銀河戦記/機動戦艦ミネルバ 第四章 新型モビルスーツを奪還せよ IX
2019.07.14


 機動戦艦ミネルバ/第四章 新型モビルスーツを奪回せよ


                 IX

 夕闇に暮れるバルモア基地を格納庫へと突っ走っている特殊工作部隊。
 警備兵の姿が見られないのは、ミネルバ迎撃のために海岸へと応援に借り出されてい
るせいだろう。
 格納庫の扉を開けて潜入するが、
「何者だ!」
 庫内に残っていた警備兵に発見される。
 銃撃戦が開始され、わらわらと待機所から警備兵が飛び出してくる。
 そんな中、遅れてやってきた二つの影があった。
 アイクとジャンの二人であった。監視がいなくなったのを機に、どうにかしてロープ
を解いて、後を追ってきたのであろう。
 と、目の前にシャーリー隊長が、コンテナの影に身を隠しながら、銃撃戦を繰り広げ
ている場面に遭遇した。
「やあ、こんばんは」
 気楽に声を掛けるアイク。
「お、おまえ達!」
 目を丸くしているシャーリー隊長。
「どうやって解いた?」
「いやね、こいつは縄抜けの名人でね」
「そんな事はどうでもいい。宿舎に戻って寝てろ!」
「ここまで来て、それはないでしょう。手伝いますよ」
「そうそう。あの新型モビルスーツを奪取するんですよね」
 ちょこっとコンテナの影から顔を出して、庫内に据えられているモビルスーツを見上
げるジャン。
「危ない!」
 シャーリーが首根っこ掴んで引き戻す。銃弾が顔を出していた辺りに着弾する。間一
髪のところであった。
「ひえええ! 危ないなあ」
 格納庫のシャッターがゆっくりと開き始めた。
「まずい。奴ら、モビルスーツを駆り出してきた」
 膠着状態を打破するために、モビルスーツを使って強制排除するつもりのようだ。
「ハイネ! ギルバート! モビルスーツに乗り移れ、援護する」
 そう叫ぶと、コンテナの影から飛び出して、銃を乱射しながら庫内にあったジープに
向かって一目散に駆けていく。そしてその背後に隠れる。
 その間にも、名前を呼ばれた二人がモビルスーツに乗り移ろうとしていた。
 一人は乗り込みに成功するが、一人はコクピットに乗り込む寸前に銃撃に倒れて、コ
ンクリートの床に落下した。
 恐る恐る倒れた兵士に近寄るアイクとジャン。
 兵士は虫の息だった。
 そして震える手で、持っていたディスクを二人に差し出しながら、
「こ、これを……たのむ」
 そう言い残して事切れた。
 ディスクを手渡された二人は、しばし見つめ合っていたが、
「これ起動ディスクだろ?」
「たぶんな」
 モビルスーツを見上げ、やおら登りはじめた。
 そして無事にコクピットに潜り込むのに成功する。
「へえ、うまい具合に複座だぜ」
「うん。俺の方が操縦担当だな」
「こっちは機関担当ってところだ」
「ええと、ディスクの挿入口は……。あった。ここだ」
 起動ディスクを差し入れると、計器類が一斉に点灯し、ディスクを読み込みはじめた。
次々と計器類を操作して、起動の準備を進めていく二人。


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