銀河戦記/波動編 第三章 Ⅶ 叛乱


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第三章


Ⅶ 叛乱


 頭領アントニノ・ジョゼフ・アッカルドとの面会を終えて、展望台デッキを訪れたアッデージ船長。
 ふと外宇宙を見ると、数多くの戦艦に基地が取り囲まれているのに気が付いた。
「こ、これは!」
 それはケンタウルス帝国の艦隊だった。
 大急ぎでフォルミダビーレ号へと駆けつけると、仲間達が兵士に銃口を突き付けられて、船の外に連れ出されているところだった。
「遅かったじゃないか」
 声を掛けてきたのはガスパロ・フォガッツィだった。
「どういうことだ?」
「見ての通りだよ。この基地は帝国が接収したのだよ」
「仲間を売ったのか?」
「勘違いしてもらっては困るな。海賊などというアウトローなことは今時やってられないんだよ。パトロンという権力のある組織の一員として加わることが肝心だ」
「つまり帝国の私掠船になるのか?」
「そういうこと」
「親父は賛同したのか?」
「俺は何度も説得したんだがな……。いつまでたっても賛同を貰えなかったから、ご隠居願うことになったよ」
「親父をどうした?」
「親父か……。今は独房だが、明日には処刑される」
「貴様あ!」
 フォガッツィの胸倉を掴む船長だが、そばにいた兵士に銃底で殴り倒されてしまった。
「俺にもどうしようもないんだ。帝国の意向に従えない者は始末されるということさ」
 アッデージは兵士によって拘束された。
 後ろ手に組み、アッデージの前を左右に歩き回りながら、
「さて……。この基地は、今後ケンタウルス帝国のものとなる。そして俺は、基地の総責任者に指名され就任した」
 と宣言した。
「お前が、ここのボスだと?」
「そうだ」
「他の仲間達も納得しているのか?」
「ああ、みな長い物には巻かれろだ。おまえのとこのクルーを除いてな」
 言われてフォルミダビーレ号のクルーを見つめるアーデッジ。
「実はな、帝国軍は僚艦を二隻も撃沈されたので、クルー全員の首を差し出せと憤慨しているのだよ。しかし、この俺がなだめて待ってもらっている」
「そもそも問答無用で襲い掛かってきたのは帝国軍ではないか? 反撃するのは自衛行動として当然だ」
「それは一般的な艦船の場合だ。海賊に国際ルールは通用しないな」
「で、どうしろというのだ?」
「俺の配下に入れ! そうすれば帝国軍に許しを乞うて、全員の首を保証してやる」
 言いながら立たされているクルーを見回す。
「有能な人材は失いたくないからな」

 さあ、どうするんだ!

 とばかりに、顎をしゃくり上げる様に天井を見つめるフォガッツィ。
 ここで断れば、クルー全員の命の保証はない。
「分かった……。配下に入ろう」
「そういうと思ったよ。たった今から、幹部に昇進だ」
 クルーに銃を突き付けている兵士に合図を送ると、銃を収めて離れていった。
「それでは、後で頭領室へ来てくれ」
 くるりと踵を返して立ち去ってゆくフォガッツィだった。
「船長!」
 クルー達が駆け寄ってくる。
「どうして奴の配下に入ったのですか? 我々の命など構わなくてもよかったのに……」
 口々に助命する必要などなかったと述べた。
「まあ、そう怒るなよ。命を軽々しく語るな、まだ将来のある少年もいることだしな」
 アレックス達を見つめる。
「トニーが決断したことなら、あたしは従うよ」
 幼馴染ともいうべきルイーザ・スティヴァレッティが応えた。
 同じく幼馴染のエルネスト・マルキオンニ、フィロメーノ・ルッソロも従う意思を伝えた。
 アレックス以下の少年達は賛同するしかないだろう。



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