銀河戦記/脈動編 第十章・漁夫の利 Ⅳ
2022.07.16

第十章・漁夫の利





軽巡洋艦スヴェトラーナ

 精神感応(テレパス)=隊長ドミトリー・シェコチヒン(♂)
 遠隔視(リモートビューイング)=ニーナ・ペトリーシェヴァ(♀)
 念動力(サイコキネシス)=ローベルト・ポルーニン(♂)
 遠隔念動力(テレキネシス)=チムール・オサトチフ(♂)
 瞬間移動(テレポート)=エヴゲニー・ドラガノフ(♂)
 催眠効果(ヒュプノシス)=ナターリヤ・グルカロヴァ(♀)
 予知能力(プレコグニション)=ヴァレンチナ・グロムイコ(♀)
 精神治癒(サイコセラピー)=アンナ・ネムツォヴァ(♀)
 電算操作(ロジック・マスター)=ヴァレリヤン・ロバーノフ(♂)


 宇宙を航行するミュー族ESP艦隊の旗艦、軽巡洋艦スヴェトラーナの艦橋。
「銀河人が天の川人と接触したようです」
『ほう……。両国が共闘して我々と交えようという魂胆か?』
 と答えるミュー族の族長ドミトリー・シェコチヒン。
 彼は、目が見えず耳も聞こえない、そして話すことも出来ない障碍者だった。
 しかし、それがゆえにというか、それを補うように精神感応という能力を会得していた。
 人の心を読むというテレパス能力で、相手の脳に直接語り掛けるようにして会話をすることができる。
「通信傍受していたところ、天の川人の三隻が離脱してどこかへ向かったとのことです」
『軍事機密漏洩するような相手じゃなさそうだが』
「それが、銀河人の方から暗号化されていない通信が発せられたのです」
『どういうことだ? まさか……我々に傍受させようとしたのか?』
「もしかしたら、我々と天の川人を戦わせようというのでは?」
『そして双方が疲弊したところを、漁夫の利よろしく横から搔っ攫う(かっさらう)つもりなのかもな。離脱した艦はどいつだ? 例の艦なら好都合なのだが』
「どうやらそいつみたいですよ」
『ふむ……』
 しばし考え込んでいた隊長ドミトリー・シェコチヒンだったが、
『よし、そいつの後を追うぞ! ロバーノフ頼む』
 精神エネルギーを電気エネルギーに変換したのち、コンピューターを自在に操ることのできる『ロジック・マスター』の能力を持つヴァレリアン・ロバーノフに命令するシェコチヒン。
「了解」
 ロバーノフは目を閉じて精神統一する。
 機関室、誰もいないのに自動的にエンジンが始動し、静かに艦が動き出す。
「微速前進!」
 さらに速度を上げてゆく旗艦スヴェトラーナと随伴の艦隊。
「目標艦の推定移動コースを特定しました」
 予知能力を持つヴァレンチナ・グロムイコが予測コースを割り出した。
「コースの先に大型艦がいます。どうやら合流する模様です」
 遠隔透視能力で艦の位置を特定するニーナ・ペトリーシェヴァ。
『そうか、合流する前に敵を襲うぞ。亜空間ジャンプ用意!』
 ジャンプ制御装置にベクトル座標を入力するニーナ。
「ジャンプ到達点入力しました。いつでも行けます」
 ニーナの遠隔視で移動する位置を策定し、ローベルト・ポルーニン及びチムール・オサトチフの念動力を使って、艦をジャンプさせることができる。
『よろしい。ジャンプだ!』



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