あっと!ヴィーナス!!第三章 part-4
2019.12.11


第三章 part-4

「弘美、おはよう!」
 と背後から聞き覚えのある声がした。
 げっ! その声は……?
 振り返って見れば……。

 双葉愛ちゃん!

 幼馴染みの愛ちゃんじゃないかーっ。
 やばいよ、やばいよ。
 この姿、見られっちゃったよお。
「おはよう、弘美」
 あれ?
 おかしいな。
「どうしたの? 変な顔して」
「ねえ、あたしの姿見てどう思う?」
「どういうこと?」
「男の子に見えるか、女の子に見えるか」
「なに言ってるのよ。弘美は女の子でしょ」
 どうやらヴィーナスの言った通り、弘美に関係している人間の記憶を入れ替えたという
のは本当らしい。
 少し安心した。
 二人並んで教室へと歩きだす。
「弘美、おはよう」
「おっはー。ひろみぃ」
 と声を掛けてきたのは、クラスメートの西条明美と新川美奈だ。
 男の子だった時は、挨拶を交わす程度だったが、なぜか親しく寄り添ってきた。
「おはよう! 弘美」
 と次々と声掛けが続いた。
 声を掛けていくのはみんな女の子だった。

 な、なんで女の子ばかりなの?

 って、ヴィーナスが記憶操作したからだよね。
 女の子になったから、親しい友達もそれにふさわしいものにしちゃったんだと思う。
 うーん。さすがに女神を名乗るだけあるな。
 ちがーう!
 誉めてどうするんだよ。
 けなしてこそすれ、誉める対象ではなーい!


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