銀河戦記/拍動編 第四章 Ⅱ 半舷上陸
2023.02.18

第四章


Ⅱ 半舷上陸


 宮殿謁見の間。
 クリスティーナ女王とネルソン提督が向き合っている。
「ネルソン提督」
「はっ!」
「悲しい報告をしなければなりません」
「……?」
「ドレイク中将が、オルファガ宙域戦線で戦死しました」
「ドレイクが? あのフランシス・ドレイクが死んだのですか?」
「そうです。太陽系連合王国の第七艦隊の空母エンタープライズより発進した艦載機の反復攻撃は、旗艦ゴールデン・ハインドを撃破し、ドレイク中将は……」
「そうか……ドレイクは死んだのか……」
 悲しそう表情をして俯く。
「彼は、士官学校の同期でしたね」
「よき友であり、ライバルでした」


 トリスタニア市街地高速帯を、アンドレとエミリアの乗ったエアカーが進んでゆく。
 運転席で黙々とエアカーを操縦するアンドレ。
 心配そうなエミリア。
「どうかなすったの?」
「え? 何が……?」
「あなたは変わったわ。以前のアンドレではないみたい……」
「そうかい? ……僕は僕だけどな」
「戦いは人を変えるって本当なのね」
「殺したり殺されたりの連続だからな。僕だって、いつ死ぬかもしれないんだ」
「やめて!」
 耳を塞ぎ、顔を背けるエミリア。
「あなたが死ぬなんて、そんなこと……」
「しかし戦争だからな」
「戦争……いつ終わるのかしら」
 エミリア、悲しそうな表情で外を見つめている。


 遠望に市街地を見渡せる郊外の家。
 その庭先に、エアカーが飛来して停止する。
 ドアが開いて兵士が降りて、後部ドアを開けて敬礼する。
 ネルソン提督が降りてくる。
「では、明朝八時にお迎えに参ります」
「よろしく頼む。参謀会議は八時半からだったな」
「はい、その通りです」
「うむ。ご苦労だった」
「はっ。では失礼します」
 兵士敬礼して、再びエアカーに乗り込んで出発した。
 エアカーの去って行った方向をしばし見つめている。
 やがて、ゆっくりと玄関に向かって歩き出す。
 その脇を子供が走り抜ける。
 ふと振り返ってネルソンを見る子供、見つめるネルソン。

 台所でネルソンの長男の妻が、夕食の支度をしている。
 玄関のドアが勢いよく開いて、子供が駆け込んでくる。
「ママ! ただいま、おやつは?」
 台所から顔を出して、
「テーブルの上よ。レオン、家の中では走ってはいけないって言ってるでしょ。それに、またドアを開けっ放しにして駄目でしょ。あら……」
 玄関にネルソンが立っている。
「お父様!」
「や、やあ」
「いつ、お帰りに?」
「今朝だよ。上がってもいいかね」
「え? ええ、どうぞ」


 エミリア邸の玄関からアンドレが出てくる。
「本当にいいの? 泊まっていけばいいのに……」
「士官寄宿舎だって捨てたものではないよ。いつ乗艦命令が出るか分からないしね」
「そう……」
 二人抱き合う。
「今度は、いつ帰ってこれるの?」
「分からない。いつ出撃命令が出るかも知れないし、その時は数年は帰ってこれないかもしれない」
「アンドレ……」
「じゃあ、行くよ」
 エアカーに乗りエミリア邸を後にするアンドレだった。
 その行き先をじっと見つめるエミリア。


 郊外の家。
 応接室に集まったネルソンの家族。
 息子のレオナルドは造船所に勤める技術者である。
 その横で玩具で遊んでいる孫のレオン。
 コーヒーを二人の前に持ってくる妻のフランシス。
「レオン、もう寝る時間ですよ」
「はあい。お休みなさいママ」
 渋々と答えるレオンの頬にキスをするフランシス。
「お休みなさいパパ」
「はい。お休み」
 フランシス、レオンを子供部屋へと連れてゆく。
 二人を見送って、話をはじめる父と息子。
「父さん、戦況はどうなっていますか?」
「ああ、ケンタウリ軍は、トラピスト星系連合王国の絶対防衛圏のすぐそばまで進軍してきているのだ。この本星にまで襲い掛かってくるのも時間の問題だ」
「ケンタウリ軍には、最強のゴーランド艦隊がいますからね。連合王国の中には、ゴーランドと和平を結ぼうとしている侯国もあるとか聞きましたが……」
「そういう噂もあるらしいが、実際はどうだか分からん。今の状況では、絶滅させられるより、屈辱に耐えてでも生き延びる方が、賢明と考える者もいるのだろう」
「それでクリスティーナ女王は、どのようにお考えなのですか?」
「もちろん徹底抗戦のおつもりらしい」
「やはりね。女王様らしいや」


