あっと!ヴィーナス!!第二部 第一章 part-4
2020.01.07

あっと! ヴィーナス!!第二部


第一章 part-4

 それから数日後。
 愛と一緒にファミレスの面接を受けている。
 勤務希望日時とか尋ねられて、
「やっぱり土日の午前中かな……」
「あのねえ、夏休みなのよ。もう少し働かないと雇ってもらえないでしょ。ねえマネージ
ャー」
「そうですね。最低でも三日間のフルタイムか、五日以上のハーフタイムは働いて頂かな
いとね。シフトが組めませんから」
「ほらね」

「うーん……。どうしようかな」
 頭を抱えている弘美。
「取りあえず四日以上のフルタイムを働いて頂けるなら、採用決定なんですけどね」
「へ? 採用決定?」
「新店舗が出来たせいでかなりの従業員がそちらに振り分けられて、こちらの人員が足り
なくて、急ぎ募集する必要があるんですよ。今なら無条件採用です。いかがですか?」
「念のためにお聞きしますけど、時給はいくらくらいですか?」
「採用条件に合えば、時間七百五十円をお支払い致します」
「七百五十円? それって平均的?」
「そうですね。高校生の時給としては妥当なはずですが」
「フルタイムって何時から何時ですか?」
「あなた達は、女子高校生ということで、就業規則により午前十時から午後六時までとな
っております。それ以降の勤務時間は、学校側や父兄から帰宅に問題が生ずるとクレーム
がくるからです。大切なお嬢様をお預かりするわけですから当然の配慮です」
「ふうん……お嬢様ねえ」
 そっかあ……。
 一応あたしはお嬢様なんだ。
 そう言われると悪い気はしなかった。
 あれ?
 女の子として扱われることに抵抗してたんじゃなかったっけ?
 うーん……いつの間にか、女の子としての生活に慣れ親しんでいるってことか。
 そりゃそうだ。
 実際にしても、誰が見ても正真正銘の女の子だものな。
「ねえ。どうするの? 早いところ決めておかないと他の子に仕事取られちゃうよ。ここ
のアルバイト、結構人気があるんだから」
「そうなんだ」
「どうしますか?」
「決めちゃいなよ」
「マネージャーさんも忙しい中を時間を作って、相手してくださっているんだから。今更
断りきれないわよ」
「あ、あのねえ……」
 それじゃあ、脅迫みたいじゃない。
「わかったわ。取り合えず、四日のフルタイムということでお願いします。ただ曜日はも
う少し考えさせていただけませんか?」
「結構ですよ。四日のフルタイムですね。曜日に関してはある程度融通が利きますから大
丈夫です」
「それじゃあ、そういうことでお願いします」
「判りました。一応採用ということで、こちらこそ今後ともよろしくお願いします」
「やったね」

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