銀河戦記/波動編 第三部 第二章 Ⅱ 揚陸部隊

第二章


Ⅱ 揚陸部隊


 宇宙空間に漂う帝国警備艦隊の残骸。
 補給・支援部隊が、生存者の捜索と救助を行っている。
 旗艦戦艦ロイヤル・サブリンの艦橋。
 指揮官席に鎮座し、てきぱきと指示を出しているアレックス。
「ウォーズリーに繋いでくれ」
 通信士ジュリアナ・ワイズ少佐に伝えると、
『ウォーズリーです』
「ウォーズリー准将、君の部隊はワープゲートを制圧してくれ」
 少佐から准将に昇進したマーティン・ウォーズリー、千隻の艦艇を与えられ第二部隊を率いていた。彼は、かつて惑星サンジェルマンの守備艦隊の指揮官だった人物だ。
「かしこまりました」
 配下の部隊を引き連れてワープゲートへ向かうウォーズリー准将。

「揚陸部隊を投入しますか?」
 艦隊参謀長のランドルフ・タスカー大将が進言する。
「よろしく頼む」
「はっ! 早速」
 アレックスの許可を得て、揚陸部隊に出撃を命じるタスカー大将。
 大気圏突入できる特殊揚陸艦部隊が動き出した。
 断熱圧縮加熱で真っ赤になりながら大気圏突入していく揚陸艦八百隻。

 大気圏突入を無事にクリアして、地上平定を始める揚陸部隊。
 部隊の旗艦フィアレスの艦橋。
「全艦、無事に大気圏突破しました」
 副官のカトリーナ・オズボーン少佐が報告した。
「敵地上空軍の戦闘機が、こちらに向かっています。およそ百二十機」
 電探手のライオネル・エムズリー少佐。
「こちらも艦載機発進だ!」
 司令官のデイミアン・オルコック大佐が下令する。
「艦載機発進せよ!」
 各艦から次々と戦闘機が発進する。
 その数、三千二百機という圧倒的な数で撃滅させた。
「上々だな。よし、作戦通りに各班に分かれて目標攻略だ」
 部隊が、それぞれの目標に向けて分散してゆく。
 軍事基地はもちろんのこと、国会議事堂、放送局、金融省庁などの主要設備を抑えるのが目的だ。
 各場所で落下傘による降下兵が制圧に掛かっている。
 その一方で、ミサイルサイロや通信施設などの軍事施設には爆雷攻撃を敢行して、反撃力を削いでいく。

「国会議事堂と放送局、制圧しました」
 次々と制圧の報告が届く。
「いいぞ。我々の目標は目の前だ」
 そこには、軍部の中枢である総参謀本部庁舎があった。
「降下兵が本部入り口に取りつきました」
「援護射撃で、二三発ぶち込んでやれ」
「了解、艦首ミサイル1号2号発射!」
 庁舎がミサイルで破壊され、瓦礫が吹き飛ぶ。
 それを合図に突入する降下兵。

 二時間後、総参謀本部は陥落した。



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銀河戦記/波動編 第三部 第二章 Ⅰ 惑星パウサニアース

第二章

 ペルセウス腕+オリオン腕=ケンタウロス帝国
 いて・りゅうこつ腕   =トリスタニア共和国
 たて・けんたうるす腕  =アルデラーン公国


Ⅰ 惑星パウサニアース

 あれから二十年ほどの年月が流れた。

 二千隻もの艦艇を失ったケンタウロス帝国は、侵略行為を一時中断して艦艇の増産・再編成を余儀なくされた。
 公国側も再侵略を未然に防ぐために、艦艇の増強を図っていた。
 またトリスタニア共和国も同様に艦艇増産を忘れていない。
 三か国の所有艦艇数は、帝国が四万二千隻、公国が二万八千隻、共和国が四万九千隻となっていた。
 資源面で見ると、銀河系外縁部は若い星が多くて水素ヘリウム以外の重元素が少ない。中心部には古い星が多いせいでこれらの星が超新星爆発を繰り替えてきた結果、鉄、クロム、マンガンなどの重元素が多く生成・蓄積されていた。
 オリオン腕から外縁部のペルセウス腕へと渡ったケンタウロス帝国は、慢性的な資源不足に陥っていた。
 同じく中心部のいて・りゅうこつ腕に渡ったトリスタニア共和国には資源豊富で艦艇を増産することができた。その軍事力で『タルシエンの橋』の片側を押さえており、帝国の侵入を完全に阻止していた。
 さらに内側のたて・ケンタウルス腕に渡ったアルデラーン公国は、資源は豊富にあったが建国の歴史が浅いので資源開発が遅れていた。帝国の侵入を抑えてきたのは、ひとえにアムレス号の存在によることが大きかった。