 軍宿舎廊下に兵士たちが屯(たむろ)している。
「ところで軍曹」
「馬鹿野郎! 俺は軍曹じゃねえ」
「あ、そうか。昇進して曹長になったんだっけ」
「よく覚えておけよ」
「へい。曹長殿……だけどよ、軍曹も曹長も大して変わらないですよね」
「何だと、もう一度言ってみろ!」
「では、伺いますが。一つ昇進して待遇が良くなりましたか?」
「そ、それは……」
「宿舎にしたって、個室に入れるのは少尉以上じゃないですか。宿舎の外へ自由に出られるのも佐官クラスだし」
 別の兵士も話題に割り込んでくる。
「そうそう。寝泊りは、我らと同じ相部屋だし、食事も就寝時間も皆同じ。要するに学校でいるところのクラス委員長みたいなものですよ」
「士官学校を出ていない我々一般兵士は、よほどの手柄を上げない限り、昇進してもせいぜい曹長どまり、要するに消耗品なんですよ」
「ううむ……」
 苦虫を潰したような表情をしている曹長殿だった。

 軍宿舎入り口。
 玄関の詰め所の奥で、守衛が二人チェスをしている。
 受付にアンドレがやってくる。
「誰かいませんか?」
 返答がない。
 チェスに夢中で聞こえなかったようだ。
「おい、誰か来たみたいだぞ」
 やっと気が付く守衛。
「誰だい、今時分」
 髪を搔き撫でながら守衛が出てきて、胡散臭そうに対応する。
「何の用だ。門限はとっくに過ぎているんだぞ」
「悪いな。連絡は取ってあるはずだが……アンドレ・タウンゼントだが」
「ちょっと待ちな」
 と言って、連絡帳を開く。
「えっと、アンドレ……タウンゼントね。……!」
 連絡帳には、少佐の階級を持つアンドレの名前が記されていた。
「しょ、少佐殿!」
 改めてアンドレの服に付いている階級章を確認する守衛。
「こ、これは失礼しました!」
 姿勢を正して敬礼する。
「はい。確かに連絡を受けております」
「早速部屋に案内してくれないか」
「かしこまりました」
 中にいる同僚に向かって、
「おい、ジョン。ちょっと来い!」
 同僚が出てくる。
「少佐殿を、お部屋までお連れしろ!」
「分かりました。少佐殿、お荷物をお持ちします」
「いや、いいよ。これだけしかないから」
 と小さな鞄を軽く持ち上げた。
「そうですか……。では、こちらです」
 先に立って廊下を歩きだす。

「ところで次の出撃はいつだろうなあ」
「さあ、どうだろうな。明日参謀会議だろ? 明日の夕刻までには、何かしら分かるだろう」
「詳しいことまでは、我々下っ端には教えてくれないよ」
「オリオン号の修理次第だろうな」
「今度出撃したら、二度と帰って来れないような気がするな……」
「何を馬鹿なことを言ってるんだ!」
「しかし、オルファガ戦域では第七艦隊が惨敗して、ドレイク中将が亡くなられるし、我が艦隊だって酷い有様だ」
 廊下の向こうからアンドレが歩いてくる。
「あ……。おい、艦長が来るぞ!」
「本当だ」
 一同振り向き立ち上がる。
 アンドレが守衛と共に傍までやってきた。
「おまえら、こんな所に集まって何をしているんだ?」
「艦長こそ、今時分にどうしたんですか?」
「いや何ちょっとな。そんな事より、お前らこそ早く休め! いつ出撃命令が出るか分からんのだぞ。眠れるときに眠っておく、兵士の心得だ」
 まだじっと立っている兵士らを見て、
「何をしている。早く寝ろ! 消灯の時間だろ!」
 怒鳴られて、一同散り散りに各部屋へと戻っていった。
「うん。いい子達だ」

 部屋に案内され、物色するアンドレ。
「なかなかいい部屋だな」
「この宿舎で一番の部屋ではないかと存じます」
「ご苦労だった。下がっていいよ」
「はっ。自分はドアの前で守衛に立っておりますので、御用がありました何なりと」
「守衛の必要はないよ。休みたまえ」
「いえ。佐官以上の方がお泊りの時は、守衛を一人ないし二人付くことになっておりますので。それに……」
「それに……?」
「はい。凍えるような夜風の吹く外番よりもここの方が……」
「ん? それもそうだな……仕方がないな。あまり音を立てるなよ」
「了解しました!」
 敬礼して部屋を出るジョンだった。



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11
銀河戦記/拍動編 第四章 Ⅰ 新たなる航海
2023.02.11

