第五章
Ⅵ アルデラーン公国の再興
惑星アルデラーンの領主となり公爵位となったアレックスは、アルデラーン公国再
興に奔走することとなった。
まずは重税に苦しむ市民のために税金の軽減、貴族だけの国会を見直して国民参加
の議会設置、大商人が独占していた市場開放などなど、民衆のための政治を始めた。
それらの新しい政策を大臣に任せて、自身は外交の旅へと出発した。
銀河系渦状腕「たて・ケンタウルス腕」の端から端まで隈なく回って、アルデラー
ン公国の再興と公爵位に着いたことを報告・承認して貰った。
一飛び一万光年ワープできるアムレス号ならではの巡航だった。
一通りの外交を終えて、アルデラーンへと戻ってくると、空港で市民たちの歓迎
コールが鳴り響いていた。
「公爵様万歳!」
「我らが国王さま!」
「アルデラーンに栄光あれ!」
理不尽ともいうべき交代劇で、新領主となったアレックスことアレクサンダー公爵
だったが、国民にしてみればロベスピエール侯爵を追い出したことに感謝していたの
だった。
侯爵の治政は、悪徳領主と言えるもので、政治上での重税や、経済上では賄賂・収
賄の横行、異を唱える者を拘禁し暴行に及ぶなど、民衆は虐げられていた。
宇宙艦隊が、いとも簡単に降伏したのも、これ以上侯爵の傍若無人な扱いに我慢な
らなかったというものだった。
この星では代々、侯爵の治政が続いていた。貴族政治では、民衆は税金を搾り取ら
れる存在でしかなく、貴族の思い通りの治政が行われていた。
新しい領主は孤児院育ちで貧しい庶民だったから、今度こそ民衆のための政治を行
ってくれる。
と思っていたら、早速減税や議会普通選挙など矢継ぎ早に政策を改めたことから期
待は大いに膨らんでいた。
宮殿謁見の間に戻ってきたアレックス。
「お疲れ様でございます」
侍従長が近寄ってきて労(ねぎら)った。
その名はヘクター・ダヴェンポート、先任の侍従長が侯爵と共に去ったので、宮廷
官僚だった彼が後釜に入った。
「各諸侯国から高等弁務官事務所の開設願いが出されています」
「そうですか。構わずすべて受諾してください」
「かしこまりました」
大使館ではなく、高等弁務官事務所であるのは、かつてアルデラーン公国の下に連
邦制を取っていたからだ。
こうして、銀河系渦状腕「たて・ケンタウルス腕」において、アルデラーン公国の
再興が果たされたのだった。
第二部 了