第一章
Ⅱ 迎合  公国艦隊旗艦デヴォンシャーの艦橋。 「帰国艦隊三千隻が出発しました。残る五千隻も出航準備完了!」  参謀として赴いたプラール中将が報告した。 「うむ、ご苦労さま」  まるで古株であるかのように応対する公王アレックス。 「全艦、惑星ケムニッツへ進路を取れ!」  新たなる指令を下した。 「了解。惑星ケムニッツへ迎え!」  タスカー大将が全艦に下令し、プラール中将も配下の五千隻に命令を下した。 「惑星ケムニッツです」  正面スクリーンに映された惑星を指さすプラール中将。 「そうか……」  しばし惑星を見つめる公王アレックスだったが、 「プラール中将!」 「はっ!」 「この惑星は君の配下の艦隊を使って、公国の領土となったことを流布してくれ」  と、作戦を伝える。 「私達に任せると?」 「そうだ。税金とか、治政に関してこれまで通りとする」 「分かりました。旗艦ヴェルテンベルクのヘンドリック・ドゥーゼ中将にやらせまし ょう」 「任せる。貴官は一旦自分の艦に戻ってもいいぞ」 「御意!」  こうしてプラール中将は、旗艦戦艦アルミニウスへと戻っていった。 「中将を解放して良かったのですか?」  タスカー大将が尋ねた。 「情勢を違(たが)えるような御仁ではないよ」 「そうでしょうか?」 「ケムニッツはドゥーゼ中将に任せて、惑星グロベンラーデへ向かう」 「了解。進路、リューベック恒星系惑星グロベンラーデ」  艦長のブレント・ブリンドル中佐が復唱する。  惑星ケムニッツに向かうプラール中将率いるアルミニウス艦隊、惑星グロベンラー デに向かう公王率いるデヴォンシャー艦隊。二手に分かれて移動を開始した。そして、 デイミアン・オルコック少将のシュトラールズント艦隊が捜索救助活動として居残っ た。 「先の帰国艦隊は、ワープゲートをちゃんと残してくれますかね」  副官アリスター・カークランド大佐が危惧する。 「行けば分かるさ」  タスカー大将が答える。  九時間後。  惑星グロベンラーデに到着した。 「ウォーズリー少将にワープゲートを任せる」  公王が命令を伝えると、 『OK、任せてください』  小躍り勇んでワープゲートに向かうウォーズリー少将だった。  惑星パウサニアースでもワープゲート担当だったので経験済みだからだろう。 「さてと、地上はどうかな?」  アレックスが呟くと、 「帰国艦隊の人が、事情を話してくれているとありがたいのですが?」  副官カークランド大佐が呟くように言った。 「まあ、無理だろうな。負け戦でしょげていて、一刻も早く帰りたかっただろう」 「ですね……」 「プラール中将に繋いでくれ」 「繋ぎます」  通信士のデイヴィッド・シモンズ少佐が答える。
   
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