第四章


Ⅰ 新たなる航海


 ロビーに案内された部屋で、ベッドに寝そべり話し合っている人々。
「少尉殿。これから俺達どうなるんでしょうねかね」
「どうかな。少なくとも命だけは保障されているようだがな」
「あの女性、一体何者でしょうねえ。この船にしたって、誰が何の目的のために建造されたのか。全く分からない事だらけだ」
「ま、その内に明らかになるさ。彼女もいずれ説明すると言っていたしな。とにかく考えてみたってしようがない。寝ようぜ、明日のためにな」

 コントロールルーム。
 指揮官席に鎮座するアレックスとその傍に立つエダとイレーヌがいる。
 最初、指揮官席に座ることを躊躇したアレックスだったが、
「この船はあなた様の船ですから」
 エダに優しく諭された。
 船のことは何も知らないので、当面の間は参謀役としてエダが務めることとなった。
「艦の損傷のチェックは終わって?」
 エダが確認する。
『終了シマシタ。全ブロック、大シタ損傷ハアリマセン。機器ニモ異常見アタラズ。航行ニ支障ハアリマセン』
「敵の動静はいかが?」
『追撃シテクル気配ハアリマセン』
「よろしい。警戒態勢はそのままに、目的地へ直行します」
『了解。コース設定シマス』
「エダ……って言いましたっけ。これからどこへ行こうというのですか?」
 イレーヌが尋ねる。
「補給基地です」
「補給基地?」
「そうです。この船には十分な水や食糧がありません。それに先の戦闘で失った艦載機の補充も必要です」
「その基地はどこに?」
「そう遠くはない所……とでも言っておきましょう。ロビー、ワープ準備して」
『ワープ準備ニ入リマス』
 アムレス号、一気に加速して、ワープして消えた。

 アムレス号船橋内。
 モニターと手元の操作盤と睨めっこするアレックス。
 アムレス号の運用を任されたことで、船の詳細を知るべくマニュアルを読んでいたのである。
「どれくらい頭に入りましたか?」
 エダが尋ねる。
「どうだろうな。詰め込み教育は大したことにはならないからな」
 正直に答えるアレックス。
「でしょうね。どこまで理解できたか、戦術シミュレーションで試してみますか?」
「戦術シミュレーション? いいだろ、やってみよう」
「それでは、こちらへどうぞ」
 別室にあるシュミレーターに案内されるアレックス。
「これがシュミレーターか?」
「はい。起動するといろいろな戦闘場面の作戦が与えられます。最適と思われる指示を音声入力で行ってください」
「音声入力なのか?」
「はい。その指示に従って、コンピュータがシミュレーションを行い、戦術効果を算出して勝ち負けを判定します」
「分かった。ともかく一度、やってみよう」
「それでは、起動します」

 起動すると同時にモニターに漆黒の宇宙が広がり、前方に一隻の戦艦が現れた。
「戦力分析!」
『敵艦ノ主砲ハ重イオンビーム砲三門、ミサイル発射管六門、機関砲多数』
 重イオンや陽電子のような荷電粒子を使用するビーム砲は、恒星近くなどの磁場や恒星風(荷電粒子)がある所では曲げられたり弱められたりするので、使用制限がある。
 それに対してアムレス号の主砲は、陽子と電子を二基の粒子加速器でそれぞれ亜光速に加速して発射直前にミックスして、中性な原子として利用する【中性粒子ビーム砲】が搭載されている。また粒子加速器を一基だけ使って荷電粒子砲としても利用できる。
『艦ノ速力二十八宇宙ノット、デ接近中デス』
「戦闘体勢!」
『敵艦、火器管制レーダー照射確認! ロック、サレマシタ』
「先手を取られたか。ビームバリアーを前方に展開せよ」
『敵艦撃ッテキマシタ』
「次弾を撃つまでの時間を計測!」
 敵艦のビームエネルギーがバリアーに妨げられて閃光を生じるも、アムレス号には損傷はなかった。
 さらに攻撃は続く。
『敵艦ノ砲撃間隔ハ0.5秒』
 やがて十発ほど撃ったところで沈黙した。
「燃料チャージ時間に入ったようだな。ミサイルを警戒しつつ、こちらから反撃するぞ。」
『敵艦カラ、ミサイル発射サレマシタ』
「フレア発射! 右へ十五度旋回しつつ、こちらもミサイル発射準備!」

 このようにして、戦闘指揮能力の向上のためにシミュレーションを続けるアレックスだった。


 プライベートルーム。
 六人部屋の各ベッドで眠っている一同。
 その中で一人、天井を見つめながら静かに思考するビューロン少尉。
 おそらく今後のことを思慮しているのだろう。


