銀河戦記/機動戦艦ミネルバ 第六章 新造戦艦サーフェイス VI
2020.03.01

 機動戦艦ミネルバ/第六章 新造戦艦サーフェイス


VI


 ほどなくして、ミネルバとサーフェイスが対峙することになる。

 ミネルバ艦橋。
「右舷三時の方向より、大型艦接近中です」
「警報!全艦戦闘配備!」
 艦内を駆け回って、それぞれの部署へと急行する将兵達。
「戦闘配備完了しました」
「敵艦の動きは?」
「まっすぐこちらへ向かってきます」
 ミネルバ乗員達の目に飛び込んできたのは、ミネルバと全く同じの巨大戦艦だった。
「あれは、ミネルバ?」
 副官が驚きの声を上げた。
「ミネルバ級二番艦のサーフェイスだわ。完成はもう少し後のことだと知らされていまし
た」
「急がせたのでしょうねえ」
 ミネルバ級は、一番艦のミネルバ、二番艦のサーフェイス、そしてまだ命名されていな
い三番艦まで建造計画が予定されていた。
「同型艦が相手では苦しいですね」
「しかし、やらなければやられます」
「判っています。艦の性能は互角ですから、新型モビルスーツに活躍してもらわなければ
なりません」
「なるほど、新型モビルスーツを奪還したのは、ここまで読んでいたからですね」
「その通りだと思います」
「ミサイル発射管室より、装填ミサイル種を聞いてきております」
「無誘導慣性ミサイルを装填してください」
「了解。無誘導慣性ミサイル装填」
「無誘導ですか……。大昔の戦艦同士における艦砲戦になりそうですね」
「レーザー誘導ができませんからね」
 同型艦なら当然、超伝導磁気浮上システムによる電磁波遮蔽能力を備えている。
 超伝導によるマイスナー効果(完全反磁性)によって、磁力を完全遮断して電磁波を通
さない。
「すべてのセンサーを超音波センサーに切り替え」
 電磁気は防がれても、音波は防げないということだ。
 遮蔽能力を最大限に引き上げると、光すらも通さなくなるが、当然電力消費も莫大とな
り、兵器に回す電力が足りなくなる。防御に徹するならそれでも良いが、ミネルバとの対
決を目指すサーフェイス側としては論外であろう。
 接近するサーフェイスを見つめるフランソワ。
「これより、敵艦サーフェイスとの戦闘になる。レーザー誘導ができないため、自分の目
と感が頼りになる。各砲手は光学側距離計を用いて攻撃体勢に入れ」
 簡単に説明すると、ライフル射撃手がスコープをのぞいて目標を撃ち抜くということだ。
 フランソワも言ったとおり、自分の目と感が頼りということ。
「艦長、これを」
 と、副長が差し出したのは双眼鏡だった。
「ありがとう」
 受け取って、敵の艦影を確認するフランソワ。
「敵艦との推定相対距離、5.7ゲイン」
「距離設定5.7ゲイン」
 発射管室に距離指定が出される。
「合わせました!」
 即座に返ってくる。
「艦首発射管開け!」
 艦首の発射管が開かれてゆく。
 水中・水上にあっては魚雷、空中ではミサイルを発射できる。
「艦首発射管開きました」
「艦首ミサイル発射!」
「発射!」
 艦首から発射されるミサイル。
 噴煙を上げて一直線に敵艦に向かって突き進んでゆく。
 その奇跡を双眼鏡で見つめるフランソワ。
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