あっと!ヴィーナス!! 第二章 part-1
2019.10.03


あっと!ヴィーナス!!


第二章 part-1

 ドアがノックされる。
「お母さんよ。入るわよ、弘美ちゃん」
 母親と兄達が大きな紙袋、そして姿見の鏡を抱えて入ってきた。
「弘美ちゃん、あなたの服を買ってきてあげたわ」
 母親は部屋の隅を指さして、
「その姿見は、そこに置いてちょうだい」
「あいよ」
「そしたら、あなたたちは出ていきなさい」
「え?」
「わかるでしょ」
「あ、ああ……そうだね」

「さあて……と、早速着替えをしましょうか、弘美ちゃん」
「着替えって?」
 母親は紙袋の一つを開けて、テーブルの上にそれを広げた。
 ブラジャー、ショーツ、スカート、ブラウスといった女物の衣類が並べられた。
「な、なんだよ。それ……」
「決まってるじゃない。あなたの着替えよ」
「じょ、じょうだんじゃないよ。全部女物じゃないか」
「当り前でしょ。あなたは女の子なんだから」
「それを着るのか?」
「さ、はじめましょう」
「い、いやだよ」
「強情を張らないの。どうしても着ないというのなら、武司達を呼んで強引にでも
着せるわよ。見られたくないでしょ、自分の裸を」
「わ、わかったよ……着ればいいんだろ……」
「そうよ。何事もあきらめが肝心」
「…………」
「じゃあ、まずはブラジャーからね。ブラは正しく身につけないとバストがくずれ
ちゃうから、しっかり覚えるのよ」
 と梓を鏡の前に立たせ、その背後から手取り足取りで着付けを教える母。


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