第一章

Ⅳ 急げ!
アムレス号は、通常の戦艦の四倍以上の巨大さがあるので、基地内のドッグに入港
できずに周辺に漂泊していた。
艦橋の転送システムから姿を現すアレックス。
「状況はどうなっている?」
緊急通信で至急帰還という、滅多に言わないエダの口調からも、すでに事態急迫し
ているのだろうと察知していたアレックスだった。
「帝国艦隊が惑星サンジェルマンに約四光年のところに迫っています」
「つまりワープ一回で、サンジェルマンに到達か」
この時代、戦艦が一回でワープできる距離は四から五光年となっている。一回ワー
プする毎に、ワープ装置へのエネルギー充填と点検を必要としていた。
「次のワープは四十分後と思われます」
「ゆっくりしていられないな。すぐにワープで追い越して、待ち受けるぞ」
「かしこまりました」
『スデニ、ワープ準備ハ完了シテオリマス』
ロビーが応える。
「ワープだ!」
『ワカリマシタ』
次の瞬間、姿を消すアムレス号。
アムレス号のワープ距離は一回につき最大一万光年、連続ワープも可能とされてい
る。無尽蔵なエネルギーを生み出す縮退炉と、莫大なエネルギーを充填でき長距離を
跳躍できる強靭なワープエンジンのお陰である。
海賊基地内通路で宇宙港へと急いでいるエドワード。
窓からは待機している二百隻の艦隊が浮かんでいるのが見える。
今から艦隊を動かして惑星サンジェルマンに向かっても、間に合わないのは目に見
えているが、行かずにはおれないのだった。
十数分後、旗艦ロイヤル・サブリンに舞い戻ったエドワード。
「発進準備完了しています」
ウォーズリー少将が報告する。
「すぐに発進させてくれ!」
指揮官席に座ると同時に下令する。
「了解。全艦、微速前進!」
ゆっくりと動き出す旗艦艦隊。
アムレス号と違って、普通の戦艦はすぐにはワープできない。
エンジンを動かして発電して、ワープ装置にエネルギーを充填してからでないと
ワープできない。
「あの時、見かけた哨戒機を追わせるべきだったな」
反省するエドワード。
「おそらく、我が艦隊が海賊基地へと向かうのを監視していたのでしょう」
「そうかもしれない。それを確認して進撃を開始したのだな」
今となっては後の祭りと、後悔するエドワードだった。
「全艦、ワープ準備完了しました」
およそ三十分後、ワープ装置への電力充填が済んだ。
「よし、全艦ワープだ!」
「全艦、ワープせよ!」
アムレス号に続いてワープする旗艦艦隊だった。
アッカルド頭領の部屋にアーデッジ船長が訪れている。
「二人とも行ってしまいましたね」
船長が呟くように言うと、
「間に合わないだろうけどな」
と頭領がため息をつく。
「アレックス君が何とかしてくれますよ。伝説のロストシップでね」
「そうかな」
「たとえ二千隻の相手であっても足止めくらいはできるでしょう。そして追いついた
エドワード君と連携すれば……」
「ふむ、二人の活躍を期待して祈ろうじゃないか」
「そうですね」