 インゲル星軍港。
 空港に係留されているノーザンプトン号。
 貴賓室で、窓の外を眺めながら朝の紅茶を飲んでいるセルジオ。
 その側にはガードナー少佐が控えている。
 下士官が入ってくる。
「コミッショナー。陛下がお会いしたいと訪ねてきています」
「そろそろ来るだろうと思ったよ」
「私は、耳に栓をしておきましょう」
「ま、その方が賢明だな」
 下士官に入れろという手ぶりを見せる。
 下士官退場し、替わりにクロード王が入ってくる。
 セルジオ背を向けたまま椅子に座り、紅茶を啜り続けている。
「閣下……」
 セルジオ返答をしない。
「閣下! 聞いていますか?」
「聞いているよ。何の用かね、クロード殿」
「例の宇宙船が……。私の娘を捕えられている宇宙船が現れたというのに、なぜ地上基地のミサイルで援護してくれなかったのですか? それよりもビーグル号が脱出するのを、捨て置けと仰られたとのことですが、どういうことなのですか? 納得のいくお答えのない限り、ここから一歩も動きませんぞ」
「だから……なに?」
「は……?」
「そんなだから、ゴーランド艦隊に地球を乗っ取られるのだよ、クロード王。ただ闇雲に動き回るだけが能ではない。黙って見ているだけでも、敵を落とすことも、意のままに操ることもできる。ようなここだよ、分かるか?」
 と自分の頭のこめかみ辺りを、指先でツンツンと小突いている。
 クロード王、返す言葉もなく押し黙っている。


 トラピスト星系連合王国首都星トリスタニアに近づくオリオン号。
 艦橋でスクリーンに映る、青く美しい惑星に魅入っているネルソン提督。
「実に三年と六か月ぶりだな。アンドレ艦長」
「その通りですね。まもなく大気圏突入態勢に入ります」
「コース、オールグリーンです」
「よし、着陸だ」

 トリスタニア宇宙空港に次々と着陸する艦隊、そしてオリオン号。
 周辺を群衆が取り囲んで歓声を上げている。
 その様子を、宮殿の窓辺から眺めているクリスティーナ女王。
「ネルソン提督をこちらへ呼んで下さい」
 侍女に命令する。
「かしこまりました」
 うやうやしく頭を下げて退室する侍女。

「着陸完了。艦体に異常ありません」
「全艦、着陸完了しました」
「うむ、ご苦労だったな。整備班を呼び寄せて、艦の修理を急がせてくれ。それと将兵に半舷上陸を与えてくれ」
「かしこまりました」
「提督、女王様より、宮殿への招聘が届いています」
「分かった。すぐ行くと伝えてくれ」
「了解」

 トリスタニア宮殿廊下を、近衛兵に従いながら歩いてゆくネルソン提督。
「第七艦隊、ネルソン提督到着!」
 重い扉が開けられて、ネルソン入廷する。
「ネルソン入ります」
 クリスティーナ女王立ち上がって歓待する。
「おお、ネルソン。よくぞ参った」
「只今戻りました。女王様」
 敬礼して挨拶するネルソン。

 オリオン号艦内では、あちらこちらで修理が行われていた。
 アンドレ艦長が、技術長と共に見回りしながら、技術者達に指示を与えている。
「ここが、最も酷くやられています。完全修復には七か月は掛かるでしょう」
 と技術長が報告する。
「七か月だって! もう少し早く三か月でできないか?」
「無理ですよ。この数字だってギリギリの線なんです」
「そ、そうか……。とにかく、できる限り早く修理を急がせてくれ。今は一日でも遅れただけ、戦況は不利になってゆくのだからな」
「分かっております。それよりも艦長。あなた自身こそ休息してはいかがですか。副長もいることですし、少しは身体を休ませなくてはな」
 艦内放送が呼び出ししている。
『艦長、いらっしゃいますか!」
 身近のインターフォンに出る艦長。
「艦長だ。何の用か?」
「艦長に面会したいとご婦人が見えております」
「面会? それも女だと!」
「はい。第四桟橋で待っておられます」
 考え込んでいる艦長。
「どうしたんです、半舷上陸の許可が出ているのです。会いに行かないのですか?」
 技術長が尋ねる。
「え……。あ、ああ」
 そこへ副長のドイルがやってくる。
「アンドレ。交代の時間だぞ。引継ぎを」
「そうか、分かった」
「ところで、エミリアが来ているぞ」
「やはりか……」
「ああ、ここは俺に任せて早く行ってやれよ」
「しかし……」
「いいから行け!」
 アンドレの尻を蹴飛ばす振りをして促すドイル。
「分かったよ。行けばいいんだろが」


 第四桟橋で手すりに片手を掛け、オリオン号を見つめる美女。
 髪をたなびかせ、その表情には虚ろな陰りを秘めている。
 オリオン号より、後ろをチラチラと振り返りながら出てくるアンドレ。
「アンドレ!」
 エミリア、手を小さく振りながら駆け寄ってくる。
「エミリア……」
「お帰りなさい、アンドレ」
「ああ。心配かけさせたね」
「とっても心配してたのよ。帰っていたのなら、どうして連絡して下さらないの?」
「それは……」



