はじめての食事なるも……
2019.12.21
○月○日 はじめての食事なるも……

 相も変わらずの検査の日々。

 イレウス(腸閉塞)を引き起こしている原因をつきとめてからでないと、本格的な治療
には進めないから。

 例えばイレウスを引き起こす要因として、

 ■機械的イレウス
  結石などの異物による閉塞。
  子宮外妊娠などによる腸管圧迫。
  寄生虫(回虫・サナダムシなど)。
  ポリープや腫瘍・癌による狭窄。
  クローン病、潰瘍性大腸炎などの炎症・癒着・屈曲。

 ■機能性イレウス
  急性腹膜炎。
  鉛中毒。
  運動性麻痺。

 などが挙げられる。

 これらの要因となっているものをしらみつぶしに当たっていって、一つずつ消し込みを
行って最後に残ったものが一番疑わしいということになる。(工藤新一風に)
 イレウスの治療の基本として、絶飲食によって腸を休ませて快方へと導くこと。
 点滴による栄養補給が一番の治療方法。

 水も食事も摂れない絶飲食。
 同室の患者さん達が、食事をしているのを横目で眺めているだけというのは、実に寂し
いものだ。
 それを十日間ほど続けたある日。
「食事を摂ってみましょうか」
 ということになった。
 イレウスの原因が判ったからではなくて、ためしに食事を入れてみて様子をみてみよう。
 試行錯誤的治療方法である。
 せっかくの食事を吐いてしまうかもしれないが、その時はそれなりに対処しましょうと
いうことである。

 その夜、はじめての食事が出された。
 といっても重湯である。
 米の研ぎ汁をそのまま煮ただけとも思えるような透明の液体。
 ほんの少し塩味がついているだけで、味もそっけもない食事。
 それでも何とか食事を終えた。
 吐き気は起きなかった。
 少しは快方に向かっているということか。

 三日後には、三部粥になった。
 しかし、その夜に熱が出た。
 翌日も三部粥だったが、やはり熱が出た。
 どうやら固形物が入ると熱が出るようである。

 というわけで、再び絶飲食に戻った。

 ああ!悲しや絶飲食。
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