ。
 艦橋の最先端にあるガラス張りの場所に立ち尽くして、バイモアール基地のある前方
を静かに見つめているフランソワ。
 上級大尉の肩章の施された淡いベージュ色のタイトスカートスーツに身を包み、その
胸には戦術用兵士官であることを示す徽章(職能胸章)が、夕焼けの光を受けて赤く輝
いている。
 半舷休息から戻ってきたばかりで、じっと正面を眺めたまま腕組みをして、何事か思
案の模様であった。
 その様子を見つめている周囲のオペレーター達。
「艦長は何を考えていらっしゃるのだろか?」

 フランソワには四歳下の弟がいた。
 成績優秀で品行方正にして、クレール家の次期当主として両親の期待を受けていたフ
ランソワ。
 対して弟の方は、姉とはまるで正反対の粗忽者で乱暴者、毎日のように誰かと喧嘩し
て生傷が絶えなかった。
 そんな弟ではあったが、子供のいないとある軍閥の家系に養子として迎えられた。
 養子と言えば聞こえが良いが、実情はクレール家から厄介払いしたに等しかった。
 フランソワにとっては、できの悪い弟であったが、幼少の頃から世話をやいてきた可
愛い弟でもあった。
 その後、クレール家と養子先の軍閥家との交流は断絶し、弟の消息も途絶えた。
 風の噂に、家に寄り付かず放蕩のあげく、勘当されてしまったという。
「今どこで何をしているのかしら……」
 士官学校に入隊する少し前の話である。
 どこに注視することもなく、ぼんやりと前方を見つめるフランソワであった。

 突如、艦内に警報が鳴り響いた。
 自分の端末に集中するオペレーター達。
「バイモアール基地の探査レーダーに補足されました。基地の絶対防衛圏内に侵入」
 我に返り指揮官席に向かって駆け出しながら、
「戦闘配備。アーレス発射準備!」
 フランソワは命令を下した。
 まだ半舷休息の時間は終わっていなかったが、戦闘となれば最上位の士官が指揮を執
るものだ。
 ゆっくりと休んでなどいられない。
 戦闘配備と同時に、眺めていた展望用ガラスの外壁に防護シャッターが降ろされ、メ
インパネルスクリーンなどのシステム機器が下降してくる。
 それまで指揮官席に陣取っていた副長が席を譲りながら、
「これより艦長が指揮を執る。戦闘配備。アーレス発射準備」
 と指揮権の交代を告げながら、命令を復唱した。
「戦闘配備!」
「アーレス発射準備」
 各オペレーター達も命令を復唱して確認した。
 兵装の内でも、原子レーザー砲のアーレスは、発射準備が整うまで時間が掛かるので、
使用の時にはいの一番に準備させておかなければならない。
 原子をレーザー励起させるために極超低温にし保持する装置。莫大な電力を瞬間的に
発生させる超伝導コイル蓄電装置など。それぞれに冷却材である液体ヘリウムの注入が
必要だった。
「バイモアール基地の詳細図をスクリーンに投影。敵艦艇の位置データを重ね合わせて
ください」
 スクリーンに基地が映され、海上を埋め尽くすように水上艦艇がひしめいていた。
「水上艦艇の総数は、およそ七十二隻です」
「たいした設備もないのに、これだけの艦艇が集合しているのは珍しいわね」
「新型モビルスーツのせいではないですかね。このバイモアール基地には、カサンドラ
訓練所と共にモビルスーツ研究所も併設されてますから。新型をここへ運び込んだのも
そのためで、警備のために派遣されてきたものと思われます。何せ、あのフリード・
ケースン中佐が設計したマシンです、ただものでないことは誰しも察しがつきますから
ね」
「それは言えてますね」
 うなづくフランソワ。
 サラマンダー艦隊に配属されて日も浅かったために、フリードとはほとんど話しをし
たことがないが、噂の限りではとんでもない天才科学者であることは、彼が開発したも
のを見れば一目瞭然。極超短距離ワープミサイル、ステルス哨戒艇P-300VX、そ
してなんといってもこの機動戦艦ミネルバである。
「さて……。まず最初に射程に入るのは湾内を固める水上艦艇ですが、これは純然たる
旧共和国同盟軍から転進した部隊です。同じ祖国同士ということになります」
「もちろんすべて撃沈破壊します。水上艦艇を残しておけば、いずれ我々の秘密基地の
探索に借り出されることになります」
「なるほど、それは問題ですね」
 パネルスクリーン上の艦艇データの明滅がが、一斉にこちらに向かっていることを示
した。
「敵艦隊が動き始めました」
「目標戦闘艦、先頭を進む艦艇に設定」
「了解。目標戦闘艦として、ミサイル巡洋艦チャンセラーズに設定」
 艤装、mk26ミサイルランチャー、mk41垂直発射トマホーク、mk46三連装
魚雷発射管、5インチ54口径軽量速射砲2門、20mmCIWS機関砲2門。機関出力、ガ
スタービン4基2軸の80,000shp、速力30ノット。
 スクリーンに目標戦闘艦に設定した艦艇データがテロップで流れていた。
「およそ平均的な部隊編成ですね。このミネルバの戦闘能力からすれば、それほどの脅
威ではないと思われます」
「油断は禁物ですよ。一頭の猛獣が蟻の大群に倒されることもあるのですから」
 確かにフランソワの言うとおりである。
 格段の火力を誇るミネルバとて、その対象は上空から迫る宇宙戦艦が本来の相手であ
る。海上を航行する水上艦では、水平発射しかできないアーレスは使用不可だし、ヒペ
リオンも上空迎撃が主任務である。結局のところ下向き攻撃できるのは、135mm速射砲
第三砲塔と爆雷による攻撃しかない。しかし相手はすべての兵器を使用することができ、
トマホークなどのミサイルを集中させられると、さすがのミネルバも苦戦を強いられる
ことになる。
「海面に着水してください」
 これしかない。
 着水すれば、ほとんどの兵器が使用可能となるが、反面として破壊力の大きな魚雷攻
撃を受けることになる。
 攻撃力をとるか、防御力をとるか、二者選択である。


