第一章
Ⅲ 旧友との再会  海賊基地の頭領室。  アントニノ・ジョゼフ・アッカルドの前に立つエドワードがいる。 「久しぶりだな。父上はご健在かな」  親し気に尋ねるアッカルド頭領。 「はい。至極元気で活躍しております」 「うむ、それは良かった」  仲良く談話している二人が初めて出会ったのは、父アレックス公王がエドワードを 連れて基地を表敬訪問した時に紹介された時だった。以来、何度となく訪れるうちに 仲良くなり、孫のように可愛がってくれるようになっていった。 「ところで公国は統一できたが、公王は他国を支配下に入れたいとは思っていないの かな?」  アッカルド頭領が禁断ともべき言葉を吐いた。 「そうですね。ケンタウロス帝国に対抗するために軍備拡張と増強を図ってきました から、片隅には思っていると思いますよ」  エドワードは素直に答える。 「君はどう思っているのかね?」 「そうですね。我が国を侵略してくる国がある以上、排除しなければならないのは必 定でしょう」 「しかし、ここ最近はおとなしくしているようだが?」 「父上が『伝説のロストシップ』と呼ばれていたアムレス号を発掘し、強力な軍備拡 張を始めたから恐れているのでしょう。でも負けじと着々と軍備増強を図っているよ うです。いずれ戦火を交えることは避けられないでしょう」  その頃、海賊基地に遅れて到着したアレックスは、アントニーノ・アッデージ船長 とかつての仲間達と酒場で酌み交わしていた。  フィオレンツォ・リナルディ副長他のフォルミダビーレ号の乗組員達、そしてエヴ ァン・ケイン以下の旧友達の顔ぶれが揃っていた。 「まずは久しぶりの再会に乾杯だ!」  アーデッジ船長の祝杯の合図で杯を交わす一同。  テーブルの上には豪勢な料理が並んでいる。  相変わらず食いしん坊なジミー・フェネリーががぶついている。 「思えば出世したものだな。孤児院育ちの坊やが、今や一国の王だよ」  当時の少年達のお守り役だったモレノ・ジョルダーノ甲板長がしみじみといった口 調で懐かしむ。  思い出花咲く団欒で、時間が過ぎるのも早かった。  やがてお開きという時、アレックスの端末が鳴った。 「どうした?」  端末を取って通信するアレックス。 『至急、アムレス号にお戻りください』  エダの声には緊急性を促す口調だった。 「分かった。転送してくれ」  理由も聞かずに命令するアレックス。 『かしこまりました』  次の瞬間、転送システムでもある携帯端末が、アレックスを瞬間移動させた。  エドワードの元にも緊急報告が届いていた。  戦艦ロイヤル・サブリンのマーティン・ウォーズリー少将からだった。 『惑星サンジェルマンに向かって、二千隻の帝国艦隊が進軍しています』 「今すぐ戻る。全艦、発進準備させておいてくれ」 『了解』  通信を終えて、アッカルド頭領に別れを述べるエドワード。 「短い時間でしたけど有意義な時間でした」 「どうやら、ここを襲った奴らは囮(おとり)だったようだな」 「そのようですね。我が艦隊をこちらにくぎ付けにしておいて、その間に密かにサン ジェルマンへ本隊が向かったということでしょう」 「うむ。気をつけてな」  別れる二人だった。
     
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