銀河戦記/波動編 第三章 Ⅳ 惑星上空戦


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第三章


Ⅳ 惑星上空戦


 船橋ではアレックスが次々と指示を出していた。
「敵艦隊の配置図をモニターに映してください」
「モニターに映します」
「正面の艦を拡大投影できますか?」
「できます」
 大写しされた艦影をじっと見つめて、自分の記憶にある帝国艦艇リストを呼び起こした。
「グランド・フランソワーズ (Grande Francoise)か……」
 艦種はもちろんのこと艦の兵装もバッチリだ。
 陽子砲(proton cannon)を主砲に据え、副砲にはパルスレーザー砲、高射砲としてバルカン砲を装備している。そして止めに艦首に光子魚雷発射管二門。
「正面の艦に目標照準固定!」
「正面の艦に照準を固定します」
「全速前進! 艦首光子魚雷装填! 惑星重力を加味して弾道を補正」
「全速前進!」
「魚雷弾道重力補正完了」
「艦首光子魚雷装填!」
 慌ただしく指示を出すアレックスとそれに応えるオペレーター達。
「敵艦の艦首に高エネルギー反応!」
「退避行動は?」
「必要ない! このまま直進する!」
「敵艦発射します!」
 敵艦から陽子砲が発射された。
 一筋の光条がフォルミダビーレ号に襲い掛かる。
 船橋のモニターが焼け付くくらいに輝き船内を真っ白に輝かせた。
 悲鳴を上げるオペレーター達。
 もう駄目だと誰もが思った瞬間だった。
 光の筋が大きく反れて惑星側に曲がっていったのである。
「は、外れた?」
 一同が首を傾げる。
「そうか、分かった! 惑星の磁場が陽子を曲げたんだ!」
 誰かが叫ぶ。
「今度は、こちらから攻撃する。第二射を撃たれる前に始末する。魚雷発射!」
「了解! 魚雷発射します!」
 艦首から光子魚雷が発射される。
 エネルギー砲ではないので、惑星磁場に曲げられることなく一直線に敵艦に向かう。
「命中です!」
 敵艦の艦首部が炎上している。
「戦闘機発進! 敵の左舷側の高射砲を重点的に攻撃せよ」
「戦闘機発進!」
 戦闘機が発進してゆく。
 その中には、エヴァン・ケインもいた。
 空戦隊長ロドリゴ・モンタナーリにすぐ後ろに付いている。
「こちらブルーリーダー、全機左舷側高射砲を叩くぞ」
「ケイン了解しました」
 応答するケイン。
「よし、アタックだ!」
 高射砲を徹底的に破壊してゆく飛行編隊。
 ほぼ壊滅させたところで、
「こちらブルーリーダー、敵艦高射砲を沈黙させました」
 船橋へ連絡を入れる。
『了解。全機帰投せよ』
「こちらブルーリーダー。これより帰投します」

 船橋では次の段階へと進んでいた。
「面舵十度。敵艦の左舷に対して、砲撃を開始する。左舷砲台に砲雷撃戦発令!」
 敵艦の高射砲を破壊したことで、接近してすれ違いざまの砲撃戦が可能になったのだ。
『戦闘機全機帰投しました。全機損害はありません』
 モレノ・ジョルダーノ甲板長から報告が入った。
 やがてすれ違いを始める両艦。
「左舷砲塔、攻撃開始! 撃ちまくれ!」
 敵艦側面に対してレーザーキャノンが掃射されて破壊していく。
「右舷より急速接近する艦あり!」
「右舷砲塔、攻撃開始!」
 右舷も攻撃を開始したが、敵艦の艦首はバリアーで防御されて、レーザーキャノンでは効果がなかった。
「下部砲塔に徹甲弾装填! 惑星表面に向けて入射角四十五度となるような発射角で撃つ! 跳弾コースを計算せよ」
『計算終了、発射角度補正完了OKです』
『徹甲弾装填しました』
「撃て!」
 徹甲弾が発射され、惑星表面の氷に弾かれてコースを変え、敵艦の艦底部に襲い掛かる。
「敵艦に命中! 撃沈です」
 さらに正面敵艦とのすれ違いが終了して、距離を離していく。
「よし! このまま全速前進で惑星を離脱する!」
「全速前進します」
 逃げ足だけは早い海賊船なので、ケンタウルス艦隊との距離をどんどんと突き放してゆく。



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