銀河戦記/波動編 第二章 Ⅳ 海賊基地

第二章


Ⅳ 海賊基地


 ルイーザ・スティヴァレッティの案内で、基地内の施設を見て回る少年達。
 それぞれ気に入った施設があったようだ。
 体育会系でいつも腹ペコなブルーノ・ホーケンは食堂。
 料理が得意なジミー・フェネリーは、そこの厨房。
 ゲーム好きのエヴァン・ケインは、ゲームセンターのある娯楽場。
 機械好きのフレッド・ハミルトンは、機関部が部外者立入禁止なので劇場。
 乗り物好きのマイケル・オヴェットは、歴代宇宙船が飾られている博物館。
 一同の総意として、無法者が集う海賊基地において福利厚生施設が充実している事が驚きの対象だった。
 そしてアレックスの感心した事は、ギルドだった。

 ギルドとは、民間銀行と人材斡旋、そしてクエスト依頼を請け負っている。
 民間銀行は金融機関であり、個人などの資産管理を扱っており、クレジットカードも発行して基地内ではどこでも使用でき、貨幣を持ち歩く必要がない。
 人材斡旋は、クルーが不足している船に各種職種の船乗りを斡旋している機関である。
 そしてクエスト依頼とは、商船襲撃の他に、
「他国に捕らえられている海賊仲間を救出するために収容所惑星を襲撃する」
「銀河中心ブラックホール周辺にある未踏宙域かつ危険地帯にある惑星の発見」
 などの毛色の違うものが挙げられている。その中でも、
「ロストシップの情報求む」
 というクエストが最も報酬が高い。

「それじゃ、船に戻りましょうか」
 一通りの見学を終わりにして、途中食堂で腹ごしらえしてから、船に引き返す一行。
「それにしても、海賊基地というから極悪人のたまり場かと思ってました」
 エヴァンが感心していた。
「びっくりした?」
「はい」
「まあ、ここのボスができた人ですからね。生殺与奪は好まず、一般人の乗船する旅客船は襲わず、商船や富豪の自家用船を狙っているわ」
「そうなんですか」

 船に戻ってくると、物資の搬入中であった。
「おお、丁度いいところに戻ってきたな。手伝ってくれ」
 モレノ・ジョルダーノ甲板長が、少年達を見つけて声を掛けた。
「分かりました。みんな、手伝おう!」
 アレックスが声を掛けると、
「よっしゃー! いっちょ力のあるところを見せてやるよ」
 体力自慢のブルーノが答える。
「わかったよ!」
 他のものも賛同して手伝いを始めた。
「姉さんは、どうしますか?」
 先輩であるルイーザに尋ねるモレノ。
 ルイーザはレーダー手なので、一応手は空いているはずだからだ。
「いや、あたしはひと眠りするよ。子供の相手で疲れたからね」
「そりゃどうも。お休みなさいまし」
 会釈するモレノ。
「じゃ、そういうことで」
 右手を軽く上げて、乗船口から船内へと入ってくルイーザだった。



 船橋にルイーザが戻ってきた。
 その顔を見るなり、アッデージ船長が言う。
「ご苦労様。彼らはいい子にしていたかな?」
「そうね。皆、素直でしっかりした子だったわ。仲間にして正解だったと思う」
「君もそう思うか……」
「将来が楽しみだわ」
「そうだな」
「それじゃ、しばらく休ませてもらうわ」
「おお、お休み」
 手を振って船橋を出てゆくルイーザ。
 この二人の付き合いは長く、アッデージがストリートギャングとして暴れていた頃からの仲間で、互いに気心の知れた仲である。
 フィオレンツォ・リナルディ副長が近寄ってくる。
「補給が済みました」
「そうか」
「それから、親父が呼んでます」
「親父が? 分かった、すぐに行こう。後を頼む」
「分かりました」
 副長を残して、船橋を退室するアッデージ船長。



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