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銀河戦記/拍動編 第三章 Ⅳ アムレス号
2023.02.04

第三章


Ⅳ アムレス号


 ビーグル号を離れてアムレス号へ向かう救助艇。
 艦載機発着口が開いて、中へと進入してゆく。

 救助艇を降りてゆく一同。
 辺りをキョロキョロと見回している。
 船内にはずらりと戦闘機が並んでいた。
「戦闘機だ!」
 一人がコクピットに乗り込み、計器類をいじりはじめた。
「こりゃあすごいや! これがミサイル発射ボタンで……ほう。自動操縦装置まであるぜ」
 どうやらパイロット出身のようである。
 戦闘機を囲む一同。
「一度、こいつに乗って戦ってみたいぜ。地球艦隊の戦闘機とは比べようがないほど高性能だぞ」
 わいわいがやがやと戦闘機談義しているところへ、ロビーがヒョコヒョコとやってきた。
「おっ! 何だ? ロボットだ」
 ロビー一同のすぐそばまでやってきて伝言する。
『皆サン、ヨウコソイラッシャイマシタ、歓迎シマス。コチラヘドウゾ』
 と言いながら、元来た道を戻りながら案内する。
「この船の主に合わせてくれるのか?」
『着イテキテクダサイ』
 ぞろぞろとついてゆく一同。
 エレベーターの前に到着し、ロビーの促すまま乗り込む。
「不思議だな」
 ビューロン少尉が首を傾げる。
「何がですか?」
「気が付かないか?」
「一体何が?」
「この船には人間が見当たらない」
「人間が?」
「そうだ。今まで分かっているのは、通信に出た女性とその背後にいた少女だけしかいない。あとはこのロボットだけだ」
「そう言われれば、船を動かすべき乗組員に一人も出会っていませんね」
「おい、ロボット。この船には、人間は二人しかいないのか?」
 ビューロン少尉が尋ねる。
『ハイ。ソノ通リデス』
「だとしたら、どうやってこの艦は動いているのだ? ただ漂流しているというわけではあるまい」
 その時、丁度エレベーターが止まった。
『到着シマシタ』
 扉が開くと、そこはコントロームルームだった。
 エレベーターから出てくる一同。
 エダ、手を広げて彼らを迎える。
「ようこそ。我がアムレス号へ」
「教えてください。あなたは何者で、この船はどこの国の所属なのか? この船には人間がほとんどいないようだが、どうやって動いているのか?」
 矢継ぎ早に質問する一同。
「それは、いずれゆっくりとお話しましょう。まずはこの宙域から、急いで退避します。と、その前に……主砲発射準備!」
 いつの間にか計器類の前に陣取って操作しているロビーだった。
 アムレス号の主砲を、ビーグル号に照準を合わせている。
『発射準備完了シマシタ』
 それを見ていたアレックスが尋ねる。
「何をしようというか?」
「もちろん、ビーグル号を破壊するのです」
「なぜ?」
「ビーグル号のコンピューターデータバンクには、このアムレス号との戦闘状況が記録されているはず。それを完全消去せねばならぬのです。このアムレス号の戦闘能力を敵に知られないために」
「そうなのか……?」
「戦いとはそういうものです」
『主砲、スタンバイOKデス』
「分かりました、主砲直ちに発射して下さい」
『了解。主砲発射シマス』
 主砲より発射されたエネルギービームがビーグル号に襲い掛かり炸裂する。閃光とともに爆発炎上して轟沈するビーグル号。
「ビーグル号が……」
「すごい! たった一撃で、あのビーグル号を撃破するとは……。地球艦隊でも手こずったというあのビーグル号が……。たった一撃か」
 唖然とする一同。
「では、全速で撤退しましょう」
『了解! 全速前進、退避シマス』
 加速して戦闘宙域から離脱してゆくアムレス号。
「待ってくれ! 私の質問に答えてくれないのか。せめて我々の味方なのか敵なのか、それだけでもはっきりさせてくれ」
「トラピスト星系連合王国なのか?」
 執拗に尋ねるので、つい答えてしまうエダ。
「このアムレス号は、どこの国にも所属していませんし、味方となるか敵となるかは、あなた方しだいです」
「我々しだい?」
「その通りです」
「我々にどうしろと言うのですか?」
「ともかく、このアムレス号に乗船している間は、私の指示に従ってもらいます。従えない方には、退船して頂きます」
「訳が分からないのだが……」
「今言えるのはこれだけです。ロビー、皆さんをお部屋に案内して差し上げてください」
「了解シマシタ。自動操縦ニ切リ替エマス。コース設定完了」
 機器をテキパキと操作を終えて、くるりと反転して、
『ミナサン、コチラヘドウゾ』
 と、トコトコと先に歩き出した。
 一同、ロビーの後に付いてゆく。
 ただ一人、アレックスだけが立ちすくんでいた。
 その視線の先には、少女イレーヌがいた。
「アレックス……」
「イレーヌ……」
 互いの名前を呼びあいながら、一歩また一歩と歩み寄ってゆく。
 やがて小走りになり、
「アレックス!」
「イレーヌ!」
 駆け寄って抱き合う。
 扉付近を過ぎようとして一行が振り向く。
「あれ、アレックスは?」
「あそこだよ」
 と抱き合う二人を指さす。
「おい、あの少女は?」
「どうやらアレックスの知り合いのようですね」
「あの少女は確か……」
 呟くビューロン少尉。
「少尉殿は、あの少女をご存じなのですか?」
「いや、何でもない。人違いだ」
 尋ねた部下は首を傾げる。