11
銀河戦記/鳴動編 第二部 第三章 第三皇女 VII
2019.06.22


第三章 第三皇女


                VII

「さて……」
 と、前置きしておいてから、アレックスに向かって語りだすエリザベス皇女。
「妹であるジュリエッタを救い出して頂いたこと、個人としても大いに感謝しています。
あなたの組織する解放軍が援助を願っていることも伺いました。しかしながら、我が銀
河帝国には内憂外患とも言うべき頭の痛い問題を抱えているのです。もちろん一方は、
バーナード星系連邦の侵略です。そしてこれが一番の難しい問題なのですが……。はっ
きり申し上げましょう」
 エリザベス皇女が語り出した問題は、内乱の勃発というものだった。
 しかもそれを引き起こしているのが身内であり、マーガレット第二皇女がその首謀者
ということである。
 かつて銀河帝国を震撼する大事件があった。
 次期皇太子・皇帝となるべき皇位継承権第一のアレクサンダー第一王子が誘拐され行
方不明となったのである。
 そして皇帝が崩御されて、次期皇帝問題が起こったが、皇帝には第一王子以外に男子
はなく、行方不明である以上捜索を続けるべしとの結論が出されて、皇帝不在のままエ
リザベス第一皇女が摂政となることで取りあえずの一件落着が諮られた。
 しかし二十余年もの時が過ぎ去り、第一王子が行方不明のまま、いつまでも皇帝不在
なのは問題である。そこで新たなる皇太子候補を皇族の中から選びなおそうではないか。
 そして人選に上がってきたのが、エリザベス第一皇女と夫君のウェセックス公国領主
のロベスピエール公爵との間に生まれた、ロベール王子である。
 皇位継承の順位では、ロベスピエール公がアレクサンダー王子に次ぐ第二位になるの
であるが、公爵はその権利を第五位の息子に譲って、皇太子候補として強く擁立した。
 ロベスピエール公ロベール王子が次期皇太子。
 皇族の間では妥当であるとされ、皇室議会でも承認された。
 これに毅然として反対したのが、マーガレット第三皇女である。ロベール王子は皇家
の証であるエメラルド・アイではなく、アレクサンダー王子の消息が確認されるまでは
待つべきだと主張した。
 そして何より最大の根拠は、【皇位継承の証】の存在であった。
 【皇位継承の証】は、代々の皇太子に受け継がれてきた皇家の至宝である。その実体
はエメラルドの首飾りで、深く澄み通った鮮やかに輝く深緑色の大粒のエメラルドを中
心にして、その周囲をダイヤモンドが配されているというものだった。
 そしてそれは、アレクサンダー王子の首に掛けられたまま、共に行方不明となってい
る。
 アレクサンダー王子が生きていれば当然所持しているだろうし、仮に王子が亡くなら
れていたとしても、価値ある宝石であるために、いずれ宝石商やオークション、骨董品
市場などに流通するはずであろう。
 エメラルド・アイと皇位継承の証の二点を根拠に、反論を続けるマーガレット皇女で
あったが、結局ロベール王子擁立は覆されなかった。
 そしてついに、マーガレット皇女は、ロベール王子擁立を掲げるロベスピエール公爵
率いる摂政派に対して、皇太子派としての反旗を掲げたのである。そしてそれを支援し
たのが、自治領アルビエール候国領主のハロルド侯爵である。
 こうして銀河帝国を二分する姉妹同士が骨肉相食む内戦へと発展していった。

