難病(特定疾患)と生活保護・社会保障を考える【携帯/モバイル版】

この場を借りて、難病(特定疾患)と生活保護などの社会保障制度について考えてみたいと思います。

原発性肺高血圧症(PPH)/認定基準(公費負担)

特定疾患情報診断・治療指針

39.原発性肺高血圧症

 原発性肺高血圧症は,本来,原因不明の肺高血圧症に対する臨床診断名である。その診断根拠としては,
 @ 肺動脈性(又は前毛細管性)肺高血圧及び/又は,これに基づく右室肥大の確認。
 A その肺高血圧が原発性であることの確認が必要である。
[肺動脈性肺高血圧及び/又は,これに基づく右室肥大を示唆する症状や所見]
(1) 主要症状及び臨床所見
@ 息切れ
A 疲れやすい感じ
B 労作時の胸骨後部痛(肺高血圧痛)
C 失神
D 胸骨左縁(又は肋骨弓下)の収縮期性拍動
E 肺高血圧症の存在を示唆する聴診所見
U音の肺動脈成分の亢進,W音の聴取,肺動脈弁弁口部の拡張期心雑音,三尖弁弁口部の収縮期心雑音
(2) 検査所見
@ 胸部X 線像で肺動脈本幹部の拡大,末梢肺血管陰影の細小化
A 心電図で右室肥大所見
B 肺機能検査で正常か軽度の拘束性換気障害(動脈血O2 飽和度はほぼ正常)
C 心エコーにて右室肥大所見及び推定肺動脈圧の著明な上昇
D 腹部エコーにて肝硬変及び門脈圧亢進所見なし
E 頸静脈波でa 波の増大
F 肺血流スキャンにて区域性血流欠損なし(正常又は斑状の血流欠損像)
G 右心カテーテル検査で
(a) 肺動脈圧の上昇(肺動脈平均圧で25mmHg 以上)
(b) 肺動脈楔入圧(左心房圧)は正常(12mmHg 以下)
[原発性を推定するための手順]  原発性肺高血圧症においては,ときに赤沈亢進・γグロブリン値の上昇・免疫反応の異常を認めることがあり,稀に関節炎・レイノー現象・脾腫などをみることもある。また,心肺の一次性又は先天性疾患が認められず,かつ肝硬変の存在も認められないもの。
(3) 除外すべき疾患
 以下のような疾患は肺高血圧ひいては右室肥大,慢性肺性心を招来しうるので,これらを除外すること。
@ 気道及び肺胞の空気通過を一次性に障害する疾患
 慢性気管支炎・気管支喘息・肺気腫・各種の肺線維症ないし肺臓炎・肺肉芽腫症(サルコイドーシス・ベリリオーシス・ヒスチオサイトーシス・結核など)・膠原病・肺感染症・悪性腫瘍・肺胞微石症・先天性嚢胞性疾患・肺切除後・高度のハイポキシア(高山病・その他)・上気道の慢性閉塞性疾患
A 胸郭運動を一次性に障害する疾患
 脊柱後側弯症・胸郭成形術後・胸膜ベンチ・慢性の神経筋疾患(ポリオなど)・肺胞低換気を伴う肥満症・特発性肺胞低換気症
B 肺血管床を一次性に障害する疾患
 肺血栓症・肺塞栓症・膠原病・各種の動脈炎・住血吸虫症・鎌状細胞貧血・縦隔疾患による肺血管床の圧迫・肺静脈閉塞症(pulmonary veno-occlusive disease)
C 左心系を一次性に障害する疾患
 各種弁膜症(ことに僧帽弁狭窄症)・左心不全
D 先天性心疾患
 心房中隔欠損症・心室中隔欠損症・動脈管開存症・その他
(4) 診断
以下の項目をすべて満たすこと。
@ 新規申請時
(a) (1)主要症状及び臨床所見の@〜Eの項目の3 項目以上の所見を有すること。
(b) (2)検査所見のF肺血流スキャン,及びG右心カテーテル検査の所見を有し,@〜Eの項目で3 項目以上の条件を満たすこと。
(c) (3)除外すべき疾患のすべてを鑑別できること。
A 更新時
(a) (1)主要症状及び臨床所見の@〜Eの項目の3 項目以上の所見を有すること。
(b) (2)検査所見の心エコーの所見を有し,@〜Bの項目で2 項目以上の条件を満たすこと。
(c) (3)除外すべき疾患のすべてを鑑別できること。


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