 抱き合っていたイレーヌとアレックス、やがて離れる。
「どうして君がここにいるの?」

「それは……」
「私がお連れしたのです。アレックス様」
 返答に窮していたイレーヌに変わって、エダが答える。
「あなたは? 僕の名前をどうして知っているのですか?」
「私は、あなた様の忠実な従臣でございます」
「従臣?」
「左様にございます。アレックス様をお救いするために、こうしてアムレス号でお迎えに参ったのです」
「アムレス号……」
「はい。宇宙戦闘艦アムレス号、あなた様の船です。命ずるままにどこへでも……」



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銀河戦記/拍動編 第三章 Ⅲ 救援
2023.01.28

第三章


Ⅲ 救援


 宇宙空間。
 態勢を整えて、砲門を未確認戦に向ける地球艦隊各艦。
 対するアムレス号からは無人戦闘機群が発艦している。

 アムレス号船橋。
 スクリーンを前に腕を組むエダ。
 その後方で心配そうな表情のイレーヌ。
「敵ガ応戦シテキマシタ。エネルギービーム接近!」
 たちまち集中砲火を浴びるアムレス号。
 船橋内はビームの閃光で眩いばかりになっていた。
 しかし、船内の機器は正常に作動しており、損傷はないようだった。
「ビームバリアー、正常ニ動作中! 船ニ損傷ハ、アリマセン」
「攻撃続行します。但し、国王の乗られているノーザンプトンは外して」
 イレーヌの父親であるクロード王を死なせるわけにはいかない。
 敵ではあっても、将来において和平交渉となったときに、生きていてくれなければならない。
「了解シマシタ。ノーザンプトン、ハ外シマス」
 引き続き攻撃を続けるアムレス号。


 ノーザンプトン艦橋。
「ビ、ビーム砲がまるで歯が立たない」
「バリヤーか!」
「そのようです」
「ミサイルに切り替えて攻撃しろ!」
「バリヤーを張れるとは、よほど高性能のエンジンを搭載しているようです」
 スクリーンに映る戦艦の一つが、艦載機によって撃沈された。
 次々と沈められてゆく味方艦隊。
「戦艦ミディアムがやられました」
「続いて巡洋艦アマンダ」
「現在の味方の戦況は?」
「はっ。現在味方の五分の一が撃沈もしくは大破。残りもかなりの損傷を受けています」
「馬鹿な。たった一隻の敵艦に我が艦隊が手も足も出ないというのか?」


 ビーグル号艦橋。
 アムレス号が、太陽系連合王国艦隊に対して優勢に戦っているのを、驚愕の視線でモニターを見つめている囚人達。
「たった一隻で、あれだけの艦隊と互角に戦えるとは」
「互角どころか、かなり優勢に戦っていますね。あ、またやられた」
「あれは、巡洋艦アトランタだったな」
 ビューロン少尉が呟く。
「地球艦隊はすでに戦力の五分の一を失ったもよう」
「先が見えてきたな」
「どこの所属の船なんでしょうねえ」
「分からんな。ただ言えることは、我々の敵ではないということだ」
「ケンタウリ帝国でも太陽系連合王国でもなさそうです。となると……トラピスト星系連合王国ですかね」
 奮戦する宇宙船を見つめるアレックスに視線が集まる。


 ノーザンプトン艦橋。
「我が方の損害は?」
「はっ。戦力の四分の一を失いました」
「そうか。たった一隻の船に、歯が立たないというのか……」
「こちらにも艦載機があれば十分戦えるのですが」
「うむ。第七艦隊のエンタープライズは、今オルファガ宙域でトラピスト軍と戦っておるしな。空母はすべて戦線に出ておる」
「駆逐艦フレッチャーが撃沈されました」
「陛下、このままでは全滅してしまいます」
「うーむ。あと一息でビーグルをやれたというのに……」
「陛下……」
「分かっておる。撤退すればいいのだろう。インゲル星に降下しろ。そこまでは追ってはこないだろう」
「了解。全艦、百八十度回頭! インゲル星へ降下せよ」
 全艦インゲル星へと降下してゆく。
「イレーヌ……」
 アムレス号に捕らわれている王女を気遣う国王だった。


