冗談ドラゴンクエストⅢ 冒険の書・18
2020.06.13

冗談ドラゴンクエストⅢ 冒険の書・18


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最後の鍵を求めて

コンラト「さて、かわきのつぼを手に入れましたけど……」
リリア 「情報をまとめますと、
スーの村の馬エド『かわきのつぼを見つけたら、西の海の浅瀬の前で使うのですよ』
老人の『海に沈んだ祠があって、今は浅瀬になっている』
子供『ぼく、知ってるよ。『さいごのかぎ』って、どこかのほこらにあるんだよね』
です」
ナタリー「繋げると、西の海の浅瀬の祠に最後の鍵があり、その前でかわきのつぼを使え、と
いうことね」
コンラト「問題は、その西の海はどこかってことですね」
勇者「そうだな、西っていうからには、ここから西に向かってみるか?」
リリア 「当てもなしにですか?」
勇者「しょうがないだろ。西としか情報がないのだから」
ナタリー「それしかないみたいね」
ナレ「乗船し、西に向かって進路をとった」
勇者「よおし、コンラッド。マストに昇れ!」
コンラト「マスト?」
勇者「ほれ、この船は帆船なんだから、当然マスト(帆柱)があるじゃないか。マストに
登って周囲に目を配れってことさ」
ナタリー「なに?この船、帆船だったの?今まで、ちっとも気づかなかったわ」
勇者「おまえなあ……船のグラフィックを見れば、すぐ気がつくだろうが」
ナレ「グラフィックって言わないで下さい」
リリア 「じゃあ、この船は風まかせで動いていたのかしら?自由に動き回れるから、蒸気船
かと思ってた」
勇者「そりゃまあ、大航海時代の船は風向きや海流を見ながら航行してたし、風のない時
は奴隷が櫓を漕いで船を動かしていたけどな……じゃあなくって!!」
コンラト「構いませんよ。自分はマストに登って見張ります」
ナレ「言うが早いか、スルスルとマストに登るコンラッドだった」
ナタリー「本当なら、あんたが昇るべきじゃないの?」
勇者「何を言うか、船長は俺だぞ」
リリア 「え?誰が船長ですか?」
勇者「俺だよ。俺!」
ナレ「などという間にも、船は西へと進み、北米大陸を越えてさらに西へ進む」
勇者「何もない海原に出てしまったな」

リリア 「ここは北極海の南端で、チュクチ海と呼ばれる海域ですよ。大陸棚ですので、水深
も50mを越える所は少ないです」
勇者「チュクチ?それがどこかの方言で、西を意味する言葉なのか?」
リリア 「西かどうかは分かりませんが……チュクチとは、ロシア北東部に住む先住民族で、
クジラ猟などを行っていたといいます。この海は生存圏だったのでしょね。だからこの名
がついたと思われます」
ナレ「補足しますと、チュクチを含むエスキモー族は海やアリューシャン列島を越えて、
北米大陸へ渡ってインディアン部落を作って北米先住民となり、さらに南に下ってマヤや
インカを興すこととなったという説があります」
ナタリー「なるほど、インディアンにとっての故郷の海、すなわち方角的に西の海だったとい
うわけだったのですね」
勇者「なんか……社会史見学に来たみたいだな(^^ゞ」
ナレ「その時、上のマストから大声が聞こえた」
コンラト「南西の方向に浅瀬を発見!!」
勇者「本当か!?よおし、取り舵一杯だあ!」
ナレ「進路変更して、南西の方向へと舵を切ると、それらしき浅瀬が視界に入った」
勇者「よおし、上陸準備!コンラッドは降りてきていいぞ!!」
ナレ「船は岩だけの浅瀬の縁に着いた」
リリア 「馬のエドさんによると、ここでかわきのつぼを使え、です」
勇者「かわきのつぼだな」
ナレ「勇者はかわきのつぼを海に浮かべた。なんと、海が鳴動して島が現れ祠が出現し、
中に入れるようになった」
勇者「ほほー。そういう仕掛けだったのか」
ナレ「船を降りて祠に入る一行。中には、放射状の文様の中に宝箱が一つ置かれてある」
勇者「宝箱も気になるが……その先の牢屋に入れられた骸骨は、もっと気になるぞ!」
リリア 「宝箱には『さいごのかぎ』が入っていましたわ」
勇者「その鍵で、牢屋の鍵は開くかな?」
ナタリー「最後っていうくらいだから、開くんじゃない?」
勇者「よし、骸骨に会ってみよう。何か重要なヒントをくれるかも知れない。魔物だろう
が幽霊だろうが、ドンとこいだ」
ナレ「と、歩き出すと」
勇者「あ!床の上に小さなメダル見っけ(*^^)v」
ナレ「手に入れたばかりの、さいごのカギを使って、牢の中の者と面会する」
骸骨「私は、いにしえを語りつたえる者。イシス砂漠の南、ネクロゴンドの山奥にギアガ
の大穴ありき。すべての災いは、その大穴よりいづるものなり」
ナタリー「ギアガの大穴ですってよ。次の行き場所が分かったわね」

勇者「ギアガの大穴?それってベネゼエラにあるギアナ高地(テーブルマウンテン)にあ
る巨大大穴(サリサリニャーマの縦穴)じゃないのか?」
リリア 「え?ベネゼエラって南米北部にある国ですよね。骸骨さんは、イシス砂漠の南、つ
まりアフリカのことを言ってるみたいですけど……」
勇者「ううむ……分らん。ゲームクリエイターの勘違いということにしておこう」
ナレ「サリサリニャーマの動画はこちら⇒ https://youtu.be/nGkDouBVoLs 」
ナタリー「それで、すぐに向かうの?」
勇者「そうしたいのは山々なのだが、今はまだ早計だと思う」
ナタリー「どうして?」
勇者「すべての災いの大本というくらいだから、その先は当然ラスボスが待ち構えている
ということだろ?」
リリア 「そういうことになりますね」
勇者「世界地図を見てみろ。色塗りされていない場所がたくさんあるぜ。まだ半分も回っ
ていないじゃないか」
コンラト「つまり、この世界をすべて回り終わってからということになりますか?」
勇者「まだ行っていない町や村を訪ねる必要があるし、行く先々で情報を集めながら、装
備も整えなきゃならん」
ナタリー「意外に慎重ね。いざ、いかん!とかいって、当てどもなく探し回るかと思ったわ」
勇者「俺を馬鹿にしているだろ?」
ナタリー「うん(^ω^)」
勇者「張り倒したろか?」
ナタリー「やめて(^_-)-☆」
リリア 「二人ともやめてください」
コンラト「さあさあ、ここを離れて冒険に戻りましょう」
ナレ「リリアとコンラッドに背中を押されて、祠を退出する」
リリア 「これからどうしますか?」
勇者「そうだな……。世界地図を見れば、このまま南へ真っすぐ下ればアリアハンに到達
できるみたいだ。レベルアップを兼ねて、南の方向へ船旅を楽しむか。途中にはたぶん…
日本もあるだろうからな」
ナレ「一行が船に戻り、浅瀬を離れた瞬間だった」
コンラト「あ!浅瀬が!!」
ナレ「海鳴りとともに、浅瀬の祠が再び海の中に沈んだ」
リリア 「もう二度と来れなくなりましたね」
勇者「うむ……。しかたあるまい」

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