第十二章 海賊討伐
Ⅱ
中立地帯海賊基地。
海賊艦隊が近づいてゆく。
ゲートがゆっくりと開いてゆき、艦隊が入港してゆく。
中央コントロールルームに、フランシス・ドレーク提督が候女を引き連れて現れる。
「お帰りやす! 提督殿」
「その提督というのは、ここでは止めてくれないか」
「ではお頭、その娘が候女さまですかい?」
「ああ、大切な人質さまだ。手荒に扱うなよ」
「へいへい」
通路を手縄を掛けられて、連行されてゆく候女。
海賊が営倉の一つを開けて、
「さあ、ここに入るんだ!」
と指示する。
抵抗しても無駄だと悟っているので、素直に入る候女。
鍵を掛けて、離れてゆく海賊。
ベッドに腰かける候女。
その候女の姿は、天井の片隅に設置された隠しカメラで映されていた。
サセックス侯国エルバート侯爵家。
候女が誘拐されたことが発覚して騒動になっていた。
「シルビアはまだ見つからないのか?」
いらつく侯爵が怒鳴り散らしていた。
「見つかりません!」
侯爵は疑心暗鬼になっていた。
使節団がやってきて、味方になることを断った直後だった。
もしかしたら、使節団が……?
その時、デスクの上の端末が鳴った。
「なんだ? こんな時に」
端末を操作すると、そこに映りだされたのは……。
「シルビア!!」
候女のシルビアだった。
驚愕する侯爵。
映像が切り替わり、ゴツイ顔の男になった。
「おまえの娘は預かっている」
「何故だ! 娘を浚ったのは? 娘は大丈夫なんだろうな? 要求はなんだ?」
続けざまに質問をあびせるが、
「今は何も言えん。いずれ連絡をする」
それだけ言うと、映像が切れた。
「シルビア……」
中立地帯への境界にたどり着いたウィンディーネ艦隊。
赤色灯が点滅し、警報音が鳴り響いている。
「まもなく中立地帯に入ります」
航海士が忠告する。
「ここから先に侵入するのは、国際条約違反になりますが」
「なあに大丈夫だ。これは救助活動だからな。誘拐されたエルバート侯爵のご息女
の救出作戦である」
「了解! これより候女救出作戦による中立地帯への進入封鎖を解除します」
「警報解除します」
「Pー300VXから入電! 海賊基地と思われる基地を発見したとのことです」
「ついに見つけたか!」
「Pー300VXの現在地座標を確認!」
「よおし! 海賊基地に向けて進撃開始!」
「座標入力完了!」
「微速前進!」
ゆっくりと中立地帯への動き出したウィンディーネ艦隊であった。
某氏館内。
「侯爵の娘の誘拐に成功したようです」
「さすが海賊上がりのドレーク提督だな」
「早速、脅迫をはじめましょうか?」
「いや、まだ早いだろ。誘拐が起きたばかりだからな」
「そうですか……」
「それにしても、ドレーク提督は連邦軍にいたって噂は本当ですかね?」
「しっ! それは秘密事項だ。他の誰にも喋っていないだろうな?」
「は、はい。喋っていません」
「ならばよい」