 ビーグル号艦橋。
「見ろ! 地球艦隊が退却を始めたぞ」
「ざまあみろ!」
「俺たちは助かったんだ!」
 口々に喜びの声を上げている。
「果たして助かったと言えるかどうか……」
 アレックスが呟く。
「そのだ。この船は、もはやポンコツ同然だし、修理しようにも技師がいない。あの宇宙船だって地球艦隊から救ってくれはしたが、真に味方とは言えないしな」
「一体どこの国の宇宙船でしょうか?」
「分からんな。ただ言えるのは、我々の敵ではなさそうだということだけだ。アレックス殿はご存じないですか?」
「いえ……」
「宇宙船が、こちらへ向かってきます」
「我々をどうしようというのか……」
 一同疑心暗鬼になっていた。


 ビーグル号に接近する宇宙船アムレス号。
 すぐそばに迫ったアムレス号の雄姿に唖然としている一同。
「すげえ!」
「これほどの宇宙船は、ゴーランド艦隊にだって見当たらないぜ」
「宇宙船より入電です」
「映像回線に映せ!」
 ビューロン少尉が指示すると、スクリーンにエダが映し出される。
 一同が注目する。
「あなたは?」
 ビューロン少尉が尋ねる。
「話はこちらに来てからにしましょう。これより救助艇をそちらに向かわします。ドッキングロックから脱出して下さい」
「分かりました。感謝します」
 もはや航行不能に近いビーグル号にいつまでも乗船しているわけにもいかない。ここは好意に甘えて移乗するしかない。
 不審船であることには変わりがないが、ここにいても埒があかない。
「総員。速やかに脱出の用意をしろ。負傷者から先だ! 急げよ、いつ敵が体勢を整えて攻撃を仕掛けてくるやも知れんからな」
 ただ一人、スクリーンを見つめるアレックス。
 エダの背後に見知った人物を確認した。
「イレーヌじゃないか……」

 イレーヌの方もアレックスに気が付いて、スクリーンに近寄る。
 手を胸に当てて、アレックスを見つめている。
「アレックス……生きていたのね……」
 涙を流すその肩に手を置いて、エダが宥める。
「さあ、迎えに行きましょう」



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銀河戦記/拍動編 第三章 Ⅱ 戦闘
2023.01.21

第三章


Ⅱ 戦闘


 宇宙空間を飛ぶセルジオ艦ビーグル号。
 艦橋では、元囚人達によって計器は操作され、インゲル星から遠ざかりつつあった。
「プラズマエンジン大気圏外出力から惑星間航行速度へ」
「インゲル星重力圏突破しました」
 パネルスクリーンに離れてゆくインゲル星を見ながら歓声を上げる囚人達だった。
「やっと解放されたぞ!」
「我々は自由になったんだ!」
 一同口々に叫んでいる。
「それはまだ早いぞ」
 ビューロン少尉が注意勧告する。
 それと同時に艦が激しく揺れる。
 あちこちに飛ばされ動揺する囚人達。
「何だ。一体何が起こったんだ?」
 レーダー担当になっていた者が叫ぶ。
「右舷後方に敵地球艦隊接近中!」


 インゲル星の背後から現れた、クロード王率いる地球艦隊。
 旗艦ノーザンプトンの艦橋内。
「いいか。絶対に逃がすなよ」
「はっ!」
「巡洋艦前へ。駆逐艦は両翼に展開して、魚雷で徹底的にやれ!」
 艦長がテキパキと指令を下している。
 その様子を見つめながら、スクリーンを眺めている。
「それにしても、セルジオ様ともあろうお方が、簡単に艦を奪われるとは……」

 ビーグル号艦橋内。
「追尾装置セットオン!」
「いいか。よく狙って撃て」
 ビューロン少尉が注意する。
「方位修正右0.2秒。上下角そのまま。敵艦主砲軸線上に乗りました」
「よし。攻撃開始」
 攻撃を開始するビーグル号。
 ビーム砲が地球艦隊に当たって砕け散る。

 ノーザンプトン艦橋。
「敵が撃ってきました!」
 副官の報告にクロード王が応える。
「なあに大したことはない。相手は戦艦ではないのだ。たとえ高性能のゴーランド艦とてたかが一隻。我々の方が数・火力とも上だ」
「それに、ビーグル号をまともに操縦したことのない連中ですからね」
「そういうことだ」

 ビーグル号艦橋。
 濛々(もうもう)と煙を上げる艦内。
 時折起こる爆風。
 倒れている兵士と囚人達。
「機関部損傷。エネルギーゲージ70%ダウン」
 機関部からの連絡が入る。
「クソォ! ここまで来ながら……」
「諦めるのは早い。最後まで戦うのだ」
 次々と被弾し、損傷の酷くなってゆくビーグル号。
「第一主砲被弾。第七副砲……全砲使用不能」
「もはやこれまでか……」
 老人が掛かりかける。
「アレックス様」

