銀河戦記/波動編 第二部 第二章 Ⅳ 追跡

第二章


Ⅳ 追跡


 もう一方の士官学校生が搭乗する訓練艦。
 すでに各自配置に着いている。

 艦長 =デイミアン・オルコック
 機関士=アルフィー・キャメロン
 操縦士=ジャレッド・モールディング
 電探手=ライオネル・エムズリー
 魚雷手=ボブ・ゴドウィン
 機銃手=ボビー・ハイアット
  兼務=副操縦士・通信士


「奴らが出発してから十分が経ったぞ」
 ボビーが時計を見ながら言った。
「よおし、こっちも出発しようぜ」
 アルフィーが答えると、各自最終チェックに入った。
「何の支障もなく離陸したな。ハンデを与える必要もなかったのじゃないか?」
 ジャレッドが疑問を伝える。
「奴らが訓練艦を操作するのは初めてだ、というのは確かだろうからなハンデを与えるのは疑問ではないだろう」
 疑問に答えるデイミアン。
 時間差の出発は、アレックスの申し出で、
『始めての艦だから、操艦に慣れるまで十分ほど時間をください』
 とのことで、ハンデを与えたのである。
「まあいい。どうせすぐに追いつくさ、出発するぞ!」
 デイミアンの声で、離陸体制に入る。

 やがてゆっくりと離陸し上空へと飛翔する。

「成層圏を突破した」
 高度計を見ていたボビーが報告する。
「奴らはどこだ?」
 デイミアンが尋ねると、
「今、探している」
 電探手のライオネルが答える。
 しばらく探していたが、
「いた! 今、第二衛星ロナンに向かっている」
 と、モニターに映像を映し出した。
 惑星サンジェルマンには二つの衛星が回っている。
 大きい方がロナン、小さい方はロペスという。
 そのロナンに向かっているアレックス達の艦がモニターに映っている。
「小賢(こざか)しい奴らだ。衛星の陰から不意打ちでもしようと考えているのだろう」
「奴らは衛星ロナンの自転方向回りに移動しています」
 ライオネルが言う。
「ならば、こちらは逆方向回りで、正面から当たってやろうじゃないか」
「了解。コース変更! ロナンへ向かう」
 ジャレッドの操艦で、衛星ロナンへと進路変更した。

 数時間後、予想遭遇点に接近したが、アレックス達の艦影が見当たらなかった。
「いないぞ!」
 モニターを見つめていたジャレッドが叫ぶ。
「下だ! 下から魚雷接近中!」
 ライオネルが叫ぶ。
「回避! 面舵一杯、エンジン一杯!」
 デイミアンが下令し、ジャレッドとアルフィーが応答する。
「面舵一杯!」
「エンジン一杯!」
 ゆっくりと転回する艦体、接近する魚雷。



↓ 1日1回、クリックして頂ければ励みになります(*^^)v



ファンタジー・SF小説ランキング


コメント一覧
コメント投稿

名前

URL

メッセージ

- CafeLog -