 惑星サンジェルマン。
 衛星軌道上に約一万隻の艦艇が待機していた。
 その艦隊旗艦、戦艦ロイヤル・サブリン艦橋。
「艦隊編成完了しました。いつでも出撃できます」
 艦隊参謀長のランドルフ・タスカー大将が報告する
「うむ。微速前進!」
 エドワード改め公王アレクサンダー二世が下令する。
 *以降アレックスと略称する。
「了解。微速前進!」
 静かに動き出す艦隊、その数七千隻。
 残りの艦艇は惑星の防御に回る、惑星を空にするわけにはいかないからだ。二十年前の悲劇を繰り返すことはできない。
「惑星リモージュを経由して惑星パウサニアースに向かう。ワープゲートを是が非でも確保する」
 惑星リモージュには国際宇宙ステーションがあり、三か国のハブ空港となっている。そして惑星パウサニアースは、帝国軍国境警備艦隊の基地であり、ラグランジュ点にはワープゲートが浮かんでいる。

 惑星リモージュを通過して惑星パウサニアースに近づくと、国境警備艦隊が現れた。その数およそ二百隻。
『こちらパウサニアース警備隊である。そちらの所属と目的を述べよ』
 相手艦から通信が入った。
「こちらはアルデラーン公国である。無駄な戦闘はしたくない。降伏して素直に惑星とワープゲートを明け渡して欲しい」
 アレックスが降伏を進言するが、はいそうですか分かりました、とは言えないだろう。
「冗談は止めたまえ」
 断固拒否する構えのようだ。
 ある日突然やってきて降伏しろと言われても従える訳がない。
 そして撃ってきた。
「仕方がない、反撃せよ!」
 七千隻の艦隊が攻撃をはじめた。
 二百隻対七千隻、圧倒的な戦力差で勝敗は決した。



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銀河戦記/波動編 第三部 第一章 Ⅵ 公王死す

第一章


Ⅵ 公王死す


 惑星サンジェルマン。
 地上を歩く人々がいる。
「あれは何だ!」
 誰かが空を指さして叫ぶ。
「なんだ、なんだ!」
 と他の者も空を仰ぐ。
 雲以外何もなかった空に、突如眩い輝きが広がり、恒星が一つ増えたような明るさだった。
 そして十分ほどで輝きは弱まり、平常の空に戻った。

 それらの異変はハルバート侯爵のもとに伝えられた。
「ケンタウロス帝国艦隊が迫っていると警告されていたが、関係あるのか?」
「公王さまがアムレス号で蹴散らしてくださったとか?」
「それはありうるが、おかしくないか?」
「なにがですか?」
「爆発は一回きりだった。いくらアムレス号でもまとめて敵艦隊を撃沈させることはできないだろう」
「つまり一隻ずつ段発的に爆発すると?」
「当然だろうが」
「確かアムレス号には自爆装置があると聞きましたが」
「自爆だと! まさか公王さまが自分の命を顧みずケンタウロス帝国艦隊を殲滅させたというのか?」
「たぶん……」
 驚愕するハルバート侯爵。

 そこへ一人の臣下がカプセル状のものを携えて入室した。
「大変です、侯爵様」
「どうしたのだ?」
 つい先ほど、アムレス号からの通信カプセルが届きました。
「通信カプセルだと? 再生できるか?」
「はい。ただいま」
 通信カプセルを端末にセットする臣下。
 やがて正面スクリーンにアレックスの映像が映し出された。
「公王!」
 一同が驚いている。
『公王である。このカプセルを手にしている時分には、私はこの世にいないだろう。自分の命及びアムレス号と引き換えに、ケンタウロス帝国艦隊を殲滅する。遺言として我が息子エドワードに公爵位と公王の地位を相続させる。公国に栄光あれ!』
 通信内容が途切れた。
 緊急通信のために手短に重要事項だけ記録したのだろう。
「公王は、公国を守るために自ら犠牲になったのか?」


 三日後、エドワード率いる艦隊が戻ってきた。
 正面スクリーンには惑星サンジェルマンが映し出されていた。
「帝国艦隊は? 探査しろ!」
「了解。探査します」
 電探手のキャスリン・ウォード少佐が応える。
「見たところ、帝国艦隊の姿が見えませんが、すでに占領されたのでしょうか?」
 マーティン・ウォーズリー少将が尋ねる。
「そうだとしても、守備や迎撃のための部隊ぐらいは待機してるだろう」
 言われて口ごもる少将だった。
「陛下! 王宮のハルバート侯爵から通信が入っています」
 通信士のジュリアナ・ワイズ少佐が報告する。
「繋いでくれ」
 通信用パネルに侯爵の姿が映し出された。
『エドワード、悲しい報告をしなければならない』
「何事ですか?」
『公王がアムレス号と共に、帝国艦隊を巻き込んで戦死なされた』
「戦死ですと? 父上が亡くなられたということですか、何があったのですか?」
『通信で話す内容ではない。とにかくこちらに来てくれ、詳しく話す』
「分かりました。そちらに行きましょう」




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