 ノーザンプトン号艦橋。
「敵は完全に沈黙しました」
「よし。ビーグル号に打電しろ。降伏か死か選ばせるのだ」
「了解」
「脱獄者は処刑あるのみではないですか?」
「本来ならばな。しかしビーグル号はセルジオ様の船でもあるしな……。通信士、収容所のセルジオ様との連絡は取れたか?」
「はっ。それがセルジオ様はお休みになられたとかで、応対に出られないとのことです。代わりにガードナー少佐が出られて、ビーグル号に関しては一切口出し無用捨て置けとの返答です」
「何だと! 一切関知するなと言うのか?」
「その通りです」
「一体何を考えているのだ。こんな重大事にセルジオ様が眠っておられる。その上、奪われたビーグル号も捨て置けとは……」
「陛下。ビーグル号が逃げていきます」
「通信士、先ほどの打電の返答は?」
「ありません。応答なし」
「よし、撃ち落せ」
「しかし、ガードナー少佐は捨て置けと」
「たかが将校ごとき聞く耳持たぬわ。セルジオ様直々のお言葉なら別だがな」
「どうしますか?」
「ええい! かまわん撃破してしまえ」
「了解。主砲発射用意! 目標ビーグル号」
「しかし陛下。敵に奪われはしたものの、ビーグル号はセルジオ様の船です。いいのでしょうか?」
 副官が確認する。
「かと言って、囚人をこのまま逃がしてもいいというのか?」
「それは……」
「お前は黙っていろ!」
「陛下、主砲発射準備完了しました」
「よし。発射しろ!」

 ビーグル号艦橋。
「敵がまた撃ってきました」
「なすすべもなしか……」
「それにしても、これだけ攻撃を受けても良く持っているのが不思議だ」
「そりゃそうですよ。これはゴーランド艦ですよ。地球艦とは比べものにならぬ程、材質・技術が違います。がしかし、こうも集中攻撃を受けては、さしものゴーランド艦とて……」
 その瞬間、艦内を爆風が襲う。
 吹き飛ぶ囚人達、そして老人。
 濛々たる黒煙が立ち込める。
「おじいさま!」
 老人のもとに駆け寄るルシア。

 ノーザンプトン号艦橋。
 正面スクリーンを見つめるクロード王。
「よし。そろそろ止めを刺せ」
「はっ。ミサイル艦前へ」
 前進するミサイル艦。
「ミサイル発射!」
 多数のミサイルがビーグル号に襲い掛かる。

 ビーグル号艦橋。
 老人の身体に触れ伏して泣いているルシア。
 それを見つめているアレックス達。
「ミサイルだ!」
 誰かが叫ぶ。
「あれにやられたら一たまりもないぞ!」
 ミサイルがビーグル号に襲い掛かる。

 ノーザンプトン艦橋。
 まばゆい光に目を細めるクロード王。
「命中です」
「うむ……」
 次第に光が薄らいでゆく。
「むっ?」
 スクリーンを凝視するクロード。
 そこにはビーグル号が生存していた。
「どうしたんだ? ビーグル号は健在だぞ!」
「そんな馬鹿な! ミサイルは直撃しました。木っ端微塵になっているはずです」

 ビーグル号艦橋。
 床に伏して震えている者、耳を押さえて目を瞑っている者。
 皆やられたと思ってかじっとして動かない。
 ゆっくりと立ち上がるアレックス。
「どうしたんだ?」
「ん……ミサイルは?」
 ビューロン少尉も不可思議な表情をしている。
 倒れている者も、次々に起き上がりスクリーンを見つめる。
「助かったのか?」
「ミサイルがぶつかる寸前に爆発したみたいだけど……」
「あ、あれは何だ?」
「どうした?」
 囚人の一人がスクリーンを指さす。
 そこには見知らぬ宇宙船が映っていた。
「あの船が迎撃してくれたのか?」
「地球の船ではないようね」
「ケンタウリの船でも、トラピストの船でもないようだ」

 ノーザンプトン艦橋。
「右舷三十度に未確認艦発見!」
「何だと?」
「ミサイル接近中! 五秒で接触します」
「迎撃しろ!」
「駄目です。間に合いません!」
「機関全速、取り舵一杯!」
 眩い閃光と共に、護衛艦の一隻が轟沈した。
「第二波接近します」
「全艦、主砲をあの宇宙船に標準合わせ! 機関砲、ミサイルを撃ち落せ!」
「あれは! 地球を脱出した例の宇宙船ですよ」
 副官が気付いて報告する。
「何、本当か!」



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