第二章
Ⅲ 占領政策  総参謀本部内の第一会議室。  帝国士官達が項垂(うなだ)れ暗い表情で座っている。  その周りを銃を構えた公国軍兵士が注意深く見張っている。  扉が開いて警備兵を従えたアレックスが入室してくる。 「全員起立!」  デイミアン・オルコック大佐が号令する。  一斉に立ち上がる帝国士官達。  そんな士官達をぐるりと見まわしてから着席する。 「全員着席!」  全員が着席したのを確認して、アレックスが教示する。 「すでにワープゲートは制圧した。援軍は当分来ない」  どこからともなくため息が漏れた。 「私は、アルデラーン公国の公爵アレクサンダー二世である」  毅然とした態度で身分を明かすアレックス。 「公爵だと?」 「つまり王様だよな」 「なんで王様が最前線にいるんだよ」  口々に驚きの声を上げる帝国士官達。 「さて、諸君らには二つの選択肢がある。一つは捕虜として暮らすか、もう一つは帝 国を捨てて公国軍に鞍替えするかだ」  士官達は顔を見合わせて迷っている。 「公国軍に入れば、現在の階級より一ランク上に昇進させ、給与も帝国よりも厚遇する」  帝国の軍人給与が公国軍より一ランク低いことは承知の上での待遇である。 「その気になったら、手近な者にいつでも声を掛けてくれたまえ」  そういうと立ち上がるアレックス。 「全員起立!」  立ち上がる士官達に見送られて会議室を出るアレックス。  アレックスが去った会議室。  オルコック大佐が士官達に伝達する。 「これから書類を配る。氏名・所属・階級・主な経歴、そして身の振り方として転 向・捕虜・引退の何れかを選択したまえ」  順番に書類を配る兵士。 「ここで決めることはない。兵舎でじっくり考えて選択してくれ。解散する」  その後、捕虜用として誂(あつら)えた兵舎に収監される士官達だった。  総参謀長室を臨時の執務室としたアレックス。  次々と報告を持って入室してくる配下の者との対応を続けていた。 「ワープゲートを完全に掌握しました。惑星サンジェルマンのワープゲートに接続完 了。経由して惑星アルデラーンとも通行可能です」  ウォーズリー准将が一番に訪問した。 「うむ、ご苦労様でした。これで援軍派遣も楽になります」 「とりあえず、十隻ほどの無人艦で転送実験を行います」 「まかせます」  ウォーズリー准将が出ていくと、代わりに放送機材を持ち込む一団が入室してくる。  放送局を制圧に行った将兵だった。  カメラやマイクなどの機材を設置してゆく。 「テスト、テスト!」  試験を繰り返して、準備完了。 「陛下、放送の用意ができました」  放送局員が報告する。 「ありがとう」  マイクが机の上、アレックスの目の前に置かれた。 「それでは……3・2・1・Q」  惑星の受信機に対して、アレックスの政見放送が流される。
     
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