冗談ドラゴンクエストII 冒険の書・28
2020.03.04

冗談ドラゴンクエスト II 冒険の書・28



ナレ「ベルポイに戻りました」
勇者「預かり所で全額降ろして、ベルポイで王子用の防具ミンクのコートを買ってと」
王子「あ、ありがとうございます」
勇者「ベラヌールに戻って。道具屋に売っているかな?」
道具「いらっしゃいませ!」
勇者「攻略本が欲しいんだが……」
道具「どちらのダンジョンでしょうか?」
勇者「ロンダルギアへの洞窟」
道具「さすがお客様、お目が高い。無限回廊とか、落とし穴満載の洞窟ですからね。攻略
本なしでは、クリアに何日何週間かかるか……ただ、ちょっとお高くなりますが?」
勇者「構わん。どうせこの先、Gを持っていても意味がないしな」
道具「くれぐれもご内密にお願いしますよ」
勇者「わかった!」
ナレ「勇者は攻略本を手に入れた……というのはジョークですよね?」
勇者「ま、いいじゃないか」
王子「……(いつものこと)」
王女「……(呆れている)」
勇者「そいじゃ、行きますか」
ナレ「再びロンダルギアの洞窟に戻ってきた」
勇者「この先は、行けるとこまで行って、全滅するまで戦い続けるからな。今までは、全
滅すると所持金半分持っていかれるから、MP少なくなったら安全策で引き返したけどな」
王子「それでいいんですか?」
王女「リーダーに従います」
勇者「攻略本によると、最強の剣である『いなずまのけん』があるらしいから、まずそれ
を取りに行くぞ!」
王子「攻略本ですか……」
王女「まあ、あっちこっち迷いながら進むよりは時間短縮にはなりますが……」
勇者「どうやら五階の落とし穴に落ちて、さらに落ちた所にあるらしい」
ナレ「二階の最初の無限回廊を抜けて五階に上がり、適当な落とし穴にワザと飛び込むと
四階の何もない空間に落ちる。さらに南西隅にある落とし穴に落ちた場所にある宝箱」
勇者「あったぞ、いなずまのけん!」
王子「おめでとうございます」
勇者「おうよ。他にも、ロトの鎧とか不思議な帽子もあるから取りに行こう!」
王女「そうですね。ハーゴンと戦う前に、十分な装備を整えることも大切ですね」
王子「レベルアップも兼ねてアイテム探しに専念するのですね」
勇者「そういうこと」
ナレ「勇者の方針のごとく、全滅と再挑戦を続け、強敵を薙ぎ払い、ついにロンダルギア
への洞窟をクリアして、地上に出たのであった。そこはロンダルギアの地」
勇者「ふう……。何度全滅したかは忘れたが……。国境のトンネルを抜けるとそこは雪国
だった!」
王子「ほんとに真っ白な世界です」
王女「高い山脈に囲まれた高所盆地というところね」
王子「こういう高所盆地というのは、夜の寒冷化が半端ないんですよね」
勇者「どういうことだ?」
王子「平地に比べて山間部は、昼間はより温まり、夜間はより冷えるんです」
勇者「それで?」
王子「昼に暖められた空気は上空へ逃げますけど、夜に冷やされた空気は平地に降りてく
るんですけど、盆地で逃げ場がないから冷気は溜まる一方です。全国の最低気温記録を更
新するのは大抵高所盆地なんですよ。日高盆地とか甲府盆地とかね」
王女「そうですね。ここは標高が高いし、険しい山脈に囲まれていますから」
ナレ「筋肉系の勇者には、理系のことなど理解できなかった」
勇者「おいこら!なめるなよ。それくらいのことは分かるぞ。要するにカップいりのアイ
スクリームより、ジャイアントコーンアイスみたいに山盛りになってるアイクリームの方
が旨いってことだろ」
王女「……まあ、そういうことです(呆れて反論できない)」
勇者「しかし、この辺りは悪魔系の魔物がてんこ盛りだな。シルバーデビルのベギラマと
か、ブリザードのザラキ、ギガンテスの痛恨の一撃はたまらんなあ……」
王子「一面の雪で、どっちへ行けばいいか迷いますね」
王女「あ、あそこ!祠が見えますよ」
勇者「よし、魔物に気づかれないように、忍び足で急ぐぞ」
王女「その言葉、意味ありますか?」
王子「急ごうが急ぐまいが、エンカウント率は変わりませんけど」
勇者「まあ、とにかく。着いたぞおー!王子は死んじゃったけど」
王子「えええ!?僕、死んじゃってるんですか?」
勇者「ついさっき、ギガンテスに痛恨の一撃食らってな」
王子「そんなあ……気が付きませんでしたよ」
勇者「よくあることだ。知らぬうちに浮遊霊になったってやつ。さっきから俺らの周りを飛
び回っている人魂がおまえだよ」
王子「そんなこと……自分じゃ分かりませんよ」
勇者「とにかく神官に話しかけるぞ」
神官「よくぞ来た、勇者よ!わしはそなたたちが来るのを待っておった!おお神よ!伝説
の勇者ロトの子孫たちに光あれっ!勇者が次のレベルに……」
ナレ「王子が生き返った」
勇者「なんと!ここではMPだけでなく、HPどころか死んだ者も一緒に回復してくれる
のか!!おまけに冒険の書にも記録してくれるし」
王子「ありがたいことです。生きた心地がしませんでした」
勇者「まあ、死んでいたからな。ということで、今後はこれまで以上に、全滅強行軍が便
利だな」
王子「だからといって、死ぬのはやはり嫌ですよ」
王女「同じくです」
勇者「なら、ここを拠点にレベルアップに励むしかないな」
王子「頑張ります!」
勇者「ところで、そこの旅の扉のまえに立つ女性は?」
修女「これは下の世界に戻る旅の扉。戻りたいならお入りください」
勇者「とか言って、(攻略本を見ながら)そこは一方通行だろが。冒険の書に記録する前
に、うっかり下に行くと戻れなくなるという罠だ」
王子「そうですよね。ここにこれるレベルなら、ルーラでどこへでも行けますからね。わ
ざわざ旅の扉を使う必要ありません」
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