難病(特定疾患)と生活保護・社会保障を考える【携帯/モバイル版】

この場を借りて、難病(特定疾患)と生活保護などの社会保障制度について考えてみたいと思います。

線条体黒質変性症/診断・治療指針(公費負担)

特定疾患情報認定基準

(1)線条体黒質変性症(せんじょうたいこくしつへんせいしょう)

■概念・定義
臨床的にパーキンソニズムを呈する一群の疾患から病理学的に分離された疾患であり、線条体、主として被殻の小型神経細胞の変性・脱落が主病変である。臨床的には、パーキンソン病に極めて類似する症例が多く、それに自律神経症状や小脳症状が加わることと、画像所見から臨床診断がなされる。

■疫学
パーキンソン病と容易に鑑別できない群があるため、明らかな有病率は不明である。病理学的に線条体黒質変性症と診断された症例についてみてみると、L‐DOPAに反応する群は60歳代、無反応の群は50歳代の発症が多く、また、進行はパーキンソン病よりも急速で、平均経過は5〜7年である。

■病因
線条体の神経細胞の変性脱落の原因は不明である。

■症状
パーキンソン病と極めて類似するが、初発症状を振戦とするものはパーキンソン病では50〜70%とされるが、本症では約1割で、全経過を通じても振戦を認める症例は4割程度と少ない。パーキンソン病では振戦は90%以上にみられる。発症早期より転倒傾向が高度であったり、発語障害や嚥下障害(velopharyngolaryngeal palsy)、自律神経症状を呈することが多く、また、姿勢の異常を示す症例もある。
小脳症状としては、歩行時に左右に足を開く不安定歩行をすることや、企図振戦がみられることが多い。自律神経症状は半数以上の症例に認められるが、錐体路症候の頻度は報告者により異なり、高頻度に認められるとするものから数割のみとするものまである。

■診断
パーキンソニズムに、発症初期から転倒傾向が強い場合、あるいは自律神経症状の強い場合は、本疾患を考慮する。脳画像上、MRIのT1強調画像で線条体(主として被殻)の低吸収域、T2強調画像で高吸収域が認められればより確実である。振戦の頻度が少ないこと、L-DOPAの有効性が低いことがパーキンソン病との鑑別上参考となる。

■治療
対症的な薬物治療、生活指導、理学療法を行う。

■予後
機能予後は不良で、運動障害は漸次増悪する。パーキンソン病の進行 より速い場合が多い。

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