響子そして(三)少年刑務所
2021.07.07

響子そして


(三)少年刑務所

 事件が露見し、わたしは少年刑務所に収容された。
 一年近くを独居房で暮らし、更生指導が行われた。
 やがて、多種多様の犯罪を犯した少年達と一緒の宿房に入れられた。
 雑居房の生活は悲惨なものとなった。
 新参者に対する陰湿ないじめが横行した。
 食事を横取りされたり、暴力を受けたり、看守に気づかれないようにそれは行われた。
 ある夜のことだった。
 消灯の時間になって、横になっているとまわりがざわついている。
 忍び寄る気配。
「な、なに?」
 いきなり大勢の人間に組み敷かれた。
 口の中にタオルを強引に詰め込まれた。声が出せないようにして、看守に気づかれないようにである。
「おい、しっかり押さえておけよ」
 尻を持ち上げられ、硬いものが当たった。
 次の瞬間、肛門に激痛が走った。
「ううっ……」
 相手が前後運動を繰り返す度に、ぎりぎりと挽千切られるような痛みが走る。
 やがて相手の動きが激しくなりうめき声をあげたかと思うと、わたしの中に熱いものがどうっと勢いよく流れ込んできた。
 すべてのものを放出して満足した相手は、ゆっくりとそれを引き抜いていく。わたしの太股を、ねっとりしたもが伝わり落ちた。暗くて判らないが、相手の精液とわたしの血液とが混じっているに違いない。
 すぐさま次の相手が馬乗りになって同様の行為をはじめた。
 その日以来、毎晩のように犯された。相手は毎回入れ代わった。しかも一晩に数人の相手をさせられた。
 わたしは、男しかいない宿房で、少年達の慰みものにされてしまったのである。

 どうせ抵抗できないのだ。わたしは自ら進んで身体を提供するようになった。
 フェラチオもしてあげた。数をこなす内に上手になり、不潔なバックよりフェラチオを望む少年が多くなった。
 やがて少年達の態度が変わった。
 やさしくなったのだ。いじめられる事がなくなり、食事もちゃんと取れるようになった。それまでは一晩で数人の相手をさせられていたのが、わたしの健康を気遣って一晩に一人という約束ごとが決められ、順番待ちをするようになっていた。
 少年達もそうであるが、実はわたし自身にも変化が起きていた。
 感じるようになっていたのである。自分でも信じられなかったが、バックで突つかれるたびに、あえぎの声を上げるようになっていた。
 わたしのあえぎの声を聞いて、少年達はさらに興奮していく。そしてありったけのものを、わたしの中に放出して果てていく。
 時々チョコレートなどの嗜好品が、外部から差し入れされることがあるが、おすそ分けに預かれるようになった。それにはもちろん代償行為として、夜の相手をすることを意味した。

 外部から遮断され行き場のない少年達のほとんどが、性欲をもてあそんでいた。溜まったものは出さねばならない。たまりにたまって限界に達っし、夢精してしまうこともある。そんな恥ずかしいところを見られる前に、各自隠れた場所で処理している。
 わたしのいる宿房では、おとなしく待っていれば順番が回ってくる。自分の手で慰めるよりはるかに気持ちが良いので、ちゃんとその日を指折りながら待っている。
 それでも順番を待ちきれなくなる少年達。
「なあ、頼むよ。もう限界なんだ」
「いいわよ。やってあげるわ」
 いつしかわたしは女言葉を使うようになっていた。少年達もそれを受け止めて、わたしを女としてやさしく扱うようになっていた。
 いそいそとズボンのファスナーを降ろす少年。ぎんぎんにそそり立って暴発しそうなそれを咥えて、やさしく愛撫してあげる。その根元や袋・タマにもやさしく刺激を与えてやると、感極まってどうっとわたしの口の中に放出する。
「ありがとう。借りはちゃんと返すから」
 ファスナーを上げながら、ウィンクをする少年。

 少年刑務所だから、当然所内作業がある。
 わたしが重いものを持っていると、
「重いだろ、持ってやるよ。君はこっちの軽いやつにしなよ」
 といって代わってくれる。先程フェラチオしてあげた少年だ。全然仕事しないわけにはいかないから、より軽作業になるようにしてくれる。
「ありがとう」
 わたしが精一杯の微笑みを浮かべてお礼を言うと、
「いやあ、当然だよ。きつかったら、いつでも代わってあげるから」
 顔を赤く染めて照れていた。
 同室の宿房の少年だけでなく、所内の全員がやさしく対応してくれていた。
 わたしが女として相手していることは、所内のほとんどの少年に知れ渡っていたからだ。そういった行為の背後には下心がある。
 チョコレートを手渡しながら、わたしに囁く。
「なあ、いいだろ?」
「ええ、いいわよ。でも、どこでするの?」
 するとほんとうに嬉しそうな表情になって、その秘密の場所に連れて行ってくれる。
「ここでいいの?」
 相手は溜りに溜まっているので、その股間は弾きれんばかりに膨らんでいる。待ちきれないようにズホンを降ろすと襲いかかってくる。わたしのズボンを剥ぎとりパンツを脱がすと背後からいきなり入ってくる。
 たいがいの少年はものの二三分で果ててしまう。わたしとしてはもっと楽しませてほしいと思ったりするが、少年刑務所の中であり、いつ見つかるかもしれない。時間との勝負なのだ。
 男の感覚というものは単純だ。射精すれば誰でも快感があるが、それをわたしの中に放出すればしびれるような感覚がたまらないといった表情になる。相手は、オナニーでは得られない感覚に酔いしれて満足するのだ。
 一度関係すると、わたしの虜となった。


 少年刑務所というと、未成年の受刑者が対象だと思われているが、実は少年よりも高齢者の方が多い。佐賀少年刑務所において88歳の受刑者が病気で死亡したという例があるとおり、凶悪犯でないかぎり少年は少年院に入れられるのが通常である。
 法務省によると、2016年の少年刑務所の入所者数は2609人。20歳未満は12人だけ。

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