第二章
Ⅳ ワープゲート
惑星パウサニアースの各家庭のテレビや街頭テレビ、ありとあらゆる映像機器がア
レックスの政見放送を流していた。
『惑星パウサニアースの住民に告げる。本日をもって、この惑星は我々アルデラーン
公国の支配下に入った。とは言っても、軍部関連を除いて一般住民には今まで通りで
ある』
市街地の大通りのビルの壁面に据えられた大型ビジョンを見つめる通行人達。軍人
政治を国是として、軍人か軍属そしてその家族がほとんどであり、後は子供と引退し
た老人である。
一般住民は今まで通りと聞いて、三々五々解散してゆく。
惑星バウサニアースは、国際中立地帯に最も近い惑星でありワープゲートもある重
要基地でもある。がしかし、公国への侵略行動を起こさない平常時には、ただの辺境
地となる。一般住民にしては、誰が施政者になろうとも変わりはしないだろう、とい
う思いが強くて関心も薄いようだ。
軍部側にしても、二千隻を一瞬で失ったというトラウマが尾を引いており、公国へ
の進出に二の足を踏んでいたのだ。
その間にも公国側は、着々と軍備増強を進めてきたのだった。
六時間後、ワープゲートによる最初のワープ実験が行われた。
総参謀長室のモニターで、その様子を見つめるアレックス。
「まもなく始まります」
艦隊参謀長のランドルフ・タスカー大将が伝える。
「ウォーズリー准将より入電しました」
「繋いでくれ」
『こちらワープゲート、一回目のワープ試験まで五分です』
「分かった。上手くやってくれ」
「かしこまりました」
ワープの時間となる。
『ワープ開始、一分前』
通信で秒読みを伝えてくる。
ワープゲートが輝きだした。
ゲートに莫大なエネルギーが入力されているからだ。
『十秒前……五、四、三、二、一、ワープ!』
ややあって、ワープゲート前面の空間が歪む。
そして十隻の無人艦が姿を現した。
『成功しました。点検整備の後、二回目のワープに入ります』
准将の声が弾んでいた。
ワープゲートは、艦艇をより多く、かつ素早く送り込むことができる。
敵国が艦隊を派遣してきたら、いつでも好きなだけの艦艇を送り込んで迎撃できる
ことになる。
「よろしく頼む」
『はっ! お任せください』
通信が途切れた。
幹部士官を集めて会議が行われた。
まず最初の議題が惑星リモージュについてだった。
リモージュには国際宇宙ステーションがあり、三か国のハブ空港となっており、国
際中立地帯の延長上にあった。
「もはや帝国とは戦争状態、自由な往来を許していたら、スパイによって重要機密も
漏れる可能性があります」
「そうです。ステーションは我が国の占有とするべきです」
「トリスタニア共和国とは友好通商条約が締結されています。施設の利用を拒否する
ことはできません」
「それは帝国側のみ制限すればよいだろう」
協議一時間、帝国側のみ航路閉鎖ということで決着した。