第三章
Ⅷ 警報!
艦載機発着場フロア。
ただ広い構内に五機の戦闘機が並べられている。スクランブル発進用に常に五機が
いつでも緊急発進できるように出しているのである。
いざ戦争となれば、壁側に設置された立体駐機場から次々引き出されて戦闘に出陣
できるようになっている。
乗員や整備員がマニュアル片手に操縦法や整備順などを確認していた。
片隅には、五台のシミュレーション装置がV字(傘型)に並べられて、五人が同時
搭乗して編隊飛行の訓練ができるようになっている。無論、単機での運用も可能で、
単機操縦で優秀な点を取った者が編隊リーダーに指名される。
スクランブル当直室には、伯爵艦隊の中からベテランが呼ばれてきており、いつで
も発進できるようにパイロットスーツ姿で待機していた。
本を読んだり、携帯ゲーム機で遊んだり、自販機から飲み物を買って飲んだりして、
待機の時間を潰していた。
突如鳴り響く警報音。
スクランブル発進の合図である。
「いくぞ!」
編隊長が声を掛けヘルメット片手に飛び出すと、他の要因も持っているものを机に
投げるようにして、ヘルメットを取って走り出す。
「全員訓練中止! 今すぐ降りよ!」
教官が訓練性に伝える。
五台のスクランブル機で訓練していた者は慌てて降りて、操縦席を明け渡す。
「訓練中悪いな」
一言断ってから、ヘルメットを被って操縦席に乗り込むパイロット。
機器を操作してエンジンを始動させる。
『甲板上の要員は、速やかに待避所へ移動せよ』
艦内放送が流れる。
と同時に、空気が抜かれる音が響き渡る。
甲板に人がいなくなり、空気が完全に抜かれると、艦内は無音状態となる。空気が
なければ音は伝搬しないからである。
ゆっくりと発着口が開いてゆく。
「こちらブルーリーダー。発信準備よし!」
『発進せよ! 前方オールグリーン』
「了解。発進します!」
管制室よりの許可が降りて、エンジンフルスロットルで発進させる戦闘機。それに
続いて残りも発進してゆく。
宇宙空間に飛び出た戦闘機群は、アムレス号の周りを旋回しはじめる。
もちろん警報は、他の部署でも戦闘配備に付いていた。
「艦首魚雷室、発射準備OKです」
「右舷速射砲、準備よし!」
「左舷速射砲も戦闘準備よし!」
「艦尾魚雷室、発射準備整いました」
「レーダー準備よし!」
「粒子砲配置につきました!」
次々と戦闘態勢完了の報告が上がってくる。
「戦闘配備完了しました」
副官のカトリーナ・オズボーンが報告する。
「よろしい」
報告を受けてからエダに向かって、
「何分かかった?」
と尋ねる。
「十五分です」
「遅いな……」
アレックスが呟くと、
「訓練生なら仕方がないでしょう」
エダが答える。
「よし、警報解除してくれ」
「かしこまりました」
「艦内放送を準備してくれ」
「はい」
カトリーナが放送手配して、マイクを設置した。
艦内に向けて放送を始めるアレックス。
『諸君、いきなりの警報で驚いたかもしれないが、実戦では一秒の遅れが全滅になっ
てしまうほど、一秒が大切なのだ。訓練でより早くより正確に実行できるかが重要。
日頃から訓練を繰り返して腕を磨いていこう!』