銀河戦記/波動編 第三部 第三章 Ⅴ 中性子星
第三章
Ⅴ 中性子星
漆黒の宇宙空間に浮かぶ中性子星マクデブルク、強烈なガンマ線と眩い光を放つ。
その影響をあまり受けない軌道上を反対周りでから接近する二つの艦隊。
双方、射程に入り次第、戦闘が開始される。
四千隻対二万四千隻、六倍もの艦艇差でケンタウロス帝国に勝ち目はない。ジリ貧で艦艇数は減っていくばかり。
ケンタウロス帝国艦隊旗艦ヴェルテンベルク艦橋。
「戦闘継続時間十五分、そろそろ時間です」
ラング副官が伝える。
「よし。戦闘態勢のまま後退せよ。全速後進!」
「全速後進!」
帝国艦隊が後退をはじめた」
「分艦隊を呼べ!」
分艦隊旗艦クローンプリンツ艦橋。
指揮官のヴァルター・シュパールヴァッサー中佐が、本隊と連絡している。ドゥーゼ中将がスクリーンに映っている。
『君達の出番だ。やってくれ』
「任せてください」
「よろしく頼む」
通信が途切れた。
「よし。出るぞ!」
惑星フェッデリンゲンの影側から出撃を開始する分艦隊。
「戦力図を」
「スクリーンに戦力図を投影します」
スクリーンに両艦隊の艦影が映し出された。
後退する味方艦隊は青く表示され、追撃する敵艦隊は青く表示されている。重力加速度計の数値から換算で、敵艦隊数は約二万隻と出ていた。
「全速前進! 敵の横っ腹に蹴りを入れるぞ!」
敵艦隊の横から急速接近して攻撃を開始する分艦隊。
「撃って撃って、撃ちまくれ! 残弾数を気にするな」
分艦隊は、敵艦隊を打ち崩すのではなく、混乱させて船足を遅くさせる効果を狙ったものだ。
ある程度の効果を見届ければ、離脱して本隊と合流する作戦だったのだが。
「左舷後方にエネルギー反応!」
レーダー手が叫んだ。
「なんだと!」
表情が青ざめるシュバールヴァッサー中佐。
「敵艦隊です! およそ千隻!」
「敵側にも、自分と同じ作戦を考えられる奴がいたのか?」
「いかがなされますか? 反転して迎撃しますか?」
副官が尋ねる。
「だめだ。反転攻撃する暇はない。戦闘中止! 取り舵一杯! 全速前進で本隊に合流する」
「了解!」
敵艦隊への攻撃を中止して、本隊への合流を選んだシュバールヴァッサー中佐だった。
コースを変えて本隊に合流しようとする分艦隊だった。
旗艦ヴェルテンベルク艦橋。
『申し訳ございません』
スクリーンにはシュバールヴァッサー中佐が映っており、頭を下げて謝っている。
「仕方あるまい。敵にも同じ考えを持っていた奴がいたというだけだ。隊列に加われ」
『了解しました』
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