銀河戦記/鳴動編 第二部 第九章 共和国と帝国 Ⅸ
2020.11.22

第九章 共和国と帝国


IX 援軍現る


 一方、敵艦隊側では一騒動が起きていた。
「後方に艦隊出現!」
「なに?どこの艦隊だ!」
「確認中です!」
「ほ、砲撃してきました!」
「敵艦隊です」
「共和国同盟です。艦数およそ二千隻」
 うろたえる艦橋の乗員たち。
 正面スクリーンに映し出される敵艦隊の映像の中に見出したるもの。
「あ、あれは!!」
 共和国同盟艦隊の中にひときわ目立つ彩色の図柄の入った艦があった。
「さ、サラマンダーです!!」
 艦体に火の精霊を配する艦は、宇宙にただ一つ。
 ハイドライド型高速戦艦改造Ⅱ式、バーナード星系連邦を震撼させるシンボルを持つ、
共和国同盟軍旗艦「サラマンダー」である。
「何故、やつらがここにいる?確かタルシエン要塞に向かったのではなかったのか?」
「偽情報を掴まされたようです」
「ただでさえ強敵なのに、こちらの三倍の数、しかも背後を取られてしまいました」


 その頃、当のサラマンダーでは。
「強襲艦、突撃開始せよ!」
 白兵部隊が搭乗する強襲艦が、敵艦隊旗艦に向かって数隻突撃開始した。
「自爆されるまえに、艦橋を押さえるのです」
 指揮を執るのは、旗艦の全権を任されたスザンナ・ベンソン少佐である。

 敵旗艦に取り付いた強襲艦は、すべての出入り口をこじ開けて中へと侵入した。
 艦内にいる兵士達との撃ち合いがはじまる。
 しかし白兵用の特殊装甲を着込んでいる相手には、連邦の持つブラスターでは歯が立た
ない。
 次々と打ち倒される連邦兵士。
「艦橋に急げ!自爆されるぞ」
 入手した艦内見取り図を見ながら着実に艦橋へとたどり着く。
 艦橋になだれ込む白兵部隊。
 バタバタと倒されてゆく、艦橋の兵士達。
 指揮官と思われる士官が取り押さえられる。
「指揮官を確保しました!」
「連れていけ!」
「はっ!」
 強襲艦へと連行される指揮官だった。
「自爆スイッチは入っていないか?」
 艦橋内にある計器をしらべる兵士。
「大丈夫です。入ってません」
「よし!通信機を調べて、記録媒体を抜き取れ!」
「分かりました」
 通信記録は、当然暗号化されているだろうから、媒体を持ちかえって暗号解読機にかけ
るのである。
「通信記録媒体を抜き取りました」
「よおし!総員退去せよ」
 元来た道をたどって、自艦に戻る白兵達。
「総員退去完了しました!」
「離艦せよ!」
 敵旗艦から離れる強襲艦。

 サラマンダー艦橋。
「作戦部隊より報告あり。任務完了!成功です」
「よろしい!強襲艦が十分離れた所で、敵艦を撃沈させる」
 宇宙空間では、すでに戦闘は終了していた。
 六百隻対二千隻では、まともな抵抗は出来るはずがなかった。
 海賊行為は国際法違反である。
 彼らは連邦のあぶれ者であり帰る場所はない。
 全艦が白旗を上げることなく自沈を選んだ。

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2020.11.22 14:47 | 固定リンク | 第二部 | コメント (0)
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