難病(特定疾患)と生活保護・社会保障を考える【携帯/モバイル版】

この場を借りて、難病(特定疾患)と生活保護などの社会保障制度について考えてみたいと思います。

多系統萎縮症(線条体黒質変性症,オリーブ橋小脳萎縮症シャイ・ドレーガー症候群)/認定基準(公費負担)

線条体黒質変性症=特定疾患情報診断・治療指針
オリーブ橋小脳萎縮症=特定疾患情報診断・治療指針
シャイ・ドレーガー症候群=特定疾患情報診断・治療指針

27.多系統萎縮症(線条体黒質変性症,オリーブ橋小脳萎縮症シャイ・ドレーガー症候群)

1 主要項目
 (1) オリーブ橋小脳萎縮症

 中年以降に発症し,初発・早期症状として小脳性運動失調が前景に現れる。経過と ともにパーキンソニズム,自律神経症状(排尿障害や起立性低血圧など)を呈すること が多い。頭部のMRI で,小脳,橋(特に底部)の萎縮を比較的早期から認める。この変 化をとらえるにはT1WI 矢状断が有用である。また、T2WI 水平断にて,比較的早期か ら橋中部に十字サインが認められる。この所見では診断的意義が高い。
(2) 線条体黒質変性症
 中年以降に発症し,パーキンソン病様の症状で発症し,振戦よりは筋固縮,無動が 目立つ。抗パーキンソン病薬に対する反応は不良であるが,数年間にわたって有効な 例もある。経過と共に,自律神経症候や運動失調が加わってくる。MRI にて,橋底部, 小脳の萎縮,線条体の萎縮,被殻外側のスリット状のT2 高信号域などが診断の補助と なる。特に被殻外側のT2 高信号像の診断的意義は高い。パーキンソン病やびまん性レ ビー小病体との鑑別には123I-MIBG 心筋シンチグラフィーが有用である。パーキンソン 病やレビー小病体では,心筋への集積低下が認められるのに対して,多系統萎縮症で は集積低下は認めない。
(3) シャイ・ドレーガー症候群
 中年以降に発症し,起立性低血圧(収縮期でも20mmHg もしくは拡張期で10mmHg 以 上),排尿障害(100m・以上の残尿・尿失禁),男性での陰萎を中心とした自律神経症 状が前景となる。発症後1年間にわたり上記の自律神経症状が前景であった場合に, シャイ・ドレーガー症候群ととらえる。発症後5年以上経過しても自律神経症状のみ である場合は,他疾患(純粋自律神経失調症pure autonomic failure ; PAF)や他の 自律神経ニューロパチー(アミロイド・ポリニューロパチーや糖尿病性ニューロパチ ー)との鑑別が必要である。

2 参考事項
 これまで,オリーブ橋小脳萎縮症,線条体黒質変性症,シャイドレーガー症候群とし て分類されてきた疾患が,病理学的には,特徴的なオリゴデンドロサイト内嗜銀性封入 体が観察されることから,同一の疾患であって,病変分布の濃淡(オリーブ,橋,小脳, 線条体,黒質,自律神経系の変性がさまざまな分布で認められる)によって臨床像が異 なってくるととらえられるようになり,これらの疾患を多系統萎縮症と総称するように なった。臨床的には,小脳性運動失調症,パーキンソニズム,自律神経症状のいずれか を初発症状として発病し,経過と共にそれ以外の症状も明らかになってくる。進行例で は声門開大障害に伴う特徴的ないびきや睡眠時無呼吸が観察されることが多く,突然死 を起こすことがあり注意する必要である。


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