参照*外伝/王太子誘拐


妖奇退魔夜行/胞衣壺(えなつぼ)の怪 其の漆
2019.06.21


陰陽退魔士・逢坂蘭子/胞衣壺(えなつぼ)の怪


其の漆 夢遊病

 夜が明けた。
 神田美咲の自室。
 パジャマ姿でベッドの縁に腰かけて、呆然としている美咲がいる。
 べっとりと血に染められた手のひら。
「どうして……」
 何がなんだか、自問自答してみても何も思い出さない。
 昨夜、一体何があったのか?
 洗面所で血を洗い流してみるが、自分自身には何の傷もなかった。
 どこで血が付着したのか、まるで記憶になかった。
 ベッドに戻り、その上に膝を抱えるように(体育座り)固まったように動かなかった。

 その日の阿倍野女子高校の一年三組の教室。
 授業中、一つの机が開いていた。
 神田美咲の席で、これまで無遅刻無欠席の優良児だった。
「これで三日か……珍しいな、神田が休むなんて」
 土御門弥生担任の声に、教室内がざわめく。
「逢坂さん」
「はい?」
「家が近くだろう、ちょっと様子を見に行ってくれないか」
「分かりました」
 ということで、神田家を訪れた蘭子。
 大人なら病気見舞い品片手にというところだろが、高校生なのでそこまで気を遣うこ
とはないだろう。
 そもそも病気を知ってすぐでは失礼にあたる場合があるから、とりあえず様子を聞く
だけである。
「それがねえ、部屋に閉じこもったまま出てこないのよ。食事時間に呼びかけても返事
はないし……」
 来訪を受けて、玄関先に顔を出した母親が、困り切ったように答える。
「病気とか怪我とかじゃないみたいだから……。誰かに虐められたとか?」
 逆に問いかけられる。
「それはないと思いますよ。友達受けする性格みたいですから」
「そうですか……。年頃だし、そっとしておいて欲しいのです」
「分かりました。学校側には、そのように伝えておきます」
「よろしくお願いいたします」
 深く腰を折って哀願する。
 蘭子も挨拶を交わして神田家の門を出る。
 ふと仰げば、日も落ちて暗がりが覆い始めた空の下、美咲の窓には明かりは灯らない。


 逢魔が時。
 読んで字のごとく、妖怪や幽霊など怪しいものに出会いそうな時間帯。
 黄昏れ時、暮れ六つ、酉の刻とも言う。
 日が暮れて周りの景色が見えづらくなるくらい薄暗くなってきた状態をいう。
 季節にもよるが午後六時前後である。

 行き交うパトカーの群れ。
 新たな被害者。
 現場検証の陣頭指揮を執るしかめっ面の井上課長。
 その傍には携帯電話で呼び出された蘭子もいる。
 毎度のことながら、民間人(それも女子高生)を現場に立ち会わせることに懐疑的な
同僚もいるが、現場責任者である課長の意向には逆らえない。
 科学捜査が一般的な日本警察においては、陰陽師の手を借りるということはあり得な
いことだった。
「内臓を持ち去る理由がさっぱり分からん」
 事件が起こるたびに、つい口に溢(こぼす)してしまう井上課長だった。


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