銀河戦記/鳴動編 第二部 第十一章 帝国反乱 V
2021.03.13

第十一章 帝国反乱




 アルビエール侯国のアレックスの元に、ウィンディーネ艦隊がタルシエン要塞を出立したとの報告が届いた。
「そうか、配下の将兵達にも受け入れられたということだな。まずは一安心だ」
「こちらに到着するのは、五日後になるもよう」
 パトリシアが報告する。
「それにしても……」
 と、言いかけて言葉を一旦中断してから、
「なんでこうも反乱が続いて起きるのかな。連邦も共和国も、そして今度は銀河帝国だ」
「その銀河帝国は、数百年前にも二度反乱が起きてますけどね。これで三度目になります」
 二度の反乱とは、トリスタニア共和国同盟の独立戦争、その後に起きたバーナード星系連邦の軍事クーデターである。
「皇太子殿下、よろしいですか?」
 アルビエール侯国の宮殿の一室に執務室を与えられたアレックスの元に、ハロルド侯爵が訪れた。
「摂政派率いる第一艦隊以下の艦隊が、近々軍事訓練を始めるそうです」
「ほほう。今更ですか?」
「一朝一夕で、艦隊をまとめ上げられるものではないのでしょうが。やらないよりはましということでしょうかね」
「これまで訓練などやったことはないらしいし、まともな訓練マニュアル作成できる士官がいるのかも怪しいですな」
「これまで、ぬるま湯に浸かっていましたからね」
「共和国同盟軍絶対防衛艦隊が、一瞬で簡単に滅んだのもそこにあるのです」
「これからどうなされますか?」
「そうですね。いつまでも分裂状態にしておくわけにもいかないでしょう。混乱に乗じて連邦が、諜報員や破壊工作員を送り込んでくる可能性もあります」
「破壊工作ですか?」
 実際問題としても、ウィディーネ艦隊反乱の時のように、政情不安などによって国民が疑心暗鬼になっている状態になれば、簡単に扇動されることもあるのだ。
「何にしても、ウィンディーネ艦隊が到着してからです」
「ウィンディーネ艦隊ですか……。ゴードン・オニール少将でしたよね。釈放し艦隊をまかせて良かったのでしょうか?」
「また反乱を起こすと思いますか?」
「い、いえ。そこまでは……」
 一度でも裏切った者は、何度でも裏切りを繰り返し、敵側に寝返るということもある。
 侯爵が心配するのも無理からぬことであろう。
 かつてアレクサンダー王子行方不明が原因で国内分裂を生じ、皇太子即位となって安寧していたら、今また反乱が起きた。
 主義主張というものはなかなか覆されにくいものなのだから。
 特にそれが銀河帝国という国家そのものならばなおさらである。

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2021.03.13 08:02 | 固定リンク | 第二部 | コメント (0)
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